やわらか頭をつくるアイデア思考法にNM法があります。天才的なひらめきが生まれる瞬間の出来事を分解して、理論化したアイデア発想法です。
NM法は、考えるヒントを得るための「着想」と、アイデアを思いつく「発想」を分けて考えて、ステップを踏むことで具体的な解決策を得ようとする発想法です。
商品開発のアイデア、起業のアイデア、デザインのアイデア、ストーリーのアイデア・・・。
もしもあなたがクリエイティブに苦しんでいるのなら、ステップを踏むことで誰でも天才的なひらめきを生み出せるNM法を試してみてください。
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NM法とは?
NM法とは、考えたいテーマに関してすでに世の中にある類比の例を探し出し、その特徴からアイデアを発想する思考法です。類比(アナロジー)を見つけることから、類比技法とも呼ばれます。
類比とは
類比とは、異なる2つ以上の事象の間にある何らか(機能・性質・構造・原理など)の同一性のこと。
中山正和氏の名前をとってNM法
NM法は、創造工学研究所所長だった中山正和氏が1970年に考案したアイデア発想法です。中山氏(Nakayama Masakazu)のイニシャルをとって、NM法と名付けられました。
元々は製品開発に用いる技法として開発されたNM法ですが、ステップがはっきりしていて簡単にできることから、色々なアイデア発想法として応用することができます。
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類比発想法で生まれたアイデア例
類比で生まれたアイデアは、数多く存在しています。
例えば、マジックテープの構造は「オナモミ」という植物の実がヒントになって生まれました。
他にも次のような類比があります。
- 新幹線の形状 ⇒「カモノハシ」がヒント
- 扇風機の羽根の形状 ⇒「蝶々の羽根」がヒント
- レインコートの撥水 ⇒ 「蓮の葉」がヒント
- レーダー ⇒「コウモリ 」がヒント
このように、アイデアのヒントは自然界に数多く存在しています。
類比を思い浮かべることで情報を繋げるのがNM法
「【エクスカーション法】右脳派にオススメの楽しいアイデア発想術」の記事でもお話ししたとおり、アイデアとは自分の脳内にすでにある情報同士の組み合わせで生まれます。ですが普段は情報同士には繋がりがないため、なかなかアイデアが出にくい状態になっています。
これらの情報同士を、類比を思い浮かべることで繋げようとするのがNM法です。
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NM法は5種類ある
NM法には、目的に合わせて5種類の技法があります。
- NM-H型:画期的な発明のために着想と発想を行う技法
- NM-T型:雑多な情報からテーマに関するヒントを得る技法
- NM-S型:過去・現在・未来の時系列の中でアイデアを実用化していく技法
- NM-A型:カードに書き出したアイデアをグルーピングしてアイデアを得る技法
- NM-D型:仮説を立ててデータで証明するようにアイデアを出す技法
この5種類の中で、もっとも使われているのがNM-H型です。
NM法のやり方(NM-H型)
NM-H型は、次の5ステップを踏むことでアイデアを発想します。
NM法の5ステップ
- テーマのキーワードを考える
- キーワードと似ているモノを探し出す
- 似ているモノの特徴や背景を考える
- テーマとくっつける
- アイデアの質を高める
例えとして、新しい雨傘のアイデアについて考えてみます。
1. テーマのキーワードを考える(KW)
まずは、欲しいアイデアのテーマに沿ってキーワード(KW:KeyWord)を考えます。
キーワードを考える時のポイント
- テーマの本質を単純化して考える
- 動詞や形容詞で表現すると、あとでアイデアが出やすくなる
例えば、新しい雨傘のアイデアなら、テーマの本質を
- 持ち運ぶ
- 開く
- 閉じる
- 守る
- さえぎる
といった単純化したキーワードにしてみます。
ここで本質をついたキーワードを考えないと、見当違いなアイデアが生まれる原因になります。
2. キーワードと似ているモノを探し出す(QA)
次に、世の中にすでにある、キーワードと似ているモノ(アナロジー:類比)を探し出します。クエスチョンアナロジー(QA:Question Analogy)と呼ばれるパートです。
「◯◯と言えば?」と質問すると、類比が思いつきやすくなります。連想ゲームのような感じですね。
類比する時のポイント
- 自然現象・生き物など、自然界から探すと思いつきやすい
- テーマからなるべく離れた例を探すと、面白いアイデアが生まれやすい
