マーケティング術

ペルソナとは?意外と知らないマーケティングの設定ポイント

2015-09-02

ペルソナの作り方

商品・サービスを販売する際に、ターゲットとする一人の理想的な顧客像のことを、マーケティング用語でペルソナと言います。

ペルソナは Webマーケティングをはじめ、商品を作る時、商品を売る時、ブログを書く時など、いろいろな用途で重要になる概念です。

この記事では、

  • ペルソナとは何か?
  • なぜペルソナが重要なのか?
  • 正しいペルソナの設定の仕方とコツ

について解説します。

正しいペルソナを設定して、あなたのビジネスを成功へ導くために役立ててください。

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ペルソナとは

マーケティングにおいてのペルソナ(Persona)とは、企業が提供する商品・サービスにとって、最も重要で象徴的なユーザーモデルを意味します。

ようするに、“理想的なお客さん像” のことです。

「年齢・性別・職業・年収・家族構成・住所・ライフスタイル・価値観・趣味趣向」などを履歴書のように用紙に書き込み、一人の人物像として設定します。

ペルソナを設定しないとビジネスは潰れる?

ペルソナがどんな人物像なのかを想定していないと、今後あなたのビジネスはうまくいかないかもしれません。

なぜならペルソナは、

  • 売れる商品づくりのアイデア
  • セールスのためのメッセージ作り
  • 広告の媒体決め
  • インターネット広告の出稿時間
  • Webサイトでコンテンツを作成する時のテーマやキーワード決め
  • ブログを書く時の読者層の想定

など、マーケティングにおいて、全てのことに深く関係しているからです。ですのでペルソナとは、「ビジネスにとっての軸」と言っても過言ではありません。

ペルソナは「仮面」を意味するラテン語

このペルソナは、元々は古典劇において役者がつける「仮面」を意味するラテン語でした。

これを心理学者のカール・グスタフ・ユング氏が《人間の外的側面》の意味で「ペルソナ」と呼んだことから、マーケティング用語としても使われるようになりました。

ペルソナ・マーケティングのはじまり

ペルソナがマーケティング手法として広まったのは、1999年にアラン・クーパー氏の著書『コンピュータは、むずかしすぎて使えない!』の中で、ペルソナという考え方が登場したことがきっかけです。

その後、2007年に刊行されたジョン・S・プルーイット氏の著書『ペルソナ戦略―マーケティング、製品開発、デザインを顧客志向にする』によって広まりました。

ちなみに、ペルソナ・マーケティングの概念が登場する以前は、ターゲットとする顧客層は「STP分析」というフレームワークを使って、1つのグループとして扱っていました。

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ペルソナを一人の人物像にする理由

ペルソナは、一人の人物像にすることが大切です。

こう言うと、「自分の商品を買ってくれるなら、どんな人物だってかまわない」という反論をしたくなるかもしれません。なるべくなら大勢の人に知ってもらいたいし、いろんな人に買ってもらいたいという気持ちは当然だと思います。

ですが次の2つの理由から、理想とする顧客像「ペルソナ」は、一人の人物として絞った方が良いことがわかります。

ペルソナを一人の人物像にする理由

  1. 社内での共通認識として
  2. 響くメッセージを作るため

1. 社内での共通認識として

ペルソナを一人の人物像として扱うのは、社内で商品開発やメッセージを考える際に、共通認識を保つためです。

例えば、「サラリーマンの30代男性」というような、年齢や性別だけの簡単なペルソナを想定したとします。

この場合は、年齢と性別だけの情報から想像できる年収や趣味趣向は、人によってバラバラになってしまいます。優雅な独身生活を送っている年収の高い30代を想像する人もいれば、家族のために生活を切り詰めている年収の低い30代を想像する人もいるかもしれません。

これでは社内で商品開発やメッセージを考える時に、どんな人に向けたものを考えれば良いのか、マーケティングの方向性がぼやけてしまうことになります。

そうならないために、社内での共通認識として、ペルソナは一人にしておくことが大切なんですね。

2. 響くメッセージを作るため

ペルソナを一人の人物像にするのは、販売の際にカクテルパーティー効果を使ってメッセージを目立たせるためです。

カクテルパーティー効果とは、街中や騒がしいパーティー会場でも、自分の名前や、自分が興味のある会話などは自然と聞き取ることができる現象のことです。

もしも不特定多数の人へ向けたメッセージを発信した場合は、誰も意識を傾けてくれないんですね。まさに騒がしいパーティー会場での騒音と同じです。

商品を宣伝する際には、ペルソナの特徴を叫んで、「私のことを呼んだ?」と意識を傾けてもらう必要があります。

ペルソナに響くメッセージの例え

あなたは次の3つのうち、どのメッセージに耳を傾けようと思いますか?

  1. どんな人にも効く、体力回復のドリンクがあります
  2. 働く女性に効果抜群の、体力回復のドリンクがあります
  3. オフィスワークの男性専用の、体力回復のドリンクがあります

もしも、あなたがオフィスワークの男性であれば、3番目のメッセージに興味が湧きませんでしたか? または、あなたが女性なら、2番目のメッセージに目が止まりませんでしたか?

