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ABC理論とは|論理療法でわかる自己肯定感の違いの原点

2020-10-15

ABC理論とは|論理療法でわかる問題解決と不安の解消法

もしもあなたが「私の人生は不幸続きだ・・・」のようなネガティブな思考に支配されがちだとしたら、ABC理論が心の問題解消に役立ちます。

ABC理論とは、認知行動療法のルーツとなった論理療法の中心的な理論です。また、自分を肯定的に捉えることができる「自己肯定感」を高めるうえでも重要な概念です。

この記事では、

  • ABC理論とは何か?
  • ABC理論の具体例
  • ABCDE理論
  • ABC理論と自己肯定感の関わり

について解説します。

もしも、あなたが不安を感じやすかったり、ストレスを抱えやすいと感じているのであれば、ABC理論がどのように役に立つのかを確認してみてください。

ABC理論を理解すれば、問題解決や人生を幸せに導く解決策を手に入れることができます。

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ABC理論は認知行動療法のルーツ

ABC理論は認知行動療法のルーツ

ABC理論とは、「人は出来事によって感情が揺さぶられるのではなく、出来事をどのように捉えるかによって感情が揺さぶられる」とした、論理療法の中心的な理論です。

論理療法とは、考え方を変えることで心の問題の解消を目指す心理療法です。

ABC理論を含む論理療法は、アメリカの臨床心理学者アルバート・エリス(Albert Ellis)氏によって1955年に創始されました。

エリス氏の論理療法とアーロン・T・ベック氏の認知療法は認知行動療法のルーツとなり、またABC理論から、認知心理学が誕生しました。

A=出来事/B=信念/C=結果

ABC理論の名称は、「A:Activating event(出来事)」「B:Belief(信念)」「C:Consequence(結果)」のそれぞれのキーワードの頭文字をとったものです。

ABC理論

ABC理論

ABC理論

  • :Activating event(出来事)
  • :Belief(信念・捉え方)
  • :Consequence(結果・反応)

Aの『出来事』とは、生活環境や人間関係など、客観的な「状況・出来事」のことです。

Bの『信念』とは、ABC理論においては「思い込み・決めつけ・先入観・偏見・固定観念・価値観・解釈」といった、無意識で起こる主観的な “捉え方” のことです。

Cの『結果』とは、信念によって現れる「感情・思考・行動」といった “反応” のことです。

つまりABC理論では、人は「A⇒B⇒C」の順番で出来事を処理しており、同じ「A:出来事」が起こっても「B:捉え方」の違いで「C:反応」が変わることを示しています。

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ABC理論の具体例

では、出来事に対して感情や思考はどのようにして起こるのかを、ABC理論を使って解説します。

例えば、あなたは自分の容姿にコンプレックスを持っているとします。ある日電車に乗ると、見知らぬ人があなたを見て笑うという出来事がありました。するとあなたは、「私の容姿を笑ったんだ・・・」と思い、惨めな感情が湧き起こりました。

この一連の出来事をABC理論に置き換えると、次のようになります。

ABC理論の例え

ABC理論の例え

ABC理論の例え

  • 【A:出来事】見知らぬ人が私を見て笑った
  • 【B:捉え方】醜い人は笑われる
  • 【C:反応】笑われて惨めだ

「自分の容姿を笑われたくない」という目標を持っていて、「醜い人は笑われる」という『B:信念・捉え方』があるからこそ、「笑われて惨めだ」といった反応が現れたということです。

『信念・捉え方』には2種類ある

ABC理論を考案したエリス氏は、『B:信念・捉え方』には2種類あると考えました。

2種類の信念

  • 不合理な信念(irrational Belief:イラショナル・ビリーフ)
  • 合理的な信念(rational Belief:ラショナル・ビリーフ)

『不合理な信念』とは、次のような特徴を持つ信念のことです。

  • 目標達成を妨げる考え方
  • 事実に基づかない考え方
  • 論理的ではない考え方
  • 柔軟性のない断定的な考え方

この『不合理な信念』がツラい感情を生み出し、うつ病や不安、無力感の原因になると考えられています。

もしもネガティブな感情や思考に支配されるなら、「『不合理な信念』を『合理的な信念』に変容させることで状況を克服できる」としたのが論理療法の考え方です。

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ABC理論以前の考え方

ABC理論が提唱される以前は、起きた『A:出来事』はそのまま『C:結果』につながると考えられていました。

ABC理論以前の考え方

ABC理論以前の考え方

先ほどの例えを使えば、「見知らぬ人が私を見て笑った」⇒ だから「笑われて惨めだ」という図式です。

ですので、ABC理論が生まれる前は、もしも「笑われて惨めだ」という『C:反応』がイヤなら、「見知らぬ人が私を見て笑った」という『A:出来事』を回避することが必要だと考えられていました。

電車に乗らないようにしたり、人と目が合わないように下を向いたまま行動するといった解決策です。

ですが、電車に乗らないようにしたり、人と目が合わないようにするのは根本的な問題解決ではないですよね。生活環境や行動、生き方が制限されるからです。

論理療法では『信念・捉え方』を変えて治療する

ABC理論が生まれたことによって、問題の解決策が広がりました。

もしも『C:反応』を変えたければ、『A:出来事』を回避するか『B:捉え方』を変えればよいということです。

「醜い人は笑われる」といった『B:捉え方』を論理的に変えることができれば、「見知らぬ人が私を見て笑った」という『A:出来事』があったとしても、

  • たまたまこっちを向いたタイミングで笑っただけかな?
  • もしかして私の知り合いかな?
  • 私に気があるのかな?

