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自己肯定感とは?高い・低い状態の違いをわかりやすく解説

2019-03-17

自己肯定感 とは

自分を肯定できる感覚のことを、自己肯定感(じここうていかん)と言います。人生の幸福度にもっとも深く関わっている感覚です。

自己肯定感は、「高い・低い」「ある・ない」といった表現がされます。

自己肯定感が高いとモノゴトを肯定的に受け止めやすく、自分を大切に扱うことができます。自己肯定感が低いとモノゴトを否定的に受け止めやすく、自分を嫌いになりがちです。

この記事では、

  • 自己肯定感とは何か?
  • 自己肯定感が高い状態と低い状態の違い
  • 人生で重要な自己効力感との違い
  • 自己肯定感と似ている言葉

について解説します。

目標達成においても重要な自己肯定感とは何かを知って、人生の幸福度を高める参考にしてみてください。

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自己肯定感とは

自己肯定感とは

自己肯定感とは、簡単に言えばどんな自分でもオッケーを出せる感覚のことです。

自己肯定感とは

自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する語。 自己否定の感情と対をなす感情とされる。

weblio辞書/実用日本語表現辞典

自分のありのままの状態を受け入れて、自分の感情や自分の存在を「無条件」で肯定できるのが重要なポイントです。

例えば、嬉しいなら素直に喜び、悲しいなら素直に悲しみ、嫉妬に狂ったなら嫉妬に狂った自分を受け入れ、それでも「自分は生きてていいんだ」と、自分の存在を肯定できることです。

この「自己肯定感」という言葉は、1994年に日本の臨床心理学者である高垣忠一郎氏によって提唱された概念です。ですが、明確に意味合いが規定されたわけではないため、使用する人の解釈によってはニュアンスが異なる分かりにくい言葉でもあります。

その中でも、先ほどの「実用日本語表現辞典」の解釈が適していると感じます。

自己肯定感と逆の感情は「自己否定」

自己肯定感は、「自己否定」の逆と考えれば分かりやすいかもしれません。自己否定とは、自分が抱いた感情や自分の存在価値を否定することです。

例えば、次のような感じです。

自己否定の例え

  • こんな小さなことで喜ぶなんて、自分はちっぽけだな・・・
  • 失敗してツラいけど、落ち込んじゃいけない・・・
  • なんの役にも立たない自分は、なんてダメ人間なんだ・・・

自分が抱いた感情や自分の存在を否定し続けると、自分のことが嫌いになり、生きづらくなります。

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「自己肯定感」と「自己肯定」は意味が違う

自己肯定感と自己肯定は意味が異なる

「自己肯定感」と似た言葉に「自己肯定」があります。ですが、この2つの言葉は意味合いが異なるので注意が必要です。

自己肯定とは「無理やり前向きになること」

アドラー心理学(個人心理学)を提唱したアルフレッド・アドラー氏によると、『自己肯定』とは、できないことでも「自分はできる」と言い聞かせることだと意味づけています。

無理矢理にでも前向きに捉えようとするのが、自己肯定です。

例えば、数学が苦手なのに「オレは数学が得意なはずだ!やればできる!」と自分に無理やり言い聞かせるのが自己肯定です。

幸福のためには、自己肯定ではなく自己受容が大切

アドラー心理学では、人が幸福に生きるためには「自己肯定」ではなく「自己受容」が大切だとしています。「自己受容」とは、ありのままの自分をそのまま受け入れることです。

例えば、「オレは数学が苦手だ」と、数学が苦手な自分を受け入れることが自己受容です。

できない自分をありのまま受け入れた後で、どのように向上するのかを考えることが大切だということですね。

自己肯定感とは「できない自分でも良いと認めること」

つまり「自己肯定感」は、アドラー心理学での「自己受容」に近い意味合いになります。

自己肯定感と自己肯定の違い

  • 自己肯定感:できないことは「できない自分でもよい」と思えること
  • 自己肯定:できないことでも「自分はできる」と言い聞かせること

ちょっとややこしいですが、2つの言葉は随分と意味合いが変わるんですね。この定義の違いを区別せずに混同してしまうと、自己肯定感を誤解してしまうことになります。

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無条件で自分を肯定できる人は、自己肯定感が高い状態

無条件で自分を肯定できる人は、自己肯定感が高い状態

「できない自分でも大丈夫。私は私」と無条件で自分を肯定できるのが、自己肯定感が高い状態です。

ありのままの自分を無条件で肯定することができれば、どんな自分でも大切な存在として扱うことができます。それは、前向きな姿勢に繋がります。

失敗や悔しさを受け入れると、自分を大切に扱える

たとえテストでいい点が取れなくても、ダイエットや起業に失敗したとしても、「こんな自分はダメだ!」と自己否定をせずに、「今回はダメだったな・・・」「失敗して悔しい!」と失敗した自分を素直に受け止めることができれば、自分が存在していることを肯定できるようになります。

