マーケティング術

ブルーオーシャン戦略とは?成功事例でわかる血みどろ市場の脱出法

投稿日:2018-11-07 更新日:

ブルー・オーシャン戦略 と レッドオーシャン戦略

まだライバルがいない未開拓の市場を見つけて、大海原の市場で戦う戦略を「ブルー・オーシャン戦略」と言います。

これとは反対に、競合他社がひしめく市場で戦い続ける戦略は「レッド・オーシャン戦略」と言います。あなたのビジネスは、現在どちらの市場で戦っていますか?

マーケティングを有利に進めるためには、「どうやって戦うのか?」を考える前に「どこで戦うのか?」を考えることが大切です。

ライバルのいない市場であれば、一番最初にシェアを獲得できる先行者利益のメリットを得られます。「◯◯と言えば△△」というイメージも定着しやすいので、ブランディング効果のメリットもあります。

あなたのビジネス市場をブルー・オーシャンに変えるには、低コスト化と差別化を同時に行う「バリュー・イノベーション」がカギになります。

どのようにしてバリュー・イノベーションを起こすのか? 大勢いるライバルから抜け出すためには、ブルー・オーシャン戦略を参考にしてみてください。

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ブルー・オーシャン戦略とは

ブルー・オーシャン戦略は、フランスのビジネススクールINSEADの教授であるW・チャン・キム(W. Chan Kim)氏とレネ・モボルニュ(Renée Mauborgne)氏が、2004年に業界紙『ハーバード・ビジネス・レビュー』で発表した論文によって提唱されたビジネス理論です。

既存の市場で戦うのではなく、まだ生まれていない新しい市場の開拓を目指す戦略です。ライバルと真っ向勝負をするのではなく、競争相手のいない市場を見つけて大きな利益の獲得を目指します。

ブルー・オーシャンはライバル不在の市場

ブルーオーシャン

ブルーオーシャン(Blue Ocean)とは、広くてのどかなイメージを「青い海」と表現して、競合相手がいない未開拓の市場を意味しています。潜在的な需要はあるけど、まだ誰も供給していない市場のことです。

釣りをする時には周りに誰もいないので、一人で大量に魚を釣れるイメージですね。

ライバルを不在にして “戦わずに勝つ” 戦略といってもよいので、ポジショニング戦略と共通する部分が多くあります。

レッド・オーシャン戦略とは

レッド・オーシャン戦略も、W・チャン・キム氏とレネ・モボルニュ氏による概念です。

ブルー・オーシャン戦略とは対称的に、新規参入が激しく、ライバルが大勢いる市場の中で、無理な安売りや過剰なサービスを武器にお客さんを奪い合う戦略です。

レッド・オーシャンはライバルだらけの市場

レッドオーシャン

レッド・オーシャン(Red Ocean)とは、サメが群がり血に染まった危険なイメージを「赤い海」と表現して、激化した血みどろの市場を意味しています。顕在的な需要に対して供給が過多になっている市場のことです。

釣りをする時には自分以外にも大勢の釣り人がいるので、なかなか魚が釣れないイメージですね。

レッド・オーシャンはプロダクトライフサイクルでの成熟期や飽和期

レッド・オーシャンとは、市場の成長曲線を表したプロダクトライフサイクルでいうところの、成熟期や飽和期でライバルたちと戦うことを意味します。

プロダクトライフサイクルの図

プロダクトライフサイクルの図

あるビジネスが誕生して市場が成長しはじめると、「これはいい商品だ!」という新規顧客が増えると同時に、「この市場は儲かりそうだ!」という競合他社が増えていきます。

ですが市場が成熟してくると、競合他社は多いまま新規顧客の増加がストップします。市場が停滞すると、競合同士でお客さんを奪い合うしかなくなる状態になります。

この状態がレッドオーシャンです。

レッド・オーシャン戦略の基本はベンチマーキング

レッド・オーシャンで競争に勝つためには、ベンチマーキングを行います。

ベンチマーキングとは、優れた競合他社の商品・サービス、プロモーションなどを測定し、分析することです。そして見習うべき点を模倣します。

また競合他社に対しては、低価格で優位に立つか、商品・サービスの価値を高めて差別化を図る戦略を取ります。

ただし、差別化を図ってもライバルにはマネされやすく、結局は似た者同士の競争に陥りやすくなります。ですので、レッド・オーシャンで戦い続けることは消耗戦になります。

ブルー・オーシャン戦略の軸はバリュー・イノベーション

ブルー・オーシャン戦略とは、レッド・オーシャンを抜け出して新しい市場を開拓することです。キム氏とモボルニュ氏によると、ブルー・オーシャンを見つけるためには、バリュー・イノベーション(価値革新)の実現が重要だとしています。

