顧客心理を掴む心理学

イエスバット法とは?説得上手になる4つのクッション話法

2017-10-05

イエスバット法 - クッション話法で説得上手になる方法

コミュニケーションを円滑に進めて相手を説得する有名なセールストークに、イエスバット法イエスアンド法があります。

説得上手になるためには、相手があなたの意見に反論してきたとしても、「いえ、それは違います」とすぐには否定しないで、「そうですね、なるほど」と相手の反対意見を柔らかく受け止めることが大切です。

相手の反対意見にぶつからないようにする話し方は、クッション話法と呼ばれます。

この記事では、次の4つのクッション話法について解説します。

4つのクッション話法

  • イエスバット法:相手の意見を肯定したあとで、こちらの意見をぶつける
  • イエスアンド法:相手の意見を肯定したあとで、相手の意見に沿うように話を進める
  • イエスイフ法:相手の意見を肯定したあとで、相手の反論の理由を確認する
  • イエスハウ法:相手の意見を肯定したあとで、相手の反論する理由を潰す

これらの話法をマスターすれば、セールストークが磨かれるだけではなく、

  • 人に好かれるコミュニケーション
  • 商品を売るためのセールスコピー
  • 共感の持てるブログ記事

などのスキルをUPすることができます。

クッション話法の理解を深めて、交渉や人付き合いの向上に役立ててください。

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クッション話法はなぜ必要?

クッション話法が重要な理由を知らないと、イエスバット法のようなテクニックは効果を発揮できません。まずは、クッション話法がなぜ必要なのかを確認しておいてください。

クッション話法がコミュニケーションにおいて重要な理由は、人は自分の意見と同じ人に好感を抱き、自分の意見を否定する人を嫌う性質があるからです。

特に自分の意見を頭ごなしに否定されると、人格まで否定されたような、とっても嫌な気分になります。

嫌な気分になると、たとえ本当のことを指摘されたとしても、聞く耳を持ちたくなくなってしまいます。「それは違う、それはダメ」なんて言われ続けたら、その場から離れたくなってしまいますよね。

いきなり意見がぶつかるとイヤな気持ちになる

友達同士や親しい間柄でも、ついつい次のような会話をすることはありませんか?

Aさん:「この前始まったドラマって、面白いと思わない?」
Bさん:「え、あんなの面白いと思ってるの? 全然面白くなかったよ」

あなたがAさんの立場なら、いくら親しい間柄でも、いきなり自分の意見を否定されると、やっぱりいい気持ちはしないですよね。

これがセールスの場面だったら、次のような感じになります。

Aさん:「・・・う〜ん、オススメされた商品だと、ちょっと高いかなぁ」
Bさん:「いやいや、安いですよ、先ほどご説明しましたとおり・・・」

親しくない人にいきなり否定されたら、なおさらいい気持ちはしないですよね。

ですので、いきなり意見同士がぶつからないようにするクッション話法は、円滑なコミュニケーションを図るためには重要な話し方になるんですね。

人は自分と違う意見にはすぐに否定しがち

人は誰でも、自分と違う意見はすぐに否定しようとする傾向があります。なぜなら、否定しないと自分自身が気持ち悪くなるからです。

漫才で言うなら『ツッコミ』ですね。

相手がボケたのならツッコミは必要ですが、一般的なコミュニケーションにおいては、いきなり相手の意見を否定すると、相手を不愉快な気分にさせてしまいます。

普段から訓練してクッション話法を身に付けておかないと、無意識でついつい否定の言葉が先に出てしまいます。ですのでツッコミ気質のある人は、特に意識してクッション話法を身に付けるようにしておいた方が良いかもしれません。

相手の意見を柔らかく受け止めるためには、まずは「そうですね、なるほど、わかります」と、肯定的な言葉を選ぶことが大切です。

その代表的な話法が「イエスバット法」です。

『イエス』には、「相手の意見に対しては、まずは肯定的な返事をしましょう」という意味があります。

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イエスバット法

イエスバット法(Yes But)とは、「そうですね」と相手の意見を肯定したあとで、「しかし、ですが、とは言え」といった接続詞に続けて、こちらの意見を説明する話し方です。

例えば、あなたが提案するプランに対して、説得相手が「・・・う〜ん、オススメされた商品だと、ちょっと高いかなぁ」という反論が返ってきたとします。

その場合は、まずは「確かに、ちょっと高く感じるかもしれませんよね」と、一度相手の意見に同調します。そのあとで、「ですが、こちらのプラン表を比較してみてください・・・」などと、説得するための意見につなげます。

イエスバット法の会話例

相手:「・・・う〜ん、オススメされた商品だと、ちょっと高いかなぁ」
あなた:「確かに、ちょっと高く感じるかもしれませんよね」
あなた:「ですが、こちらのプラン表を比較してみてください・・・」

イエスバット法は、クッションの言葉を挟むことで「自分の意見を否定された」という感覚を薄めることができます。

イエスバット法は効果がない?

