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非言語メッセージを解読せよ!5つの分類と4つの注意点

2019-10-31

ノンバーバルコミュニケーションを解読する5分類と注意点

コミュニケーションがうまい人とは、トークが上手いわけではなく、非言語メッセージ(ノンバーバルコミュニケーション)を巧みに操れる人だと言えます。

ノンバーバルコミュニケーションを巧みに操るためには、ノンバーバルコミュニケーションを解読できることが大切です。

この記事では、

  • 非言語メッセージを解読するための5分類
  • 非言語メッセージを解読する際の4つの注意点

について解説します。

コミュニケーションの鬼になるために、非言語メッセージの分類と注意点を知っておいてください。

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非言語メッセージを解読するための5分類

非言語メッセージを解読するための5分類

表情分析の心理学者ポール・エクマン(Paul Ekman)氏とウォレス・フリーセン(Wallace v. Friesen)氏は、ノンバーバルコミュニケーションを次の5つにカテゴライズしています。

  1. エンブレム:表象動作
  2. イラストレーター:例示動作
  3. アフェクト・ディスプレイ:感情表出動作
  4. レギュレーター:言語調整動作
  5. アダプター:適応動作

ノンバーバルコミュニケーションの分類を知ることで、非言語メッセージの役割や効果が分かりやすくなります。

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1. エンブレム(EMBLEMS):表象動作

エンブレムとは、決められた言葉を無音で伝えるサインのことです。

言葉を使えない状況において、手や動作を使って意思を伝えるノンバーバルコミュニケーションです。

例えば、野球でキャッチャーがピッチャーに対して行う、球種のサインがエンブレムに当たります。また、スキューバーダイビングで使われる、海の中で意思疎通を図るためのサインもエンブレムです。

ノンバーバルコミュニケーションはコミュニティによって異なる

これらのエンブレムは事前に知っておく必要があり、同じチームやコミュニティにしか通じないノンバーバルコミュニケーションです。

このエンブレムは、親睦を深めることにも使えます。

例えば、職場の人たちに内緒にしている社内恋愛の場合に、二人だけのサインを決めておけば秘密を共有している感覚になり、より仲良くなることができます。

ノンバーバルコミュニケーションは文化圏によって異なる

またノンバーバルコミュニケーションは、文化圏によって異なる場合が多々あります。

例えば、アメリカで行う「オッケー」のサインは、日本では「お金」のサインにもなりますし、フランスでは「ゼロ・無価値」の意味になります。

「こんにちは」のつもりで手を振っても、ギリシャでは相手を侮辱するサインになります。

普段、僕たちが何気なく使っているエンブレムは、日本固有(あるいは地域固有)のサインである可能性があるんですね。

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2. イラストレーター(ILLUSTRATORS):例示動作

イラストレーター(ILLUSTRATORS):例示動作

イラストレーターとは、言葉によるメッセージを補強するためのジェスチャーのことです。

例えば、道を教える時に手で道順を指し示したり、「この話は置いといて・・・」と話を転換させる時に両手を使って “移動させる様子” を表したり、「Yes」の意思表示のために頷く動作などのことです。

こちらのイラストレーターは学習して身に付ける場合もありますが、どちらかと言えば、社会生活の中で自然に身に付くノンバーバルコミュニケーションです。

ですので、文化圏によって異なる場合があります。

例えば、日本人は「No」の意思表示に首を横に振りますが、アラブ人は首を横に振ると「Yes」の意味になります。

テレビゲームのコントローラーも、日本では「○=決定」「×=キャンセル」ですが、欧米では逆に「○=キャンセル」「×=決定」になります。絵や記号の意味も、文化圏で異なる場合があるんですね。

ですので、海外旅行などで別の文化圏の人と触れ合う時には、普段使っているジェスチャーや記号が別の意味にならないかどうかを調べておくことが大切です。

顔文字や絵文字もイラストレーター

メールで使う顔文字や絵文字もイラストレーターだと言えます。

絵文字で伝わる感情の違い

  • やったー。
  • やったー(^o^)/

「やったー。」という文字だけよりも「やったー(^o^)/」と顔文字を付け足した方が、より感情が伝わりますよね。

顔文字や絵文字は、文字で情報を伝え合うメール文化が生まれて数年で浸透するようになりました。世界中に広がっている絵文字も、日本が発祥だとされています。

僕たち日本人は、文字だけで思いを伝えることが難しいことを、潜在的に知っていたんですね。これは「漢字・ひらがな・カタカナ・句読点」を使い分けながら視覚的に文章表現してきた、日本人ならではの感覚だったのではないかと思います。

3. アフェクト・ディスプレイ(AFFECT DISPLAYS):感情表出動作

アフェクト・ディスプレイ(AFFECT DISPLAYS):感情表出動作

アフェクト・ディスプレイとは、顔の表情や情緒的な反応のことです。

表情分析の心理学者ポール・エクマン氏の研究によると、「幸福・驚き・怖れ・怒り・悲しみ・不快・軽蔑・興味」を表す表情は、全世界で共通認識できるノンバーバルコミュニケーションです。

