仕事術

褒めるコツ|相手の承認欲求を満たす3種類の承認レベルとメッセージ

2018-09-05

承認欲求を満たす 方法

効果的に相手を褒めるためには、相手の承認欲求を満たすことがコツになります。そのためには、3つの承認レベル3種類のメッセージを知っておくと役に立ちます。

相手の承認欲求を満たすことができれば、友達や恋人や家族、さらにビジネスではお客さんとの関係を良好にすることができます。

また、あなたが上司や親の立場なら、部下や子供の承認欲求をうまく満たしてあげることで、部下や子供のやる気を引き出し、何事にもチャレンジする精神を育てることができます。

人と関わるうえでは欠かすことのできない承認欲求を満たす方法を知って、人付き合いに役立ててください。

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褒めるコツ1. 承認欲求を満たす3つの承認レベル

相手の承認欲求を満たすためには、「承認」には3つのレベルがあることを知っておくことが大切です。

承認欲求の3種類のレベル

3つの承認レベル

  • 成果承認:成果を褒める
  • 成長承認:努力を褒める
  • 存在承認:存在を認める

この3つの中では、存在承認がもっとも重要です。存在承認が土台となって、その上に成長承認と成果承認があるイメージです。

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成果承認とは良い成績を褒めること

成果承認とは、実際にできたこと、達成できたことに対して「すごいね!」と褒めることです。職場や教育の場面では、この成果承認がもっとも多いのではないでしょうか。

職場では営業成績や目標などのノルマを設けて、達成できたかどうかで評価をします。学校では、テストの点数の良し悪しで評価をしますよね。

成果承認はモチベーション効果が低い

成果承認は、褒めた瞬間は相手を喜ばせるものの、相手のモチベーションを高めるためには効果の低い褒め方になります。

なぜなら、人は成果だけを褒められた場合は、次回からも結果を残せる簡単なことしかやる気が出なくなってしまう傾向があるからです。これはエンハンシング効果の実験によって明らかになっています。

成果承認は褒めるためのハードルが高い

相手を「よくできたね!」と褒めるためには、相手が条件をクリアする必要がありますよね。ですので、褒めるためにはハードルの高い褒め方になります。

つまり、一般的な職場や教育の現場では、相手の承認欲求を満たすためのハードルが高く、相手のやる気や能力を引き上げにくい褒め方をしていることになるんですね。

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成長承認とは努力や姿勢を褒めること

成長承認とは、課題に取り組んでいる途中経過を確認して、プロセスを褒めたり、変化の兆しを褒めることです。

例えば職場では、プロジェクトの進行状況をフィードバックして、変化した部分を褒めます。たとえ営業成績に変化がなかったとしても、営業成績を伸ばすために改善した行動や努力を褒めます。

成長承認はモチベーション効果が高い

成長承認は、相手のモチベーションを上げるには効果の高い褒め方になります。

なぜなら、人は努力や行動を褒められると、次回からも努力や行動をしようというモチベーションになるからです。「難しいことにもチャレンジしよう!」というやる気になるので、やがて結果となって現れやすくなります。

成長承認は褒めるためのハードルが低い

成長承認は、成果が出ていなくても褒めることができます。ですので、成果承認に比べれば褒めるためのハードルが下がります。

つまり成長承認は、相手の承認欲求を満たすためのハードルが低く、やる気や能力を引き上げやすい褒め方だと言えます。

存在承認とは存在そのものを承認すること

存在承認とは、その人の存在そのものを承認することです。相手の承認欲求を満たすうえでは土台になる、とても重要な承認です。

承認欲求を満たす行為は、相手を褒めることだけではないんですね。

  • 挨拶をする
  • 目を見て話をする
  • 意見を求める
  • 相手の名前を呼ぶ
  • 髪型が変わっていれば気づいて声をかける

このようなことでも、相手を承認することができます。

例えば職場なら、部下は仕事を任せてもらうことがモチベーションに変わることもあります。あるいは大きな会社なら、社長から名前を呼ばれただけでも、社員は「名前を覚えてもらっている!」ということを嬉しく感じることができます。

