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ニューロ・ロジカル・レベルとは?例えでわかる問題解決の基礎知識

2020-09-27

ニューロ・ロジカル・レベルの基礎知識

問題解決、目標達成、効果的な褒め方・叱り方をしたいなら、人間の意識を階層化したニューロ・ロジカル・レベルの知識が役に立ちます。

ニューロ・ロジカル・レベルを理解すれば、ビジネスやリーダーシップを発揮する場面で、また説得や恋愛の場面など、自分自身や他人と関わる際のどんな場面でも応用することができます。

この記事では、ニューロ・ロジカル・レベルの基礎解説をします。

もしもあなたが、目標達成や対人関係などで問題を抱えているなら、ニューロ・ロジカル・レベルがどのように問題解決に役立つのかを確認してみてください。

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ニューロ・ロジカル・レベルとは

ニューロ・ロジカル・レベルの画像

ニューロ・ロジカル・レベル(Neuro logical level)とは、人間の意識をレベル分けした理論のことです。自分の意識と外部(他者・出来事)との関わり方がわかります。

人間の意識レベルを6段階で表現

ニューロ・ロジカル・レベルでは、人間の意識構造が「スピリチュアル/アイデンティティ/信念・価値観/能力/行動/環境」の6段階のピラミッド型で表現されています。

ニューロ・ロジカル・レベル

ニューロロジカルレベル

ニューロ・ロジカル・レベル

  1. スピリチュアル:自分以外の大きな存在(在り方)
  2. アイデンティティ:自分のミッション(使命・役割)
  3. 信念・価値観:自分が大切にしている考え方(動機・許可)
  4. 能力:自分の才能やリソース(戦略・計画)
  5. 行動:自分の活動(行動・反応)
  6. 環境:自分の周りの状況(機会・制約)

人の意識は上から下へ影響を与える

ニューロ・ロジカル・レベルでは、人間の意識はピラミッドの上から下へ大きな影響を与える様子を表しています。

人は「アイデンティティ」に基づいて「価値観」が生まれ、「価値観」に沿った「能力」を身につけ、「能力」を使った「行動」を行い、「行動」は「環境」にも影響を与えるということです。

他にもいくつかある特徴は、目標達成やコミュニケーションの応用に役立ちます。

スピリチュアルがないバージョンもある

スピリチュアルだけが逆三角形で表現されているのは、他の意識レベルとちょっと内容が違うからです。後から追加された概念でもあるため、スピリチュアルがない5段階で表現されることもあります。

また、それぞれの意識レベルは、情報を整理整頓するフレームワーク「5W1H」で表現することができます。

ですので、どのレベルを意識するかで、自分と向き合う時の問題解決や目標達成、他人と向き合う時の効果的なコミュニケーションがわかりやすくなります。

ロバート・ディルツ氏による体系化

このニューロ・ロジカル・レベルは、アメリカでビジネスコンサルタントや作家活動をしていたロバート・ディルツ(Robert Dilts)氏が、文化人類学者グレゴリー・ベイトソン氏の考えを元に体系化した理論です。

自己啓発やコーチング、コミュニケーションツールとして使われる「NLP(神経言語プログラミング)」という心理療法はこのニューロ・ロジカル・レベルが元になっており、ディルツ氏はNLPの主要な開発者の1人でもあります。

NLPは「脳の取扱説明書」とも呼ばれていて、ニューロ・ロジカル・レベルは脳の機能に対応して説明することができます。

では1番下の階層から、意識レベルの解説をしていきます。

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6. 環境レベル

環境レベル

環境レベル

ニューロ・ロジカル・レベルの1番下の階層の「環境レベル」の特徴は、次のとおりです。

環境レベル

  • 自分の周りの状況(機会・制約)を表す
  • Where?(どこで?)When?(いつ?)を意識するレベル

環境レベルとは、場所・時間・ヒト・モノなど、自分以外の外的要因のことです。五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を通して認識することができる要素です。

「どこで?・いつ?」は自分でコントロールできる要素でもあり、外側から制限つきで与えられる要素でもあります。

環境レベルの例え

例えば、あなたがピアノを上達したいという目標を掲げた場合、いつ・どこで練習するのかを意識することが『環境レベル』の概念です。

  • ピアノの準備と練習時間の調整
  • 夜に練習するのなら、防音設備の確認
  • ピアノを練習するための教科書の準備
  • ピアノ教室に通うなら、スケジュール調整や費用の準備

