顧客心理を掴む心理学

一貫性の原理とコミットメントとは?約束を守りたくなる心理と使い方

投稿日:2017-03-27 更新日:

一貫性の原理 と コミットメント

人は自分で決めたことや、ある立場を明確にする(コミットする)と、最後まで一貫性をもった態度を取ろうとする心理が働きます。

このような心理作用を、一貫性の原理(一貫性の法則)と言います。

例えば、映画を見始めて全然面白くなかった場合でも、とりあえず最後まで見ようとしたことはありませんか?「・・・じゃあどれほど面白くないのか、逆に最後まで見てやろう」などと、最後まで見る理由を何かとつけて、一貫性を保とうとします。

この一貫性の原理は、人の行動を動機づける強力な力を持っています。

強力であるからこそ、もしもビジネスで悪用すれば、欲しいと思っていなかった商品でさえも買わせてしまうことができます。

この記事では、マーケティングやクロージングには欠かせない一貫性の原理が働く条件と、ビジネスや恋愛を有利に進める使い方についてお話しします。交渉が苦手な人は、必見の内容です。

スポンサード リンク

一貫性の原理 (一貫性の法則)が働く2つの理由

そもそも、なぜ人は一貫性を保とうとするのでしょうか? 一貫性の原理(一貫性の法則)が働く理由は、次の2つが考えられます。

  1. 社会性:社会的に一貫性の価値が高いか
  2. 簡便性:わざわざ考えなくていいか

1. 社会性:社会的に一貫性の価値が高いから

1つ目に、社会生活においては、一貫していることが高い価値におかれるからです。

なぜなら一貫性のある人は、理論的であり、誠実であり、信頼できて、人格的にも知的にも優れていると考えられているからです。

逆に一貫性のない人は、気まぐれで、優柔不断で、不誠実な人だとみなされます。

もしも、昨日言っていたことと今日やっていることが違えば、いい加減な人だと感じますよね。そんな人が、たとえ「明日はこれをやる!」と約束したとしても、信頼することはできません。

「うちの上司は言うことがコロコロ変わるから、もうついていけないよ・・・」なんていうグチは、よく聞く話ですよね。

自分の一貫性は周りに示したくなる

人と人とが信頼関係を深めるには、『一貫していること』は非常に重要な要素です。

社会的に価値が高いからこそ、自分自身でも一貫性を保とうしますし、自身が信頼できる人間であることを示すために、自分の一貫性を周りの人に認めてもらいたいと考えます。

2. 簡便性:わざわざ考えなくていいから

2つ目に、一貫性はいちいち考えなくても行動できる思考パターンだからです。

基本的に、人は考えたり悩んだりせずに、楽に生活したい欲求を持っています。そのためには、できるだけ思考しなくても済むように、脳が「習慣化」された思考回路を自動的に使おうとします。

ここ一ヶ月の自分の行動を振り返ってみてください。多くの行動が、何も考えずにできる習慣化された行動ではないですか? 例えば、朝起きてから職場へ向かい、仕事を始めるまでの行動は、わざわざ考えなくてもほぼ無意識でできますよね。

逆に意識をしないと、いつもと同じ行動をしようとしませんか? いつもと違う電車に乗らなきゃいけない場合でも、何も考えなければ、無意識でいつもと同じ電車に乗ろうとしてしまうはずです。

一貫性は楽な思考パターン

『一貫性していること』は、非常に楽な思考パターンです。一度決めたことを最後まで一貫させれば良いだけです。一つ一つの出来事を検証してあれこれ考えるのは、脳にとっては面倒でしかないからですね。

一貫性は、日常生活の中では大抵が最善策になります。そのため、慣れ親しんだ『一貫性』は、習慣として自動的に行ないやすい思考パターンになっています。

一貫性の原理はコミットメントすることでスイッチが入る

社会的に価値が高くて、わざわざ考えなくてもいい『一貫性』は、コミットメントすることで強力なスイッチが入ります。

コミットメントとは、「自ら関わりを持つこと」という意味があります。

『結果にコミットする』という有名なキャッチコピーもありますが、コミットするとは、「確約する」「積極的に関わる」「責任を持って取り組む」といった意味で使われます。

先ほどあげた2つの理由から、人は自分で立場を表明(コミット)したことに対しては、その立場を一貫させようとする強い力が働くんですね。

身近なコミットメントの例え

例えば、あまり親しくない人から「この後、何か予定はありますか?」と聞かれて「特に何もないです」と答えたとします。この場合、「じゃあ少しお茶でもしませんか?」と誘われたら、たとえ帰りたかったとしても「いや、帰ります」とは答えづらくなると思います。

なぜなら、すでに “予定はない” とコミットしてしまっている手前、その一貫性を保たないと気持ち悪く感じるからですね。

このように、たとえ先が見えない段階で、なんとなく「Yes」と言ってしまったことに対しても、最終的な判断は最初の「Yes」と一貫させようとするんですね。

ビジネスや恋愛における交渉術では、このコミットメントが大きな鍵になります。なぜなら先ほどの例えのように、相手に最初にコミットメントさせることで、こちらの要求がとおりやすくなるからです。

