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【モンタージュ理論とクレショフ効果】ブランディングに使える映画用語

投稿日:2017-06-19 更新日:

クレショフ効果 と モンタージュ理論

複数の映像をつなぎ合わせることで新しい意味が現れるとする理論を「モンタージュ理論」と言います。実験によって証明された効果を「クレショフ効果」と言います。

映画用語であるモンタージュ理論やクレショフ効果は、ブランディングでのイメージアップに応用することができます。

例えば、普通の顔をしているつもりなのに「怒ってるの?」と言われる人っていますよね。そんな場合は、クレショフ効果を応用することで、イメージを変えることができます。

今までどおり普通の顔をしていても、「楽しそうな人!」というイメージを抱いてくれるようになります。

映画用語とはいえ、専門的な知識は必要ありません。現代のテレビドラマや映画を見たことがある人なら、誰もが感覚的に知っている手法です。

この記事では、モンタージュ理論とクレショフ効果の解説と、イメージアップの方法についてお話しします。ビジネスやプライベートのブランディングに役立ててください。

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モンタージュ理論 とは

モンタージュ理論とは、複数の映像をつなげることによって、後ろの映像は前の映像の影響を受けて新しい意味が現れることを示した理論です。

このモンタージュ理論は、いろいろな表現方法を模索していた1920年代の旧ソビエト連邦の映画界で誕生しました。

モンタージュ(Montage)とは、「組み立てる」を意味するフランス語の「Monter」に由来します。映画でのモンタージュとは、ヨーロッパではショットとショットをつなぐ「編集」を意味します。アメリカではカッティング、エディティングと呼ばれます。

ですので全編ワンショットの映像以外は、全てがモンタージュだと言えます。

モンタージュ理論が確立された映画『戦艦ポチョムキン』

このモンタージュ理論は、旧ソビエト連邦の映画監督セルゲイ・M・エイゼンシュテイン(Sergei Mikhailovich Eisenstein)氏によって確立されました。

1925年に公開された映画『戦艦ポチョムキン』では、モンタージュ理論を用いた映像手法が使われています。

クレショフ効果 とは

モンタージュ理論の効果は、いくつかの実験によって証明されました。

実験を行った旧ソビエト連邦の映画作家レフ・クレショフ(Lev Kuleshov)氏の名前から、モンタージュ理論による効果は「クレショフ効果」と名付けられました。

1921年に行われたクレショフ氏の実験の一つに、次のような実験があります。

クレショフ効果の実験例

3つのグループに分けられた被験者に、それぞれ異なるカットの次に、俳優のイワン・モジューヒン氏の無表情のクローズアップのカットを見てもらいました。

そして、それぞれどのような印象を受けたのかを尋ねました。

  • モンタージュ1:スープの入った皿 ⇒ 俳優
  • モンタージュ2:棺に入った遺体 ⇒ 俳優
  • モンタージュ3:ソファに横たわる女性 ⇒ 俳優

俳優の表情はどれも同じなのに、モンタージュ1を見た被験者は「飢え」の演技を、モンタージュ2を見た被験者は「悲観」の演技を、モンタージュ3を見た被験者は「欲望」の演技を褒め讃えたのでした。

前に見る映像の違いによって、後に見る映像が異なる印象に変わったということですね。

クレショフ効果を生む役者?

2003年に公開された映画『座頭市』の撮影エピソードについて、監督の北野武さんは、浪人役だった浅野忠信さんを「立っているだけで絵になる俳優」とベタ褒めしていたことがあります。

きっとその理由のひとつは、モンタージュ理論によるクレショフ効果によって、観客がどのような意味にも受け取れる「無表情のたたずまい」が素晴らしかったのではないでしょうか。

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モンタージュ理論・クレショフ効果の例え

複数のカットをつなげることで新しい意味が現れるモンタージュ理論を、クレショフ効果の実験を元に解説します。

左側から順に、右側の写真を見てみてください。

クレショフ効果の例え 魚と猫

例えば、左にある魚の写真の次に猫の写真を見ると、猫が「魚を食べようと狙っている」ように感じませんか?

クレショフ効果 事故と猫

同じ猫の写真でも、事故現場の写真の次に見ると、猫が「事故に驚いている」ように感じませんか? あるいは、猫の飼い主が事故にあったのかもれないというストーリーを想像しませんか?

クレショフ効果 月と猫

今度は満月の写真の次に猫の写真を見ると、猫が「何か思いふけっている」ように感じませんか?

