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カタルシス効果とは?浄化の心理を恋愛・マーケティングで使う方法

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カタルシス効果

感動する映画を観て思いっきり涙を流したら、なんだかスッキリした気分になった・・・。このような心理作用をカタルシス効果と言います。

“魂の浄化” を意味するカタルシス効果は、ストレス解消の一種でもあります。

思いっきり泣いたり、誰かに悩みを打ち明けることで気分がスッキリしたことは、きっと誰もが経験していますよね。

このカタルシス効果を応用すれば、恋愛や人づきあい、ビジネスでは信頼関係を構築することに役立ちます。カタルシスのメカニズムを知って、人生をより良い方向へ導いてください。

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カタルシス効果とは

カタルシス効果

カタルシス効果(Cathartic effect)とは、心の中に溜め込んだ言葉にできないモヤモヤした感情を誰かに代弁してもらったり、自分で吐き出すことで気分が楽になる心理現象です。

心理療法では、自分でも気づいていなかったような罪悪感や嫌悪感といった心のモヤモヤを言葉として表現すると、溜まっていた淀みのようなものが排出されて心の緊張がほぐれるとしています。

例えば、仕事終わりに同僚と飲みに行って、会社や上司の不満をぶちまけることで気分がスッキリするのなら、その行為はカタルシス効果のひとつだと言えます。

この「カタルシス」は、古代ギリシャの言葉に由来します。

「カタルシス」の語源は古代ギリシャの医学用語

「カタルシス」という言葉は、もともとは2300年以上も昔の古代ギリシャで使われていた “浄化” や “排泄” を意味する医学用語でした。薬剤を用いて胃の中の汚物を吐かせたり、下痢をおこして宿便を排泄させる行為を指しました。

排便行為とはカタルシスなんですね。

「カタルシス」は “魂の浄化” へ

アリストテレスによるカタルシスの解釈

この「カタルシス」は、演劇にも通じていた哲学者アリストテレスが、著書『詩学』の中で悲劇の解釈に用いたことで “魂の浄化” を意味する演劇学用語になりました。

「自分が抱えている言葉にできないような苦しみや悲しみは、悲劇をとおして代弁してもらうことで自分の中から吐き出すことができる」

という解釈です。

つまりアリストテレスは、悲劇には観客自身の「魂が浄化(カタルシス)」される効用があり、それが悲劇の存在意義だと考えたんですね。

この解釈以降、演劇の登場人物の苦悩や怖れ・悲しみに感情移入することで、観客が感情を揺さぶられたり涙を流したりした結果、解放感が得られて癒されることを「カタルシス」と呼ぶようになりました。

失恋してツラい時に、失恋ソングを聴いて思いっきり感傷に浸りたいと感じるのは、歌詞が自分の思いを代弁してくれていることで「魂が浄化(カタルシス)」されるからなんですね。

「カタルシス」は心理治療の用語から一般化へ

催眠療法

この「カタルシス」は19世紀後半になると、精神医学者であるジークムント・フロイト氏が精神治療に用いたことで、心理学用語として扱われるようになりました。

きっかけは、フロイト氏の初期の共同研究者だったヨーゼフ・ブロイアー氏の患者アンナの症例です。

カタルシス療法のきっかけになった症例

アンナは20歳を過ぎてから、手足の麻痺や視覚障害、言語障害など、さまざまなヒステリー症状に悩まされ、「コップから水を飲めない」という症状も持っていました。

ある日、アンナは催眠治療の中で「嫌いな家庭教師が犬にコップから水を与えていた」ことを思い出し、それをブロイアー氏に語ります。

するとアンナは、突然コップから水を飲めるようになったのでした。

フロイト氏はこの現象を、無意識に抑圧された感情や記憶を意識化して、言葉で表現したことで症状が消えたと考えました。

人間には自分でも気づかないような感情や思いがあり、その抑圧された感情は蓄積すると精神病を発症するという推測から、自由連想法やお話療法など、患者に話したいことを話してもらう「カタルシス療法」が確立されました。

一般化したカタルシス効果

その後、催眠や暗示と結びついた「カタルシス療法」は、精神分析学が催眠から離れたことで、精神分析の治療技法としては重視されなくなります。

現在では、誰かに話を聴いてもらったり、何か行動を起こした際に、鬱積した感情を解放することで癒されることを「カタルシス効果」と呼ぶようになっています。

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“魂の浄化” とは代償行為

カタルシス効果は代償行為

なぜ、普段言葉にできないような感情や思いを解放することが、カタルシス効果を生むのでしょうか?

