顧客心理を掴む心理学

相手を説得する精緻化見込みモデルとは?【中心ルートと周辺ルート】

精緻化見込みモデル(中心ルートと周辺ルート)

人は、2つの思考パターンをたどって態度が変わります。誰かを説得したいなら、この2つの思考パターン(中心ルート周辺ルート)を知っておくと役に立ちます。

あなたの周りには「・・・この人って、説得がうまいよなぁ」とか、「・・・いや、今欲しい情報はそれじゃないんだよ」なんていう人はいませんか?

説得のうまい下手は、この2つの思考パターンに沿った情報を提供しているかどうかの違いです。

この記事では、説得によって態度が変化するプロセス(中心ルートと周辺ルート)を表した、精緻化(せいちか)見込みモデルについてお話しします。

精緻化見込みモデルを理解することで、説得を成功させる方法がわかります。

ビジネスで相手を説得したい時、コピーライティングで広告宣伝から成約を取りたい時、恋愛や人付き合いで自分の主張を通したい時など、様々な場面で応用できます。

スポンサード リンク

相手を説得する2つのルート(精緻化見込みモデル)

人は他者から説得的なコミュニケーションを受けた時、説得されるメッセージに対して

  • 動機(興味)があるか?
  • 受け止める能力があるか?

の違いで、2つの思考パターン(中心ルートと周辺ルート)に分かれます。

その様子を表したのが、精緻化見込みモデル(ELM:Elaboration Likelihood Model)です。精査可能性モデルとも訳されます。

1986年に、アメリカの心理学教授リチャード・ペティ氏(Richard Petty)と社会神経科学者のジョン・カシオッポ氏(John Cacioppo)によって発表されました。

ELM:中心ルートと周辺ルートのイメージ

ELM:中心ルートと周辺ルートのイメージ

中心ルートとは

精緻化見込みモデルの中心ルートとは、説得されるメッセージについて、動機(興味)を持っていて、知識や経験がある場合の思考パターンです。

  • 家や車のような価格の高いモノを買う時
  • 仕事や保険を選ぶ時
  • こだわりのあるモノ

など、自分にとって重要な決断をする場合には、中心ルートで考えます。

プラス面やマイナス面の客観的な事実やデータに基づいて、理論的に判断できる要素で慎重に意思決定をします。

理論的に判断する中心ルートの例え

例えば、多くの人にとって車は大きな買い物ですよね。ですので、車の広告を見たからといって「よし、今すぐ買おう!」というような決断はしないはずです。

「車が欲しいなぁ」という動機(興味)があって、車についての知識もある程度持っている時に、車の広告を見て買うか買わないかの検討を始めます。

意思決定をする際には、他の車と比べたり、オプションを検討したり、燃費や操作性など、いろいろなことを考慮して決断に至ります。知識や経験があるからこそ、いろんな比較検討ができます。

中心ルートをたどった決断は長期間続く

中心ルートをたどって変わった態度については、長期間にわたって考えが変わらない傾向があります。手にできるあらゆるデータから真剣に検討したわけですから、簡単には意見は変わりません。

これが精緻化見込みモデルでの中心ルートの特徴です。

周辺ルートとは

精緻化見込みモデルの周辺ルートとは、説得されるメッセージについて、動機(興味)がなく、あまり知識もない場合の思考パターンです。

  • 日用品やお菓子のような価格の安いモノを買う時
  • こだわりのないモノ

など、自分にとってあまり重要ではない決断の場合には、周辺ルートで考えます。

中心ルートとは違って、説得されるメッセージについては深く考えることはありません。

  • 「誰が説得しているのか?」
  • 「見た目が好みか?」
  • 「有名なモノか?」

というような、直感的に判断できる要素で簡単に意思決定をします。

周辺ルートの例え

例えば、多くの人にとって100円のお菓子を買うことは、それほど重要なことではないですよね。ですので、なんとなくで買うか買わないかを決める傾向があります。

意思決定をする時には、テレビCMで商品を知っていたり、パッケージデザインの好みなど、良いイメージを持つかどうかで素早く決断に至ります。わざわざパッケージを裏返して、成分表を厳重にチェックするようなことしないはずです。

