顧客心理を掴む心理学

シャルパンティエ効果とは?錯覚の心理を利用した文章表現アップ法

2017-04-20

シャルパンティエ効果

1kgの羽毛布団と 1kgの鉄アレイを持ち比べた場合、同じ重さのはずなのに布団の方が軽いと感じます。このような錯覚を、心理学ではシャルパンティエ効果と言います。

シャルパンティエ効果のような錯覚は、マーケティングやコピーライティングなどのビジネスの場面では、テクニックとして頻繁に応用されています。

例えば、セール会場での店員さんの「ただいま全品40%オフセール開催中でーす!さらにレジにて20%値引きしておりまーす!」という呼び込み。

こう聞くと、「60%もオフなんて、めちゃお得だな!」って感じてしまいませんか?

実はこれ、冷静に計算してみれば 52%オフだったりします。数字の錯覚ですよね。さらに、割引きしていることを2段階に分けて言うことで、「2回も割り引いてもらえる!」というお得感の演出が加わる錯覚も起こしています。

この記事では、錯覚の心理シャルパンティエ効果を利用した文章表現アップ法を解説します。イメージやお得感が伝わりやすい文章を書いて、成約率アップに役立ててください。

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シャルパンティエ効果 とは

シャルパンティエ効果(Charpentier effect)とは、同じ重さで体積が異なる2つのモノを持ち比べた時に、体積の大きい方が軽く、体積の小さい方が重く感じられる錯覚のことです。

冒頭でもお話ししたとおり、同じ重さの羽毛布団と鉄アレイなら、体積の大きい羽毛布団の方が軽く感じます。これは、もともとイメージとして持っている、「羽毛=軽い」「鉄=重い」という思い込みも手伝っています。

シャルパンティエ効果は、大きさと重さの錯覚について実験を行ったフランス人医師のオーグスチン・シャルパンティエ(Augustin Charpentier)氏が、1891年に出版した『Size-weight illusion(大きさ - 重さの錯覚)』によって発表されました。

シャルパンティエ氏の仮説を検証した、ドイツ出身の精神分析学者コゼレフ(Paul Koseleff)氏の名前が入った「シャルパンティエ - コゼレフの錯覚(Charpentier-Koseleff illusion)」とも呼ばれています。

この錯覚の心理は、セールスコピーライティングに応用することができます。

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コピーライティングで使うシャルパンティエ効果の応用の仕方

コピーライティングで商品説明をする際には、読み手がイメージしやすい表現をすることが大切です。

そのためには、“もともと持っているイメージが錯覚を生む” シャルパンティエ効果を応用することで、よりイメージしやすく、よりポジティブに表現することができます。

よく見かける有名な例えですが、次のような場合は、Bの表現方法の方がイメージとして想像しやすくなりませんか? しかも、なんだかスゴそうに感じます。

  • A:『ビタミンC 2000mg配合』
  • B:『レモン果汁100個分のビタミンC』

『2000mg』という表現では、どれくらいの量なのかをイメージしにくいですよね。それよりも、『レモン果汁100個分』という表現の方が、レモンを100個イメージしやすいので理解しやすくなります。

ビタミンCをレモンで表現した理由は、「レモンにはビタミンCがいっぱい入ってそう」という、多くの人がすでに持っているイメージを利用するためです。

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シャルパンティエ効果はイメージを利用する

実はレモンよりもビタミンCが多く含まれている食べ物は、他にもいっぱいあります。

レモン果汁には100gあたり50mgのビタミンCが含まれていますが、ゆずならレモン果汁の約3倍、赤ピーマンならレモン果汁の約3.4倍のビタミンCが含まれています。

ですが、多くの人はビタミンCのイメージと赤ピーマンが結びついていないために、『赤ピーマン12個分のビタミンC』という表現をしても、かえって伝わりづらくなってしまいます。

ですので、シャルパンティエ効果をコピーライティングに応用するには、みんながすでに持っているイメージを利用することが大切なんですね。

もしも赤ピーマンを売りたいなら、「レモン果汁3.4倍のビタミンCが摂れる!」というキャッチコピーにすれば、イメージが伝わりやすくなるということです。

大きな数字を使えば多い表現ができる

ちなみに皮も全て含めれば、レモン1個には約120mgのビタミンCが含まれています。ですので、「2000mgのビタミンC」は『レモン16個分』と表現することもできます。

ただし、レモン果汁は1個で20mgとして換算されます。

これを利用すれば、『レモン果汁100個分のビタミンC』として表現できるんですね。この方が数字が大きい分、より多くのビタミンCが含まれているような表現ができます。

数字を使った錯覚ですね。

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シャルパンティエ効果を応用した例え方

シャルパンティエ効果は、身近なモノに例えることで理解しやすい文章にすることができます。

例えば、「軽い」を表現したいなら『羽根のように軽い』と、みんながすでにイメージとして持っている軽いモノに例えることで、直感的に伝わりやすくなります。

「なめらか」を表現したいなら、『まるでシルクのような触り心地』と、なめらかなモノに例えることができます。

「広さ」を表現するなら、平方メートルやヘクタールの数値で示すだけではなくて、『テニスコート◯面分の広さ』『東京ドーム◯個分の広さ』と、イメージしやすい広いモノに例えた方が理解しやすくなります。

「頑丈」なら、「5トンの圧力にも耐えられる」と言うよりも、『ゾウが踏んでも壊れない』『100人乗っても大丈夫』という例えの方が、頑丈がイメージしやすくなりますよね。

安さを伝えるなら分割して例える

安さを伝える場合は、価格を分割して別の安いモノに例えて表現する方法があります。

例えば、1万円の商品を安く伝えたい場合は、1万円を分割して「3ヶ月間、缶コーヒーを毎日一本飲むような感覚で買えます」と例えることができます。

表現の仕方でイメージを変える方法は、「フレーミング効果とは?文章を変えるだけで売上アップする行動経済学」の記事でも解説しています。

シャルパンティエ効果と似た錯覚

ちなみに、シャルパンティエ効果のような「大きさと重さ」の錯覚は、「材料と重さ」「色と重さ」でも起こります。

同じサイズのモノが金属製と木製なら、金属製の方が重いと感じます。

同じように、明るい色と暗い色のモノなら、暗い色の方が重いと感じます。

色については、同じサイズと重さのダンボールがあった場合、白を「1」とすると、黒が「1.87」の比率で重い印象を受けます。色が違うだけで、ほぼ倍近くも感覚が変わってしまうんですね。

色と重さの錯覚

ですので多くの引越し業者では、少しでも作業スタッフが「軽い」と感じるように、白色のダンボールを採用しています。

錯覚の心理は、色々な分野で利用することができるんですね。

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まとめ

シャルパンティエ効果とは、もともとイメージとして持っている思い込みが働いて、実際の感覚とズレが起こる錯覚のことです。

シャルパンティエ効果の錯覚を応用すれば、お客さんが頭の中に持っているイメージしやすいモノに例えることで、伝わりやすくポジティブなイメージで表現することができます。ただし、イメージを膨らませすぎて誇大表現にならないように注意することも大切です。

セールスコピーで文章表現力を磨くなら、シャルパンティエ効果を意識して書いてみてください。

さらに心理学をマーケティングに応用する方法は、こちらを参考にしてください。

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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