また、落ち込んだ時は自然と首がうなだれて肩を落とした姿勢になりますし、嬉しい時や自信がある時は、顔を上げて胸を張るような姿勢になります。

例えば、試験の合格発表の後で、悲しい表情と肩を落とした姿勢を見れば、「落ちたんだな・・・」と察することができますよね。

状況と表情が合わさると、大体のことが伝わるんですね。

メラビアンの法則では、表情はコミュニケーションのうちの55%の影響力があるとされています。ですのでアフェクト・ディスプレイは、意思疎通において重要なノンバーバルコミュニケーションだと言えます。

表情だけでは伝わらない

一方で、状況が分からなければ、表情だけでは伝わらないことも知っておくことが大切です。

悲しい表情をしたつもりでも状況がわからなければ、相手には怒っているように伝わったり、誘惑しているように伝わるかもしれないということです。

これは、たとえ無関係なモノでも無意識に結びつけて意味を持たせようとする、人間の脳の性質が関係しています。

例えば、しかめっ面をしていても、くさやを手にしていれば「クサい匂いに耐えているのかな?」と思われるかもしれませんし、割れたお皿が床に飛び散っていれば「破片を踏んで痛いのかな?」と思われるかもしれないんですね。

ですので、言葉がない状況で「・・・なんで私のことを理解してくれないの!?」と叫んでも、それはただの傲慢な訴えとも言えるんですね。

日本人はあまり表情に出さない

コミュニケーションで気をつけたいのは、感情を表に出すことが良しとされる文化圏と、そうではない文化圏があることです。

例えば日本では、人前で怒りをあらわにしたり、大泣きすることは恥ずかしいとされる風習がありますよね。ですので当たり前ではありますが、無表情だからといって無感情ではないことを心に留め置く必要があります。

4. レギュレーター(REGULATORS):言語調整動作

レギュレーター(REGULATORS):言語調整動作

レギュレーターとは、会話を進めやすくしたりコントロールするための動作のことです。

社会生活の中で自然と身につくケースと、動物として本能的に出るケースがあるノンバーバルコミュニケーションです。

例えば、会話をスムーズに進めるためにタイミングよく相槌を打ったり、大きくうなずく動作のことです。あるいは、会話を止めるために適当な相槌を打ったり、チラチラと周りを見るような動作のことです。

身体を少し前のめりにして目配せをすれば自分が話したいサインになりますし、身体を少しのけ反らせて腕組みなどすれば「どうぞ話を続けて」のサインになります。

また、話し手の目を見ることや、話し手に対して体を正面に向けるしぐさは、「真剣に話を聞いている」サインになります。反対に、話し手に対して体を横に向けたり、何度も腕時計を見るようなしぐさは「興味がない」サインになります。

これらのしぐさは、きっと無意識にしていると思います。

レギュレーターは心理状態を表すサイン

ですのでレギュレーターは、無意識に表れる心理状態のサインということもできます。

例えば、椅子に座っている状態で緊張や不安がある場合は、足をクロスして椅子の下につま先を入れる傾向があります。手は机の下に隠したり、脚と脚の間に手を挟むこともあります。

怯えた犬がシッポを丸めて小さくなるのと似ていますよね。

逆に、リラックスしていれば背もたれにもたれ掛かり、足は椅子の前側に置く傾向があります。

このように、レギュレーターを解読できれば、

  • 自分の話に興味を持っているかどうか
  • 自分に好意を持っているかどうか
  • 相手の心理状態はどうか

を理解できるようになるんですね。

このレギュレーターが上手ければ、相手の反応を見ながら会話をコントロールできるので、会話が弾みやすくなり、親睦も深めやすくなるということです。

いわゆる “空気が読める人” は、アフェクト・ディスプレイやレギュレーターの解読能力が高いんですね。

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5. アダプター(ADAPTERS):適応動作

アダプター(ADAPTERS):適応動作

アダプターとは、メッセージを伝えないようにする動作のことです。

自分の動作で周りの人が注目しないため、恥ずかしい気持ちにならないため、空気を壊さないために行う、子どもの頃に発達するノンバーバルコミュニケーションです。

例えば、映画館で映画を鑑賞している時にクシャミが出そうになったとしたら、できるだけ小さい音に抑えようとして手で鼻と口を抑えますよね。この手の動作が、アダプターに当たります。

