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メラビアンの法則とは|誤解されがちな「人は見た目」の嘘と本当

投稿日:2019-10-11 更新日:

メラビアンの法則とは|誤解されがちな「人は見た目」の嘘と本当

自分の気持ちを100%相手に伝えたいなら、メラビアンの法則(7-38-55ルール)を知っておくと、気持ちを伝えて印象を良くすることに役立ちます。

このメラビアンの法則は、「人は見た目で9割が決まる!」という理論を解説する際にも、たびたび使われます。

確かに、第一印象では見た目が重要であることに間違いはありません。ただし、その説明としてメラビアンの法則が適切かと言うと、実はそうでもありません。

この記事では、

  • 正しいメラビアンの法則とは何か?
  • メラビアンの法則で重要なことは何か?
  • メラビアンの法則をどのように活かすのか?

について解説します。

誤解されやすいメラビアンの法則を理解して、対人スキルで必要になる印象操作や、ビジネス・恋愛のコミュニケーションに役立ててください。

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メラビアンの法則(7-38-55ルール)とは

メラビアンの法則(7-38-55ルール)とは

メラビアンの法則とは、「言語・聴覚・視覚」から受け取る情報がそれぞれ異なった場合、人は視覚情報をもっとも信用する傾向があり、次に聴覚情報、最後が言語情報であるとした人間心理の法則です。

3つの伝達要素の影響力の割合は、次のとおりです。

伝達要素具体例影響力
言語情報話の内容7%
聴覚情報声質・口調・大きさ・テンポなど38%
視覚情報顔つき・表情・視線など55%
メラビアンの法則の図

メラビアンの法則の図

この数字の割合から、メラビアンの法則は「7-38-55ルール」とも呼ばれます。

または、Verbal:バーバル(言語)・Vocal:ボーカル(聴覚)・Visual:ビジュアル(視覚)の頭文字を取って「3Vの法則」とも呼ばれます。

メラビアンの法則の例え

例えば、あなたが恋人にサプライズでプレゼントをしたとします。

すると恋人は、引きつった表情を浮かべながら、冷静な声で「ありがとう、嬉しいよ・・・」と言ってくれました。

この時、あなたは恋人の言葉を額面どおりに受け取れるでしょうか?

きっと、「あれ?サプライズは失敗したな・・・」と残念な気持ちになりますよね。なぜなら、言葉よりも、表情や声の調子に本音が表れたと感じるからです。

つまり、言葉の意味・話し方・見た目」の調子がそれぞれ違っていれば、人は言葉よりもまずは見た目、次に話し方を重視して相手の意図を受け取りやすいということですね。

これがメラビアンの法則です。

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誤解されやすいメラビアンの法則

このメラビアンの法則は、影響力の数値だけが一人歩きをして、誤解されやすい側面があります。

それは、

  • 話の内容はわずか7%しか相手に伝わらない
  • 話の内容は言葉以外の情報で伝わる
  • 人は話の内容をほとんど聞いていない
  • 人は見た目で判断する

といった拡大解釈です。

このような解釈から、話し方教室や営業セミナーなどでは「・・・だから、表情や身ぶり、声の強弱、声の抑揚こそが大切なんです」という教え方をするケースがあります。

ですが、これらの解釈は正しくありません。

その理由は、メラビアンの法則を導き出した実験を知ることでわかります。

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メラビアンの法則の実験

メラビアンの法則の実験

メラビアンの法則は、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアン(Albert Mehrabian)氏によって、1971年に刊行された著書『Silent messages』で提唱されました。

メラビアン氏が行ったコミュニケーションの実験では、情報の発信者が3つの伝達要素(言語情報・聴覚情報・視覚情報)をそれぞれ矛盾させて与えた場合、受信者はどの情報を優先して受け止めるのかを調べたものでした。

アルバート・メラビアン氏が行った実験内容

  1. 「好意・中立・憎悪」をイメージする言葉(言語情報)を、それぞれ3つずつ用意する
  2. 1で用意した9つの言葉を「好意・中立・憎悪」のイメージで、それぞれ音声(聴覚情報)を録音する
  3. 「好意・中立・憎悪」をイメージする表情の顔写真(視覚情報)を1枚ずつ用意する
  4. 言葉・音声・顔写真が矛盾した組み合わせを作って被験者に見てもらい、「好意・中立・憎悪」のうち、どの印象を持ったかを質問する

例えば、好意をイメージする「親愛なる」という言葉を、中立をイメージする無感情の音声で、憎悪をイメージするしかめっ面の顔写真と同時に被験者に見せたら、「好意・中立・憎悪」の中でどの印象を受けるかという実験です。