といったことを意識する必要があります。

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5. 行動レベル

行動レベル

行動レベル

ニューロ・ロジカル・レベルの下から2番目の「行動レベル」の特徴は、次のとおりです。

行動レベル

  • 自分の活動(行動・反応)を表す
  • What?(何をする?)を意識するレベル

行動レベルとは、歩く・走る・食べる・椅子に座るなど、自分の行動のことです。おもに小脳(運動神経)を使う要素です。

「何をする?」は基本的に自分でコントロールできる要素ですが、能力がなければコントロールできない要素でもあります。

行動レベルの例え

例えば、ピアノを上達したいなら、どんな行動をすればよいのかを意識することが『行動レベル』の概念です。

  • ピアノを弾く練習をする
  • スケジュールに合わせてピアノ教室へ通学する

といった行動を意識する必要があります。

また、あなたがピアノの初心者なら、思いどおりに指を動かせないですよね。ピアノの能力がなければ、いきなり上級者のための練習はできないということです。

4. 能力レベル

能力レベル

能力レベル

ニューロ・ロジカル・レベルの下から3番目の「能力レベル」の特徴は、次のとおりです。

能力レベル

  • 自分の才能やリソース(戦略・計画)を表す
  • How?(どうやって?)を意識するレベル

能力レベルとは、自分の才能や持っているリソースのことで、特定の行動をするためのスキルや計画を表します。大脳新皮質を使う要素として表現されます。同じ行動をしても、他人との違いが現れる要素でもあります。

「どうやって?」は自分でコントロールできる要素です。

能力レベルの例え

例えば、ピアノの上達をしたいなら、今ある環境やスキルから、どのような練習をすればよいのかを意識することが『能力レベル』の概念です。

  • 自分のレベルに合わせた練習
  • 何時間練習するか

といったことを意識する必要があります。

ピアノの練習を重ねれば思いどおりに指を動かせるようになり、ピアノの能力を身につけることができます。同じ楽曲を弾いても、個性が生まれます。

3. 信念・価値観レベル

信念・価値観レベル

信念・価値観レベル

ニューロ・ロジカル・レベルの下から4番目の「信念・価値観レベル」の特徴は、次のとおりです。

信念・価値観レベル

  • 自分が大事にしている考え方(動機・許可)を表す
  • Why?(なぜ大切?)を意識するレベル

信念・価値観レベルとは、自分が大切にしている考え方や思い込みのことです。行動を起こすためのモチベーションにもなり、行動を制限するブレーキにもなります。直感に相当する部分で、大脳辺縁系と関係する要素として表現されます。

「なぜ行動する?」は自分次第であり、動機がないと人は行動を起こしません。

つまり、どんな信念・価値観を持っているかで、『能力/行動/環境レベル』に影響を与えるということです。

信念・価値観レベルの例え

例えば、ピアノの上達を目標に掲げた際に、「なぜ上達したいのか?」を意識することが『信念・価値観レベル』の概念です。

「ピアノの演奏は楽しい!」という価値観があれば練習したい意欲が高まりますが、「ピアノの練習はツラい・・・」という価値観があれば、練習時間になると体が重くなります。

体が重く感じると練習をサボりたくなり、練習をサボると「ピアノが上達しない」という結果が生まれます。

2. アイデンティティ(自己認識)レベル

アイデンティティレベル

アイデンティティレベル

ニューロ・ロジカル・レベルの下から5番目(ピラミッドの頂点)の「アイデンティティレベル」の特徴は、次のとおりです。

アイデンティティレベル

  • 自分のミッション(使命・役割)
  • Who?(私は誰?)を意識するレベル

アイデンティティとは、「私は◯◯である」という自己認識のことで、自分の使命や役割、生きる目的を表します。信念・価値観を自己イメージとして単純化した概念とも言えます。本能を司る脳幹と関係する要素として表現されます。

「私は何者?」「私の使命は?」といったアイデンティティも、自分で決定する要素です。アイデンティティは「セルフイメージ」とも表現されるとおり、自分のイメージは自分で決めています。

つまりアイデンティティは、『信念・価値観/能力/行動/環境レベル』を変えることができるという、非常に大きな影響力を持っています。

アイデンティティの例え

例えば、ピアノの上達をしたいと思った際に、「私は何者か?」を意識することが『アイデンティティレベル』の概念です。

「私はピアニスト」というアイデンティティであれば、練習時間は生活の一部のように感じると思います。ですが、「私は趣味でピアノを弾きたい人」というアイデンティティであれば、練習時間と遊びの予定が重なれば、遊びを優先してしまうかもしれません。

「趣味だから楽しむ程度で大丈夫」という価値観が現れれば、練習時間が減り、上達が遅くなり、ピアノ教室も辞めるかもしれません。

アイデンティティは複数存在する

ちなみに、人は複数のアイデンティティを持っています。

  • 私はピアニスト
  • 私はよき母親
  • 私は夫を愛する妻

のように、アイデンティティは場面に合わせて無意識レベルで使い分けています。

ですので、「私は夫を愛する妻」というアイデンティティが外れた時、浮気の魔が差すことになります。

1. スピリチュアルレベル

スピリチュアルレベル

スピリチュアルレベル

ニューロ・ロジカル・レベルの1番上の階層(ピラミッドのさらに上)の「スピリチュアルレベル」の特徴は、次のとおりです。

スピリチュアルレベル

  • 自分以外の大きな存在
  • Being(在り方)を意識するレベル

スピリチュアルレベルとは、家族・職場・地域・国・地球・宇宙といった自分以外の大きな存在のことです。人智を超えた神のような存在も含みます。自分に関わるピラミッドの階層とは違う視点に変わり、組織の一部として自分の在り方を考えます。