同じ『体力回復のドリンク』でも、誰に宛てたメッセージなのかで注目度は変わりますよね。“どんな人にも効く” という不特定多数に向けたメッセージは、特定の人へ宛てたメッセージの前では霞むことがわかると思います。

ですので、注目されるメッセージを作るためには、ペルソナはできるだけ絞った方が良いことがわかると思います。その理想は、一人の人物像です。

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ぼんやりしたペルソナは、すべてがぼんやりする

たとえ『ペルソナ』という言葉を知らなかったとしても、ある程度の顧客像は想定していることだと思います。

例えば、あなたがダイエットのサプリメントをWebサイトで販売するとします。この場合は、「ダイエットといえば、女性客を狙おうかな?」という想像をするのではないかと思います。

そこで、次のようなペルソナを考えるのではないでしょうか?

ぼんやりとしたペルソナ例

  • 30代女性
  • OL
  • 年収300万円くらい
  • 独身
  • 一人暮らし
  • 太っていてダイエットを考えている

ただし、この程度のペルソナでは、この女性は何を目的にしてダイエットを考えているのかがわかりません。何に価値を感じるのかもわかりません。

どんな不安があるのか、どんな悩みを持っているのかが分からないため、どんなメッセージに興味を示してくれるのかもわからないことになります。

マーケティングで役に立つ正しいペルソナの設定方法

マーケティングで役に立つペルソナを作るためには、実在する一人の人物と思えるまで考えることが大切です。

あなたの扱っている商品やサービスは、どんな人が利用すると、その人の悩みは解決できますか? または、どんな人が「欲しい」と熱望する商品・サービスですか?

すでにお客さんのデータをお持ちでしたら、どんな顧客が多いのかを集計して、ある程度作り込めると思います。新しい商品の場合などで全くデータがないとしたら、はじめは想像でも構いません。

ただし、いくらペルソナが理想の顧客像とはいえ、全くリアリティのないペルソナにならないように注意する必要があります。

例えば、

  • 毎月100万円を自由に使える人
  • 提案したらなんでもホイホイ買ってくれる人

を理想の顧客像にしたところで、リアリティに欠けますよね。

リアリティのあるペルソナを作るアプローチ

リアリティのあるペルソナを作るには、2つのアプローチがあります。

  1. 類似する商品の顧客層からペルソナを作る
  2. STP分析をした後にペルソナを作る

1. 類似する商品の顧客層からペルソナを作る

まずは類似する商品の顧客層をリサーチします。

想像するペルソナに近い人に実際にリサーチしてみることが理想ですが、それができなければ、インターネットで類似商品のレビュー欄を見ることで、ペルソナに近い人がどんな悩みを持っているのかをリサーチしてみます。

大勢の人をリサーチした結果、あなたが理想にしたい一人の人物像として統合します。

2. STP分析をした後でペルソナを作る

もう一つの方法は、マーケティングのフレームワークとして有名な「STP分析」を行った後に、狙うべきターゲット層を一人の人物像として統合する方法です。

STP分析

  • Segmentation(セグメンテーション):市場を細分化
  • Targeting(ターゲティング):顧客層を絞る
  • Positioning(ポジショニング):No.1の場所を陣取る

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ペルソナの作り方のコツ

ペルソナで重要なのは、ペルソナの内面である価値観です。

ペルソナの外面のプロフィール(家族構成/住所/仕事/年収/趣味/1日〜1週間のライフスタイル)は、内面(抱えている悩み/不安・恐怖/信念/具体的な希望/商品の業界に対する思い込み/何に希望を感じていて何に抵抗を感じるのか)を導き出すための要素として考えてください。

セグメンテーションで使う変数でいえば、サイコグラフィック(心理的変数)やビヘイビアル(行動変数)が重要です。

ペルソナで重要な変数

  • サイコグラフィック(心理的変数):性格的特徴・生い立ち・ライフスタイル・価値観・趣味趣向など
  • ビヘイビアル(行動変数):利用頻度・利用用途・消費行動・目標など

