顧客心理を掴む心理学

バンドワゴン効果とは?行列に並びたくなる心理の解説と使い方

2016-10-04

バンドワゴン効果

テレビで観た行列ができるラーメン店。Facebookでたくさんの「いいね!」がついている投稿。誰もが使っているという噂のアプリ・・・。

もしもこれらが気になってしまったなら、それはバンドワゴン効果という心理現象です。

簡単に言うと、「みんなが良いと評価しているんだから、自分も同じ選択をしよう」と感じる心理です。

バンドワゴン効果をマーケティングに応用すれば、商品を売れやすくしたり、一大ムーブメントを巻き起こせる可能性があります。コピーライティングで使えば、読まれるブログ記事のタイトルをつくることができます。

マーケティングには欠かせない心理学ですので、ぜひ覚えておいてください。

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バンドワゴン効果 とは

バンドワゴン効果(Bandwagon effect)とは、ある事柄が流行しているという情報を知ることで、その事柄に関心のなかった人にも支持される現象のことです。

1950年にアメリカの経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタイン(Harvey Leibenstein)氏の論文『消費者需要理論におけるバンドワゴン効果、スノッブ効果、およびヴェブレン効果』の中で言及されました。

例えば、毎日通る道沿いにあるパン屋さんのことなんて気にも留めなかったのに、ある日そのパン屋さんに行列ができているのを見ることで、急にそのパン屋さんに行ってみたくなる気持ちの変化です。

バンドワゴンの意味は「楽隊車」

名前の由来となっている「バンドワゴン」とは、パレードの先頭の「楽隊車」を意味しています。

楽隊車を見かけた人が、楽しそうな雰囲気につられてパレードの後ろにゾロゾロついていき、次第に列が長くなっていく様子から「バンドワゴン効果」の名前がつけられました。

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バンドワゴン効果は日本人に馴染みがある同調現象

「モノの価値ではなく、他人はどうしていのるか」が気になるバンドワゴン効果は、他人と同じことをすることで安心できる日本人にとっては、すごく馴染みのある心理現象ですよね。

このバンドワゴン効果が起こる心理的背景には、「個人の判断よりも集団の決定の方が正しい」という思い込みがあるからだと考えられています。

このような思い込みは、群衆心理における同調現象と呼ばれます。

同調現象はアジア人に多く見られる

アジア人は、欧米人に比べると集団主義の傾向が強いと言われています。それは、アジア人は警戒感が強く、鬱のリスクがある遺伝子を多く持っているという研究があるからです。

バンドワゴン効果が日本人に馴染みがあるのは、不安を感じやすい遺伝子を多く持っているために、集団を大切に感じる性質を持っていることが考えられるんですね。

また、他人と同じことをすることで安心する人たちは、商品やライフスタイルが市場に普及していく様子を表したイノベーター理論で言うところの、「アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ」層にあたります。

イノベーター理論の図

イノベーター理論の図

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バンドワゴン効果が起こる瞬間の集団心理の様子

これぞ「バンドワゴン効果」だとわかる動画がありますので紹介します。

この3分ほどの動画は、ある海外音楽フェスの観客を映した一場面です。

動画の解説

バンドワゴン効果がわかる動画1

一人で踊る男性

上半身裸の男性は、最初は一人で踊っています。周りにいる人たちは特に関心を示していません。

バンドワゴン効果がわかる動画2

参加する人が数人加わる

ところが、一人また一人と踊りに参加する人が増えることで、周りにいる人たちの反応が変わっていきます。

バンドワゴン効果がわかる動画3

数人で踊っていたグループは、やがて集団に変わる

踊りに参加する人数がどんどん増えていくと、はじめは関心を示していなかった周りの人たちも、踊りに参加しはじめます。

バンドワゴン効果がわかる動画4

爆発的に人数が増えてムーブメントになる

最後の方ではあっという間に大勢の人数になり、大きなムーブメントに変わります。

途中から踊りに参加した人は、まさにバンドワゴン効果によって行動に突き動かされた人たちです。「みんなが踊っていて楽しそう!この流行に乗っかろう!」という集団心理が働いた様子が伺えます。

あまりの変化の大きさを、あなたはどう感じられますか? 僕は恐怖さえ感じるような鳥肌が立ってしまいました。

バンドワゴン効果の身近な例

バンドワゴン効果は、迷いがあった場合によく訪れます。

例えば、買い物をする時に迷いがあると、「みなさん買っていかれますよ」という店員さんの一言で、「じゃあ買っておこうかな」と背中を押されたような気持ちが働くことはありませんか?