それに成分に関する知識がなければ、チェックしようにもできないですからね。

ただし、価格が安いモノであったとしても、例えばあなたやあなたの家族が食品アレルギーを持っていて、食べ物を慎重に選ぶ必要がある場合には、中心ルートで考えます。

アレルギーに関しての知識を持っているはずですから、良いイメージだけでお菓子を選ぶようなことはせず、成分表を厳重にチェックして、食べても安全かどうかを調べるはずです。

周辺ルートをたどった決断は短期間で変わる可能性がある

周辺ルートをたどって態度が変わった場合には、短期間で考えが変わる可能性があります。なんとなくのイメージで決断したことですから、改めて考える機会があった時には、意見が変わってしまうことがあるんですね。

これが精緻化見込みモデルでの周辺ルートの特徴です。

脳は周辺ルートでサボりたがる

なぜ思考パターンが中心ルートと周辺ルートに分かれるのかというと、僕たちの脳はサボり癖があるからです。

脳はできるだけエネルギーを使わずに活動をしようとします。そして、熟考が必要な中心ルートはエネルギーを必要とします。毎回毎回、熟考したのでは、脳がすぐに疲れてしまうんですね。

ですので脳は省エネで活動するために、できるだけショートカットで意思決定ができる周辺ルートで思考しようとします。

たとえ中心ルートで考えようとしている説得メッセージであったとしても、疲れていたり、ストレスがある状態だとしたら、脳は熟考することができず、周辺ルートでの思考パターンをたどります。

詐欺師は意図的に周辺ルートへ向かわせる

詐欺師たちは、この脳の特性を熟知しています。

騙す相手を中心ルートの思考パターンにならないように、脳にストレスを与えて慎重な判断ができないようにします。

例えば、オレオレ詐欺の場合は、身内の声であることを冷静に判断できないように、「相手を怪我させて大変なんだ!」「今すぐお金が必要だ!」などと、騙す相手を心理的に追い込んでパニック状態にさせます。

冷静さを失うと、脳は中心ルートをたどった思考ができなくなるんですね。

マーケティングで使う精緻化見込みモデル

マーケティングには、次のような格言があります。

「人は感情で買い物をして、理屈で正当化する」

人を説得するためには、まずは感情に訴えることが大切です。

そのためには、理論的に判断する中心ルートではなく、直感的に判断する周辺ルートでのアプローチが重要になります。なぜなら直感的な判断は、動物的な本性(感覚・感情)の部分がウエイトを占めるからです。