それは、“浄化” が生まれる行動はすべて、「代償行為」と呼ばれるものだからです。

代償行為とは、自分の欲求が実現できない時、別の対象に置き換えることで満足を得ようとすることです。

例えば、仕事がうまくいかないストレスをお酒を飲むことで解消しようとしたり、恋人ができない寂しさをペットを飼うことで満たそうとすることです。

カタルシス効果の場合は、例えば悲劇を観て涙を流す行為は、心の奥にしまいこんでいたモヤモヤした感情に対する代償行為だということですね。

涙は “排泄” と同じ?

泣くと気分がスッキリするのは、感情をともなった涙にはストレスに関連した物質やホルモンが含まれているからという説があります。

例えば、ストレス物質である副腎皮質ホルモンの「コルチゾール」や、副腎皮質刺激ホルモンの「ACTH」は、目にゴミが入ったような理由で流れる涙には含まれません。

また、苦痛を軽減するとされる脳内化学物質エンドルフィンの仲間である「ロイシン−エンケファリン」は、ストレスによって生じるいろんな神経反応を楽にする鎮痛作用があります。

ですので感情をともなった涙は、ストレス物質を排出するための浄化作用だとする説があるんですね。

怒りをぶちまけるのはカタルシスではなく逆効果

怒りのぶちまけはカタルシス効果を生まない

ストレス発散になると思って怒りをぶちまけた場合は、カタルシス効果は生まれません。それどころか、怒りの感情はいつまでも持続する傾向があります。

アイオワ州立大学の心理学者ブラッド・ブッシュマン(Brad Bushman)氏は、「怒りの発散はストレス解消に効果があるのか?」という命題で、1990年代に次のような実験を行なっています。

怒りの発散方法の実験

まずは、被験者である180名の学生を3つのグループに分け、次のレポートを読んでもらいます。

  • A:「怒りを発散するのは効果的だ」というレポート
  • B:「怒りは発散しても意味がない」というレポート
  • C:「怒りの発散はどちらのケースもある」というレポート

次に、学生全員に「妊娠中絶はアリかナシか」というテーマで小論文を書いてもらいます。

そして、小論文の評価を他の学生にしてもらうとウソをついて、小論文の内容には関係なく、半数には「たいへん素晴らしい」と好評価をして、残りの半分は「こんなひどい論文は読んだことがない」と酷評をしました。

これで学生グループは6つに分けられたことになります。

最後にブッシュマン氏は、学生たちに「今やりたいこと」を選んでもらいました。選択肢は「サンドバッグを殴る」「コメディを見る」「物語を読む」「ゲームをする」などです。

事前知識で発散方法が変わる

実験結果は、「怒りを発散するのは効果的だ」というレポート読んで、論文を酷評されて怒りを溜め込んだAグループの学生は、「サンドバッグを殴る」を選ぶ割合が高いことがわかりました。

そして、3つのどのグループの学生でも、小論文を褒められた場合は「サンドバッグを殴る」選択を選ばない割合が高いことがわかりました。

つまり、事前に「怒りを発散することは良いことだ」という知識があると、ストレスを抱えた時には攻撃的になるということです。

では、怒りをぶちまけることに浄化作用はあるのでしょうか?

この実験には続きがあります。

怒りのカタルシスの実験

先ほどの、小論文を酷評されて怒りを溜め込んだ学生を、次の2つの行動をしてもらうグループに分けました。

  • サンドバッグを殴ってもらう
  • 2分間待機してもらう

次に、小論文を酷評をした相手(本当は存在しません)と早押しゲームをしてもらいました。早押しに勝った学生は、自分で調整できる不快な音量を負けた相手に浴びせることができます。つまり形を変えた復讐ですね。