また、頭がかゆければ、一人なら思いっきりボリボリと掻けますが、周りに人がいたら人目を気にして髪をかき上げる動作でごまかすかもしれませんよね。

思いっきり鼻くそをほじりたくても、人前では鼻をこする程度でごまかすと思います。鼻のムズムズを、顔をクシャクシャさせてごまかすかもしれません。

この、ごまかすような動作がアダプターです。

アダプターは深読みしてはいけないノンバーバルコミュニケーション

アダプターにはメッセージ性がないため、深読みしてはいけないノンバーバルコミュニケーションです。

例えば、話し相手が悔しそうな顔をしていると感じても、鼻がムズムズしているのをごまかそうとしているだけかもしれないんですね。

何度も脚を組み直しているのを見て「緊張しているのかな?」と感じたとしても、オシッコを我慢しているだけかもしれないということです。

ノンバーバルコミュニケーションを学び始めると、ついついすべての動作に意味を見出そうとしてしまいます。ですが動作の中には、メッセージ性のないものもあることを知っておくことが大切なんですね。

非言語メッセージを解読する際の4つの注意点

非言語メッセージを解読する際の注意点

これまで説明してきた、ノンバーバルコミュニケーションを解読する際の注意点をまとめると、次の4つです。

  1. コミュニティによって異なる
  2. 文化圏によって異なる
  3. 状況によって異なる
  4. 個人によって異なる

1. コミュニティによって異なる

ノンバーバルコミュニケーションは、コミュニティによって異なる場合があります。

例えば、職場内・チーム内・友達の間だけで通用するエンブレム(サイン)は、事前に学ぶ必要があります。

言葉を補強する意味で使うイラストレーター(ジェスチャー)も、もしかしたら自分の地域だけに通用する動作かもしれません。

ですのでコミュニケーションにおいては、自分が使っているジェスチャーが全ての人に共通するものではないことを理解しておく必要があるんですね。

話し相手のノンバーバルコミュニケーションを解読する時も同じです。自分の基準だけで解読しようとすると、正しい解読ができない場合があります。

2. 文化圏によって異なる

ノンバーバルコミュニケーションは、文化圏によって異なる場合があります。

コミュニティによって異なるのと同じように、ノンバーバルコミュニケーションは全世界で共通する言語ではありません。

普段使っているジェスチャーやしぐさが真逆の意味を指す場合もありますから、文化圏の違う人とコミュニケーションをとる時には、特に注意が必要です。

3. 状況によって異なる

ノンバーバルコミュニケーションは、状況によって異なる場合があります。

例えば、照れ隠しの意味で舌を出すケースもあれば、相手をバカにする意味で舌を出すケースもあります。同じ動作でも、状況が違えば別の意味に変わることがあるんですね。

また、表情は全世界で共通認識できますが、状況によっては意味合いが変わります。

例えば、結婚式で泣いている人は、嬉しさの感情が溢れているのかもしれません。お葬式で笑っている人は、悲しい気持ちを必死で隠しているのかもしれません。

笑顔だから「楽しい」、しかめっ面だから「怒っている」という訳ではないんですね。

状況によってノンバーバルコミュニケーションの意味が変わることを理解できれば、正しい解読ができるようになります。

4. 個人によって異なる

ノンバーバルコミュニケーションは、個人によって異なる場合があります。非言語メッセージを読み解く上で、一番重要な注意点です。

例えば、何度も鼻を触ったり何度も足を組み替える人は、緊張や不安があるのではなく、ただのクセかもしれないということです。

相手のノンバーバルコミュニケーションを正しく読み解くには、相手との接触時間を増やし、クセや傾向を知っておく必要があるんですね。

メンタリストのDaiGoさんも、テレビ番組で芸能人の心理を読み解く時には、事前に情報収集をしています。事前知識がなければ、心理を見抜く難易度が上がるからです。

ですので、あまり親しくない人や初対面の人のしぐさを見て、「何度も瞬きしているからウソをついている!」とか、「何度も頭を触っているから不安の表れだ!」と杓子定規的に結論づけるのは間違いだということです。

ノンバーバルコミュニケーションを正しく解読するためには、「普段とどれくらい様子が違うか?」を観察することが大切なんですね。

まとめ

以上、非言語メッセージを解読するための5分類と、4つの注意点を解説しました。

ノンバーバルコミュニケーションの5つの分類は、次のとおりです。

  1. エンブレム:無音のサイン
  2. イラストレーター:言葉を補強するジェスチャー
  3. アフェクト・ディスプレイ:感情を表す表情や姿勢
  4. レギュレーター:会話をコントロールするしぐさ
  5. アダプター:ごまかしの動作

「アダプター」はメッセージ性がない動作のため、コミュニケーションで意味のあるノンバーバルコミュニケーションは、実質4種類になります。

「アフェクト・ディスプレイ」や「レギュレーター」を解読できれば、コミュニケーションの達人に近づきます。ぜひノンバーバルコミュニケーションの意味を理解して、効果的に扱えるようにしてみてください。

また、ノンバーバルコミュニケーションを解読する際のもっとも重要な注意点は、個人によって異なることです。しぐさの本などで学べる知識を杓子定規的に用いた場合は、間違った解読をする可能性があるので注意してください。

参考図書:
『非言語コミュニケーション』
『表情分析入門―表情に隠された意味をさぐる』

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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