といった『C:反応』ができるということです。

『捉え方』を変えれば『反応』が変わる

『捉え方』を変えれば『反応』を変えられる例え

『不合理な信念』を変えることができれば、生活環境や行動、人生を制限しなくても『C:反応』を変えることができるんですね。

ツラい感情や思考は『捉え方』次第ということです。

『不合理な信念』は4種類ある

さらにエリス氏は、不合理な信念は4つに分類できると考えました。

4種類の不合理な信念

  1. ねばならない信念
    「◯◯しなければならない」といった断定的な信念
  2. 悲観的信念
    「世の中は最悪なことだらけ」といった悲観的な信念
  3. 非難・自己卑下信念
    「私はなんの能力もないゴミだ」といった卑下的な信念
  4. 欲求不満低耐性信念
    「これ以上は我慢できない」といった低耐性な信念

いずれも自分を追い込み、前向きな気持ちを生み出さない、事実を無視した思考です。

これらの不合理な信念は、「自分に対する信念・他人に対する信念・世の中に対する信念」に分かれます。

例えば、次のような感じです。

  • 私はいつも完璧でなければならない
  • 私は失敗ばかりするダメ人間だ
  • 私はこれ以上はがんばれない
  • 他人は私に親切にするべきだ
  • 他人はバカばっかりだ
  • 世の中とは公平であるべきだ

これらの不合理な信念は、認知療法では「認知の歪み」として10パターンに分類されています。

ABCDE理論|ABC理論にはDとEもある

ABC理論は「D:Dispute(反論)」と「E:Effective New Belief(効果的な新しい信念)」を加えた、ABCDE理論としても解説されます。

「不合理な信念( B:信念・捉え方)」を「合理的な信念」に変えるための理論です。

ABCDE理論

  • :Activating event(出来事)
  • :Belief(信念・捉え方)
  • :Consequence(結果・反応)
  • :Dispute(反論)
  • :Effective New Belief(効果的な新しい信念)

Dの『反論』とは、不合理な信念に対する「自己反論・反駁はんばく・論理的否定」のことです。

Eの『効果的な新しい信念』とは、ツラい感情を出さないための「新しい信念・人生哲学」のことです。

不合理な信念に反論して新しい信念をつくる

『C:結果・反応』を変えるために、不合理な信念( B:信念・捉え方)に対して『D:反論』をします。現実的・合理的・実利的な自己反論です。

例えば、「笑われて惨めな思いをした」というツラい感情を抱いたのであれば、

  • 私のコンプレックスは客観的な事実か?
  • 根拠のない思い込みではないか?
  • 全ての他人は私を醜いと感じるのか?
  • 全ての他人は私を見て笑うのか?
  • 他人が笑う時はいつも悪意があるのか?

のように、いくつもの視点から論理的に反論します。

ABCDE理論の例え

ABCDE理論の例え

自分にとって「あれ、違うかも?」と感じる不合理な信念への反論が見つかれば、『E:新しい信念』をつくることができます。

無理やりポジティブにする必要はない

ABCDE理論のポイントは、ひとつしかなかった思い込みを、反論や自問自答によっていくつもの『捉え方』ができるようにすることです。

ですので、不合理な信念は必ずしもポジティブに転換する必要はありません。

例えば、コンプレックスは無理やりなくす必要はないということです。コンプレックスそのものが悪いのではなく、コンプレックスによって負の感情に支配されるのが良くないんですね。

ABC理論は全ての認知に適応できる

ABC理論は全ての認知に適応できる

ABC理論での『B:信念・捉え方』は、自分の無意識で作られる「色眼鏡」と言えます。あるいは、潜在意識の脳がつくる「自動プログラム」とも言えます。

つまり、人は誰でもABC理論のとおり、何らかの色眼鏡(自動プログラム)を通して出来事を見ているということです。

認知バイアス|歪められた認知

色眼鏡によって出来事を歪めて捉えてしまうことは、認知心理学では「認知バイアス」と呼びます。

例えば、ビジネスの場面で「社内コンペで落ちた」という出来事があった際に、「私は上司に嫌われている」という色眼鏡(信念・捉え方)をかけていれば、「きっと私のことが嫌いだから落としたに違いない・・・」のような思考が浮かびやすくなります。