例えば、「さえぎる」というキーワードを選んだ場合、自然界を中心に「さえぎる」に類比するモノを考えてみます。
「世の中にある『さえぎる』モノと言えば?」と質問してみることで、
- 雲(日光をさえぎる)
- 木の葉っぱ(日光をさえぎる)
- ブラインド・シャッター(日光をさえぎる)
- 電車の遮断機(人の通行をさえぎる)
- ダム(川の流れをさえぎる)
といった類比が思いつきました。
また、「守る」というキーワードから、
- オゾン層(紫外線から守る)
- 羽毛(寒さから守る)
- 盾(身体を守る)
といった類比が思いつきました。
3. 似ているモノの特徴や背景を考える(QB)
類比を考えたら、その類比の構造や特徴、背景について
- 「どのような特徴があるのか?」
- 「どのようにして起こっているのか?」
を考えます。
類比のメカニズムや背景をピックアップすることで、アイデアを広げやすくします。クエスチョンバックグラウンド(QB:Question Background)と呼ばれるパートです。
例えば「木の葉っぱ」は、小さな葉っぱが重なり合うことで日光を遮っています。「ブラインド・シャッター」は、無数の細長い板状の部材に角度をつけることで日光を遮っています。「ダム」は密閉された大きな壁を作ることで川の流れを遮り、水を留めています。
また、「羽毛」はたくさんの空気を含むことで保温ができます。「盾」は手に板状のものを持つことで敵の攻撃から身を守ります。
4. テーマとくっつける(QC)
次に、類比する要素やメカニズムは「アイデアを出したいテーマにどう役立つか?」を考えて、具体的なアイデアを考えます。
クエスチョンコンセプト(QC:Question Concept)と呼ばれるパートです。
例えば「木の葉っぱ」のように、小さな面積の布地に分解できる仕組みにすることで、雨傘を閉じた際にコンパクト化を図れるかもしれません。
または「ダム」のように、より大きな面積で身体を覆えば雨を遮れるかもしれません。
5. アイデアの質を高める(ABD)
最後に、アイデアを現実的にしたり、具体的にできるように煮詰めていきます。さらに「アイデア同士を組み合わせるとどうなるか?」を考えることで、予想外のアイデアが生まれないかどうかを考えます。
アブダクション(ABD:ABDuction)と呼ばれるパートです。
例えば、「木の葉っぱ」と「盾」を組み合わせて、「腕に装着できるコンパクト折りたたみ傘」をいうアイデアを思いつきました。「羽毛」の保温効果を取り入れれば、「冬専用ヒーター付き雨傘」というアイデアも面白いかもしれません。
こんなふうに、新しいアイデアを発想していきます。
問題解決やアイデア発想に役立つツール
問題解決やアイデア発想のフレームワークは、多くの書籍でも紹介されています。
例えば『思考法図鑑』は、アイデアを発想するための思考法を60種類も知ることができる一冊です。
アイデア発想のためのアプローチをたくさん知っておけば、自分やチームに合った方法で最適なアイデアを生み出すことに役立ちます。
ビジネスに役立つフレームワーク
『ビジネスフレームワーク』は、アイデアをカタチにする際に役立つフレームワークを70種類も知ることができる一冊です。
起業アイデアを思いついた時には、問題の乗り越え方や、マーケティングの分析方法などがわかるようになります。社会人1年目や2年目の人であれば、上司に一目置かれる存在になるための企画力や、マネジメント力を鍛えることに役立ちます。
会議をスムーズに進めるリーダーのためのツール
あなたがリーダーとなって問題解決やアイデア発想の会議を進める場合は、会議の雰囲気を良くして、参加メンバーのアイデアを引き出すファシリテーションのスキルが重要になります。
『ファシリテーターの道具箱』は、参加メンバーに「全体像を考えてもらう」「分析的に考えてもらう」「他の視点で考えてもらう」ための技術を49種類も知ることができる一冊です。会議を進行するコミュニケーションに自信がない場合は、手元に置いておくと役に立ちます。
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まとめ
NM法とは、柔軟な発想を生みやすくする思考法です。すでに世の中にあるモノを類比することで、新しいアイデアを発想します。
普段から類比(アナロジー)するクセをつけておけば、やわらか頭になれる連想力や発想力が身につきます。
もしもあなたがクリエイティブに悩んでいるのであれば、テーマの類比から考えてみてください。考えたいジャンルとは全然違うジャンルから思い浮かべれば、ぶっ飛んだアイデアが生まれると思います。
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