それから、ペルソナにつける名前や写真は、イメージに引っ張られないように、身近な人や有名人を避けるようにします。

具体的なペルソナ例

  • 吉田佳子(名前をつける)
  • 顔写真(理想のペルソナに近いイメージの人の写真をネットから拝借する)
  • 34歳女性
  • 162cm 65kg
  • 未婚
  • 都内にて営業事務職
  • 年収330万円
  • 貯金150万円
  • 毎月自由に使える金額/4万円
  • 都内近郊駅から徒歩10分の家賃8万円の賃貸マンションに一人暮らし
  • 2年間恋人なし
  • 週末に学生時代からの友人と飲みに行くのが好き
  • 転職をぼんやりと考えている
  • パソコンで1日2時間ほどインターネットを利用する
  • テレビや雑誌はあまり見ない
  • 流行りモノには興味がない
  • 女優の綾瀬はるかに憧れている
  • なかなか人を信用できない
  • 「それは無理じゃない?」が口癖
  • 1日から一週間のストーリー/
    朝は9時30分の出勤時間に間に合うように、午前8時半には家を出る。電車を30分ほど乗って出社。お昼は近くの飲食店でランチをすることもあるが、大抵はお弁当を作って持って行っている。ランチは同僚たちと仲良く食べる。6時30分には仕事が終わり、近所のスーパーに寄ってから家に帰る。たまに駅近くの本屋で立ち読みをする。家に帰ると自炊をして、インターネットを利用する。12時頃には寝るように心がけている。
  • 悩み/
    最近職場の同僚が結婚したのを機に、恋人が欲しいと考え始めた。風呂上がりにふと鏡を見たときに、学生時代からは体型が変わっていることを気にし始めていた。ダイエットでもしようかと思ったのだが、体を動かすのが面倒に感じる。というのも、過去に何度か運動するダイエットに挑戦したものの、長続きしなかったせいだ。
  • 具体的な希望/
    夏までに、なるべく運動することなく健康的に痩せたい。目標は10kg減量。
  • 商品の業界に対する思い込み/
    サプリメントでダイエットって、本当に痩せるのか懐疑的。
  • 不安や恐怖/
    サプリメントを飲んだところで、全く効果が出なかったらどうしよう。肌荒れや、ホルモンバランスが崩れるのは怖い。
  • 自社の広告・Webサイトを見つけるまで/
    本屋で立ち読みした雑誌に、ダイエットの特集ページがあった。そこでサプリや健康食品についての記事を読み、インターネットでいろいろチェックしていたところ、自社サイトに辿り着いた。

ペルソナに響くマーケティング戦略を考える

ペルソナについて、外面から導き出せる内面を考え出せれば、どんなメッセージが、この「吉田佳子」さんに響きそうなのかが見えてきませんか?

上の例で言えば、『婚活を考えていて体型を気にしている女性』や『最近ダイエットを考え始めた運動嫌いな人』へ向けたメッセージが響きそうですよね。

『なかなか人を信用できない』や『本当に痩せるかどうか疑問』ということを考えれば、吉田さんに信用してもらうためには、痩せるための客観的なデータがたくさん必要になりそうです。

また、吉田さんがダイエットに関して検索をする際には、

  • 「体型 戻す」
  • 「肌荒れしない ダイエット」
  • 「走らない ダイエット」
  • 「健康的 ダイエット」
  • 「食事 ダイエット」

といったキーワードで検索するかもしれません。

コンテンツ(ブログ記事)を用意するなら、これらのキーワードについて書いていけば、Webサイトへ来てくれる可能性が高くなりそうです。

そして、テレビや雑誌は見ないけど、インターネットでの広告だったら見つけてくれそうです。広告の出稿時間は、平日なら夜の7時から0時くらいが良さそうです。

お客さんの顔が見えれば、

  • どんなキーワードを使って検索しそうなのか
  • どんな商品を揃えれば喜んでもらえるのか
  • どんなメッセージを書けば響くのか
  • どこで宣伝すれば良いのか

といったマーケティング戦略が見えてきます。

一人に響くメッセージは拡散する

「いやいや、お客さんは一人じゃないし、男もいれば女もいる!」と考えられるかもしれません。でも、まずは一人に届けるメッセージとして考えてください。そうすることで、メッセージが具体的になります。

メッセージを具体的にすることで、同じ価値観の人にも必ず響きます。

上の例で言えば、「婚活を考えていて体型を気にしている人」は、34歳の女性だけとは限りません。「ダイエットを考えている運動嫌いな人」は、男性にだって当てはまります。

想像だけでペルソナを作る場合は、当然ですが、実際の顧客層とは違ってくることがあります。そのためには、何度も修正して作り直すことが大切です。

ペルソナと実際の顧客層は違っても良い

ただし、ペルソナと実際の顧客層が違っていたとしても、お客さんになってくれた人は、ペルソナへ向けたメッセージに共感した人であることも忘れてはいけない要素です。

例えば、ルイヴィトンが女子高生に人気があったとしても、ルイヴィトンは女子高生に向けてメッセージを発信している訳ではありませんよね。

ルイヴィトンが想定している顧客層は「上質な製品を手にすることでステータスを感じたい人」です。そのメッセージに、女子高生が共感しているということです。

ですので、たとえペルソナと実際の顧客層が違っていたとしても、商品が売れて満足されているのであれば問題はありません。

▼売る商品より大事なもの▼ウェブセールスライティング習得ハンドブックcp-b

まとめ

マーケティング戦略を考えるためには、理想のお客さん像である「ペルソナ」を作ることが大切です。

ペルソナに響くメッセージを作るためには、実在する一人の人物と思えるまでプロフィールを考えることが大切です。そのプロフィールは、ペルソナの内面である価値観を導き出すために作ります。

メッセージを具体的にすれば、同じ価値観の人にも必ず響きます。ぜひ、お客さんの顔が見えてくるまで考えてみてください。

追伸

もしも「自分のビジネスではどんなWeb集客をすればいいの・・・?」という疑問があれば、当サイト(Web活用術。)の特別コンテンツを参考にしてみてください。

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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