あなたのブログ(Webサイト)の読者を増やすためには、または商品・サービスが選ばれる存在になるためには、ターゲットとする顧客層を想定することが大切です。
ターゲットを定めるためには、まずはセグメンテーションを行います。セグメンテーションとは、市場をある基準で細分化することです。
市場を細分化するためには、代表的な軸が4つあります。
この記事では、
- セグメンテーションとは何か?
- ターゲティングとの違い
- セグメンテーションで使う4つ軸
について解説します。
マーケティングに不可欠なセグメンテーションの代表的な4つの軸を理解して、あなたのマーケティング活動を有利に進めるために役立ててください。
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セグメンテーション(セグメント)とは
セグメンテーション(Segmentation)とは、特定の基準をもとにニーズが共通している項目で切り取った市場(お客さん)のことを言います。『市場細分化』と訳されます。
市場を細分化することで、ターゲットを定めやすくしたり、新たなビジネスの価値を発見することができます。
ちなみにセグメント(Segment)は、『分割・部分』といった意味です。「何かを分割したモノのうちの一つの部分」を表す言葉です。
例えば、市場を『年齢』で区切るとしたら、
- 「年齢でセグメントする」
- 「年齢でセグメンテーションを行う」
といった言い方をします。
セグメンテーションの考え方の例え
例えば、女性用の矯正下着を販売するとしたら、当然ですが女性のお客さんを対象にしますよね。
女性誌に広告を出すことがあっても、男性誌に広告を出すことはないと思います。ということは、市場を『性別』でセグメンテーションしたことになります。
また、全ての女性が矯正下着を購入するとは限りません。体型を気にしている女性が対象になると思います。「体型維持のために矯正下着を考える10代女性は少ない」と考えれば、市場を『年齢』でセグメンテーションしたことになります。
さらに、デザインや価格帯、販路によって、買ってもらいやすい顧客層も変わります。
このように、売れる商品・サービスを作るためには、あるいは、作った商品・サービスを効果的に宣伝するためには、買ってもらいやすい顧客層を明確にする必要があるんですね。
つまり市場を細分化するセグメンテーションは、顧客層を絞る「ターゲティング」のために行うということです。
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セグメンテーションとターゲティングの違い
ターゲティングとは、狙うべき顧客層を絞ることです。商品開発や宣伝広告のコストを最小にして、利益を最大にするために行います。
顧客層を絞る理由は、買ってもらいやすいお客さんに向けた商品をつくり、買ってもらいやすいお客さんが注目する広告や情報を発信するためです。
個人ビジネスや中小ビジネスにとっては、商品開発や広告費に使えるコストには限りがあるからですね。
セグメンテーションとターゲティングは2つで1つのセット
いろいろな商品・サービスが溢れる現在では、セグメンテーションやターゲティングはマーケティングの必須事項だと言えます。ですので、セグメンテーションとターゲティングは2つで1つのセットと考えるとわかりやすいと思います。
慣れてくれば、セグメンテーションとターゲティングは、同時に行なうことができるようになります。
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セグメンテーションはSTP分析のひとつ
このセグメンテーションは、あなたをライバル不在の独自の存在へと導く「STP分析」のひとつでもあります。
STP分析とは、「現代マーケティングの父」と評されるフィリップ・コトラー氏が提唱した、次の3つの要素からなるマーケティング戦略のフレームワークです。
- Segmentation(セグメンテーション):市場を細分化
- Targeting(ターゲティング):顧客層を絞る
- Positioning(ポジショニング):No.1の場所を陣取る
セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングをうまく行うことで、ライバル不在の存在を目指します。
セグメンテーションの代表的な4つの軸
セグメンテーションで重要になるのが、市場細分化のためには「何を軸にするのか?」ということです。ただ闇雲に市場を細分化しても、あまり意味はありません。
代表的なセグメンテーションは、大きく分けると4つの軸があります。
セグメンテーションの4つの軸
- デモグラフィック(人口統計的変数)
- ジオクラフィック(地理的変数)
- サイコグラフィック(心理的変数)
- ビヘイビアル(行動変数)
これらの軸を元に、絞るべき顧客層を定めていきます。
1. デモグラフィック(人口統計的変数)
デモグラフィック・セグメンテーションとは、顧客の性別・年齢・所得・学歴・家族構成といった属性でセグメントをすることです。BtoB であれば、業種・役職についてもセグメントができます。
マーケティングの世界では、「デモグラフィック変数」とも呼ばれます。
メジャーどころのデモグラフィックで言えば、テレビ業界で使われている「性別と年齢」を軸にしたセグメンテーションがあります。
テレビ業界のセグメント例
- F1:女性20〜34歳
- F2:女性35〜49歳
- F3:女性50歳以上
- M1:男性20〜34歳
- M2:男性35〜49歳
- M3:男性50歳以上
「F2層の共感を狙ったドラマ」といった言葉を聞いたこともあるのではないでしょうか。 同じ性別・近い年齢層なら、関心ごとが共通しているだろうというセグメントですね。
ですが、ライフスタイルが多様化している現代においては、このセグメントだけでは分からないことがたくさんあることに気づくと思います。
例えば、同じF1層だとしても、
- 20歳の独身女性と34歳の既婚女性では、趣味趣向や話題は似ているのか?