家庭なら、子供と話をすることだけでも承認することができます。

「いつも気にかけているよ」という意図が伝われば、相手の承認欲求を満たすことにつながるんですね。

存在承認はモチベーション効果の土台

存在承認は相手の存在を認めるだけです。ですので、認めるために乗り越えるべきハードルは何もありません。

また、存在承認だけでは相手の承認欲求を満たすことは難しいですが、存在承認がなければ努力や成果を褒めることが難しくなります。

ですので存在承認は、人との関係性をつくる土台と言える承認なんですね。

ちなみに、初対面の人と会話をする時には、できるだけ相手の名前を呼ぶことが好印象を与えることになります。これは、「あなたの存在を承認していますよ」という意図が伝わるからですね。

褒めるコツ2. 承認欲求を満たすための3種類のメッセージ

相手の承認欲求を満たすためには、誰に視点を置くのかによって、3種類の伝え方に分類することができます。

承認欲求を満たす3つのメッセージ

承認欲求を満たす3種類のメッセージ

  • YOUメッセージ:相手のことを話す
  • Iメッセージ:相手のことを自分の視点で話す
  • WEメッセージ:相手のことを大勢の視点で話す

3種類のメッセージに優劣はありませんが、相手の承認欲求を満たすには、範囲が広くなるIメッセージやWEメッセージの方が満たしやすくなります。

YOU(ユー)メッセージ

YOUメッセージとは、メッセージの主体が「あなた」になる伝え方です。

例えば次のように、「あなたは◯◯ですね」と、相手のことを伝えるメッセージのことです。

YOUメッセージの例え

  • 「あなたは仕事が速いですね」
  • 「あなたは頭が良いですね」
  • 「あなたは努力家ですね」

YOUメッセージはもっとも範囲が狭い承認

YOUメッセージは相手のことだけを伝えますので、3種類のメッセージの中では一番範囲が狭い承認になります。

また、メッセージを受け取る人によっては「そんなお世辞には乗りませんよ」「何か裏があるんじゃないの?」と、素直にメッセージを受け取ってくれない可能性があります。

ですので3種類のメッセージの中では、もっとも承認欲求を満たしにくいメッセージになる可能性があります。

I(アイ)メッセージ

Iメッセージとは、メッセージの主体が「私」になる伝え方です。

例えば次のように、YOUメッセージに続く形で「私は◯◯だと感じています」と、自分が受けた影響を伝えるメッセージのことです。

Iメッセージの例え

  • 「あなたは仕事が速いですね、おかげで私は助かっています」
  • 「あなたは頭が良いですね、同僚の私としては鼻が高いです」
  • 「あなたは努力家ですね、私も見習いたいと思います」

Iメッセージは範囲を広くする承認

Iメッセージは、相手と自分のことを含めたメッセージになりますので、YOUメッセージに比べて範囲の広い承認になります。

メッセージを受け取った人は、たとえ「いえいえ、仕事は速くないですよ」と否定したとしても、『私は助かっています』という意見までを否定することはできないからです。

ですので、承認を素直に受け取りやすくなり、相手の承認欲求を満たしやすいメッセージになります。

WE(ウィー)メッセージ

WEメッセージとは、メッセージの主体が「私たち(広い範囲)」になる伝え方です。

例えば次のように、YOUメッセージに続く形で「私たちは◯◯だと感じています」と、広い範囲に影響が及んでいることを伝えるメッセージのことです。

WEメッセージの例え

  • 「あなたは仕事が速いですね、部長も感心していましたよ」
  • 「あなたは頭が良いですね、会社にとって重要な存在です」
  • 「あなたは努力家ですね、全社員の鏡です」