ただしイエスバット法は、結局のところ『しかし』という否定の言葉を使います。相手の反論に、こちらの意見をぶつける形になるんですね。

ある心理学の研究では、『しかし』という言葉は非常に強い力を持っていて、相手に警戒と不快を与えるというデータがあります。

ですので、相手に好印象を与えるためには、否定的な言葉を使うイエスバット法ではなく、なるべくイエスアンド法、イエスイフ法、イエスハウ法を使った方が良いですね。

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イエスアンド法

イエスアンド法(Yes And)とは、「そうですね」と相手の意見を肯定したあとで、「実は、つまり、ですので」といった接続詞に続けて、相手の意見の延長であるようにこちらの意見を説明する話し方です。

例えば、「確かに、ちょっと高く感じますよね、私もそう感じます」と相手の反論に同調したあとで、「実は、価格が高いのにはこんな理由があるんですよ・・・」と、相手が反論する理由について納得できるような説明をします。

イエスアンド法の会話例

相手:「・・・う〜ん、オススメされた商品だと、ちょっと高いかなぁ」
あなた:「確かに、ちょっと高く感じますよね、私もそう感じます」
あなた:「実は、価格が高いのにはこんな理由があるんですよ・・・」

イエスアンド法は、「あなたの仲間ですよ」というニュアンスを含ませることで、説得相手に警戒心を持たれないようにすることができます。

このイエスアンド法よりも、さらにコミュニケーションを深める話し方が、次のイエスイフ法です。

イエスイフ法

イエスイフ法(Yes If)とは、「そうですね」と相手の意見を肯定したあとで、「もしも、例えば、であれば」といった接続詞に続けて、こちらの条件を提案する話し方です。

例えば、「もしも価格が安かったら、ご検討いただける商品になりますか?」と、相手の反論の理由が変わったら納得してもらえるのかを確認していきます。

イエスイフ法の会話例

相手:「・・・う〜ん、オススメされた商品だと、ちょっと高いかなぁ」
あなた:「確かに、ちょっと高く感じるかもしれませんよね」
あなた:「もしも価格が安かったら、ご検討いただける商品になりますか?」

相手が反論している理由は一つではないかもしれませんし、本当のことではないかもしれません。

イエスイフ法の「もしも」を使って本当の反論理由を引き出すことができれば、一方通行的なセールスではなく、より相手とのコミュニケーションを取りながら、相手が納得できる説得ができます。

このイエスイフ法を発展させると、次のイエスハウ法の話し方になります。

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イエスハウ法

イエスハウ法(Yes How)とは、「そうですね」と相手の意見を肯定したあとで、「どのような、どうすれば」といった接続詞に続けて、相手が納得できる条件を探る話し方です。(以前からある似たような手法を『イエスハウ法』と名付けました)

例えば、「では、どのようなプランがご希望でしたか?」と、相手の反論する理由を潰す方法を探っていきます。

イエスハウ法の会話例

相手:「・・・う〜ん、オススメされた商品だと、ちょっと高いかなぁ」
あなた:「確かに、ちょっと高く感じるかもしれませんよね」
あなた:「では、どのようなプランがご希望でしたか?」

相手の不満や納得できる条件を探ることで、説得相手の「No」を奪っていきます。

イエスハウ法は、相手の満足できる条件を知ることができるので、「断られて終わり」ではなく、相手が満足する提案をできる可能性を高めることができます。

コンサルティング型のセールスで効果的なテクニックです。

イエスハウ法の注意点

イエスハウ法で注意をしたいのは、ただ相手の希望を聞いたとしても、本当の答えが返ってくることは少ないことです。

なぜなら、説得相手はあなたの提案に抵抗しただけで、自分の希望がわかっていない場合がほとんどだからです。

ですので、ただ答えを聞こうとするのではなく、会話を進めながら相手の不安や不満を拾い集めて、希望を探っていくことが大切です。

コピーライティングで使うクッション話法

説得相手と対面していないコピーライティングにクッション話法を取り入れる場合は、何かを主張した文章に続けて、読み手が考えそうな反論を肯定する文章を入れます。

例えば、次のような感じです。

「こちらの商品は、三ヶ月間の保証を付けています。え? 短すぎるって? その不安に感じる気持ちはわかります。保証は長い方が良いですよね。実は、保証を三ヶ月間にしたのには特別な理由があるんです・・・」

読み手の反論を想定することが大切

クッション話法で読み手が共感できる文章にするためには、読み手が反論するであろう理由を想定することが大切です。

  • 商品・サービスを選ばない理由は何か?
  • 不安な要素は何か?
  • 悩む理由は何か?
  • 希望は何か?

どんな読み手へ向けたセールスコピー(ブログ記事)なのかを想定しなければ、共感できる文章を書くことは難しくなります。

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まとめ

コミュニケーションを円滑に進めたいのなら、あなたの意見に反論する言葉が返ってきても、まずは相手の意見を尊重することが大切です。なぜなら、人は自分の意見を否定されると嫌な気分になるからです。

誰でも経験していることですよね。

クッションのように相手の言葉を柔らかく受け止める話し方は、クッション話法と呼ばれます。

クッション話法には、次のような話し方があります。

  • イエスバット法:相手の意見を肯定したあとで、こちらの意見をぶつける
  • イエスアンド法:相手の意見を肯定したあとで、相手の意見に沿うように話を進める
  • イエスイフ法:相手の意見を肯定したあとで、相手の反論の理由を確認する
  • イエスハウ法:相手の意見を肯定したあとで、相手の反論する理由を潰す

よりコミュニケーションを図るなら、イエスバット法ではなく、イエスアンド法、イエスイフ法、イエスハウ法を使うことで、説得相手が納得しやすい話し方ができるようになります。

説得相手との関係性に合わせて、使い分けてみてください。

さらに説得力を高める方法を知りたい場合は、こちらを参考にしてください。
説得力を高める16の秘訣|心理テクニックでYESを引き出す方法

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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