- 子供の有無の違いがあっても、興味の順列は似ているのか?
といった疑問です。
テレビのようなマス市場ならいざ知らず、一般的なビジネスにおいては、単純に年齢だけをセグメントしても、あまり意味がないことがわかりますよね。
2. ジオクラフィック(地理的変数)
ジオグラフィック・セグメンテーションとは、国・都市・地区町村・人口・気候・文化・宗教といった地理的な属性でセグメントをすることです。
「ジオグラフィック変数」とも呼ばれます。
ジオグラフィック・セグメンテーションは、実店舗を経営する際に重要になります。
例えば、あなたが定食屋さんを開店するとしたら、
- どのエリアに出店するのか?
- ビジネス街なのか住宅街なのか?
- 大通り沿いなのか路地沿いなのか?
- 駅から近いのか遠いのか?
- テナントビルの1階なのか2階なのか?
といったセグメンテーションをすることで、メニューや価格、広告戦略を決定する軸にすることができます。
3. サイコグラフィック(心理的変数)
サイコグラフィック・セグメンテーションとは、顧客の価値観・性格・ライフスタイル・購買動機などの属性でセグメントをすることです。
「サイコグラフィック変数」とも呼ばれます。
例えば、ダウンコートを買う人は
- 「高級だから欲しい」という高級志向
- 「トレンドだから欲しい」という流行志向
- 「機能的だから欲しい」という機能志向
などの価値観を軸にセグメントができます。
サイコグラフィックで有名なイノベーター理論
メジャーどころで言えば、「商品をどのタイミングで購入するか?」で分割するイノベーター理論があります。
- 革新者:一番最初に使い始める冒険的な人
- 初期採用者:一般的に普及する前に使い始めるトレンドに敏感な人
- 前期追随者:普及し始める頃に使い始める人
- 後期追随者:普及したのを確認してから使い始める人
- 遅滞者:一番最後に使い始める人、または最後まで使わない人
ニーズが多様化し、個人の価値観が重視される現在では、サイコグラフィックがもっとも重要なセグメンテーションだと言えます。
4. ビヘイビアル(行動変数)
ビヘイビアルセグメンテーションとは、商品・サービスの利用頻度・利用用途などの属性でセグメントをすることです。
「行動変数」とも呼ばれます。
例えば、ライトユーザー・ミディアムユーザー・ヘビーユーザーに分割することや、
- 頻繁に買い物をする派
- まとめ買いする派
- ネットショッピング派
といった行動を軸にセグメントができます。
また利用用途としては、商品・サービスを「いつ使うのか?」「どこで使うのか?」といった軸で分割することができます。
例えば、「コーヒーをいつ飲むのか?」で分割した結果、『朝専用モーニングショット』という缶コーヒーが誕生しています。
Webマーケティングで重要になるビヘイビアル・セグメンテーション
インターネットがビジネスに活用されるようになってからは、この行動変数によるセグメンテーションが注目されています。
なぜなら、購買日時・購買頻度といった履歴は、データとして扱いやすいからです。
また、顧客が商品・サービスに対して「どの段階の行動を取っているのか?」という行動の違いによって、インターネットで検索する際に入力するキーワードが変わってくるからです。
例えば、「プロテインダイエット」という商品が購入される際には
- 興味がある人 ⇒「ダイエット プロテイン 効果」
- 詳細を知りたい人 ⇒「プロテインダイエット 種類」
- 比較検討したい人 ⇒「プロテインダイエット 比較」
- 購入したい人 ⇒「プロテインダイエット 最安値」
といったキーワードの違いが生まれます。
これはインターネット検索を使った際に見られる、消費者が商品の認知から購買するまでの心理的プロセスを表したAISCEAS(アイセアス)の行動パターンです。
ですので、Web集客(ブログ・オウンドメディア・コンテンツマーケティング)で記事作成をする際には、このビヘイビアル・セグメンテーションが重要な軸になるんですね。
