あなたが扱う商品・サービスをお客さんに注目してもらうためには、ターゲティングをすることが大切です。
ターゲティングとは、狙うべき顧客層を定めることです。
ターゲティングを行うことで、あなたのメッセージは買ってもらいやすい顧客層に的確に届くようになり、利益を最大化させることができます。これは、Webサイト(ブログ)に人を集める際にも同じことが言えます。
一方で、ターゲティングを間違ってしまうと、利益を最小化させることにもなります。
この記事では、ターゲティングの6種類のパターンについて解説します。あなたのビジネスでは利益を最小化させるパターンを選んでしまっていないか、一度確認してみてください。
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マーケティングで使うターゲティングとは
ターゲティング(Targeting)とは、セグメンテーションによって細分化した市場について、どのセグメントを自社のターゲットにするのかを決定することです。
セグメンテーションとターゲティングは、2つで1つのセットと考えるとわかりやすいです。
絞られた顧客層は、「ターゲット市場」や「標的市場」とも呼ばれます。
ターゲティングが登場する以前は完全競争か独占市場のみだった
セグメンテーションやターゲティングは、アメリカのマーケティング学者だったウェンデル・R・スミス氏が、1956年に提唱した『市場細分化概念』が始まりとされています。
1950年代以前のマーケティングでは、市場は単一と考えられていて、値引きをしてでも徹底的に競い合う完全競争か、強者しか生き残れない独占市場しかないとされていました。
市場を細分化するという概念は、体系的にはまとめられていなかったんですね。
その後、1960年にはマーケティング学者のE・ジェローム・マッカーシー氏が「ターゲット・マーケティング」を提唱し、ターゲティングの重要性が浸透していきます。
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ターゲティング 6つのパターン
経営学者デレク・F・エーベル氏は、ターゲティングを5つのパターンに分類しています。ここでは僕が考えるパターンを最後に一つ追加して、6つのパターンとして解説します。
これらのパターンをひとつの基準として、あなたのビジネスや、Webサイト(ブログ)のターゲティングを考えてみてください。
- 単一セグメントへ集中
- セグメントを選択して専門化
- 製品に特化して専門化
- 市場に特化して専門化
- 市場のフルカバレッジ
- 関連する市場と製品で専門化
ひとつずつ、解説していきます。
1. 単一セグメントへ集中
単一セグメントへ集中とは、一つの製品(プロダクト)と一つの市場にターゲットを絞るパターンです。
Webサイト(ブログ)で例えるなら、ある特定の悩み(または希望)を持った人に、その悩み(または希望)を解決するための記事を書き、一つの商品・サービスを紹介するようなサイトです。
例えば、心理カウンセラーがアダルトチルドレンの悩みを抱えている人に向けて情報発信をして、自身のカウンセリングを紹介するようなサイトがそうですね。また、ペラサイトと呼ばれるアフィリエイトサイトも、このターゲティングにあたります。
メリット
- 一点集中の専門家として存在できるため、強力な影響力を持てる
- 自社が持っている資源を集中して活用できる
デメリット
- 標的市場や商品が衰退した場合は、共に衰退するリスクがある
2. セグメントを選択して専門化
セグメントを選択して専門化とは、複数の異なる市場にターゲットを絞るパターンです。企業の理念や目的に合った市場と製品なら標的市場にする、という戦略です。
Webサイト(ブログ)で例えるなら、薄毛に悩む男性に向けて薄毛治療の記事を書き、ゴルフ好きの男性に向けてゴルフ上達の記事を書き、映画好きの人に向けて映画評論の記事を書き、それぞれに見合った商品・サービスを紹介するようなサイトです。
雑記ブログに多いパターンですね。
メリット
- ターゲットを自由に設定できてリスク分散ができる
デメリット
- セグメント間では市場や製品が共通しないので、相乗効果が期待できない
- 専門家としての地位が確立しにくい
3. 製品に特化して専門化
製品に特化して専門化とは、一つの製品で複数の市場をターゲットにするパターンです。
Webサイト(ブログ)で例えるなら、「ダイエットに興味はあるけど、まだ必要だとは感じていない人」や、「今すぐダイエットを考えている人」に向けて広く情報発信をして、一つの商品を紹介するようなサイトです。
個人でもできるオウンドメディアマーケティングでは、このターゲティングが多いですね。
メリット
- どの市場でも製品の影響力を強くできる
デメリット
- 新しい技術の登場によって全滅のリスクがある
4. 市場に特化して専門化
市場に特化して専門化とは、複数の製品で一つの市場をターゲットにするパターンです。
Webサイト(ブログ)で例えるなら、「今すぐダイエットを考えている人」に向けて、いろいろなダイエット方法や関連商品を紹介するようなサイトです。
サイトアフィリエイトと呼ばれるサイトに多いターゲティングです。
メリット
- 多様化したニーズに対応できるので、高い評価を得られる
デメリット
- 市場の動向によって状況が左右されるリスクがある
5. 市場のフルカバレッジ
市場のフルカバレッジとは、あらゆる製品を提供するために全ての市場をターゲットにするパターンです。莫大なコストを投入できる、大企業のみが可能なターゲティングです。
Webサイトで例えるなら、Amazonや楽天がそうですね。
メリット
- 幅広いターゲットが取れる
- 大きな利益を期待できる
デメリット
- 莫大な資金が必要になる
6. 関連する市場と製品で専門化
ニーズやライフスタイルが多様化した現在では、ターゲティングの6つ目のパターンとして、関連する市場と製品で専門化するパターンがあると考えます。
Webサイト(ブログ)で例えるなら、「ダイエットに興味はあるけど、まだ必要だとは感じていない人」や、「今すぐダイエットを考えている人」に向けて広く情報発信をして、それぞれの状況に合った関連商品を紹介するようなサイトです。
規模の大きめなメディアサイトにあたるターゲティングです。
メリット
- 幅広いターゲットを取れる
- 相乗効果が見込める
デメリット
- 多様化したニーズに対応するためにコストが高くなる
- 本当に売りたい商品・サービスがある場合は、本命がボヤけてしまう
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セグメンテーションとターゲティングを正しく進める6R
セグメンテーションとターゲティングが正しく行えているかどうかは、「6R」と呼ばれる6つのチェックポイントに沿って考えることができます。
- 市場規模は小さすぎないか?(Realistic Scale)
- 競合は強くないか?(Rival)
- 市場に成長性はあるか?(Rate of Growth)
- 優先度は高いか?(Rank/Ripple Effect)
- 到達可能性に問題はないか?(Reach)
- 反応を測定することは可能か?(Response)
あなたのビジネスを浸透させるセグメンテーションなのか、あなたが有利になるためのターゲティングなのかは、この「6R」でチェックしてみてください。
ターゲティングをしないとどうなる?