対象とするモノが多くの支持を得ていることを知ることで、「自分の選択は正しい」という気持ちが強くなるのは、バンドワゴン効果によるものです。

通販番組で、「ただいま電話がつながりにくくなっております」とテロップが入ったり、商品の残り数を表示させるのも、人気があることをアピールして、商品に対する安心感を与えるバンドワゴン効果を狙ったものです。

先ほどの動画をFacebookの「いいね!」に置き換えてみるなら、まだ誰も「いいね!」をしていない投稿には「いいね!」を押しにくいと感じます。ですが「いいね!」がすでに1,000付いていたとしたら、心理的に押しやすく感じると思います。

これもバンドワゴン効果です。

バンドワゴン効果以外の消費外部性効果

バンドワゴン効果は、「モノの価値ではなく、他人との比較に価値を感じる」という心理です。このように、商品そのものが持つ機能や品質とは別に生まれる価値を、『消費の外部性』と言います。

バンドワゴン効果は、商品以外の要因で消費の意思決定が行われる、消費外部性理論のひとつです。

消費外部性理論には、バンドワゴン効果と比較される2つの心理効果があります。

  • スノッブ効果
  • ヴェブレン効果

マーケティングを考える際には、バンドワゴン効果と合わせて押さえておきたい心理効果です。

スノッブ効果:他人と差別化を図りたい心理

スノッブ効果(Snob effect)とは、バンドワゴン効果とは反対に「他人と同じものは欲しくない」という心理が働き、入手困難なほど需要が増えて、大衆化してくるにつれて需要が減る現象のことです。

ある商品が爆発的にヒットすると、自分を他人との差別化を図るために、購入したくないという思いが働きます。俗にいう「あまのじゃく」と呼ばれる人たちに多い心理傾向です。

例えば、地下時代のアイドルを熱狂的に応援していたにもかかわらず、売れてくると応援をやめてしまうのは、スノッブ効果によるものだと言えます。

スノッブ効果をマーケティングに応用するには、希少性や限定性をアピールします。

ヴェブレン効果:自己顕示欲を満たしたい心理

ヴェブレン効果(Veblen effect)とは、商品の価格が高価であるほど、価値を感じる現象のことです。高級車、宝石、高級ブランドなど、手に入れること自体に特別な欲求が生まれることを指します。

「高価なもの、希少性の高いものは、いいモノに違いない」という思い込みが働きます。高価なものを所有することで、自己顕示欲を満たしたり、周りに見栄を張るために消費したいと考える人たちの心理傾向です。

例えば、10代の中高生がブランド品を持ちたいという気持ちは、高価な物を所有することで「大人である・周りとは違う」ことを表現したい、ヴェブレン効果が影響していると言えます。

ヴェブレン効果をマーケティングに応用するには、高級感をアピールします。

バンドワゴン効果は選挙では勝ち馬効果と呼ばれる

このバンドワゴン効果は、政治の世界でも使われます。

選挙直前に行われるマスメディアによる予測報道などで、「優勢であると報道された候補者に有権者が投票しがちになる現象」を指します。

「どうせ投票するなら、当選しそうな人気のある人に入れちゃおう」という心理ですね。

大勢派がさらに優勢になる現象を表すことから「勝ち馬効果」とも呼ばれます。

勝ち馬効果と反対の負け犬効果

バンドワゴン効果と反対の意味を指す心理効果には、アンダードッグ効果(負け犬効果)があります。「劣勢であると報道された候補者に有権者が同情して投票しがちになる現象」です。

「どうせ投票するなら、負けそうな人を応援しちゃおう」という心理ですね。

バンドワゴン効果と似ている社会的証明

バンドワゴン効果と似ている心理学用語に、「社会的証明」があります。

社会的証明とは、簡単に言えば「社会が太鼓判を押していると感じるモノは信用されやすい」という意味です。

例えば、目の前に2軒のお寿司屋さんがあるとします。

  • A店:行列ができている
  • B店:誰も並んでいない

この場合、あなたは行列のできている「お寿司屋さんA店」に入りたいと感じるのではないでしょうか?

