顧客心理を掴む心理学

片面提示と両面提示の心理学【セールスに使える説得のコツ】

2017-04-24

片面提示と 両面提示

人を説得したい時に、説得する内容の良い面と悪い面の見せ方の違いで、心理学では片面提示両面提示の2つの説得方法に分けることができます。

  • 片面提示(一面提示):メリット(もしくはデメリット)だけを伝える
  • 両面提示(二面提示):メリットとデメリット(リスク)の両方を伝える

例えば、あなたがこれから仲良くなりたい異性を、話題のパンケーキ屋さんに誘いたいとします。その場合の片面提示と両面提示は、次のような感じです。

  • 片面提示:「テレビで紹介してたパンケーキ屋に行かない? 日本初上陸らしくて、めちゃくちゃおいしいみたいだよ!」
  • 両面提示:「テレビで紹介してたパンケーキ屋に行かない? 日本初上陸らしくて、めちゃくちゃおいしいみたいだよ!・・・2時間くらい並ぶみたいだけど」

この場合、《2時間くらい並ぶ》というデメリットは伝えた方が良いと思いますか? 伝えなくても良いと思いますか?

片面提示と両面提示の特徴を理解しておけば、相手との関係性や話す内容で使い分けて、説得を優位に進めることができます。

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片面提示 (一面提示)とは

片面提示とは、相手へのメリットだけ、もしくはデメリット(リスク)だけを伝える説得方法です。

説得相手に何かをしてほしい時にはメリットだけを伝え、説得相手に何かをやめさせたい時にはデメリットだけを伝えることです。

ここでは、メリットだけを伝える片面提示として解説をします。

片面提示が有効な場面

片面提示が有利に働く場面は、次のとおりです。

片面提示が有効なケース

  • 相手が提案に対する知識を持っていない
  • 相手が提案を魅力的に感じている
  • 相手が行動派
  • 相手との信頼関係がある
  • 相手の信念・価値観と説得内容が似ている

相手が提案に対する知識を持っていない場合

相手が何も知らない場合は、メリットだけを話すことで相手に興味を持ってもらうことができます。

相手が提案を魅力的に感じている場合

提案を魅力的に感じてもらっている時には、わざわざデメリットを言う必要はありません。

相手が行動派の場合

相手があれこれ考えたくない性格の場合は、メリットのみを伝えた方が単純明快に意思決定をしやすくなります。

相手との信頼関係がある場合

相手に信用してもらっている場合は、メリットだけを伝えても効果があります。

相手の信念・価値観と説得内容が似ている場合

説得内容が相手の信念・価値観と似ていれば、メリットを伝えるだけで受け入れてもらえます。

片面提示の特徴

メリットだけを伝える片面提示は、感情的な「好き嫌い」で判断してもらいやすい説得法だと言えます。

あなたへの信頼があって、相手の価値観に合った提案をする場合は、片面提示でも十分に説得ができます。提案に興味を持ってもらっていて、魅力的に感じてもらっていれば、わざわざデメリットを話す必要はないということですね。

ただしデメリットを話していない分、マイナスの場面に直面した時にはトラブルが起こりやすくなる可能性があります。

この記事の冒頭の例えで言えば、「2時間も並ぶなんて聞いてないよ!」と、機嫌が悪くなってしまう可能性があるということですね。

ですので、トラブルの危険がある場合は、両面提示の方が良いと言えます。

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両面提示 (二面提示)とは

両面提示は、相手へのメリットとデメリット(リスク)の両方を伝える説得方法です。

提案する側にとっても不利になるようなデメリットを伝えるので、信頼度が上がります。誠実さを感じてもらえれば、好感度も上がります。

また、デメリットを理解してもらった上で承諾してもらえば、マイナスの場面に直面してもクレームを受けにくい利点があります。

両面提示が有効な場面

両面提示が有利に働く場面は、次のとおりです。

両面提示が有効なケース

  • 相手が提案に対する知識を持っている
  • 相手が提案に疑問を持っている
  • 相手が思慮深い
  • 相手との信頼関係がない
  • 相手の信念・価値観と説得内容が異なる