2倍の成功率を叩き出したコミットメントの心理学実験

消費行動の研究者であるダニエル・ハワード氏が行なった一貫性の心理学実験があります。「あるお願いをした時に、どのようにすれば要求がとおりやすくなるか?」というものです。

まずはじめに、テキサス州ダラスの住民に電話をかけて、「飢餓救援協会の者がお宅まで伺って、クッキーを売りに行ってもいいですか? クッキーの利益は、貧しい人たちへの食事提供に使われます。」とお願いします。

このお願いの仕方では、18%の同意しか得られませんでした。

次に、電話をかける際に「お元気にお過ごしですか?」と最初に言ってから話を進めました。この場合は、3つの変化が起こりました。

第一に、電話を受けた120人のうち、108人が「まぁ、いいですよ」などと好意的(社交辞令的)な挨拶を返しました。第二に、好意的な挨拶から話を始めた人の32%の人が、クッキーの訪問販売に同意したのでした。普通にお願いした時の約2倍の成功率です。

第三に、訪問販売に同意した人の89%の人が、実際にクッキーを購入したのでした。

たとえ社交辞令でも「いいですよ」と答えたことで、自分は恵まれた状態であることを認めたことになります。一度立場を明らかにしたことで、ケチな人間であるとは見られたくないために、その後の要求に応じやすくなったと考えられます。

スポンサード リンク

一貫性の原理を強く発動させる3つのポイント

あなたが誰かに行動をさせたいと思った時には、一貫性の原理を強く働かせる3つのポイントを知っておくと役に立ちます。

  1. 小さなコミットを行動してもらう
  2. 公共性を持たせるようにする
  3. 労力を要するようにする

1. 小さなコミットを行動してもらう

一貫性の原理を強く発動させるためには、相手に小さなコミットを行動してもらうことが大切です。

なぜなら、人は自分自身がどんな人間であるかを判断する時には、自分自身の行動から判断する傾向があるからです。

例えば、あなたが毎日仕事をするのがイヤだと思っていたとしても、毎朝きちんと起きて仕事をしているのだとしたら、結果的には「私はきちんと仕事をしている人間である」ことを自覚できますよね。

ですので、一貫性の原理をマーケティングに応用する場合は、

  • 足を運んでもらう
  • 電話をしてきてもらう
  • アンケートに記入してもらう

など、お客さんに小さな行動をしてもらうようにします。

つまり、お客さん自身に行動してもらうことで、「このビジネスに参加している」ことを自覚してもらうようにするんですね。コミットメントを強化することができれば、やがて積極的に行動してくれるようになります。

自らしたコミットは満足度も上がる

ただし、コミットは強要しても効果はありません。大切なことは、自分の意思で始めてもらうことです。

人は、自分の意思や行動は自由に決定したい欲求を持っています。そのため、自らコミットしたことについては満足度も上がります。

2. 公共性を持たせるようにする

コミットメントは、公共性を持たせることで強化されます。公共性が大きいほど、一貫性の原理は強く働きます。

この作用は、目標達成したい時にも役立ちます。

例えば、「タバコをやめたい」という目標があったとします。この場合は、自分一人で決意するだけでなく、家族に「タバコをやめる」ことを宣言します。家族だけではなく、大勢の友達にも宣言することで、一貫性の原理はさらに大きな力に変わります。

『口だけ野郎』なんて言われないために、逃げられないようにするパターンですね。

セミナーや企業研修などで、みんなの前で目標を言ったり、紙に書いて発表することがありますが、あれは一貫性の原理を強化させるために行われているんですね。

みんなの前で愛を誓う結婚式も、公共性を持たせた一貫性の原理を働かせるためだと言えます。

3. 労力を要するようにする

さらに一貫性の原理は、労力を要することで強く働くようになります。

例えば、服屋さんで見かけた、ちょっと気になる程度のジャケットがあったとします。詳細を知りたくてインターネットで調べてみたら、在庫がゼロになっていました。なんだか気になったので、もう一度服屋さんへ行ってみると、店頭でも売り切れになっていました・・・。

この時、あなたはどんな感情になりますか? 簡単に手に入らないことで、ますます欲しい気持ちが強くなった経験があるのではないでしょうか。

「詳細を知りたくてインターネットで調べた」という行動がコミットメントとなって、一貫性が強力に働いたことになります。

ですので、ちょっとハードルの高い行動を相手に取ってもらえば、一貫性は強力に働きやすくなります。

ビジネスや恋愛で使う一貫性の原理を使った交渉術と会話例

相手にコミットメントしてもらうことで、こちらの要求をとおす手法は、ビジネスや恋愛ではよく使われています。ここでは、一貫性の原理を使った色々な心理テクニックを紹介します。