行動変数や心理的変数に比重をおくペルソナ・マーケティング
この行動変数や心理的変数に比重を置いて、理想の顧客像を作成するマーケティング活動のことは、ペルソナ・マーケティングと言います。
ペルソナ(理想の顧客像)をつくることで、どのような商品開発・宣伝活動をすれば良いのかが分かりやすくなります。
セグメンテーションの注意点
セグメンテーションをする際には、いくつかの注意点があります。
- 思い込みで行わないこと
- ある程度の数のまとまりがあること
- ニーズの特性が明確にできること
例えば、プロテインダイエット商品をWebサイトで販売する際には、『ダイエット商品なんだから女性が食いつくに違いない』といった思い込みだけでセグメンテーションをしないことが大切です。
また、「男性」「社長」「40代」「独身」「体重 80kg以上 90kg未満」などと市場を細分化しすぎると、ターゲット層の数が少なすぎるかもしれません。
あるいは「学歴」「地域」で区切ったとしても、『このセグメントはなぜプロテインダイエット商品を求めるのか?』というニーズの特性は明確にはできなさそうです。
それよりも、
- 「どんな価値観を持っている人か?」
- 「どの行動レベルにある人か?」
といったセグメンテーションを行った方が、効果がありそうなことがわかると思います。
セグメンテーションとターゲティングを正しく進めるためには、「6R」という指標が参考になります。
セグメンテーションの原点はニーズの多様化に対応するため
セグメンテーションは、1923〜1937年に渡ってGM(ゼネラルモーターズ)社の社長に就任していたアルフレッド・スローン氏が提唱したと言われています。
スローン氏は顧客をセグメンテーションすることによって、所得階級の違いで車へのニーズが異なることを発見しました。
これによって、『どんな財布にもどんな目的にもあった車』を提供するために「多品車種量産」の生産スタイルを取り、当時「単一車種量産」だったフォード社に打ち勝ったのでした。
セグメンテーションが登場する以前はマスマーケティング全盛期
セグメンテーションが定義される1950年代以前のアメリカは、マーケティングでは市場を単一に考えて、大量生産・大量販売がされていました。「安くて良いモノを作って広く宣伝すれば売れる」という、マスマーケティングの考え方です。
やがて先進国では経済は発展し、いろいろな商品が登場したことで消費者のニーズは多様化していくようになりました。市場で最大のシェアを持つ企業以外は、商品が売れにくくなっていったんですね。
そこで、顧客のニーズに合った商品を作るために、顧客を特定の属性ごとに細分化するというセグメンテーションの考え方が定着していきました。
いろいろな商品が溢れていて、いろいろなライフスタイルや価値観が存在する現在では、消費者の求めているニーズはさらに多様化しています。
だからこそ、買ってもらいやすい顧客層を見つけるためには、セグメンテーションが重要になるんですね。
まとめ
セグメンテーションとは、「買ってもらいやすい顧客層」を見つけるために、市場(お客さん)を細分化することです。また、新たなビジネスの価値を発見することにも役立ちます。
代表的なセグメンテーションは、大きく分けると4つあります。
- デモグラフィック(人口統計的変数)
- ジオクラフィック(地理的変数)
- サイコグラフィック(心理的変数)
- ビヘイビアル(行動変数)
これらの軸を効果的に組み合わせることで、ターゲティングを行っていきます。
ニーズやライフスタイルが多様化して個人の価値観が重視される現在では、サイコグラフィックセグメンテーションやビヘイビアルセグメンテーションが重要です。
あなたのブログ・商品・サービスを独自の存在にするためには、まずは効果的なセグメンテーションを行ってみてください。
セグメンテーションとセットと言ってもよいターゲティングについては、次の記事で解説しています。
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