もしもサンドバッグを殴ってストレスが解消されていれば、ゲームに勝ったとしても大きな音量は選ばないはずです。

音量の設定は0〜10レベル(10は105デシベル)の範囲でしたが、実験結果は

  • サンドバッグを殴ったグループは平均で8.5レベル
  • 2分間待機したグループは平均で2.47レベル

の音量に設定したのでした。

これらの実験結果を見てみれば、ストレス解消のために行ったはずのサンドバッグを殴る行為は、カタルシス効果どころか、怒りを持続させていたことがわかります。

攻撃的な行動とは火のようなもので、いつまでも火をかけていれば、いつまでも怒りの感情は沸騰し続けるということです。

怒りを鎮めたいのであれば、火をかけるのをやめて頭を冷やした方が良いということですね。

恋愛で使うカタルシス効果

恋愛で使うカタルシス効果

カタルシス効果を応用すれば、恋愛成就や人間関係を円滑にすることに使えます。

その方法はシンプルです。相手の話にただ耳を傾けるだけです。

心理学では、相手の話をじっくりと聞くことを「傾聴」と言いますが、この傾聴をすることで、相手からの信頼や好感を得られるようになります。

そのカラクリはこうです。

カタルシス効果で好感を得る仕組み

人間には、自分の感情と周囲の出来事を無意識に結びつけて、単純化して記憶する性質があります。

例えば、悲しい時に聴いていた音楽は、その感情や場所、時間と結びつきます。そして、その音楽を聴くだけでも、あるいは同じ場所に行っただけでも悲しい感情がよみがえりやすくなります。

つまり、カタルシス効果によって得られた感情は、その時一緒にいたあなたと結びつくんですね。

話を聞いてもらった相手は、自分の感情を吐き出すカタルシス効果によって気分がスッキリとします。そして、スッキリした気分を引き出してくれたのが、話を聞いてくれたあなただと感じるようになるというわけです。

ネガティブな感情は、基本的に他人には見せたくないものです。その感情を特別に見せるわけですから、さらに「特別な感情を見せた=それは特別な存在だから」という図式が出来上がります。

ですので、もしも仲良くなりたい相手がいるのであれば、相手の本心を引き出すようにしてみてください。

ただし、「ねぇねぇ、なんか悩みないの?」なんて聞き出そうとしても、相手は本心を打ち明けてはくれません。ここがシンプルでありながら「傾聴」の難しいところです。

ちなみに、相手が自分から本心を打ち明けてくれるもっとも簡単な方法は、まずはあなたから本心を打ち明けることです。

デートは「代償行為」になる場所で!

また、記憶に関する人間の性質を考えれば、カラオケや飲みの席で恋愛が発展しやすいことがわかります。

カラオケは大きな声を出すことが「代償行為」となってカタルシスを得ることができます。飲みの席では、お酒を飲んでリラックスすることが「代償行為」になってカタルシスが生まれやすくなります。

その場所に2人でいれば、自然と好意を抱きやすくなるというわけです。

ですので、「代償行為」になる場所をデートに選ぶことで、2人の仲は急接近しやすくなります。

カタルシス効果のマーケティングでの使い方

“魂の浄化” 作用があるカタルシス効果は、マーケティングでも使われています。

アリストテレスの時代から悲劇が好まれていたことでもわかるとおり、映画や小説などのエンタメの世界では「悲しみ」「恐怖」「残酷」といった感情を大きく扱うことが、興行成績を伸ばす要因になっています。

ですので、これらの感情を刺激できるコンテンツを情報発信すれば、SNSでの拡散に期待ができます。

ただし、「怒り」を扱った炎上マーケティングだけは注意が必要です。

なぜなら「怒り」にはカタルシス効果がなく、怒りとビジネスが一緒になって記憶に定着すれば、良いことなんて何もないからですね。

コピーライティングで使うカタルシス効果

カタルシス効果をコピーライティングに応用するなら、恋愛での使い方と同じように、お客さんの気持ちに共感して、それを表現することで信頼関係を構築することに使えます。

お客さんの気づいていない悩みまで書き出すことができれば、お客さんは「自分のことをわかってくれている!」というカタルシスを感じてくれるんですね。

まとめ

カタルシス効果とは、心の中に無意識にある不安やイライラ、罪悪感などの感情を「代償行為」によって解放することで、気持ちが軽くなる心理現象です。

わざわざ自分の罪を告白する懺悔には、感情を吐き出すことで気分がスッキリするカタルシス効果があるんですね。

恋愛で使う場合は、相手の本心を引き出すために「傾聴」することが大切です。コピーライティングでも同様に、お客さんの悩みに共感して表現することで、信頼関係を構築することに応用できます。

もしもあなたが何らかのストレスを抱えている場合は、カタルシスを得るために、信頼する人と話をすることや、思いっきり泣ける映画を観てみてください。

参考文献:
Wikipedia/ヨーゼフ・ブロイアー
思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方

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高木浩一

心理学と脳科学が好きなWeb集客の専門家。 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広いデザインを経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの視点をもつ。 個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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