フット・イン・ザ・ドア

一貫性の原理を使った交渉術に「フット・イン・ザ・ドア(段階的要請法)」があります。

最初に小さな要求をして「Yes」を引き出せば、その後、段階的に大きな要求(本来したい要求)をしても受け入れてもらいやすくなるというものです。

フット・イン・ザ・ドアの会話例

A:「少しだけ作業を手伝ってもらえる?」
B:「はい、いいですよ」
A:「それが終わったら、ついでにこれもお願いしていい?」
B:「わかりました」
A:「ちょっと時間がかかるかもしれないけど、残業してもらえる?」
B:「・・・ええと、いいですよ」

ローボール・テクニック

フット・イン・ザ・ドアと似ている交渉術に「ローボール・テクニック(承諾先取り法)」があります。

最初に受け入れてもらえそうな要求を出して、相手にコミットメントしてもらえば、後から最初に出した条件を外しても、そのまま受け入れられるという交渉術です。

こちらの不利な条件を隠しておいて、相手に有利な面だけを見せて、先にコミットメントしてもらう時に使われます。

人は一度コミットメントしたことについて、条件が多少変わっても、そのコミットメントを正当化する理由を自ら作ろうとします。ですので、相手にとって多少不利な条件に変わっても、断られにくくなるという心理テクニックです。

ローボール・テクニックの会話例

A:「付き合って1年になるから、思い切って言うんだけど・・・」
B:「なに?」
A:「実は、私、Bくんより2つ年上なんだ」
B:「えっ?」
A:「Bくんが年下好きって言ってたから、本当のことが言えなくて・・・」
B:「そっか、まぁいいよ、2つくらいなら、もう付き合ってるんだし」
B:「年齢に関係なく、Aちゃんが好きだよ」
A:「ありがとう!・・・それと、実は、バツイチなんだ」
B:「えっ??・・・まぁ、でも、大切なのは今の気持ちだもんな・・・」

アップセル、クロスセル

「買うと決めたんだから」という気持ちを後押しして売上をアップする手法に、アップセル、クロスセルがあります。こちらも一貫性の原理を応用したテクニックです。

アップセル、クロスセルの会話例

A:「価格は高くなりますが、こちらのプリンターの方が総合的にお得ですよ」
B:「じゃあ、こちらにしようかな」
A:「ありがとうございます、只今キャンペーン中でして・・・」
A:「一緒に取り替えインクを買うと割引できますが?」
B:「いずれまたインクを買うんだから、一緒に買っておこうかな」

仮に話法

「仮に◯◯なら、△△してくれますか?」という『仮に話法』も、一貫性の原理を応用したテクニックです。

例えば、「仮にAの条件が満たせば、ご購入いただけますか?」と尋ねることで「Yes」を引き出せば、Aの条件さえ整ってしまえば、買わざるを得なくなります。

コミットメントしてもらうことで、「やっぱり、買おうかどうしようかなぁ」という段階を飛ばすことができます。

イエス・セット話法

イエス・セット話法とは、何度も続けて肯定的な意見を言うと、否定的な意見を言いづらくなるという話法です。肯定的であることをコミットメントすることで、肯定的な雰囲気の一貫性を保とうとする心理を利用しています。

催眠技法の一つでもあるテクニックですが、恋愛の場面で使われることでも有名です。

イエス・セット話法の会話例

A:「遊園地って好きだったりする?」
B:「うん、好き」
A:「じゃあディズニーランドも?」
B:「うん、大好きだよ」
A:「ディズニーランドで一番好きなアトラクションって何?」
B:「ビッグサンダー・マウンテンが好き」
A:「それオレも好き!晴れの日に乗ると気持ちいいよね」
B:「そうだね」
A:「じゃあさ、今度晴れの日にビッグサンダー・マウンテン乗りに行かない?」
B:「・・・うん、いいよ」

スポンサード リンク

クロージングの心理技術21cp-c

まとめ

人は自分自身の行動や考えについて、一貫させたい欲求を持っています。このような心理作用を一貫性の原理と言います。

一貫性の原理はコミットメントすることでスイッチが入ります。また、一貫性の原理を強く働かせるためには、次の3つのポイントがあります。

  1. コミットメントを行動してもらうこと
  2. 公共性を持たせること
  3. 努力を要するものにすること

一貫性の原理を交渉やビジネスに応用するためには、まずは簡単なお願いをすることで、相手に小さなコミットメントをしてもらうようにしてみてください。それがフット・イン・ザ・ドアという心理テクニックです。

次の記事では、フット・イン・ザ・ドアを成功させるポイントを解説しています。
Next⇒「フット・イン・ザ・ドアとは?営業や恋愛、セールスコピーでの使い方

この記事が役に立ったら
\いいね !/

Twitter で

スポンサード リンク

こちらもチェック!

今すぐ受け取るBL
  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケター/Web集客の専門家。 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。 個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

-顧客心理を掴む心理学
-, , , ,

Copyright© Web活用術。 , 2019 All Rights Reserved.