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古い脳 VS 新しい脳|脳の特徴でわかる人生の苦悩と解決策

2018-04-16

古い脳 と 新しい脳

3つの脳の進化の仮説を提唱したポール・D・マクリーン博士は、爬虫類脳・哺乳類脳を「古い脳」、人間脳を「新しい脳」と呼びました。

そして、古い脳と新しい脳が同時に存在することが、『人間の苦悩』であると考えました。

例えば、

  • 夜ふかしが寝坊の原因だとわかっているのに、ついつい夜ふかしをしてしまう・・・
  • タバコは体に悪いとわかっているのに、なぜかやめられない・・・
  • 健康のためにジョギングをしたいのに、なかなか続かない・・・
  • 勉強のために読書をしたいのに、思ったように読書が進まない・・・

これらの苦悩は全て、古い脳と新しい脳がケンカをすることで起こります。

この記事では、人間の苦悩が生まれる「古い脳」と「新しい脳」の特徴を解説します。人間の苦悩から解放されて、思いどおりの人生を歩むヒントを手に入れてください。

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人間の苦悩は古い脳と新しい脳の戦い

マクリーン氏は、人間は進化が速すぎたために、古い脳と新しい脳の連携がうまくいかず、度々、古い脳に行動を支配されると考えました。

例えば、カッとなって暴力をふるったり、魅力的な女性を見て襲うなんていうのは、短絡的な欲求を求める古い脳に支配された結果だということです。

古い脳と新しい脳

古い脳と新しい脳

『人間の苦悩』が進化の過程によるものなのかは定かではありませんが、タバコをやめたくても辞められなかったり、ダイエットが必要だったとしても続かないのは、新しい脳が古い脳に負けてしまうことが原因です。

新しい脳が「ダイエットは健康にいいぞ」と思ったとしても、古い脳が「ダイエットなんかより、甘くておいしいケーキを食べようよ」と思った場合は、古い脳に負けてしまうんですね。

なぜ新しい脳が負けてしまうのかというと、古い脳の影響力が圧倒的に強いからです。

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古い脳と新しい脳の力関係

古い脳と新しい脳を比べた場合、その命令系統の力関係は、次のようになります。

古い脳と新しい脳の力関係

古い脳と新しい脳の力関係

人間と他の動物を隔てるのは、理性的である「新しい脳」が発達しているからです。それなのに「新しい脳」の影響力が一番弱いって、なんだか不思議ですよね。

ですが、ちょっとした実験をしてみれば、古い脳の影響力が強いことがわかると思います。

古い脳とは自動的に働く力

例えば、酸っぱいレモンをかじるところを、思い浮かべてみてください。輪切りにカットされた、手で握るとジュワッと果汁がしたたるレモンです。

レモン

実際にレモンをかじらなくても、「酸っぱいレモン」を思い浮かべただけで、口の中にヨダレが出てきませんでしたか?

日本人であれば、梅干しをかじる姿を思い浮かべた方がヨダレが出てきやすいかもしれません。

これは、あなたの古い脳が自動的に働いた結果です。

暑いところにいれば自然と汗がダラダラ出てきますし、寒いところにいれば自然と体がブルブル震えますよね。あなたがいくら「汗をかきたくない!」と思ったとしても、体は体温を一定に保つために、必要な反応を自動的に示します。

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3つの脳の特徴は『体・感・言』

ここで、爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳の3つの脳の特徴をおさらいしておきます。古い脳の影響力が強いことが分かりやすくなると思います。

相撲やスポーツの世界では、「心・技・体」という表現をよく使いますよね。

僕の考えた表現ではありますが、脳の場合は『体・感・言』だと考えると分かりやすいのではないかと思います。

  • 『体』とは「身体」のこと
  • 『感』とは「感じる」こと
  • 『言』とは「言葉」のこと

爬虫類脳とは『体』

爬虫類脳の特徴

  • 爬虫類脳は生きるための脳
  • 生存のための摂食、飲水、性行動などを司り、「安全・安心」を求める

古い脳である爬虫類脳は『体・感・言』でいえば、『体』にあたります。

身体で反応することを表します。

とっさに体が動く「脊髄反射」と呼ばれる反応は、この爬虫類脳の領域です。

また、心臓がリズムを刻んで動くことや、呼吸を整えること、体温調節、姿勢の維持など、爬虫類脳は生命維持のために体の状態を一定に保とうとします。

この機能は「ホメオスタシス(恒常性)」と呼ばれます。

ホメオスタシスが自動的に体を支配している

例えば、思いっきり走れば心臓はバクバクしますよね。体としては異常な状態です。この異常事態を元に戻すために、ホメオスタシスは呼吸を荒くして酸素を多く取り込み、心臓のバクバクを元に戻そうとします。

暑さで汗が出てくることや、寒さでブルブル震えるのは、体温調節のホメオスタシスです。

血糖値が下がるとエネルギー補給のために空腹を感じますし、体内を循環する血液量が減れば、水分補給のためにのどが乾きます。これらも、体を一定の状態に保とうとするホメオスタシスの機能です。

