仕事術

5W1H・5W2H〜8W3Hとは?使い方と順番を例文で解説

2020-02-14

5w1h

情報伝達や現状把握を適切に行うためのフレームワークに、英単語の頭文字を示す “5つのW” と “1つのH” からなる 5W1H(5ダブリュー・1エイチ)があります。

この「5W1H」を意識した文章構成にすれば、必要な情報を漏れなく適切に伝えることができます。

例えば、報告・連絡・相談・ビジネス文書・企画書・プレゼン・セールスライティング・ブログ記事など、コミュニケーションに関わる様々な場面で役立ちます。

この「5W1H」は、“5つのW” と “1つのH” の計6つの伝達項目では少ないとして、現在では項目が追加された、次のような多くのフレームワークが派生しています。

5W1Hの派生形

  • 5W2H
  • 5W3H
  • 6W2H
  • 6W3H
  • 7W3H
  • 8W3H

この記事では、

  • 基本形「5W1H」の伝達項目
  • 派生形「5W2H〜8W3H」の伝達項目
  • 「5W1H」を使った出来事を伝える基本的な順番

を解説します。「5W1H」を覚えておけば、「8W3H」まで応用することができます。

情報の整理整頓は論理的思考力を鍛えることにも役立ちますので、基本形「5W1H」の再確認をしてみてください。

スポンサード リンク

5W1Hとは

もっとも基本形である「5W1H」とは、次の6つの代名詞・副詞のことです。

5W1H
Whenいつ時期
Whereどこで場所
Whoだれが主体
Whatなにを内容
Whyなぜ理由
Howどのように手段

欧米ではニュース記事を書く時に、重要なことを一番最初に記す慣行があります。その際に最初の段落で使われるのが、この “5つのW” です。

日本ではさらに “1つのH” を付け足して「5W1H」として広まっています。
参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/5W1H

英語の授業にも出てくるので聞き覚えがあるかと思いますが、この「5W1H」を意識すれば、情報や思考を整理整頓することができるので、伝えたい情報を正しく伝えることができます。

また、相手にとって必要な情報をモレなく詰め込んだ話には説得力が生まれますので、プレゼン力やセールス力を上げることにも繋がります。

さらに、目標設定の際には、タスクの抜け漏れを確認することにも使えます。

5W1Hの文章例

ちょっとした文章を5W1Hに分解してみると、次のようになります。

  • いつ:昨日
  • どこで:駅前の定食屋で
  • だれが:私は
  • なにを:超スタミナ定食を食べました
  • なぜ:めちゃくちゃお腹が空いていたので
  • どのように:5分もかけずに完食してしまいました

なにを伝えたいのかによっては、不要なパートがあることがわかると思います。

例えば、「駅前の定食屋で超スタミナ定食を食べた」ことを伝えたい場合は、『なぜ・どのように』の項目はわざわざ伝える必要はないかもしれません。

ただし、5W1Hを意識しないと、次のような問題が起こります。

スポンサード リンク

5W1Hが必要な理由は誤解を生まないため

情報を伝える時に「5W1H」を意識することが大切な理由は、「5W1H」のどこかが抜け漏れていると、相手に思い込みや誤解を与える原因になってしまうからです。

例えば、次の文章を読んでみてください。

例え1

母親が子供の呼吸を停止させた。

この文章だと、とてもショッキングな事件をイメージするのではないでしょうか?

なぜなら、この文章には『だれが・なにを』の情報が入っているものの、『いつ・どこで・なぜ・どのように』の情報が抜け落ちているからです。抜け落ちた情報は、大抵は思い込みで補完されます。

「児童虐待や育児ノイローゼで、小さな子供を死なせてしまったのだろうか?」

こんな勝手な思い込みが生まれます。

これが誤解が生まれる瞬間ですね。

出来事を正しく伝達するために「5W1H」を意識すると、同じ出来事でも次のような文章に変わります。

例え2

事故によって脳死判定された30歳の息子の延命治療を半年間施してきたが、父親と母親は相談を重ねた結果、息子が持っていた臓器提供カードの意思を尊重し、延命を停止することを決意した。