それは、「多くの人が並んでいるのは、多くの人がおいしいと認めているから」だと感じるからですよね。たとえ、あなたが入ったことのないお店でも、多くの人が認めているという理由で「お寿司屋さんA店」を信用したことになります。

行列という現象が、「お寿司屋さんA店」に対する社会的証明をしていることになるんですね。

メディアに紹介されることも社会的証明になる

また、テレビCMや雑誌などのメディアに紹介されることも、社会的証明になります。

  • 「テレビCMを作れるくらいなんだから、しっかりした大きな会社なんだろう」
  • 「雑誌に取り上げられるくらいだから、注目されるに値するんだろう」

多くの人は、このように感じます。

「私も同じ選択をしよう!」と感じるバンドワゴン効果は、この社会的証明によって起こる現象であると言えるんですね。

マーケティングに応用するバンドワゴン効果

バンドワゴン効果をマーケティングに応用すれば、流行を作り出すことができます。先ほど紹介した動画のように、一人、二人と人数が増えていけば、あとは自然と人が集まるようになる方法です。

バンドワゴン効果を応用するためには、「人気がある」という演出を考えます。商品そのものの価値を上げるのではなく、「多くの人から支持を得ている」ことに価値を感じてもらうようにします。

「人気がある」ことが、社会的証明になるんですね。

例えば飲食店の場合、あえて席数を少なくすることで行列をつくり、注目を集めるという方法があります。また、店内で待ってもらうのではなく、あえて店外に並んでもらうことで人気がある演出もできます。

商品販売の場合は、キャッチコピーなどで販売する商品に勢いがあることを演出します。

例え

  • 「売れ筋No.1」
  • 「◯◯部門No.1」
  • 「◯◯賞受賞」
  • 「ロングセラー商品」
  • 「今話題の商品」

もっとも効果的な社会的証明は口コミ

マーケティングでもっとも効果的はバンドワゴン効果は、口コミやレビューをセールスコピーなどに掲載して、多くの人が使っていることをアピールすることです。

Webサイトでも、ランディングページなどに多くのレビューを記載して、多くの支持を得ている社会的証明をします。

口コミやレビューの効果については「ウィンザー効果とは?第三者の声が信頼を生む口コミレビューの使い方」の記事で詳しく解説しています。

SNSで使うバンドワゴン効果

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使うことで、バンドワゴン効果を大きくすることができます。

2015年に実施された、消費者の購買行動に関する市場調査を行うニールセン調査によれば、「テレビ広告を信頼する」と答えた人は全体の63%で、「友人や家族からのおすすめを信頼する」と答えた人は83%でした。
参照サイト:ニールセン調査

この調査からもわかるとおり、友人同士での交流が行われるSNSでの口コミには、知人に大きな影響を与える効果があります。

例えばFacebookで、たくさんの「いいね!」を集めることができれば、それまで興味のなかった人からも、注目してもらうことができるんですね。

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バンドワゴン効果を使ったブログ記事タイトル・キャッチコピーの作り方

他人の動向が気になるというバンドワゴン効果を使うことで、読みたくなるセールスコピーのタイトルや、ブログ記事のタイトルをつけることができます。

  • 「みんなが知ってる」
  • 「今、注目されている」
  • 「知らない方がヤバい」

というような、周りの人と比較するタイトルをつけます。

例え

  • 「日本人の90%が答えられる問題を、あなたは正しく答えられる?」
  • 「記録はどこまで続く?観客動員数No.1を更新中の話題の映画とは」
  • 「えっ!まだ知らないの?洗顔の仕方は◯◯が一番ですよ」

読者の感情を揺さぶることができれば、ブログ記事を注目させることができます。

バンドワゴン効果を使う時の注意点

バンドワゴン効果を狙って流行を作り出そうとしても、買い手を騙すようなことはしないことが大切です。

行き過ぎた誇張表現や、サクラ行為、わざと流行しているように見せかけるステルスマーケティングなどは結果的に見破られますし、信頼度を一気に下げてしまうだけだからです。

たとえ大きな実績がなかったとしても、

  • 「3人に1人が申し込みをしています」
  • 「これまで1,000人が利用しています」

など、勢いを感じる表現ができないかどうかを探してみます。

はじめは小さなNo.1だったとしても、勢いがあることを宣伝することで、応援してくれる人が参加すれば、先ほど紹介した動画のように大きなムーブメントへと変えることが可能になります。

▼売る商品より大事なもの▼ウェブセールスライティング習得ハンドブックcp-b

まとめ

バンドワゴン効果とは、商品そのものの価値ではなく「他の人はどうしているか」を気にすることで起こる心理現象です。たとえ対象のことを知らなくても、人気があるモノが良いモノであるような思い込みをします。

バンドワゴン効果、スノッブ効果、ヴェブレン効果は、相対するものではなく同時に起こり得ます。ですので、「流行」「希少性」「高級感」の要素をうまく扱うことが大切です。

マーケティングでは、たとえ小さなNo.1でも、勢いがあることをアピールすることで、大きなムーブメントを巻き起こせる可能性があります。

ぜひあなたのビジネスでも、No.1を考えてみてください。

No.1をつくる方法は、次の記事で解説しています。
Next⇒「ランチェスター戦略で差別化して一点集中してNo.1をつくる

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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