WEメッセージはもっとも範囲の広い承認

WEメッセージは、相手と自分、さらには組織を含んだメッセージになりますので、3種類の中ではもっとも範囲の広い承認になります。

また、「多くの人から承認されている」ことを実感できますので、3種類の中ではもっとも相手の承認欲求を満たしやすいメッセージになります。

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効果的に相手の承認欲求を満たす組み合わせ

承認欲求を満たしやすい組み合わせ

3つの承認レベルと3種類のメッセージを組み合わせれば、相手の承認欲求を満たす効果的な方法がわかります。

効果的な順番承認レベルメッセージ
1成長承認WEメッセージ
2存在承認Iメッセージ
3成果承認YOUメッセージ

もっとも効果的な方法は、成長承認とWEメッセージの組み合わせです。

例えば、あなたが部下を褒める時には、「最近、夜遅くまで残ってがんばってるね。チームのみんなが助かっているよ」という言葉をかければ効果が高いということですね。

逆に、もっとも効果の低い方法は、成果承認とYOUメッセージの組み合わせです。「キミの働きで成績が伸びたな、よくやった」という褒め方です。

ただし、受け止め方には個人差があり、成果承認やYOUメッセージがダイレクトに響く人もいます。ですので、相手に合わせた承認であることが大切です。

ちなみに、成果承認とYOUメッセージがダイレクトに響きやすいのは、権力志向型の価値観を持っている人です。「他人よりも優位でいること」に価値を感じるタイプの人です。

褒めることではなく感謝にこそ効果がある

“すべての人間は対等である” という考えの心理学者アルフレッド・アドラー氏は、褒める行為は上下関係を表し、正しい信頼関係を築けないとしています。

アドラー氏は、「褒める」のではなく「感謝する」ことが正しいとしています。

例えば、お手伝いをしてくれた子供に対して言葉をかけるなら、「よくできたね」と褒めるのではなく、「ありがとう、助かったよ」という感謝の言葉が良いんですね。

「チームのみんなが助かっているよ」「ありがとう、嬉しいよ」という感謝の言葉は、WEメッセージや Iメッセージで表現できます。

感謝は自分の人生を幸せに導く感情でもありますので、つねに感謝の気持ちを持っておきたいですね。

相手の承認欲求を満たすポイント

マーケティングでも使われますが、相手の承認欲求を満たすためには、相手の意見を尊重して自尊心をくすぐることがポイントです。

自尊心をくすぐるポイントは、次のとおりです。

  • 相手の考えに理解を示す
  • 相手を重要な人物として扱う
  • 相手を特別扱いする

相手の考え方や行動に理解を示して、重要な人物として扱っていることが伝われば、相手の自尊心をくすぐることができます。

「あなただけの特別なご案内です」「他のお客さんには内緒にしてくださいね」などと、お客さんを特別扱いするのは、ビジネスではよく使われる方法ですよね。

とは言え、大げさでわざとらしい表現は不信感を与えることになります。ですので、テクニックではなく心から大切に思えることが、相手の承認欲求を満たす最大の重要ポイントになります。

まとめ

相手の承認欲求を満たすためには、3つの承認レベルと3種類のメッセージを知っておくと、効果的な褒め方ができるようになります。

3つの承認レベルとは、次の3つです。

  • 成果承認:成果を褒める
  • 成長承認:努力を褒める
  • 存在承認:存在を認める

3種類のメッセージとは、次の3つです。

  • YOUメッセージ:相手が主体
  • Iメッセージ:自分が主体
  • WEメッセージ:大勢が主体

もっとも効果的な褒め方は、成長承認とWEメッセージの組み合わせです。ただし、承認欲求を満たすには個人差がありますから、相手に合わせた承認であることが大切です。

あなた自身の場合は、承認欲求は満たすのではなく、“なくす” ことが幸せに導きます。

その理由は、承認欲求の記事や「承認欲求がない人になる3つの方法|自由になるアドラー心理学の教え」の記事で解説しています。

参考図書

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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