『いつ・なぜ・どのように』の情報を入れて詳しく書いたことで、先ほどのような誤解はなくなりますよね。また、この出来事の場合は、『どこで』の情報は特に重要ではないこともわかると思います。

ゴシップ誌などはあえて5W1Hを無視することで興味を引かせる

ゴシップ誌などは、あえて「5W1H」を無視することで、興味を引く記事タイトルを作っています。先ほどの【例え1】のように、すべてを明らかにしないことで読者の想像力を掻き立てて、記事を読んでもらうためです。

新聞記事の内容にしても、ある情報をあえて隠すことで読者の思想を誘導しようとする、ある種の情報操作が行われているケースもあります。

このように「5W1H」は、ホウ・レン・ソウのような基本的な伝達から情報操作に至るまで、コミュニケーションのあらゆる場面に関わるフレームワークなんですね。

先ほどの例文のように、より正確に伝えようとすると、伝達項目は増えていきます。

次に紹介する派生形「5W2H〜8W3H」は、「5W1H」を基本にして項目が細分化されたフレームワークになります。おもにビジネスで活用するための項目が増えています。

スポンサード リンク

5W2H:5W1H+金額

基本形である「5W1H」に、『How much』を加えたものが「5W2H」です。

5W1H5W2H
When いつ時期
Where どこで場所
Who だれが主体
What なにを内容
Why なぜ理由
Howどのように手段
How muchいくらで金額

ビジネスに関わる情報を詳しく伝えるために『How:どのように』の要素が細分化され、金額の項目が付け加えられました。

5W3H:5W1H+分量・金額

基本形である「5W1H」に、『How many』『How much』の2つの項目を加えたものが「5W3H」です。

5W1H5W3H
When いつ時期
Where どこで場所
Who だれが主体
What なにを内容
Why なぜ理由
Howどのように手段
How manyどのくらい分量
How muchいくらで金額

ビジネスの情報をより詳しく伝えるために、「5W2H」からさらに分量の項目が付け加えられました。

6W2H:5W1H+関係者・金額

基本形である「5W1H」に、『Whom』『How much』の2つの項目を加えたものが「6W2H」です。

5W1H6W2H
When いつ時期
Where どこで場所
Who
 だれが主体
Whomだれに関係者
What なにを内容
Why なぜ理由
How
 どのように手段
How muchいくらで金額

契約などで “誰と誰が” を正しく伝えるために、「5W2H」からさらに『Who:だれが』の要素が細分化され、関係者の項目が付け加えられました。

6W3H:5W1H+関係者・分量・金額

基本形である「5W1H」に、『Whom』『How many』『How much』の3つの項目を加えたものが「6W3H」です。

5W1H6W3H
When いつ時期
Where どこで場所
Who
 だれが主体
Whomだれに関係者
What なにを内容
Why なぜ理由
Howどのように手段
How manyどのくらい分量
How muchいくらで金額

「6W2H」からさらに、『How:どのように』の要素が細分化されて、分量の項目が追加されました。

7W3H:5W1H+相手・関係者・分量・金額

基本形である「5W1H」に、『with Whom』『Whom』『How many』『How much』の4つの項目を加えたものが「7W3H」です。

5W1H7W3H
When いつ時期
Where どこで場所
Who
 だれが主体
with Whomだれと相手
Whomだれに関係者
What なにを内容
Why なぜ理由
Howどのように手段
How manyどのくらい分量
How muchいくらで金額

誰が関わっているのかをより正確に伝えるために、「6W3H」からさらに『Who:だれ』の要素が細分化されて、相手の項目が追加されました。

8W3H:5W1H+期限・相手・関係者・分量・金額

基本形である「5W1H」に、『When by』『with Who』『Whom』『How many』『How much』の5つの要素を加えたものが「8W3H」です。

