マーケティング術

マーケティングミックスとは?一貫性が必要な4P/8P/4C分析

投稿日:2018-02-18 更新日:

マーケティングミックス|4P/8P/4C

マーケティングでは、戦略としての「計画」から、戦術としての「実施」に到るまでには、色々な要素を絡めて考える必要があります。

複数のマーケティング要素の組み合わせのことを、マーケティングミックスと言います。現在のマーケティングミックスは、4P・8P・4Cに集約できます。

マーケティングでは、全ての要素が一貫していることが大切です。

例えば、競合の商品と比べて高額なのに、「お値打ち品!」と宣伝してしまっては、一貫性がありませんよね。高級品をうたっていながら、ディスカウントショップで販売していては、なんだか違和感を感じます。

企画部門と制作部門と販売部門がそれぞれの意思で行動をすると、このような間違いが起こってしまいます。

個人ビジネスや小規模ビジネスの場合は、このようなミスは起こりにくいかもしれません。ですが、マーケティング活動が統一できているかどうかを確認するためには、マーケティングミックスで要素を分解して考えてみてください。

マーケティングミックス とは

マーケティングミックスという言葉は、製品中心のマーケティングが主流だった1950年代に初めて登場しました。最初に使用したのは、ハーバード・ビジネススクール教授のニール・ボーデン氏(Neil Borden)だとされています。

ボーデン氏は、製品計画、価格、パッケージ、ブランド、流通経路、広告、販売促進、陳列、対面販売、サービス提供、物流、調査と分析の質と量を、マーケティングミックスの要素としてあげました。

その後、1960年にアメリカのマーケティング学者エドモンド・ジェローム・マッカーシー(Edmund Jerome McCarthy)氏が、マーケティングミックスを4つにまとめて、その頭文字をとって『4P分析』として提唱しました。

これによって、マーケティングミックスの代表的なモデルが4Pとして広まりました。

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製品のための 4P分析

1960年に提唱された4P分析は、本来は消費者志向の分析ではあるものの、1970年代に消費者志向が叫ばれるようになってからは、売り手側から捉えた分類という位置付けになりました。

4P分析とは、次の4つのマーケティング要素です。

  1. Product:製品
  2. Price:価格
  3. Place:流通
  4. Promotion:プロモーション
4P分析

4P分析

マーケティング活動においては、4つの要素は全て一貫性があることが大切です。

1. Product:製品

「製品」とは、お客さんに対価をもらって提供する商品のことです。製品以外にも、保証やアフターサービスなども含まれます。

具体的に何を商品にするのかを決定し、想定した顧客層(ペルソナ)に向けた機能や品質、パッケージデザイン、ブランドであることを確認する必要があります。

また、ベネフィット(満足感)を確認することも大切です。

例えば、『お母さんの味が楽しめる定食屋さん』というコンセプトでオープンしたお店のメニューが、「鴨肉のコンフィ」「おでん」「鶏とカシューナッツの炒め物」だったりすると、一貫性がありませんよね。

2. Price:価格

「価格」とは、商品の販売価格のことです。

固定費や変動費、ライバルの存在を考えた上で価格を設定しますが、想定した顧客層が満足できる価格であることを確認する必要があります。

価格を設定する際には、「PSM分析(Price Sensitive Measurement)」と呼ばれる情報収集の方法があります。アンケートを取ることで、価格帯の参考にできます。

PSMの4つの質問

  • 質問1:この商品がこれ以上高いと「高すぎる」と感じる価格はいくらか?
  • 質問2:この商品を高いと感じる価格はいくらか?
  • 質問3:この商品を安いと感じる価格はいくらか?
  • 質問4:この商品がこれ以上安いと「安すぎて不安になる」と感じる価格はいくらか?

例えば、『お母さんの味が楽しめる定食屋さん』という親しみのあるコンセプトで「焼肉定食2500円」「野菜炒め定食1500円」だったりすると、なんだか違和感を覚えますよね。

商品の価値は、商品自体が持っている機能や性能の他に、商品から受けるイメージ、商品を購入する場所の雰囲気など、いろいろな要素がトータルされます。

ですので商品の価格は、総合的なイメージで判断することが大切です。

3. Place:流通

「流通」とは、商品がお客さんの手元に届くまでの経路のことです。

直営店で販売するのか、卸をとおして小売店で販売するのか、インターネットで通信販売を行うのか、どのようにしてお客さんに商品を提供するのかを決定します。

流通には3種類あります。

  1. 人・・・訪問販売など、人を介した経路
  2. 媒体・・・インターネットやテレビ、カタログなど、情報媒体を介した経路
  3. 場所・・・店舗や自動販売機など、場所を介した経路

