顧客心理を掴む心理学

マズローの心理学で陥りやすいマーケティングのミス&応用ポイント

投稿日:2017-01-11 更新日:

マズロー の心理学でわかるマーケティングのポイントと陥りやすいミス

心理学者のアブラハム・マズロー氏が提唱した『欲求5段階説』は、マーケティングに応用することができます。

人のモチベーションについて説いたマズローの欲求5段階説を知れば、商品・サービスを販売する際には、どんな人に向けて何を訴求すれば良いのかヒントが見えてきます。

ただし、マズローの欲求説を盲信してしまうと、他人の欲求を低次のものに見誤ってしまうミスが起こります。

あなたがマーケティングに携わっているのなら、マズローの欲求5段階説と同時に、陥りやすいミスについても知っておいてください。陥りやすいミスを知っておけば、正しい応用の仕方がわかります。

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マズローの欲求5段階説(自己実現理論)のおさらい

マズローの欲求5段階説とは、人間の基本的欲求は「5段階のピラミッド」のように構成されていて、基本的には低階層の欲求が満たされると1階層上の高次の欲求を欲するようになるというものです。

マズローの欲求5段階説の図

マズローの欲求5段階説の図

5段階の階層は、上から順番に次の階層に分けられます。

  • 自己実現欲求(あるべき自分になりたい)
  • 承認欲求(褒められたい・認められたい)
  • 所属と愛の欲求(集団に属したい・仲間が欲しい)
  • 安全欲求(安全・安心な暮らしがしたい)
  • 生理的欲求(食べたい・寝たい)

マズローの心理学で陥りやすいマーケティングのミス

マズローの欲求5段階説を知ることで陥りやすいマーケティングのミスとは、この記事の冒頭でお話ししたとおり、他人が商品・サービスを求める動機を低次に見謝ってしまうことです。

学んだことが原因でミスが生まれるって、なんだか矛盾を感じますよね。

物販を扱うとミスが起こりやすい

このミスは、マズローの欲求5段階説を盲目的に信じてしまった場合に起こります。モノ(物質)を扱っている場合は、特にこのミスに陥りやすい傾向があります。

例えば、食べ物を扱っていると、5段階説の低次欲求である「生理的欲求」や「物質的欲求」を満たすことに訴えようとしてしまいます。「美味しいですよ」「安全ですよ」というキャッチコピーです。

マズローの欲求5段階説では、低次欲求から始まるとしているからですね。

寝具を扱っているなら、「寝心地が良いですよ」「使っている素材が良いですよ」というキャッチコピーにしてしまいます。

ですが、食べ物は生理的欲求だけに訴えても響くことはありません。寝具は安全欲求だけに訴えても響くことはありません。収入に不満がある人に対しても、「もっとお金が手に入りますよ」と訴えても響くことはありません。

「えっ、何を言ってるの?」と感じられるかもしれないですよね。

モノ(物質)を求める動機は、モノを所有したいだけではない

確かに、お腹が空いたら食べ物を食べたいですし、できれば心地よい睡眠を取りたいと感じます。お金がなければ、もっと欲しいと思うことに間違いはありません。

ですが、モノ(物質)を求める動機は、生理的欲求や安全欲求を満たすことだけではないことに注意する必要があります。

現在の日本のような、物質的に恵まれた国の場合は特にそうです。

マズローの欲求5段階説とは?ストーリーを使ってわかりやすく解説」の記事でもお話ししたとおり、人は一度でも十分に満たされた欲求については、モチベーションにはなりにくいんです。

戦後のモノがなく、貧しい時代ならいざ知らず、今現在のモノが溢れてそこそこの暮らしができる世の中で、

  • 「満足にお腹を満たしたことが一度もない」
  • 「ベッドや布団で寝た経験がない」

なんていう人が、日本でどれほどいるでしょうか?