あるいは、コンペに通ったライバルに対して「いつも小狡いヤツ」という色眼鏡をかけていれば、「賄賂でも贈ったに違いない」のような疑いの思考が浮かびます。

実際は実力で落ちただけかもしれないのに、色眼鏡によって出来事を歪めて捉えてしまうんですね。

認知バイアスによって不要な『C:結果・反応』が現れる

しかも、「私は上司に嫌われている」という色眼鏡をかけている場合は、上司の前に立つだけで緊張したり不安になったりして、本来の実力を出せない『C:結果・反応』が現れます。

「ライバルはいつも小狡いヤツ」という色眼鏡をかけている場合は、ライバルの近くにいるだけでイライラする『C:結果・反応』が現れます。

認知バイアスによって、自分で自分を苦しめていることになります。

クリティカル・シンキング|歪んだ認知を正す思考法

もしも出来事を歪めて捉えたままだと、根本的な問題解決ができなくなります。

例えば、社内コンペに通るために「上司のご機嫌を取ろう」「ライバルを上回る賄賂を贈ろう」のような間違った解決策です。

ですので問題が起こった際には、自分の『B:信念・捉え方』を見つめ直して、客観的で正しい解決策なのかどうかを見極めることが大切です。

自分の歪んだ認知を正すためには、「クリティカル・シンキング」と呼ばれる問題解決の思考法があります。クリティカル・シンキングを身につけることで、認知バイアスを外すことができます。

ABC理論の誕生は、心理療法だけではなく、あらゆる認知の問題解決法も発展させたんですね。

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自己肯定感の違いは『信念・捉え方』の違い

ABC理論を知ることで、自己肯定感の違いは『B:信念・捉え方』次第であることがわかります。自己肯定感とは、どんな自分でもオッケーを出せる感覚のことです。

例えば、何かにチャレンジして失敗した時にすぐに挫けて自分が嫌いになるのであれば、「私は完璧でなければいけない」といった『B:信念・捉え方』があるからです。

もしも「私は完璧じゃなくてもよい」といった『B:信念・捉え方』であれば、「失敗しても大丈夫」と思えて、失敗した自分にオッケーを出すことができます。

『信念・捉え方』による自己肯定感の違い

『信念・捉え方』による自己肯定感の違い

また、他人があなたを褒めてくれた時に、「・・・何か裏があるんじゃないか?」と疑ってしまうのであれば、「他人は敵(裏切る)」といった『B:信念・捉え方』があるからです。

もしも「他人は味方」という『B:信念・捉え方』であれば、同じ出来事があった場合は素直に受け入れることができます。他人に叱られたとしても「私のために叱ってくれた」と感じることができて、感謝さえすることができます。

ですので、自分を追い込む『不合理な信念』から開放されることが、自己肯定感を高める重要なポイントになります。

ABC理論を実践するためのおすすめ本

ABC理論を深く学んで性格の悩みを解消したいのであれば、ABC理論の創始者であるアルバート・エリス氏の著書『現実は厳しい でも幸せにはなれる』がおすすめです。

生活環境や性格のせいで自己嫌悪に陥ったり、自滅的な行動をすることに悩んでいるのであれば、不合理な信念を手放して、自分の力で自分を幸せにする方法を学ぶことができます。

世界三大心理療法家の一人であるエリス氏による人間心理の解説は、読んでいると勇気が湧いて、自己肯定感が上がる感覚を得られます。

読み始めると一気に読み進められると思いますので、ぜひ腑に落として、勇気とやる気と健全な信念を取り戻してください。

まとめ

ABC理論とは、同じ「A:出来事」が起こっても「B:捉え方」の違いで「C:反応」が変わることを示した理論です。アルバート・エリス氏が創始した、論理療法の基本モデルです。

ABC理論はさらにDEを足した、ABCDE理論としても解説されます。

ABCDE理論

  • :Activating event(出来事)
  • :Belief(信念・捉え方)
  • :Consequence(結果・反応)
  • :Dispute(反論)
  • :Effective New Belief(効果的な新しい信念)

もしもネガティブな感情や思考に支配されるなら、不合理な信念を変えるために論理的に自問自答して、新しい信念をつくるようにしてみてください。いくつもの『捉え方』ができるようになれば、ネガティブな感情に支配されることがなくなります。

また、自分を不幸にする『不合理な信念』を捨てることができれば、自己肯定感を高めて人生を幸せに導くことができます。

信念や価値観が人生を左右するほど重要な存在である理由を知りたい場合は、価値観ニューロ・ロジカル・レベルの記事で解説しています。

あなたが自己肯定感を下げやすい思考パターンを持っているかどうかを知りたい場合は、次の記事でチェックしてみてください。
⇒「10大認知の歪み|自己肯定感を下げる思い込みをチェック!

参考図書:
『図解 やさしくわかる認知行動療法』
『現実は厳しい でも幸せにはなれる』

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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