自分を大切な存在として扱うことができれば、「・・・じゃあ次回はどう改善しようか」と前向きな姿勢になれるんですね。

また、どんな自分でも尊重することができれば、他人に対しても同じように尊重することができます。自己肯定感が高ければ、自分にも他人にも無条件に優しくなれるということです。

自己肯定感が高い人の特徴

“無条件で自分を肯定できる” 自己肯定感が高い人には、次のような特徴が表れます。

自己肯定感が高い人の7つの特徴

  1. モノゴトを素直に受け入れられる
  2. モノゴトを肯定的に捉えられる
  3. 精神が安定している
  4. 積極的に行動できる
  5. 自分にも他人にも優しい
  6. 今日に集中して生きられる
  7. ストレスに晒されにくい

自己肯定感が高いと幸せを感じやすく、人生が好転しやすくなります。その理由は、次の記事で詳しく解説しています。

自分を肯定するために条件をつける人は、自己肯定感が低い状態

自分を肯定するために条件をつける人は、自己肯定感が低い状態

反対に、自分を肯定するために条件をつける人は、自己肯定感が低い状態だと言えます。なぜなら、条件をクリアできなければ自分を否定するからです。

自らに条件を課し、条件をクリアした部分だけを肯定しようとするのは、自己否定をしがちな人や完璧主義者に多い思考パターンです。

自己否定をしがちな人や完璧主義者は、幸福を感じにくい

自分を肯定するための条件とは、例えば次のような感じです。

自分を肯定するための条件の例え

  • 今度のテストでいい点が取れたら、自分を褒めてあげよう
  • 痩せてキレイにならないと、自信が持てない
  • 年収1000万円を稼げなきゃ、起業した意味がない

自分を肯定するために条件を設けると、条件をクリアするまでは幸せを感じられなくなりますよね。「今は幸せなんて感じちゃいけない!」という強迫観念さえ生まれます。

条件をクリアできても自分を肯定できない

さらに、たとえ条件をクリアできても、多くの人は自分を肯定できない傾向があります。なぜなら、条件をクリアできていない部分に注目したり、条件をクリアした途端に新しい条件を自らに課すからです。

条件をクリアしても自己否定する例え

  • 数学で100点を取っても、国語が全然ダメだ・・・
  • もっとキレイにならないと、まだ自信が持てない・・・
  • 年収1000万円程度じゃ、まだまだ成功とは言えない・・・

このように、現状の自分を受け入れられない人は、いつまでたっても自分を肯定することができないんですね。

テストで100点満点を取ろうが、異性にモテモテになろうが、年収が1億円になろうが、絶えず自分を否定して生きるのは、息が詰まる生き方になります。

自分に条件をつける人は、他人にも条件をつける

また、条件付きで自分を部分肯定する人は、他人のことも条件付きで部分肯定する傾向があります。

例えば、次のような感じです。

他人を部分肯定する例え

  • ◯◯ができるから、あなたのココが好き
  • ◯◯ができないから、あなたのココが嫌い

条件付きで他人を部分肯定することは、不安やイライラを招く原因になります。

自己肯定感が低い人の特徴

“条件付きで自分を肯定する” 自己肯定感が低い人には、次のような特徴が表れます。

自己肯定感が低い人の7つの特徴

  1. モノゴトを素直に受け取れない
  2. モノゴトを否定的に捉えやすい
  3. 精神的に不安定
  4. 行動が消極的
  5. 自分にも他人にも厳しい
  6. 今日に集中して生きられない
  7. ストレスに晒されやすい

自己肯定感が低いと幸せを感じにくく、人生が変わりにくい傾向があります。詳しくは、次の記事で解説しています。

自己肯定感が低くなる原因

自己肯定感が低くなる原因

自己肯定感が低くなる原因は、大きく分けると4つ考えられます。

自己肯定感が低くなる4つの原因

  1. 失敗やツラい体験が原因
  2. 幼少期の家庭環境や教育が原因
  3. 学校教育が原因
  4. 日本の慣習が原因

日本人は自己肯定感が低い傾向にあります。それは日本の慣習や教育によって、真面目な人が育ちやすい環境であることが考えられます。

なぜなら、真面目な人ほどミスをした時に自責の念に駆られ、自己否定をしやすいからです。また、条件つきで愛情を注がれる教育を受けた場合は、条件が整わなければ自分には価値がないと感じやすくなるからです。