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マズローの欲求5段階説の誤解

マズローの欲求5段階説は、あくまで “説” であることを知っておく必要があります。

マズロー氏によると、高次の欲求に移行するためには、100%満たされる必要はありません。

  • 生理的欲求では85%
  • 安全欲求では70%
  • 所属と愛の欲求では50%
  • 承認欲求では40%
  • 自己実現欲求では10%

の達成度で充足されるとしています。ただし、サンプル数は全23人とごく少数です。

さらに言えば、「満たされる」という感覚は人それぞれです。

欲求は同時的に現れる場合もある

そして、低次の欲求から順番に高次の欲求に移行するとされていますが、順番を超える場合もあれば、同時的に欲求が現れる場合もあります。

例えば、母親は自分の衣服や食事がままならなかったとしても、子供を優先的に考えますよね。たとえ自分自身は経済的に貧しかったとしても、ボランティア活動に励む人だっています。

それなのに、マズローの欲求5段階説を盲信すると、マーケティングに応用する際には、他人の物質的欲求や欠乏欲求ばかりを注目する現象が生まれてしまいます。

人は自分自身を持ち上げやすい

人は自分自身を平均以上に見てしまう心理傾向があります。この心理傾向を「レイクウォビゴン効果」と言います。

この心理傾向によって、自分は自己実現欲求に到達している可能性に注目し、他人は自己実現欲求に到達していない可能性に注目しがちになります。

つまり、「私は自己実現欲求を持って目標に向けて生活をしているけど、あなたは目の前の生理的欲求や安全欲求を満たしたいんでしょ?」と思ってしまいやすいんですね。

この見誤りは、「オレは給料よりもやりがいのために仕事をしてるけど、部下のお前は給料アップが目的で仕事をしてるんだろ? さぁ、臨時ボーナスを支給するからがんばって働け!」という思い込みを生みます。

人は物質的欲求よりも精神的欲求を求める

もう一度、マズローの5段階欲求説を見てください。

マズローの欲求5段階説「欲求」の図

マズローの欲求5段階説の図

マーケティングを考える際には「人はより高次の欲求を求める」ことに注目することが大切です。モノ自体で得られることだけではなく、精神的に得られる満足感も同時に考えます。

例えば、「おいしい食べ物が食べたい」という欲求には、

  • 「人に自慢したい」
  • 「今までに味わったことのないすばらしい体験がしたい」

というような、承認欲求、自己実現欲求が隠れています。

「オシャレな服が着たい」「お金が欲しい」という欲求には、

  • 「モテたい」
  • 「優越感に浸りたい」
  • 「自分に自信を持ちたい」

といった、愛と所属の欲求や、承認欲求が隠れています。

このように、モノ(物質)を扱う場合には、商品が与えてくれる精神的な満足感(ベネフィット)にも注目することが大切です。

自己実現欲求こそが根源的な欲求

晩年のマズロー氏は、「ピラミッドは逆さまにするべきだった」と悔やんでいたと言います。つまり、人は根底に成長欲求を持っていて、自己実現欲求こそが根源的な欲求だということです。

ですので、マズローの欲求5段階説をマーケティングに応用する際には、「人が商品を求める、より高次な動機は何か?」を考えるために参考にするのが良いですね。

例えば寝具を扱うなら、寝覚めがスッキリすればストレスがなくなり、家族との楽しい会話が増えるかもしれません。健康的になって仕事に打ち込めれば、業績アップの原動力になるかもしれません。疲れをなくす質の良い睡眠が取れれば、目標達成のために使う時間を確保しやすくなるかもしれません。