この条件で「憎悪」の印象を受けたとしたら、視覚情報の影響力が強かったということです。

これらの実験から導き出された、印象を決定づける影響力を示した比率が

  • 言語情報:7%
  • 聴覚情報:38%
  • 視覚情報:55%

だったわけです。

メラビアンの実験でわかること

メラビアン氏が行った実験は、あくまで情報が矛盾していた場合に、どの伝達要素に影響力があるのかを調べたものだったんですね。

実験結果では、言語情報よりも言語以外の情報の方が影響が強いことがわかりました。

ただし、言語情報は単語だけ、視覚情報は顔写真だけ、「好き・嫌い・どちらでもない」の印象を決めるシンプルな実験内容でした。さらに、実験は女性だけで行われました。

ですので、この実験結果だけで「言葉の重要度は7%しかない」と結論づけたり、どんな状況でも「人は見た目が9割」と捉えたり、服装や身ぶり手ぶりが重要だと考えるのは拡大解釈であることがわかると思います。

メラビアン氏自身も、

あくまでも「好き・嫌い」の感情を扱ったメッセージの場合であって、単純に事実のみを伝えたり、要望するようなコミュニケーションの場合には無関係である

と警告しています。

必要以上に見た目や話し方を重視するのは、考えものだということなんですね。

例えば、親しい間柄なら見た目と言葉に違いがあっても、「この人は誤解されやすいけど、言ってることはいつも正しいよな」などと、言葉の内容を受け取れますよね。

ただし、あまり親しい間柄ではない場合、意思疎通を図るコミュニケーションにおいては、言葉と言葉以外では、言葉以外(非言語コミュニケーション)の方が大切なことに間違いはありません。

言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション

言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション

コミュニケーションは、次の2つに分けることができます。

  • 言語(バーバル)コミュニケーション
  • 非言語(ノンバーバル)コミュニケーション

非言語コミュニケーションとは、文字どおり言葉(言語情報)以外のコミュニケーションです。視覚情報と聴覚情報以外にも、嗅覚情報・触覚情報もあります。

これを単純にメラビアンの法則の数値に当てはめてみると、次のような図になります。

言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション

言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション

この図だけを見ると、非言語コミュニケーションの方が圧倒的に影響力があるように感じますよね。

非言語コミュニケーションが大事な例え

実際に、僕たちは言葉そのものよりも、言葉以外の要素で相手の意図をくみ取ろうとしています。

例えば、

  • 話し相手の視線がやたらと動いたり、言葉が詰まる様子から、「・・・ウソをついてるな」と感じたことはないですか?
  • 恋人が言った「話があるんだけど・・・」の後の長い沈黙に、耐えられなくなったことはないですか?
  • いつもあなたの隣りにきて、腕や肩を触ってくる異性に対して、「・・・もしかしたら私に気があるのかな?」と思ったことはないですか?

これらは全て、非言語コミュニケーションの影響を受けた判断ですよね。相手が何も言わなかったとしても、言葉以外の情報で判断したことになります。

ですので、メラビアンの法則の数値どおりかは別にしても、言葉以外のコミュニケーションに大きな影響力があることは確かです。

コミュニケーションでは3Vを一致させることが大切

つまりコミュニケーションいおいては、「Verbal:バーバル(言語)・Vocal:ボーカル(聴覚)・Visual:ビジュアル(視覚)」の3Vを一致させることが大切なんですね。

この3Vが一致していれば、自分の意図を正しく相手に伝えられるということです。

例えば、謝らなければいけない場合は、誠実そうに見える服装で、申し訳なさそうな表情で、低い声のトーンで、「すみませんでした」と言葉にして謝ると、謝罪の気持ちが100%相手に伝わるということです。

反対に、3Vが一致していない場合は、メラビアンの法則のように「視覚情報 > 聴覚情報 > 言語情報」の影響力で判断されやすいということですね。

たとえ「すみませんでした」と言葉にしても、ふてくされた顔だったり、棒読みだったりした場合は、謝罪の気持ちは伝わらないんですね。

3Vの不一致はダブルバインドになる可能性があるので注意!

