コピーライティング術

本当に知ってる?ベネフィットとメリットの意味と使い方を解説

2015-09-09

ベネフィット とは何か?コピーライティングで最も重要な要素

商品やサービスを販売するセールスやコピーライティングでは、メリットよりもベネフィットを伝えることが大切です。

ベネフィットを伝えていないセールスコピーの場合は、いくら時間をかけてコピーを書いたとしても、目を背けたくなる結果になってしまうからです。

恋愛で例えるなら、いくらあなたのメリットだけを相手に伝えたとしても、あなたのことを好きになってくれる可能性は低いということです。

もしも、あなたが

  • 「ベネフィットってなに?」
  • 「ベネフィットって、メリットと同じような意味じゃないの?」

と思われたとしたら、この記事を最後まで読んでみてください。ベネフィットとメリットの違いが分かり、あなたのセールスレベルが格段にアップできるようになります。

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ベネフィットの意味とは?

ベネフィット(benefit)とは、直訳すると「利益・為になること」といった意味があります。

マーケティング用語としては、お客さんが商品・サービスから得られる「満足感(感情)、未来の期待感」のことを言います。お客さんが商品を買う目的になるものです。

お客さんはドリルではなく穴を買う

ベネフィットとはドリルの穴のこと

ベネフィットを言い表す有名な言葉があります。

「お客さんが買っているのはドリルそのものではなく、そのドリルを使って開けた穴である」

これは、元ハーバード・ビジネススクール名誉教授で、マーケティング研究の第一人者であるセオドア・レビット(Theodore Levitt)氏の言葉です。

「お客さんは商品そのものを買うのではなく、商品によってもたらされる利益の期待を買う」ということを言っています。

ドリルを手に入れることが目的なのではなく、ドリルを使って穴を開けることが目的だということですね。

商品・サービスは目的のための通過点

お客さんは商品を買いますが、商品そのものを欲しいわけではないんですね。欲しいのは、商品を買うことで得られる体験や満足感であり、より良い未来の変化の姿・結果です。

例えばあなたが、普通の腕時計ではなく『高級腕時計』を欲しいとしたら、その理由は

  • 「リッチな気分を味わいたい」
  • 「人に自慢をしたい」
  • 「自分に自信を持ちたい」

といった『体験』をしたいからではないでしょうか?

その体験を味わえるのが『高級腕時計』なだけで、決して『高級腕時計』そのものが欲しいわけではないということです。

つまり「商品・サービス」とは、お客さんが欲しい結果を得るための “通過点” だと言うことができるんですね。そして、お客さんが欲しい結果を表現したものがベネフィットです。

ですので『高級腕時計』のベネフィットは、「リッチな気分を味わえる」「人に自慢できる」「自分に自信がもてる」となります。

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メリットの意味とは?

メリット(merit)とは、直訳すると「価値のある特徴・長所・利点」という意味があります。

マーケティング用語としては、多くのお客さんにとってプラスに働く商品の効果のことを言います。お客さんが商品を買う条件になるものです。

例えば、ドリルには

  • 「折れにくい硬い素材の刃」
  • 「握りやすいグリップ」
  • 「切りくずを排出する機能」

といった、利用するためにプラスに働く価値ある特徴を見つけることができます。これらがメリットです。

『高級腕時計』で例えるなら、「ダイヤモンドでできている」「世界に100個しかない」といった特徴があれば、それらがメリットになります。

一見するとベネフィットと同じように感じるかもしれませんが、2つには違いがあります。

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ベネフィットとメリットの違い

ベネフィットとメリットの違いは、次のように比較することができます。

ベネフィット

  • 商品を買う目的になるもの
  • お客さん中心のメッセージ

メリット

  • 商品を買う条件になるもの
  • 商品中心のメッセージ
ベネフィットとメリットの違い

ベネフィットとメリットの違い

メリットは商品の特徴のひとつ

商品にはいろんな特徴があります。その特徴の中で、お客さんにとってプラスに働く特徴があります。それがメリットです。お客さんが商品を買う条件になるものですね。

例えば、部屋にピッタリ合う棚を簡単に自作したい人がドリルを買う場合、

「折れにくい硬い素材の刃」

このような特徴は、ドリルを買う条件になる特徴ですよね。刃が折れないことでストレスなく棚を自作できそうだからです。これがドリルを買うメリットです。

これが次のようなセールスのためのメッセージなら、商品の視点で語る自己紹介(商品中心のメッセージ)だと言えます。

「このドリルは折れにくい硬い素材の刃でできています」

ベネフィットはお客さんの目的

一方のベネフィットは、お客さんの目的になるものです。「ドリルを使って部屋にピッタリ合う棚を簡単に自作できること」、これがベネフィットになります。

先ほどの自己紹介のメッセージをお客さんを中心にしたメッセージに変えると、次のようなベネフィットの表現をすることができます。

「このドリルは折れにくい硬い素材の刃でできていますので、作業を中断することなく簡単に穴を開けることができます

商品販売ではメリットを伝えることも必要です。ですが、メリットだけを伝えても商品が売れることは難しくなります。

なぜ、メリットではなくベネフィットを伝える方が売れやすくなるのでしょうか? 具体例をあげながら、もう少し詳しく説明していきます。

買う側はベネフィットを理解したい

ベネフィットとは結果や満足感のこと

お客さんの立場になって、ベネフィットとメリットの違いを考えてみましょう。

例えば、あなたは運動不足がたたってずいぶん太ってしまったとします。恋人からは、冷めた目つきで「・・・少しは運動したら?」と言われてしまいました。

ここに、スポーツジムのチラシが2枚あります。

あなたはどちらのスポーツジムに魅力を感じますか?