このように、たとえ前後の脈略がない映像や写真の羅列であっても、人は無意識に関連づけて意味を持たせる傾向があるんですね。

これは僕たちの脳の特性です。

クレショフ効果と似ている心理現象

直前に見た映像に影響を受けるモンタージュ理論・クレショフ効果は、「プライミング効果」と呼ばれる現象が関わっています。また、クレショフ効果と似ている心理現象に「文脈効果」があります。

クレショフ効果を応用するときには、これらの心理現象も知っておくと理解が深まります。

クレショフ効果を生み出すプライミング効果

プライミング効果とは、先に見聞きした情報があることで、後に学習する事柄を思い出しやすく、覚えやすくなる効果のことです。

わかりやすいのは『10回クイズ』です。「みりん、みりん、みりん・・・」と繰り返して言うことで「みりん」という言葉が頭に残り、「鼻の長い動物は?」と聞かれて思わず、みりんと音の近い「キリン」と答えてしまいます。

直前に得た情報が影響を与えた結果です。

クレショフ効果は、直前に得た情報が結びつきやすいことで起こるんですね。

クレショフ効果と似ている文脈効果

文脈効果とは、文章や言葉の理解について、前後の文脈や状況の違いで意味合いが変わる現象のことです。

例えば、「バナナ、みかん、リンゴ」と文字が並べば、『みかん』は果物の『ミカン』だと認識しますよね。ですが、「完成、みかん、完了」と文字が並べば、『みかん』は未完成の『未完』だと認識しませんか?

前後の文脈の違いで、受け取る意味合いが変わります。クレショフ効果の文字版といった感じですね。

クレショフ効果を応用したブランディングの方法

モンタージュ理論・クレショフ効果をマーケティングやブランディングに応用することで、イメージアップが図れます。

例えば、Webサイトでのスライド画像や、商品を紹介するページでは、閲覧者に与えたいイメージの写真を配置することで、ブランディングをコントロールすることができます。

たとえばシャンプーを扱っているとしたら、シャンプーの写真だけを載せるのではなく、結びつけたいイメージと一緒に載せるようにします。

クレショフ効果を狙った商品紹介

クレショフ効果を狙った商品紹介例

「草原」「フルーツ」というような画像を一緒に配置すれば、草原の爽やかさやフルーツの良い香りと新鮮さをシャンプーに結びつけることができます。

クレショフ効果を狙ったブランディング

クレショフ効果を狙ったブランディング例

また、「美しい女性」の画像を一緒に配置すれば、女性の美しさや妖艶さのイメージをシャンプーに結びつけることができます。

テレビCMなどでもよく使われている手法ですよね。

どんなイメージと結びつけたいのかを考えて、コントロールすることが大切です。

プライベートでも使えるクレショフ効果

イメージアップのためのクレショフ効果は、プライベートでも使えます。

例えば、普通の顔をしているつもりでも「怒ってるの?」と感じる人の場合。それはその人の『無表情』が、何か別の『怒り』のイメージと結びついている結果です。

そんな場合は、SNSで笑顔の写真をたくさん載せておくことでイメージを変えることができます。『いつも笑っている』イメージをつけることができれば、『怒り』のイメージから離すことができるんですね。

強面の営業パーソンの場合は、名刺に笑顔の写真を載せることでも使えますよね。

周辺のモノを変えることでイメージを変える

言葉遣いや態度が人物の印象に大きな影響を与えますが、服装が印象に影響を与えている場合もあります。

例えば、いつも暗い色の服を着ているとしたら、暗い印象を与えてしまいます。無骨なファッションが好きだとしたら、『怖い人』というイメージを与えてしまうこともあります。

もしも、明るいイメージに変えたいのであれば、明るい色の服を着るだけでも印象は変わります。お笑い芸人オードリーの春日さんの服装が、ピンクのベストではなく黒色だとしたら、イメージは変わりますよね。

また、可愛いらしい小物を持つことや、可愛らしい趣味趣向でもイメージは変わります。

例えば、スイーツが大好きだとしたら、SNSにスイーツの写真を投稿することで、スイーツの甘いイメージが人物にも影響を与えて、優しくて甘いイメージをまとうことができます。

ようするに、対象以外の周辺のモノを変えることでイメージは変わるということですね。

まとめ

モンタージュ理論・クレショフ効果とは、複数の映像を見せることによって新しい意味が現れる現象のことです。たとえ無関係な映像であっても、隣り合っていれば関連づけて意味を持たせる傾向があります。

クレショフ効果をイメージアップに応用すれば、与えたいイメージの写真と一緒に商品を配置することで、商品のイメージを変えることができます。

女性が犬と一緒に写真を撮ったり、スイーツと一緒に写真を撮るのは、意識的か無意識的か、クレショフ効果によってイメージアップを図る効果があったんですね。

どのようなイメージを相手に与えたいのかを考えて、使う画像(アイテム)を選ぶようにしてみてください。

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高木浩一

心理学と脳科学が好きなWeb集客の専門家。 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広いデザインを経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの視点をもつ。 個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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