さらに、言葉と言葉以外の情報が違う場合は、相手を混乱させることがあるので注意が必要です。

違うメッセージを同時に発信して相手を混乱させることを、心理学ではダブルバインドと言います。

ダブルバインドは相手から拒絶されたり、上司と部下の関係ならパワーハラスメントやモラルハラスメントになってしまう可能性もあります。

例えば、あなたが上司の立場で、部下に「失敗なんて気にするな」と言葉で励ましたとします。ですが、あなたの表情や声がイライラしているイメージだったとしたら、部下は「内心では怒ってるのに、イヤミな人だな・・・」と受け止めてしまうかもしれません。

「言語・聴覚・視覚」の3Vが不一致だと、気持ちが伝わらないどころか、誤解される危険さえあるんですね。

ビジネスや恋愛に活用するメラビアンの法則

ビジネスや恋愛に活用するメラビアンの法則

このメラビアンの法則をビジネスや恋愛のコミュニケーションに応用すると、対面・電話・メールで気をつけたいポイントがわかります。

結論から言えば、いずれも3Vを一致させることが大切です。

対面では視覚情報と聴覚情報が大切

対面では、非言語コミュニケーションに気をつけることが大切です。

もちろん、“言葉はどうでもいい” という訳ではありません。言葉の持つ意味を補うように、非言語コミュニケーションを一致させるということです。

メラビアンの法則を考えれば、特に表情が大切です。感情は表情に表れるので、無表情では気持ちが伝わりにくくなるからです。

例えば、挨拶一つとってみても、笑顔と大きな声と明るいトーンで「おはようございます」と言うのと、無表情と暗いトーンでボソボソと「おはようございます」と言うのでは、印象が全然違いますよね。

ですので、ポジティブな発言をする場合は、3Vを一致させることを心がけると、相手に好印象を残せるようになります。接客や面接などで初対面の人を相手にする場合は、特に気をつけてみてください。

あなたの周りにいるコミュニケーション能力が高い人は、3Vが一致していることにも注目してみてください。

電話では聴覚情報と言語情報が大切

電話で対応する場合は、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの両方に気をつけることが大切です。

メラビアンの法則を考えれば、特に話し方が重要です。電話でのコミュニケーションは視覚情報がない分、話し口調や声のトーンの影響力が大きくなるからですね。

棒読みのような話し方では、相手に伝わりにくくなります。

気をつけたいのは、人は表情や姿勢によって感情が現れるということです。そして、感情は声に現れます。電話の声を聞くだけでも、相手の表情を想像できますよね。

ですので、たとえ電話であったとしても、表情や姿勢に気をつけながら話すことが大切です。

例えば、背中を丸めて無表情でいると、楽しい感情は現れにくいです。そのままの姿勢で電話をすると、相手には楽しくない感情が伝わりやすくなってしまいます。

メールでは言語情報が重要

メールは文字情報しか伝えることができません。ですので、話の内容そのものと言葉遣いに気をつけることが大切です。

メラビアンの法則を考えれば、誤解を与えるような言葉や言い回しは使わないことが大切です。

また、ビジネス文書の場合は、文面をできるだけ話し口調にすると、気持ちを伝えやすくなります。表情や姿勢に気をつけながら声に出して読んでみることで、文面が無機質かどうかに気づくことができます。

文面と同じ視覚情報と聴覚情報をイメージできるかを試してみてください。

恋愛などのコミュニケーションの場合は、絵文字やスタンプを使うことで、視覚情報を補って気持ちを伝えやすくできます。これはきっと、多くの人が慣れていますよね。

現代ではメールがもっとも使われますが、メールは気持ちを伝えるのが一番難しいツールです。ですので、読点の打ち場所や行間、言い回し方など、文面に気をつけることが大切です。

何よりも、伝えたいメッセージの内容が重要ですね。

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まとめ

メラビアンの法則とは、コミュニケーションにおいて「言語・聴覚・視覚」から受け取る情報がそれぞれ異なった場合、言語情報7%、聴覚情報38%、視覚情報55%の影響力があるという法則です。

ただし、「好き・嫌い」に関する内容に適用される法則で、どんな状況でも言葉は7%しか影響力がないという意味ではありません。

メラビアンの法則では、コミュニケーションにおいては「Verbal:バーバル(言語)・Vocal:ボーカル(聴覚)・Visual:ビジュアル(視覚)」の3Vを一致させると、相手に気持ちを伝えやすくなることがわかります。

ですので、コミュニケーション能力を高めたい場合や、第一印象で好感度を上げたい場合は、3Vを一致させることに気をつけてみてください。

さらに、初頭効果ハロー効果を知っておくと、第一印象での好感度アップに役立ちます。

参考:https://en.m.wikipedia.org/wiki/Albert_Mehrabian

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高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケター/Web集客の専門家。 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。 個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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