  • A:「このジムは200平米の広さを誇っています。20種類もの豊富なトレーニングマシンが揃っていて、会員費はお財布に優しい月額5000円です」
  • B:「このジムでたった3ヶ月間トレーニングをすれば、女性がウットリして思わず触りたくなる、逆三角形の引き締まったボクサー体型に変身できます」

Aのチラシでは、ジムの長所(メリット)を訴えています。もう一方のBのチラシでは、お客さんの利益(ベネフィット)を訴えています。

目的はメリット?ベネフィット?

あなたがスポーツジムへ通うなら、その目的はなんですか?

ジム会員の権利が欲しいからですか? 200平米の広さを体感するためですか? スポーツジムにあるいろんなマシンを試してみたいからですか? それとも運動することが目的ですか?

・・・きっと、どれも違いますよね。

あなたがスポーツジムにお金を払って通うなら、その目的は、スリムな体型を手に入れるという《結果・満足感》や、恋人からの愛を感じたいという《期待感》が欲しいからですよね。

商品・サービス自体の特徴にお金を払いたいわけではなく、商品・サービスを体験することで得られる満足感、理想の未来のためにお金を払いたいはずです。

つまり商品を買う目的は、メリットではなくベネフィットだということです。

目的を提案されることで商品の価値を理解できる

お客さんは、自分の理想的な未来(ベネフィット)を提案されることで、初めて商品・サービスの価値に触れることができます。

ですので商品を販売する際には、メリットよりもベネフィットを伝える必要があるんですね。

そもそも、「スリムになって恋人の愛を感じる」という目的さえ達成できれば、スポーツジムで運動する必要はないわけです。

だからこそ、商品を紹介する時には、しっかりとベネフィットを訴える必要があり、また、その選択の正しさをアピールすることが大切になります。

売る側になるとメリットを伝えがち

商品紹介はメリットだけを伝えがち

今度は売る側の立場になって、ベネフィットとメリットの違いを考えてみましょう。

例えば、あなたはパン屋さんで目玉商品を開発したとします。珍しい星形のアンパンです。使っている材料や味にも自信があり、なんとかして売りたいと思っています。

アンパンを売るためには、お客さんに何を伝えますか?

  • 「このパンはイタリアから輸入した自慢の特製石釜で焼き上げました」
  • 「このパンに使っているあんは、入手困難な◯◯産の小豆と◯◯産の砂糖を使用しています」
  • 「星形のアンパンは当店だけのオリジナルです」

売る側の立場になって商品紹介をしようとすると、こういう書き方をしてしまいがちです。ですが、これらは全てあんぱんの特徴や長所を伝えているだけです。

なぜこういう書き方になりがちかと言うと、商品紹介をしようとすると、商品にフォーカスを当ててしまうからです。ついつい自己紹介目線で、メリットを伝えようとしてしまうんですね。

もっと言えば、メリットにもなっていない、ただの特徴だけを伝えてしまう場合もあります。

お客さんはベネフィットを欲しがっている

ですが、特徴だけのメッセージを読んだところで、お客さんは「・・・だから何?」と感じてしまいます。なぜなら、すでにお分かりのとおり、お客さんは特徴を買いたいとは思っていないからですね。

特徴やメリットだけのメッセージだと、満足感や期待感といったベネフィットが伝わらないので、お客さんにとっては魅力的なメッセージとは言えなくなります。

商品の特徴やメリットは、ベネフィットを付け加えることで魅力的なメッセージに変わります。

先ほどのメッセージにベネフィットを付け加えると

  • 「このパンはイタリアから輸入した自慢の特製石釜で焼き上げることで、ふっくらモチモチした食感を味わっていただけます
  • 「このパンに使っているあんは、入手困難な◯◯産の小豆と◯◯産の砂糖を使用していますので、他で食べることのできない高級な味を楽しむことができます
  • 「星形のアンパンは当店だけのオリジナルですので、お土産にすると物珍しさがたいへん喜ばれます

こんな風になります。

商品の特徴やメリットを伝えるよりも、特徴から生まれるベネフィット《満足感や期待感》を付け加えることで、未来を想像しやすく魅力的に感じませんでしたか?