流通は、マーケティングコンセプトと統一感があるかどうかを確認する必要があります。

例えば、『お母さんの味が楽しめる定食屋さん』というコンセプトのお店が、駅から離れすぎているなど、お店に行くことが困難な場合は、足を運んでくれない可能性があります。

また、ファミリー層の住宅街にあった場合は、近くて行きやすい立地条件ではあるものの、わざわざ足を運びたくなるコンセプトではないかもしれません。

4. Promotion:プロモーション

「プロモーション」とは、製品を顧客層に知ってもらい、買ってもらうための活動のことです。広告、パブリシティ、販売促進ツール、セールス活動があります。

製品の存在を知ってもらい、「買いたい」と思ってもらうことが大切ですが、一貫したプロモーションであるかを確認する必要があります。

プロモーションは、大きく分けると2つに分類されます。

  1. 媒体の選択
  2. 表現の作成

1. 媒体の選択とは

どの媒体でプロモーションを行うのかを決定します。報道機関で紹介してもらう、テレビCM、ラジオCM、新聞広告、雑誌広告、インターネット広告、看板、店頭ポップ、試供品提供などがあります。

例えば、『お母さんの味が楽しめる定食屋さん』の想定している顧客層が「一人暮らしの20代〜30代」の場合は、新聞へチラシ広告を出しても、見てもらえる可能性が低いかもしれません。

2. 表現の作成とは

どのようなメッセージを、どのようなニュアンスで伝えるのかを決定します。

暖かみのある定食屋さんが駅前でチラシを配るにしても、簡素すぎるデザインや作り込んだデザインにした場合は、親しみのあるイメージが伝わらないかもしれません。

サービス・マーケティングの 8P分析

1960年に提唱された4P分析は、おもに製造業に関するものでした。

1970年代になると、産業のサービス化が進み、サービスにも当てはまるフレームワークが求められるようになりました。

そこで、「現代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラー氏は、4P分析に3つの「P」を付け足して、7P分析を提唱しました。

現在では、クリストファー・ラブロック氏とヨッヘン・ウィルツ氏の著書『サービス・マーケティング』に登場する、さらにもう1つの「P」が加わった8Pが広まっています。

サービス・マーケティングの8Pとは、次の8つのマーケティング要素です。

  1. Product elements:サービス・プロダクト
  2. Price and other user outlays:価格とその他のコスト
  3. Place and time:場所と時間
  4. Promotion and education:プロモーションと啓発
  5. Physical environment:物理的環境
  6. Process:サービス・プロセス
  7. People:人
  8. Productivity and quality:生産性とサービス品質
サービスマーケティングの8P

サービスマーケティングの8P

5. Physical environment:物理的環境

物理的環境とは、インテリア、ユニフォーム、デザイン、音楽、匂いなど、五感で受け取る情報に関する全てのことです。

お客さんは、視覚・聴覚・嗅覚など五感から入る情報の全てを、サービス体験として受け取ります。

ですので、お店に入った時に、業者からのダンボールが店内に置きっ放しになっていたり、目につく場所にサービスとは無関係のモノが置いてあったりすると、良い体験をしたとは感じなくなってしまいます。

例えば、『お母さんの味が楽しめる定食屋さん』というコンセプトなのに、店内に流れる音楽がヘビメタだったりすると、違和感を覚えますよね。

6. Process:サービス・プロセス

プロセスとは、サービスを提供する方法であったり、サービスの流れのことです。

サービスの品質は、サービスをお客さんに提供するまでのプロセスと、具体的なサービスプログラムの実行によって決まります。

例えば、ディズニーランドでは、アトラクションに乗るまでに長蛇の列に並ばなければいけない場合、音楽を流したり、モニターで期待感を膨らませたり、待ち時間をも楽しませる工夫がされていますよね。

サービスを提供するプロセスにも、気を配る必要があるということです。

『お母さんの味が楽しめる定食屋さん』というコンセプトだとしたら、店内に入ってから料理を注文するまでと、料理が運ばれてくるまで、また、会計の際に至るまで、コンセプトを考える必要があるということですね。