もしもターゲティングをしないで商品を売ろうとしたなら、それは「市場のフルカバレッジ」をしていることになります。
莫大な資金を投入できる大企業であれば問題はありませんが、個人や中小ビジネスでは大問題になります。なぜなら、使える時間やコスト、人材には制限があるからですね。
現在ではいろんなニーズやライフスタイルが存在し、それに応じて、商品やサービスもすでに細分化がされています。それなのに、なるべく広いセグメントをカバーしようとすると、利益を最大にするどころか、利益を最小にしてしまう危険性さえあります。
スモールビジネスでは広いターゲットを取ると利益が減少する
例えば、あなたが個人で弁護士の仕事をしているとします。
あなたの得意分野が『離婚問題』だとしたら、「離婚の相談がしたい人」というセグメントにターゲットを絞ることで、利益を最大にすることができます。
もしもターゲットを広く取ろうとして、全市場へ向けて「離婚問題、賃貸借問題、サラ金問題、債務整理、どんな悩みも解決できます」というメッセージを発信した場合は、離婚の相談をしたい人すら来てくれなくなってしまう可能性があります。
なぜなら離婚の相談がしたい人は、『離婚専門の弁護士』に依頼した方が安心できると感じるからです。依頼者は、他に存在する『離婚専門の弁護士』に流れてしまうんですね。
ひとつの専門に特化すれば利益が最大化する
ですが、ひとつの専門に特化すれば、他の分野についても高い評価を持ってもらえる可能性が高まります。
『離婚専門の弁護士』という看板を掲げれば、依頼者には「スペシャリスト」という印象を与えることができます。このスペシャリストの印象は、心理現象のハロー効果が手伝って、離婚問題以外の分野についてもスペシャリストの印象をまとうことができます。
つまり、離婚問題はもちろん、離婚問題以外の依頼者も来てくれる可能性が高まるんですね。
ですので、個人や中小ビジネスが利益を最大にするためには、コストの最小化を図るためにも、もっとも収益性の高いセグメントに絞ることが大切だというわけです。
ターゲティングはSTP分析にも登場する
このターゲティングは、あなたをライバル不在の独自の存在へと導く「STP分析」にも登場します。
STP分析とは、「マーケティングの神様」と称されるフィリップ・コトラー氏が提唱した、次の3つの要素からなるマーケティング戦略のフレームワークです。
- Segmentation(セグメンテーション):市場を細分化
- Targeting(ターゲティング):顧客層を絞る
- Positioning(ポジショニング):No.1の場所を陣取る
STP分析ではセグメンテーション・ターゲティングと同時にポジショニングも行う
STP分析では、顧客をセグメンテーションして細分化し、利益を最大にできる顧客層のターゲティングを行うと同時に、ポジショニングも行います。
ポジショニングとは、競合他社と比べて消費者がどのように自社のことを認識するかを定め、自社の居場所をつくることです。ポジショニングによって、ライバルとの差別化を図ります。
そして、もっとも重要なのがポジショニングです。
まとめ
ターゲティングとは、買ってもらいやすい顧客層を絞ることです。セグメンテーションで市場を細分化して、ターゲティングを行います。
対象となる顧客の母数は減りますが、自社の得意分野に集中することでコストを最小に抑え、お客さんからは注目されやすくなり、利益を最大にすることができます。
ターゲティングの方法は、一般的には5つのパターンがあります。ニーズやライフスタイルが細分化された現代では、6つ目のパターンもあると考えます。
- 単一セグメントへ集中
- セグメントを選択して専門化
- 製品に特化して専門化
- 市場に特化して専門化
- 市場のフルカバレッジ
- 関連する市場と製品で専門化
あなたのビジネスやWebサイト(ブログ)では、どのようなセグメントがもっともコストを抑え、もっとも利益の高い顧客層になりそうですか?
ぜひ、効果的なセグメンテーションと、最小範囲の注力で利益を最大にできるターゲティングを考えてみてください。
STP分析では、セグメンテーションとターゲティングと同時に、ポジショニングについても考えることが大切です。
次の記事では、あなたのビジネスをNo.1のポジションにするための解説をしています。
Next⇒「ポジショニング戦略|マーケティングで重要な差別化と独自化の方法」
追伸
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