このホメオスタシスは、目標達成においても重要な機能になりますので、ぜひ覚えておいてください。

意識しようとしまいと、爬虫類脳は一日中、一生、休むことはありません。

哺乳類脳とは『感』

哺乳類脳の特徴

  • 哺乳類脳は感じるための脳
  • 快楽を求め不快を避けるために、喜び、嫌悪、不安、恐怖などの感情を司る

古い脳である哺乳類脳は『体・感・言』でいえば、『感』にあたります。

感覚として感じることを表します。

不安や恐怖を感じたり、幸せや喜びを感じるのは、この哺乳類脳が関わっています。

体で感じることを「体感」と言いますが、爬虫類脳の『体』と哺乳類脳の『感』を合わせて、『体感』だと言うことができます。つまり、古い脳とは『体感』です。

例えば、暑さや空腹を感じるホメオスタシスは、不快感をともないます。この不快感という感覚は、イライラやムカムカの感情となって現れます。

「なんだかモヤモヤする・・・」なんていう時は、体で感じている感情だということですね。あなたが「モヤモヤしよう!」と意識をしたからモヤモヤしたわけでないはずです。

哺乳類脳の感覚も、意識しないところで働いています。

人間脳とは『言』

人間脳の特徴

  • 人間脳は考えるための脳
  • 理性、論理、創造を司り、未来に関わる目的意識を持って行動しようとする

新しい脳である人間脳は『体・感・言』でいえば、『言』にあたります。

言葉にして考えることを表します。

人は言葉を扱うことで、はじめて自分の感情や考えを認識できます。つまり、人間脳とは『言葉』です。

例えば、恋人とのデート中に「なんだかモヤモヤする・・・」という漠然とした感覚を抱いたとしたら、「過去にも似たような状況で浮気されたから不安なんだな」などと明確な言葉にして考えることで、自分の感情を自覚できます。(ただし言葉にして考える際に、度々、自分の感情を誤解します)

言葉にして考えないと、明確な認識はできません。

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古い脳は「無意識」、新しい脳は「意識」

このように、爬虫類脳や哺乳類脳である古い脳は、無意識に働く力なんですね。一方の人間脳である新しい脳は、意識をすることで働く力です。

新しい脳(言葉)が「意識」で、古い脳(体感)が「無意識」と言い換えることができます。

心理学では、「顕在意識(意識)」「潜在意識(無意識)」という言い方をします。

顕在意識と潜在意識の力関係

顕在意識と潜在意識は、よく氷山で例えられます。海上に浮かんで見える氷山(意識)は、海中に沈んで見えない氷山全体(無意識)の一部でしかないという表現です。

その力関係の比率は、顕在意識が3〜10%、潜在意識が90〜97%と言われています。古い脳と新しい脳の力関係でお話しした値は、こちらの数値のことです。

健在意識と潜在意識

顕在意識と潜在意識の力関係

ですので、新しい脳が「ジョギングを毎日続けよう!」と意識をしたとしても、無意識である古い脳が「ジョギングなんて面倒だからやめよう」と判断すれば、圧倒的な力を持っている古い脳に負けてしまうことになるんですね。

では、目標達成のために新しい脳が古い脳に勝つためには、どうすれば良いのでしょうか?

新しい脳が古い脳に勝つには

新しい脳が勝つということは、全ての感情をコントロールして、常に理性的であり、論理的であり、未来的思考をもって判断するということです。

ちょっと考えてみたら、絶対に無理だとわかりますよね。

そこで、目標達成のためには、古い脳のコントロールを考えるようにします。古い脳に勝とうとするのではなく、古い脳の特性を利用するんですね。

感情を司る哺乳類脳をコントロールする

古い脳である哺乳類脳は「好き・嫌い」という感情を司っています。

例えば、タバコが嫌いな人は、タバコを吸おうとはしません。甘いものが嫌いな人は、甘いものを食べようとはしません。走ることが好きな人は、毎日でもジョギングをすることができます。ゲームが好きな人は、夜ふかししてでもゲームを続けることができます。

考えてみれば当たり前ではありますが、目標とする行動が「大好き」になれば、自然と古い脳の意向に沿った行動が生まれ、自然と得たい結果に導かれるということです。

ですので、あなたが目標を掲げたなら、「無理してでもがんばる!」と意気込むのではなく、「好き!」と感じることからはじめてみてください。

言葉を使って無意識に刷り込む

人間脳の特徴である『言葉』を使えば、まずは「好き」を意識できるようになります。

例えば、走ることは面倒だけどジョギングを続けたい場合は、「好き」になれるところを見つけます。そして、「汗をかくって気分がスッキリする!」「ジョギングの後のシャワーが気持ちいい!」というように言葉に出します。

繰り返し言葉にすることで、やがて無意識に浸透していきます。

通常は『体感(古い脳)』⇒『言葉(新しい脳)』の順番で「好き」という価値観が形成されますが、『言葉(新しい脳)』⇒『体感(古い脳)』の順番で「好き」を浸透させるイメージです。

まとめ

僕たち人間には、「古い脳」と「新しい脳」の2つが同時に存在しています。

古い脳とは、爬虫類脳・哺乳類脳のことです。「安全・安心」を求めて、「好き・嫌い」を基準に行動します。自動的に働くため、大きな影響力があります。

新しい脳とは、人間脳のことです。未来のために目的意識をもって考えることができますが、影響力は小さく、古い脳の欲求に負けやすい傾向があります。

ですので、目標達成を考えた時には、古い脳である哺乳類脳を味方につけることを考えてみてください。「好き」を見つけることが大切です。

ただし、古い脳である潜在意識を変えるのは簡単ではありません。その理由は、次の記事で解説しています。
Next⇒「潜在意識の特徴と顕在意識の違い|あなたが行動できない原因とは?

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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