マーケティング心理学

【ついで買いの心理】テンション・リダクション効果とは?

テンション・リダクション効果

買い物しようとコンビニでお会計をしているときに、レジ横に置いてあるおまんじゅうを、ふとカゴの中に入れてしまったという経験はありませんか?

店内の別の棚に陳列してあったとしら、わざわざ買わなかったものでも、なぜだかつい買ってしまうことがありますよね。これは「テンション・リダクション効果」という心理現象を、巧みに使ったセールス手法です。

人は緊張状態から解放された瞬間には、気がゆるんでしまう性質をもっています。

この心理現象をマーケティングに応用することで、購入点数を増やす「ついで買い」をしてもらい、売上アップを図ることができます。悪用すると人を騙すこともできてしまう、危険な心理効果とも言えます。

テンション・リダクション効果とマーケティングへの応用について、お話しします。

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テンション・リダクション効果とは

テンション・リダクション効果とは、緊張状態が消滅して気がゆるんでしまっている状態のことを言います。「テンション(Tenshion)=緊張・不安」「リダクション(Reduction)=減少」という意味です。

人は重大な出来事があると、その出来事が終わるまでは緊張した状態が続きます。そして、その重大な出来事が終わると緊張状態が解けて、心理的に無防備な状態になります。

いわゆる「緊張の糸が切れる」ってやつですね。

気がゆるんだ状態は、注意力や判断力が低下してしまいます。そのため、体調を崩したり、怪我や事故を起こしたり、騙されやすい危険な状態だと言えます。

テンション・リダクション効果のわかりやすい例

例えば「刑事コロンボ」では、このテンション・リダクション効果を使った事情聴取で、犯人のウソを見破ります。「古畑任三郎」や「相棒」などの刑事ドラマではよく見る光景ですので、一度は目にしたことがあるのではと思います。

コロンボ刑事は犯人と思われる容疑者に対して、事件についてあれこれと聴き出そうとします。ですが容疑者である犯人は、犯行がバレないように必死でウソをつきます。

「どんな質問だってうまくかわしてやる」と細心の注意をしているので、完璧なウソで質問をかわします。犯人にとっては、緊張状態が続きます。

コロンボ刑事はシッポをつかめないと判断すると「じゃあこれで帰ります」と、事情聴取を終えて帰る素振りを見せます。事情聴取という緊張状態を解いて、犯人にテンション・リダクション効果をつくるためです。そして、帰る間際に振り返ってこう言います。

「そうそう、これは事件とは関係ないとは思うんですがね・・・」

犯人は気がゆるんで油断した状態なので、思わず口をすべらしてしまうというわけです。

校長先生の言葉はテンション・リダクション効果への注意だった

小学生時代を思い返せば、遠足の時に校長先生が「家に着くまでが遠足です」と言っていませんでしたか?

当時は「そんなわけあるかいな」と思っていましたが、あの言葉は、楽しい遠足が終わったと思った瞬間に油断して、怪我や事故に遭わないように「家に着くまでは緊張状態を保っておきなさい」という、テンション・リダクション効果に陥らないための注意喚起だったんですね。

校長先生に感謝です。

テンション・リダクション効果は「ついで買い」の心理

買い物の場面では、「買う」という決断に至るまでは、緊張状態が続きます。

「お金を支払う」という行為は、大切なお金を失う瞬間でもあります。そのため、商品を検討する時には「これは自分にとって本当に必要か?」「この商品を買って失敗しないか?」「騙されていないか?」など、いろんな考えや不安が頭をよぎります。

そして悩んだ結果、購入を決断すると緊張状態から解放されて、テンション・リダクション効果で気がゆるみます。この瞬間に関連商品を紹介することで、同時に複数の商品を「ついで買い」してもらいやすくなります。

「また店に来て小物を買うのは手間だし、また悩むのも面倒、“買う”ということは決めたんだから、どうせなら一緒に買っておくか」という考えが浮かびやすくなる瞬間だということです。

テンション・リダクション効果を使った「ついで買い」の身近な例

身近にあるマーケティングの例としては、冒頭でお話ししたように、スーパーやコンビニのレジ横に置いてあるお菓子や電池などの日用品が、テンション・リダクション効果を利用したクロスセルです。

ファミリーレストランでレジ横におもちゃが売っているのも、ついで買いをしてもらいやすいからです。

普段なら、子供にねだらておもちゃを買うことはなかったとしても、会計時では「たいした値段じゃないし、ついでに買ってやるか」と、ついで買いをしやすくなります。家族サービスをしたいという、親心をついたセールスとも言えますね。

また、洋服屋さんでは、お客さんが商品の購入を決断したタイミングで、関連する商品をおすすめします。

例えば20,000円のジャケットを薦めて購入を決めてもらえば、そのタイミングで、ジャケットにコーディネートしやすい9,000円のシャツや5,000円のベルトを薦めます。

同時に関連商品を買ってもらうためには、価格の一番高い商品から薦めます。これはアンカリング効果も手伝っています。大きな価格の買い物を決断してもらえば、その後に見る小さな価格は、たいした価格ではないように感じます。

重大な出来事ほどテンション・リダクション効果も強くなる

緊張状態になる出来事が重大なほど、テンション・リダクション効果も強まります。

例えば、車や家を購入するような機会には、大きな緊張をともないます。ですので、車の購入という大きな決断をした後のテンション・リダクション効果では、カーナビの設置やホイールのグレードアップの提案には、比較的簡単に応じやすくなります。

これはコントラスト効果も働いています。例えば3,000,000円という大きな買い物をした後では、150,000円の追加は小さな価格のように感じます。

テンション・リダクション効果のWebマーケティングへの応用

ECサイトの場合、商品をカートに入れた段階で「あと◯円の購入で送料が無料になります」「この商品を購入した人はこのような商品も購入しています」という表示をすることで、テンション・リダクション効果を利用できます。

テンション・リダクション効果を使うときのポイント

テンション・リダクション効果は、お金を払う決断をした商品よりも、安い価格であることが大切です。

なぜなら、例えば20,000円のジャケットの購入を決断した後で、30,000円のベルトを薦められても「ついで買い」の感じはしないからです。

そのため、「ついでだから」と感じてもらいやすい価格の関連商品を薦めることが、テンション・リダクション効果を利用したクロスセルのコツだと言えます。

まとめ

テンション・リダクション効果とは、緊張状態が終わった後に訪れる、気のゆるんだ状態のことを言います。

マーケティングにおいては、“買う”という決断をした時は、財布の紐がゆるみやすい瞬間でもあります。「こちらも合わせていかがですか?」とおすすめするだけで、「ついで買い」をしてもらいやすい瞬間です。

もしもあなたが扱っている商品・サービスがひとつだったとしたら、関連する商品も合わせて販売してみてください。売上が上がる可能性が高くなります。


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