5W1H8W3H
When
いつ時期
When byいつまでに期限
Where どこで場所
Who
だれが主体
with Whomだれと相手
Whomだれに関係者
What なにを内容
Why なぜ理由
How
 どのように手段
How manyどのくらい分量
How muchいくらで金額

「7W3H」からさらに『When:いつ』の要素が細分化され、期限の項目が追加されました。

派生形の「5W2H〜8W3H」は、基本形の「5W1H」を細分化したフレームワークであることがよくわかりますね。基本形の「5W1H」さえ理解しておけば、あとは応用の範囲ということです。

5W1H(8W3H)の使い方:出来事を伝える基本的な順番

5W1H(8W3H)を意識して出来事を伝える時には、次の3つのカテゴリー順に分けて意識すると、整理整頓された分かりやすい情報になります。

出来事を伝える5W1H(8W3H)

  1. いつ(いつまでに)・どこで・だれが(だれと・だれに)
  2. なにを
  3. なぜ・どのように(どのくらい・いくらで)

この順番は、報告書やブログ記事など、一般的な文章やコミュニケーションで幅広く使える基本的な順番です。

とは言え、ガチガチにルールに縛られる必要はありません。基本的には相手が知りたい順番に伝えることが重要です。

また、伝達の目的に不要な情報は、わざわざ入れる必要もありません。

1. いつ(いつまでに)・どこで・だれが(だれと・だれに)

まずは、『When:いつ』の出来事か、『Where:どこで』起こった出来事か、『Who:だれが』関わっている出来事かを登場させることで、その後に続く文章の内容が理解しやすくなります。

なぜなら、話を整理する時に最初に仕分けしやすいカテゴリーが、この『いつ・どこで・だれが』の項目だからです。歴史の勉強をする時にも、時系列や関係者でまとめた方が整理しやすいですよね。

例えば、

「ケンカをして怪我をした」

と『なにを』を伝えた後で、文章の最後に

「これは10年前の◯◯さんと△△さんの話です」

と『いつ・だれが』で締めくくった場合は、読み手は最後まで「いつ誰が怪我をしたのか?」をモヤモヤしながら読むことになります。

わからない状態が続くのは脳にとってストレスになり、文章を読む集中力が途切れる原因になります。ですので、できるだけ早い段階で『いつ・どこで・だれが』の情報を伝えた方が良いんですね。

2. なにを

その次に、『What:なにを』したのかを書くことで、結論を明らかにします。

先ほどの『いつ・どこで・だれが』の情報は、この『なにを』を伝えるための補足情報です。その中でも『だれが』は『なにを』とセットで書くとわかりやすくなります。

一方で、『なにを』の前に『なぜ・どのように』を丁寧に説明しようとすると、話が間延びして内容を理解しづらくなります。

例えば、

「10年前に◯◯さんと△△さんの間には、実はちょっとした誤解があった。だけど、誤解があるとは気づかない状態で、◯◯さんがある一言を言ってしまった。この言葉に△△さんがカチンと来たようで・・・」

と、結論の前に『なぜ・どのように』を丁寧に説明しようとすると、なんの説明をしているのかがわかりにくくなり、読み手も疲れてしまうんですね。

3. なぜ・どのように(どのくらい・いくらで)

最後に、『Why:なぜ・How:どのように』そうなったのか理由を書くことで、結論の補足をします。

例えば、「10年前に◯◯さんと△△さんが、ケンカをして怪我をしたことがある」と伝えた後でケンカをした理由を伝えれば、結論がわかっているので説明が理解しやすくなります。

5W1H(8W3H)の順番違いの例文

歴史的な出来事の文章を読んでみると、5W1H(8W3H)の順番の違いで内容を理解する難易度が変わることがわかると思います。

順番を意識した、わかりやすい例文

天正10年(1582年)6月2日の早朝、京都の本能寺に滞在していた織田信長を、家臣である明智光秀が謀反を起こして襲撃した。寝込みを襲われた信長は包囲されたのを悟ると、寺に火を放って自害した。