バリュー・イノベーションとは、低コスト化と差別化を同時に行うことです。コストを抑えつつ、お客さんには今までにない価値を提供します。

この2つを同時に実現することによって、ブルー・オーシャンの道が拓けるんですね。

バリュー・イノベーションの図

『ブルー・オーシャン戦略』を元に作成:バリュー・イノベーションの図

バリュー・イノベーションを実現する方法としては、

  • 戦略キャンバス
  • ERRCグリッド

と呼ばれるフレームワークがあります。

戦略キャンバス

戦略キャンバスとは、既存の市場の現状を把握するための、折れ線グラフを使った二次元マップのフレームワークです。自社とライバルや、業界平均と比べることで、どの要素に変化を起こすのかを考える元になります。

戦略キャンバスの横軸では、お客さんが商品・サービスを選ぶ代表的な指標を7つほどあげます。縦軸では、その要素がどれほど提供できているかを、5段階ほどの評価で表します。

戦略キャンバスの例え

例えば、激戦区にあるラーメン屋さんがブルー・オーシャン戦略を考える際には、次のような戦略キャンバスをつくることができます。

折れ線の価値曲線がライバルと違うほど、差別化がされていることになります。

戦略キャンバスの例え

戦略キャンバスの例え

ERRCグリッド

ERRCグリッドとは、現在のビジネスにバリュー・イノベーションを起こすために必要な、4つのアクションワードの頭文字をとったフレームワークです。

ERRCグリッド

  • Eliminate:取り除く
  • Reduce:大胆に減らす
  • Raise:大胆に増やす
  • Create:付け加える

コストダウンを実現するためには、今までの業界で常識となっている要素を大胆に取り除くことが必要になります。また、業界の基準を大胆に下回る要素をつくることで、コストの削減を図ります。

差別化を実現するためには、今までの業界にはなかった価値を付け加えることが必要になります。また、業界の基準を大胆に上回る要素をつくることで、お客さんにとっての価値を高めます。

バリュー・イノベーションの成功事例

書籍『ブルー・オーシャン戦略』では、バリュー・イノベーションの具体例として、「シルク・ドゥ・ソレイユ」が成功した理由が解説されています。

シルク・ドゥ・ソレイユは誕生からわずか20年足らずで、サーカス界のチャンピオンである「リングリングブラザーズ」が100年以上かかって稼いだ収入と同じレベルを達成しました。

この急成長の理由は、従来のサーカスの主役だった花形パフォーマーや動物ショーを取り除いたことでコストダウンを図り、新しく芸術性やストーリーを付け加えて、エンターテインメントの価値をアップしたことにあります。

シルク・ドゥ・ソレイユの戦略キャンバス

『ブルー・オーシャン戦略』を元に作成:シルク・ドゥ・ソレイユの戦略キャンバス

また、サーカスといえば “子供向き” だった市場を “大人向き” に変えたことも、急成長の大きな要因です。今までにない大人向きの新しいサーカスを作り上げたことで、従来のサーカスの数倍の価格を設定できたんですね。

縮小していたサーカス市場のレッド・オーシャンを抜け出し、新しいブルー・オーシャンを開拓したことで競争を無意味にしたのが、シルク・ドゥ・ソレイユのバリュー・イノベーションです。

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ブルー・オーシャン戦略とニッチ戦略の違い

“新しい市場で勝負をする” という意味においては、ブルー・オーシャン戦略と混同しやすい戦略に「ニッチ戦略」があります。

ニッチ戦略とは市場を細分化する戦略

ニッチ戦略とは、「ニッチ=隙間」と訳されるとおり、市場と市場の隙間や、大企業が相手にしないような小さな市場を狙いに行く戦略を指します。

本質的には、細分化した市場でナンバーワンを目指す戦略です。

例えば、歯磨き粉を売り出すなら「接客スタッフ専用」「受験生専用」「外出先専用」など、市場を絞って専門に特化して売り出します。

小さな会社が勝ちやすい戦略ですので、ランチェスター戦略と共通する戦略です。

ブルー・オーシャン戦略とは新しい市場を開拓する戦略

一方のブルー・オーシャン戦略は、ニッチ戦略とは反対に、市場間にある共通点に注目して、できる限り大きな市場の中で売れる要素を見つけようとする戦略です。

現存する市場を絞るのではなく、新しい市場を見つける戦略です。

例えば、歯磨き粉を売り出すなら「今までにない香りをつける」「洗い流さなくてもよい歯磨き粉」など、新しい市場へ向けて売り出します。

新しい市場を開拓するには3つのレベルの非顧客層に目を向けること

顧客層を子供から大人に変えたシルク・ドゥ・ソレイユのように、新しい市場を開拓するということは、既存の顧客層以外の人たちに目を向ける必要があります。

つまりブルー・オーシャン戦略では、セグメンテーションやターゲティングを仕切り直す必要があるんですね。

現在の顧客層以外の人たちは、3つのレベルに分類することができます。

  1. 消極的買い手
  2. 利用しないと決めた買い手
  3. 市場から距離を置く買い手

この3タイプに対してのアプローチを考えることで、新しい市場が見えてきます。

1. 消極的買い手

消極的買い手とは、現在の顧客層ではあるんだけど、購入意欲が低く、できれば代替品で済ませたいと考えている人のことです。

消極的買い手に対しては、代替品で済ませる理由を明らかにして、その理由を取り除くことができれば、積極的な買い手になってくれる可能性があります。

2. 利用しないと決めた買い手

利用しないと決めた買い手とは、何らかの理由で現在の商品・サービスに対してネガティブなイメージを持っている人のことです。

利用しないと決めた買い手に対しては、過去に体験した不満や不信感を明らかにして、その理由を取り除くことができれば、新たな買い手になってくれる可能性があります。

3. 市場から距離を置く買い手

市場から距離を置く買い手とは、現在の商品・サービスや代替品も利用しない人のことです。従来のターゲティングでは潜在的顧客とも考えてこなかった、3つのレベルの中ではもっとも遠い存在の人です。