さらに、日本では他人を立てる慣習があるため、他人だけを大切に扱った場合は、自分には価値がないように感じてしまう恐れがあるからです。

日本人の自己肯定感が低くなりがちな原因については、次の記事で詳しく解説しています。

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自己肯定感と自己効力感の違い

自己肯定感と自己効力感の違い
自己肯定感と似ている心理学用語に、自己効力感(じここうりょくかん)があります。

自己効力感とは、「自分はうまく行動できる!」と信じることができる感覚のことです。「自分を信頼できる感覚」という意味では自己肯定感と同じで、目標達成に深く関わる感覚です。

例えば、自己肯定感が高ければ主体的に行動することができますが、「きっとうまく行動できない・・・」という自己効力感が低い状態だと、何度も失敗を繰り返す可能性があります。

ですので目標達成においては、「自分はできる!」という自己効力感と、「たとえ失敗しても自分の価値は変わらない」という自己肯定感の2つの感覚を持つことが大切になります。

自己肯定感と自己効力感の違いについては、次の記事で詳しく解説しています。

自己肯定感と似ている言葉

自己肯定感と似ている言葉

自己肯定感には他にも、違いがわかりにくい似たような言葉がいくつかあります。

  • 自尊感情・自尊心・プライド
  • 自信
  • ポジティブ
  • ナルシスト
  • 甘え

他の言葉との違いがわかることで、自己肯定感の意味合いがより理解できるようになります。ここでは、違いを簡単に解説していきます。

次の記事では、より詳しく解説しています。

自尊感情・自尊心・プライドとの違い

自己肯定感とは、自分ひとりで完結する感覚です。ですので、自分ひとりで完結するかどうかが意味合いが異なるポイントになります。

「自尊感情」とは、“自分を価値ある人間だと感じられること” です。他者の存在が出てきませんので、自己肯定感と同義語として扱うことができます。

「自尊心」とは、“自分の人格を大切にする気持ち、他からの干渉を排除する態度” のことです。他者の存在が出てきますので、自己肯定感とは別物になります。

「プライド」とは、“自慢・誇り・高慢・思い上がり” のことです。他者の存在が出てきますので、自己肯定感とは別物になります。

自信との違い

「自信」とは、“自分の才能や価値を信じること” です。

一見すると自己肯定感と同じように感じますが、自己肯定感とは才能がなくても自分を肯定できることです。ですので、自信がある時だけ自分を肯定するのなら、自己肯定感が高いとは言えません。

ポジティブとの違い

「ポジティブ」とは、“積極的、または肯定的であるさま” のことです。

自己肯定感とは多くの共通点がありますが、自己肯定感とはネガティブな自分も肯定できることです。ですので、ポジティブな時だけ自分を肯定できるなら、自己肯定感が高いとは言えません。

ナルシストとの違い

「ナルシスト」とは、“自分だけに興味があり、周りに特別扱いしてほしい人” ことです。

「自分を好きになれる」という意味では自己肯定感と似ていますが、自己肯定感とは自分で自分を肯定できることです。ですので、他人にチヤホヤされることで自分を肯定しようとしたり、他人を大切に扱えないなら、自己肯定感が高いとは言えません。

甘えとの違い

「甘え」とは、“節度を超えて愛情や信頼を求める態度” のことです。

「できない自分にオッケーを出せる」という意味では自己肯定感と似ていますが、自己肯定感とは自分の人生に責任を持って自分を信頼することです。ですので、「自分を甘やかす(無責任になる)」という意味では自己肯定感と別物になります。

まとめ

以上、自己肯定感の意味を解説しました。

自己肯定感とは、たとえネガティブな自分でも受け入れることができて、無条件に自分を大切に扱える感覚のことです。アドラー心理学での「自己受容」と似ている意味合いになります。

自己肯定感が高ければ、他人からの評価を気にしないでいられるようになります。自己否定をしないので、恐怖や不安から解放されるようになります。

もしもあなたが、自分を肯定するために何か条件をつけるクセがあるのだとしたら、条件をクリアできなかった時には自分を許してあげてみてください。

自分を大切に扱うことができれば幸福度が高まり、人生が好転しやすくなります。今のあなたが幸せを感じにくいようなら、自己肯定感について少し意識してみてください。

自己肯定感が低いと感じる人に読んでほしい一冊

参考:
Wikipedia/自己肯定感
【安藤美冬×岸見一郎 対談】(中編)幸せは、自己肯定を「否定」することから始まる

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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