最初に『いつ・どこで・だれが』の情報を登場させて、『なにを』『なぜ・どのように』を時系列で書いています。

そのため、「天正10年に明智光秀が謀反を起こした。織田信長は自害した」という内容が理解しやすいと思います。

順番を無視した、わかりにくい例文

織田信長は寝込みを襲われ、京都の本能寺に火を放って自害した。信長の家臣である明智光秀が、信長が滞在していた本能寺を包囲して襲撃し、逃げられないと悟ったからだ。明智光秀が謀反を起こしたのは、天正10年6月2日早朝の出来事である。

5W1H(8W3H)の順番を無視して文章を書いた場合も、意味は伝わります。

ただし、全体の内容が理解しづらくなっています。

なぜなら、『いつ・どこで』などの伝達項目が重複したり、『だれが・どのように』が飛び飛びに出てくることで、情報を整理するのに時間がかかるからです。

小説などでストーリーを描く場合は、読者の想像力を掻き立てるために、わざと順番を入れ替える倒置法を使ったり、5W1H(8W3H)に抜け漏れを作ることでミスリードや謎をつくることがあります。

ですが、出来事を普通に伝える場合は、誤解や謎を与えないように情報を整理整頓することが、理解しやすい文章になるんですね。

スポンサード リンク

オーディブルの案内

わかりやすい情報伝達の順番は『なにを ⇒ なぜ ⇒ どのように』

プレゼンや報告書などで、論理的で簡潔に用件を伝える際に重要な要素が、『結論』⇒『理由』⇒『具体例』の順番です。

これを「5W1H」に置き換えると『What:なにを』⇒『Why:なぜ』⇒『How:どのように』の順番になります。

論理的に伝達する順番

  1. 結論:What(なにを)
  2. 理由:Why(なぜ)
  3. 具体例:How(どのように)

最初に『What:なにを』にあたる “結論(主張)” を伝えます。次に、 結論が導かれた『Why:なぜ』にあたる “理由” を説明します。そして、理由を裏付ける『How:どのように』にあたる “具体例” で補足します。

この順番で情報を伝えることで、伝えたい内容がわかりやすくなります。

また、『結論』⇒『理由』⇒『具体例』の最後に、もう一度『結論』を付け加える話法をPREP法(プレップ法)と言います。プレゼンでよく使われる文章の雛形です。

PREP法がビジネス文書にふさわしい理由は、「【PREP法】プレゼンに最適な文章構成とブログ記事での書き方例」の記事で詳しく解説しています。

相手の興味を引き出す順番は『なぜ ⇒ どのように ⇒ なにを』

相手の興味を引き出し、行動を促したい場合は、『Why:なぜ』⇒『How:どのように』⇒『What:なにを』の 5W1Hの要素と順番が効果的です。

興味を引き出す順番

  1. なぜ(Why)
  2. どのように(How)
  3. なにを(What)

この順番は、ゴールデンサークル理論と呼ばれます。詳しくは次の記事で解説していますので、基本的な情報伝達との違いを確認してみてください。

まとめ

「5W1H」とは、英単語の頭文字を示す “5つのW” と “ 1つのH” からなる、情報を整理整頓するためのフレームワークです。

5W1H

  • When:いつ
  • Where:どこで
  • Who:だれが
  • What:なにを
  • Why:なぜ
  • How:どのように

5W1Hを意識すれば、報告・連絡・相談をする際に、情報の抜け漏れを防ぐことができるようになります。また、順番を意識すれば、プレゼン・企画・セールストークなどで効果を得られます。

5W1Hは時代を追うにしたがって、さまざまなフレームワークが派生しています。ただし、5W2H・6W3H・7W3H・8W3Hなどは基本の5W1Hを押さえておけば、問題なく応用することができます。

ぜひ「5W1H」を意識して、情報の整理整頓に役立ててください。

5W1Hで論理的思考力を高める一冊。

スポンサード リンク

こちらもチェック!

今すぐ受け取るBL
  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

-仕事術
-,

© 2024 Web活用術。