相手が提案に対する知識を持っている場合

相手がすでに提案に対する知識を持っている場合は、デメリットも話すことで共感を得やすくなります。

相手が提案に疑問を持っている場合

「何か裏があるのかな?」とメリットに疑問を持たれている場合は、両面提示をすることで納得してもらいやすくなります。

相手が思慮深い場合

相手があれこれ考える性格の場合は、デメリットを含めて話した方が判断材料が増える分、納得してもらいやすくなります。

相手との信頼関係がない場合

相手との信頼関係がまだ構築できていない場合は、両面提示をすることでメリットを信じてもらいやすくなります。

相手の信念・価値観と説得内容が異なる場合

説得内容が相手の信念・価値観と違えば、メリットとデメリットの両面提示をすることで、論理的に判断してもらいやすくなります。

両面提示の特徴

両面提示は、論理的に判断したい人を説得する時に有効です。

あなたへの信頼がまだなくて、相手の価値観を覆すような提案をする場合には、両面提示が必要になります。ですので、メリットとデメリットの両方をしっかりと吟味した上で判断する必要があるビジネスの場面では、特に重要な説得方法だと言えます。

人は信頼していない相手から良い面だけを見せられると、警戒心から「もしかして・・・何か裏があるんじゃないのかな?」と変に推測してしまうんですね。

悪い面も含めた両面提示をすることで推測する必要がなくなり、安心してもらえます。

メリットとデメリットを伝える順番

両面提示をする場合は、デメリットを先に話してからメリットを強調します。そうすると、良い印象が残りやすい話し方になります。

ビジネスの場面でいうと、良い印象が残りやすい話し方は、次のBの方です。

  • A:「こちらの商品は、機能が充実していますが、その分価格は高いです」
  • B:「こちらの商品は、価格は高いですが、その分機能が充実しています」

人は先に悪い話を聞いたあとで良い話を聞くと、実際の差よりも大きな差に感じます。このような心理現象は、コントラスト効果と言います。

また、相反する意見を聞いた時には、最後に聞いた主張の方が記憶に残りやすい傾向があります。このような心理現象は、新近効果と言います。

これらの理由から、冒頭のパンケーキ屋さんへのお誘いは、両面提示をするなら、次のBのようにした方が良いということですね。

  • A:「テレビで紹介してたパンケーキ屋に行かない? 日本初上陸らしくて、めちゃくちゃおいしいみたいだよ!・・・2時間くらい並ぶみたいだけど」
  • B:「テレビで紹介してたパンケーキ屋に行かない? 2時間くらい並ぶみたいだけど、日本初上陸らしくて、めちゃくちゃおいしいみたいだよ!」

メリットを裏付けるデメリットが説得力を増す

また、提示するデメリットは、メリットと関連していると説得力が上がります。

先ほどのビジネスの例えで言えば、『価格が高いのは、機能が充実しているから』という理由がありました。これが、「価格は高いですが、豊富なカラーからお選びいただけます」と言われたら、ちょっと納得しづらい気がしませんか?

いくらカラーが豊富だったとしても、消費者が手に入れるのはその中の1色だけです。豊富なカラーで価格が高いのは企業の事情であって、消費者のメリットとは直接関係のない話ですよね。

デメリットとメリットが繋がっていないので、なんだか言いくるめられているような気分になります。

ですので説得力を持たせるなら、デメリットはメリットに変換するための理由であることが大切です。デメリットを打ち消すことができれば、両面提示での説得効果が上がります。

▼売る商品より大事なもの▼ウェブセールスライティング習得ハンドブックcp-b

まとめ

片面提示とは、相手にメリット(またはデメリット)だけの一面を伝えることを言います。両面提示とは、相手にメリットとデメリットの二面を伝えることを言います。

ビジネスの場合など、相手との信頼関係がまだ構築できていない場合は、両面提示が効果的な説得方法です。信頼感や好感度が上がる可能性もありますので、両面提示をした方がお得ですよね。

両面提示をする時には、まずはデメリットを話してからメリットを話した方が説得しやすくなります。ただしセールスコピーの場合は、一番最初にメリットを伝えて興味を惹きつける必要があります。一番最初にデメリットを伝えたら、読み進めようとは思ってくれないですからね。

読み手が商品に対してどの程度の知識を持っているのかにもよりますが、「メリット ⇒ デメリット ⇒ メリット」のサンドイッチ形式が、コピーライティングでは基本的な順番になります。

逆に言えば、相手との信頼関係が構築できていれば、両面提示をする必要がなくなります。ブランディングが構築できていればセールス活動が不要になりますので、ビジネスではブランディングを意識したいですね。

さらに説得力を高める方法を知りたい場合は、こちらを参考にしてください。
説得力を高める16の秘訣|心理テクニックでYESを引き出す方法

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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