あなたはアンパンという商品を売っていますが、お客さんはアンパンという商品が欲しいわけではありません。お客さんはアンパンを買うことで得られる、ベネフィット《満足感や期待感》が欲しいんですね。

メリットだけを伝えても売れる場合がある

ただし、メリットだけを伝えても商品が売れる場合があります。

例えば、先ほどのスポーツジムAの特徴である「月額5000円」「200平米の広さ」といったメリットは、すでにスポーツジムへ通いたい欲求を持っている人にとっては、魅力的に感じる要素です。

「安いから通おう」「広いから通おう」というのは、そのジムを選ぶ有利な条件になりますよね。

ですので、すでにスポーツジムへ通いたいと思っていて比較検討している人には、メリットを伝えるだけでも通ってくれる可能性があります。

誰に向けた広告?

ただし、広く広告を出すときには、まだ自分の欲求に気づいていない多くの人へ向けてアピールをすることになります。

ですので、広告で多くの人を相手にしたいなら、商品を買う条件になるメリットだけではなく、商品を買う目的であるベネフィット(満足感や期待感)を伝えなければいけないんですね。

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ベネフィットは人によって違う

ベネフィットは人によって変わる

また、ベネフィットは人によって変わるということも、ベネフィットを理解するには重要なポイントです。

例えば、先ほどのスポーツジムAには、

  • 月額5000円
  • 200平米の広さ
  • 20種類のトレーニングマシンがある

というメリットがありました。

これらのメリットをベネフィットに変える時には、誰にとってのベネフィットであるかを考えることが大切です。

同じ特徴でも人によって違うベネフィットになる

例えば、「20種類の豊富なトレーニングマシンが使える」というメリットをベネフィットに変える場合を考えてみます。

体のいろんな部位を鍛えたい人へ向けたベネフィットにするのなら、

「20種類の豊富なトレーニングマシンで、あらゆる筋肉を鍛えられます

というメッセージにすれば、魅力を感じると思います。ですが、ただ運動不足を解消したい程度の人にとっては、このメッセージに魅力を感じることはないかもしれません。

運動不足を解消したい人の望みは、『飽きることなく継続してジムへ通うこと』かもしれません。その場合は、

「20種類の豊富なトレーニングマシンで、気分転換しながら飽きずに続けることができます

という方が魅力的なメッセージになります。

このように、“同じ商品の特徴でも、お客さんの目的によってベネフィットは変わる” ということが、ベネフィットを理解するうえで最も重要なことです。

ですので広告を作成する際には、「誰に響かせるメッセージを発信するのか」という理想の顧客層ペルソナを考えることが重要になります。全ての人に響くメッセージはありません。

ベネフィットとメリットを恋愛で例えると

カップル

恋愛の場面に例えてみるなら、あなたが口説き落としたい女性を目の前にして、あなた自身の身長や体重、出身地、仕事、趣味を話すことは、『商品の特徴』を説明していることになります。

あなたの身長が180cmで、東大出身、仕事は弁護士で年収が高いという女性が食いつきそうな条件だったとしたら、その話しをすることは『商品のメリット』を話していることになります。

「僕は弁護士をしてるんですよ。だから年収は普通のサラリーマンよりもあると思います。大学は東大でした。趣味は将棋とジョギングです。ジョギングは最近始めたばかりなんですが・・・」

『特徴・メリット』だけを聞かされた女性はどう感じるでしょうか?

メリットに食いつく女性もいるとは思いますが、きっと大抵の女性は「何? ナルシストなの? 自分のことばっかり話して、つまんない人・・・」と感じると思います。

あなたが意中の女性を口説き落としたいなら、まずは相手がどんなことに興味を持っているのかを知る必要があります。

何がメリットで、ベネフィットか?

もしも、相手の女性が「東大出身って、なんかスカしてて嫌い・・・」という価値観を持っているとしたら、東大出身はメリットではありません。

相手が何を求めているのかによって、メリットやベネフィットは変わります。

例えば、相手の女性がワイン好きなら、「美味しいワインが飲めるお店を知ってるよ!」という話しをすることで興味を持ってもらえます。これが『ベネフィット』にあたります。

相手の希望を叶えてあげることが、恋愛でのベネフィットです。

年収が高いというメリットをベネフィットに変えるのであれば、「価格を気にせずにワインをたくさん飲んできたから美味しさの違いがわかる」ということを、それとなく伝えることです。

相手の好みを知らなければ、ベネフィットは語れません。

これはマーケティングと同じですね。

▼売る商品より大事なもの▼ウェブセールスライティング習得ハンドブックcp-b

まとめ

ベネフィットとは、お客さんが商品・サービスの特徴から得られる、満足感(感情)や未来の期待感のことです。商品を買うときには目的になるものです。

メリットとは、多くのお客さんにとってプラスに働く商品の効果のことです。商品を買うときには条件になるものです。

商品・サービスを販売する時には、ベネフィットを伝えることが大切です。

ベネフィットは人によって変わるので、ターゲットとする理想の顧客像(ペルソナ)へ向けたメッセージ作りが重要になります。

セールスコピーを書く際には、ベネフィットは3つに分類できることを知っておくと、お客さんに伝わるメッセージ作りに役立ちます。

次の記事では、ベネフィットの3種類を解説します。
Next⇒「アーカーのベネフィット3分類|商品価値を正しく伝える方法とは

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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