このように安全欲求以外にも、愛と所属の欲求や承認欲求、自己実現欲求に訴えることができます。

マーケティングに応用できる欲求5段階説のポイント

マズローの欲求5段階説「欲求」の図

マズローの欲求5段階説「欲求」の図

マズローの欲求5段階説に関わる欲求の分類は、マーケティングに応用することができます。

  • 「物質的欲求」と「精神的欲求」
  • 「外的欲求」と「内的欲求」
  • 「欠乏欲求」と「成長欲求」

物質的欲求と精神的欲求のポイント

「物質的欲求」と「精神的欲求」をマーケティングとして応用すると、商品・サービスの形態として分けることができます。

物質的欲求を満たす商品

物質的欲求を商品で例えるなら、食品や生活用品、衣服や装飾品、テレビやソファ、時計や車、趣味や遊びで使うモノなどです。

モノを所有・使用することで欲求が満たされる商品です。

精神的欲求を満たす商品

精神的欲求を商品・サービスで例えるなら、SNS、出会いサービス、結婚相談所、占い、カウンセリング、コンサルティング、自己啓発セミナーなどです。

モノ自体で満たされるのではなく、社会生活のなかで精神的に満たされる商品・サービスです。

「人はより高次の欲求を求める」ことを考えれば、商品・サービスはできるだけ精神的欲求に訴えた方が良いですね。

例えば、生活用品の歯磨き粉であったとしても、物質的欲求を満たす訴求ではなく、精神的欲求に訴えます。「思わずキスしたくなる爽やかな香り」といった訴求です。

外的欲求と内的欲求のポイント

「外的欲求」と「内的欲求」をマーケティングとして応用すると、儲けやすいビジネスかどうかで分けることができます。

 外的欲求を満たすビジネス

外的欲求を満たすビジネスとは、自分の外面を満たすための商品・サービスです。持ち物に関するモノや、仲間や恋人をつくるモノ、生活環境・仕事環境を整えるモノなどです。

内的欲求を満たすビジネス

内的欲求を満たすビジネスとは、自分の内面を満たすための商品・サービスです。自分に自信を持てるモノ、目標達成に関するモノ、社会貢献できるモノなどです。

この段階にいる人は欲求が強く、経済的に充実していることも多いため、内的欲求に訴える商品・サービスは、非常に儲かりやすいと言えます。

例えばスケジュール帳なら、ただスケジュールを書き込む商品にするのではなく、目標達成のための書き込みができるようにします。

欠乏欲求と成長欲求のポイント

「欠乏欲求」と「成長欲求」をマーケティングとして応用すると、お付き合いしたい顧客層かどうかで分けることができます。

欠乏欲求の顧客

マズローの5つの欲求のうちの4つは欠乏欲求です。ですので、人が商品・サービスを求める理由のほとんどが、この欠乏欲求によるものです。

ただし欠乏欲求の段階にいる人は、他者に依存しやすく、執着したり、衝突を引き起こす可能性があります。わがままな依頼をしてきたり、他人まかせだったり、クレーマーになったりする可能性のある顧客層です。

成長欲求の顧客

成長欲求の段階にいる人は、欠乏欲求の段階の人のような「お客の方が偉い」「お金を払ったんだから後はよろしく」「責任は全部あなたにある」といった、他者に依存することがありません。

ですので、成長欲求の段階にいる人を対象にビジネスをすることで、質の良い顧客とお付き合いができるようになります。

まとめ

マズローの欲求5段階説をマーケティングに応用する際には、他人の欲求を低次のものに見誤らないことが大切です。

人はより高次の欲求を求めます。

モノ自体で得られる満足だけではなく、精神的に得られる満足も求めています。ですのでマーケティングに応用する際には、商品を求める人の動機として、精神的にどんな満足感を求めているのか? を考えることが大切です。

あなたのビジネスでは、お客さんは何を求めていますか? ひとつの欲求に注目するのではなく、いくつもの欲求について考えてみてください。

追伸:もしも「自分のビジネスでは、どんなWeb集客をすればいいの・・・?」という疑問があれば、当サイトの特別コンテンツを参考にしてみてください。
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高木浩一

心理学と脳科学が好きなWeb集客の専門家。 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広いデザインを経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの視点をもつ。 個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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