7. People:人

人とは、サービスを提供する人や、その他のスタッフのことです。お客さんも含まれます。

サービスを提供するスタッフのパフォーマンスが、サービス体験に大きな影響を与えます。ですので、自社のブランドイメージに沿った行動を、スタッフ自らの意思で判断できるような人材教育をすることが理想的です。

例えば、『お母さんの味が楽しめる定食屋さん』というアットホームなコンセプトだとしたら、「オーダー以外の注文は受け付けません」といった、冷たい対応はしないようにすることが大切ですね。

また、ドレスコードのある高級レストランがあるように、サービスを受けるお客さん以外のお客さんもまた、サービス体験に影響を与えます。

8. Productivity and quality:生産性とサービス品質

生産性とサービス品質とは、生産性と品質は同時に考慮しなければいけないということです。

効率を追求しすぎると、サービスの品質が低下する可能性があります。また、サービスを追求しすぎると、生産性が下がる可能性があります。

ですので、生産性と品質は同時に改善することが大切なんですね。

例えば、『お母さんの味が楽しめる定食屋さん』というコンセプトであれば、効率を求めると、暖かみのある接客ができないかもしれません。丁寧すぎる接客をすると、他のお客さんを待たせてしまうかもしれません。

顧客視点の 4C分析

製品中心だったマーケティングは、1970年代に消費者志向のマーケティングへと移行しました。

これによって、アメリカのマーケティング学者ロバート・ローターボーン(Robert Lauterborn)氏は、1993年に、4Pに対応させた『買い手視点の4C』という分類を提唱しました。

ローターボーン氏は、「4Pを設定する前に、まずは買い手の視点に立って4Cの検討から入るべき」と主張しています。

4Cとは、次の4つのマーケティング要素です。

  1. Customer Solution:顧客ソリューション
  2. Customer Cost:顧客コスト
  3. Convenience:利便性
  4. Communication:コミュニケーション
顧客視点のマーケティング4C

顧客視点のマーケティング4C

1. Customer Solution:顧客ソリューション

顧客ソリューションは、4Pの「製品」に対応しています。顧客にとって製品は、「欲求を満たすための問題解決策である」という考え方です。

「商品そのものの価値」ではなく、「顧客が商品を使用することによって得られる価値」を重視することが大切です。

例えばレストランであれば、メニューそのものではなく、レストランで食事をすることで得られる満足感を考えることが大切だということです。

2. Customer Cost:顧客コスト

顧客コストは、4Pの「価格」に対応しています。顧客にとって価格は「負担である」という考え方です。

「この商品なら、どれくらいのお金を出してもいいか」を、顧客視点で考えることが大切です。また、商品を維持するための負担や、廃棄するための負担も存在します。

さらに、金銭面の負担だけでなく、その商品の購入までにかかる時間や手間など、心理的な負担も含まれます。

3. Convenience:利便性

利便性は、4Pの「流通」に対応しています。顧客にとっては「いかに簡単に商品を手に入れられるかが重要」という考え方です。

例えば、日用品であれば、スーパーやコンビニなどですぐに手に入れられることが利便性が高いですよね。通販であれば、申し込みは簡単な方が良いですし、面倒な手続きは極力少ない方が利便性は高くなります。

4. Communication:コミュニケーション

コミュニケーションは、4Pの「プロモーション」に対応しています。顧客にとっては「商品の知りたい情報を入手できることが重要」という考え方です。

企業側が届けたいメッセージではなく、顧客が知りたい情報を大切に考えます。また、双方向のコミュニケーションを取れるようにして、顧客の声が正確に企業に届くことが大切です。

以上が、4Cの考え方です。

4Cは4Pに取って替わるものではなく、優れた4Pを実現するために「まず先に顧客ありき」であることを、改めて考え直すことに用いるフレームワークです。

まとめ

マーケティングミックスとは、製品・サービスを商品化するにあたって、いろいろなマーケティング要素をまとめたものです。

現在では、製品のための4P、サービスのための8P、顧客視点の4Cに集約できます。

マーケティングでは、全ての要素が一貫していることが大切です。全体をとおして統一感があるマーケティング活動ができるように、一つ一つを分解して確認してみてください。

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  • この記事を書いた人

高木浩一

大企業のマジメな広告デザインから、男性が欲情するド派手な広告デザインまで、幅広いデザインを経験した元グラフィックデザイナー。マーケティングの門を叩き、心理学と脳科学にハマる。個人が個人として好きなことして生きていく時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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