例えば、「世のため人のため」という考えです。

個人の視点を超えて、For what?(何のため?) For whom?(誰のため?)を意識することで、自分と社会との関わり方を共同体感覚として捉えることができます。

「共同体感覚」はアドラー心理学が提唱する感覚のことですが、共同体感覚を身につければ無条件で他者を仲間だと感じることができて、貢献感を持つことができるようになります。

アドラー心理学では、貢献感を持つことが人が幸せになる唯一の方法だと説いています。

スピリチュアルレベルの例え

例えば、ピアノの上達をしたいと思った際に、「何のために上達したい?」を意識することが『スピリチュアルレベル』の概念です。

「私のピアノ演奏で家族を笑顔にしたい」といったことを意識すれば、貢献感を持つことができます。

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ニューロ・ロジカル・レベルでわかること

ニューロ・ロジカル・レベルでわかること

ニューロ・ロジカル・レベルでわかることは、あなたが何かアクションを起こす時には、使命感や目標が最重要であるということです。

使命感や目標とは、アイデンティティや信念・価値観のことです。まずは行動を起こす理由を意識しないと、人は成功のための行動をしないということですね。

例えば、「私はピアニストだ」というアイデンティティを持てば、「練習は上達のための当たり前の行動」という信念を持ちやすくなり、信念に従って上達のための行動を起こし、結果を残せるようになります。

逆に、「私はピアニストではない」というアイデンティティを持てば、「練習は重要ではない」という信念を持ちやすくなり、信念に従って行動しないようになり、上達しない結果を残します。

もっと簡単に言えば、「私はできる!」という信念を持てば成功しやすく、「私はできない・・・」という信念を持てば失敗しやすくなるということです。

自分で「できる!」と思える感覚は、自己効力感と呼ばれます。

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多くの人は、自分のアイデンティティや信念・価値観を理解していない

あなたは自分のアイデンティティや、信念・価値観を理解しているでしょうか?

自分の環境や行動は理解していても、多くの人は自分のアイデンティティや信念・価値観を正しく理解していません。なぜなら、アイデンティティや信念・価値観は、普段は無意識レベル(潜在意識)で感じることだからです。

ニューロ・ロジカル・レベルの無意識と意識

ニューロ・ロジカル・レベルの無意識と意識

上の図のように、下の『環境レベル』に行くほど意識的で、上の『アイデンティティレベル』に行くほど無意識的になります。

例えば、「あなたはどんな人ですか?」と尋ねられたら、「私は東京に住んでいて、インテリアの仕事をしています」などと、『環境/行動レベル』は即答できると思います。自分を取り巻く環境や自分の行動は自覚しているからです。

ですが、どんな信念・価値観を持っているのかを即答できる人は少ないと思います。普段の生活の中で、『信念・価値観レベル』を意識している人は少ないからです。

ですので、あなたがアクションを起こす時には、自分のアイデンティティや信念・価値観(使命感や目標)を意識して、行動することが大切なんですね。

ニューロ・ロジカル・レベル(NLP)を学ぶおすすめ本

ニューロ・ロジカル・レベルやNLPをはじめて学ぶのあれば、NLPラーニング代表・米国NLP協会認定トレーナーでもある山崎啓支さんの著書『実務入門 NLPの基本がわかる本』をおすすめします。

こちらの本では、ニューロ・ロジカル・レベルの特徴や応用が丁寧に解説されていますので、「脳の取扱説明書」とも呼ばれるNLPの基本をしっかりと理解することに役立ちます。

脳の特徴と取り扱い方法をロジカルに学べば、コミュニケーションスキルの向上や、自分の心の問題解消はもちろんのこと、普段の生活にも活かすことができます。

『基本がわかる本』の続編には『実践手法がわかる本』もあり、2冊読めばかなりの知識を身につけられますが、まずは『基本がわかる本』でNLPの基本を学んでみてください。

まとめ

ニューロ・ロジカル・レベルとはNLPの開発の元になった理論で、人の意識を次の6段階のレベルで表したモデルです。

ニューロ・ロジカル・レベル

  1. スピリチュアル:自分以外の大きな存在(在り方)
  2. アイデンティティ:自分のミッション(使命・役割)
  3. 信念・価値観:自分が大切にしている考え方(動機・許可)
  4. 能力:自分の才能やリソース(戦略・計画)
  5. 行動:自分の活動(行動・反応)
  6. 環境:自分の周りの状況(機会・制約)

それぞれの要素は互いに影響しあい、上の要素は下の要素に大きな影響を与え、下の要素は上の要素に小さな影響を与えるとしています。

あなたが目標を掲げて困難に直面した時には、問題の要素を見極め、上の階層の要素を変えるように心がけてみてください。きっと問題解決に役立ちます。

次の記事では、ニューロ・ロジカル・レベルの実践に役立つ特徴を解説します。
Next⇒「ニューロ・ロジカル・レベルの5つの特徴|意識レベルを極める知識

参考:実務入門 NLPの基本がわかる本 (実務入門)

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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