市場から距離を置く買い手に対しては、潜在的な需要に着目します。シルク・ドゥ・ソレイユのように新しい価値を付け加えることができれば、市場を一気に変えられる可能性があります。

この3つのレベルの共通点を見つけられれば、大きな市場のブルー・オーシャンが拓けます。

バリュー・イノベーションを起こすための6つのパス

お客さんも気づいていないようなニーズを探り、価値を新しく付け足すためには、今までにはない視点でモノゴトを見ることが必要です。

バリュー・イノベーションを起こすためには、次の「6つパス(経路)」から、商品・サービスについて考えてみる方法があります。

  1. 代替品となる間接競合に学ぶ
  2. 直接競合の戦略に学ぶ
  3. 買い手と近い存在に目を向ける
  4. 補完する商品・サービスに目を向ける
  5. 提供する価値を変える
  6. 未来を予測する

バリュー・イノベーションを起こすためのアイデア発想術

また当サイト(Web活用術。)では、新しい視点でモノゴトを見るためのアイデア発想術の記事をいくつか書いています。よければ参考にしてみてください。

オズボーンのチェックリスト

9つのチェックリストに答えるだけでアイデアが出る方法
これ便利!オズボーンのチェックリストでアイデアを量産する33の質問

水平思考法

普通に考えたら思いつかないような斬新なアイデアを出す方法
⇒ 水平思考とは?天才たちの思考法で斬新なビジネスアイデアを出す方法

NM法

ステップを踏むことで天才的なヒラメキを出す方法
⇒ やわらか頭をつくるNM法|アイデアは類比(アナロジー)で盗め!

エクスカーション法

連想ゲームのように楽しくアイデアを出す方法
⇒ 【エクスカーション法】右脳派にオススメの楽しいアイデア発想術

ブルー・オーシャン戦略の注意点

新しい市場を開拓すればライバルはゼロになりますが、その反面、セールス活動もゼロから始めることになります。

つまり、ブルー・オーシャン戦略を取るということは、プロダクトライフサイクルでいうところの導入期から始めることになるんですね。

プロダクトライフサイクルの図

プロダクトライフサイクルの図

導入期は設備投資などに資金を使い、認知度も低いために利益としてはマイナスからのスタートになります。

ですので、ブルー・オーシャン戦略を取るのであれば、イノベーターに対して行うプロモーションやセールスのスキルが絶対に必要になります。

ブルー・オーシャン戦略のすべてを学べる本

2004年に業界紙『ハーバード・ビジネス・レビュー』で発表された論文は、2人の教授の共著によって2005年に書籍化がされています。2015年には新版も出版されて、ブルー・オーシャン戦略の全てを学ぶことができます。

[新版]ブルー・オーシャン戦略

こちらの「新版」では、2005年に刊行された『ブルー・オーシャン戦略』で読者が抱いた疑問を受けて、レッド・オーシャンの罠を避ける10の誤解が追加されています。

「どうやって戦えば勝てるのか?」を考える前に「どこで戦えば競争から抜け出せるのか?」を考える手段として、とても参考になる書籍です。

ブルー・オーシャン・シフト

2人の著者は『ブルー・オーシャン戦略』の刊行後、世界中のブルー・オーシャン・プロジェクトの成功と失敗を比較・分析しました。

その結果、最小限のリスクでブルー・オーシャンを創造する具体的な手順と、体系的なプロセスをまとめています。こちらの書籍では日本企業のケースが掲載されていますので、すごくわかりやすいと思います。

まとめ

以上、競争が激しいレッド・オーシャンを抜け出し、新しい市場で一人勝ちを狙うブルー・オーシャン戦略について解説しました。

ブルー・オーシャン戦略とは、コストダウンと価値のアップを同時に実現させることでバリュー・イノベーションを起こし、新しい市場を開拓することです。

新しい市場とはいえ、潜在的な顧客がいることが絶対条件です。

また、新しい市場を開拓するということは、新しい市場が成長すれば、新たなライバルが出現するということです。つまり、ゆくゆくはレッド・オーシャン化する可能性があるんですね。

レッド・オーシャン化しても勝ち続けるためには、“パイオニア” という存在だけではなく、常にナンバーワン、オンリーワンの存在であることが大切です。

お客さんの心に「◯◯と言えば△△」というイメージを持ってもらうためには、どんな特色を持たせるのかを、ぜひ考えてみてください。

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高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケター/Web集客の専門家。 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。 個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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