周辺ルートを使った6つの説得方法

社会心理学者のロバート・B・チャルディーニ氏は、周辺ルートを使った説得には6つの方法があるとして、著書『影響力の武器』の中で紹介しています。

直感的に良いイメージを持ってもらうためには、これらの説得方法を使います。

  1. 返報性
  2. コミットメントと一貫性
  3. 社会的証明
  4. 好意
  5. 権威
  6. 希少性

返報性

人は他者から何かをしてもらったら、思わずお返しをしようとします。相手から親切にされると、相手の説得に応じやすくなります。

試供品を利用したことで、そのまま商品を買ってしまうことがありますよね。

詳細記事:返報性の原理とは?ギブから始まる人に好かれる極意

コミットメントと一貫性

人は一度何かを決めたら、最後まで一貫した態度を取ろうとします。そのため、一度「Yes」と言うだけでも、相手の説得を断りにくくなります。

たとえば、「明日ヒマ?」と聞かれて「ヒマ」だと答えた場合は、「じゃぁ明日◯◯行かない?」と誘われたら、断りづらくなりますよね。

詳細記事:一貫性の原理とコミットメントとは?約束を守りたくなる心理と使い方

社会的証明

人は大勢の他者の行動を見ることで、信用しやすくなります。行列ができているお店のことを、気になったりしますよね。

  • 「利用者◯万人突破」
  • 「一番売れています」

のような表示があるだけでも、説得に応じて商品を選びやすくなります。

関連記事:バンドワゴン効果とは?行列に並びたくなる心理とビジネスでの使い方

好意

人は見た目に美しい人や、自分と境遇が似ている人には好意を抱きやすい傾向があります。印象の良い人から商品を薦められるだけでも、説得に応じやすくなります。

テレビCMなどで、有名人が使っている商品を選びやすくなるのはこのためです。

権威

人は警察・医者・弁護士など、権威を感じる肩書きの人には従おうとする傾向があります。

  • 「◯◯賞受賞」
  • 「プロが選んだ◯◯」

のようなラベルがあるだけでも、説得に応じて商品を選びやすくなります。

希少性

人は希少価値の高いモノが大好きです。たとえば、店員さんに「ラスト一個です」と言われただけでも、気になってしますよね。

  • 「限定◯個」
  • 「地域限定」

のような表示があるだけでも、説得に応じて商品が欲しくなります。

中心ルートと周辺ルートの使い分け方

あなたが相手を説得する場合は、相手にとっての重要度と、興味を持っているかどうかで使い分けができます。

単純に言えば、次の3とおりの説得ルートがあります。

相手が興味・知識を持っているか相手にとっての重要度アプローチするルート
持っている高い中心ルート
持っていない低い周辺ルート
持っていない高い周辺ルート ⇒ 中心ルート

中心ルートのアプローチ

相手が興味を持っていて、相手にとって重要度が高い説得をする場合は、中心ルートでの説得が効果的です。

たとえばあなたがマンションを販売しているのだとしたら、ポジティブな情報はもちろん、ネガティブな情報も含めて、客観的な事実やデータを相手に提示するようにします。

もしもデメリットを隠したまま説得しようとしたなら、あっという間に隠していることがバレて、信用を失ってしまいます。なぜなら、相手はマンション購入について真剣に考えているので、マンションについての知識をある程度持っているからです。

説得相手が興味を持っている段階なのに、周辺ルートで説得しようとした場合は、相手は「もどかしい」と感じてしまうかもしれません。

検討のための判断材料がほしいのに、

  • 「すごく人気で・・・」
  • 「タレントの◯◯さんがCMでやってます・・・」

なんて説明をされても、「わかったから!」って感じてしまいますよね。

周辺ルートのアプローチ

相手にとって重要度が低い説得の場合は、周辺ルートでのアプローチが効果的です。

相手を説得するためには、直感的に判断ができるような良いイメージを提示するようにします。

もしも相手が説得内容について興味がない状態なのに、あらゆるデータを提示した場合には、興味を持って話を聞いてくれなくなります。それに相手に知識がない場合は、良い悪いの判断ができないので退屈な説明になってしまいます。

たとえば、鉄道に興味がない友達を鉄道撮影に連れて行きたい場合、友達に鉄道の詳しい話をしても引かれてしまいますよね。

それよりも、

  • 先に相手の趣味に付き合ってあげる
  • 鉄道と一緒に撮る風景の美しさを写真で見せる
  • 鉄道撮影が今、人気であることを告げる

といったことをした方が、鉄道撮影に興味を持ってもらいやすくなります。

周辺ルート ⇒ 中心ルートのアプローチ

相手にとって重要度が高いけど、まだ興味を持っていない説得の場合は、周辺ルートから中心ルートをたどるアプローチが効果的です。

例えば、マンション販売のような重要度の高い説得をするにしても、相手が興味を持っていない状態であれば、周辺ルートのアプローチから入るようにします。

  • 有名人による宣伝
  • 部屋や外観の綺麗さを写真で見せる
  • 街の人気度を示す
  • 口コミ評価を示す

といったことをします。

そして、相手が説得メッセージに興味を持ったなら、中心ルートをたどるようにして、

  • 内装で使っている材料のデータ
  • マンションの構造・耐震データ
  • 周辺地域の環境
  • マンションの価格

など、判断材料となる客観的なデータを提示するようにします。

たとえば、友達に鉄道を好きになってもらいたければ、周辺ルートで鉄道に興味を持ってもらってから、その後で鉄道のいろんな話をするようにします。

周辺ルートだけではなく、中心ルートをたどって説得に応じた場合には、長期間にわたって鉄道を好きになってもらえるということですね。

ビジネスに置き換えてみれば、リピーターやファンになってくれるということです。

まとめ

人は説得的コミュニケーションを受けた際には、中心ルートと周辺ルートの2つの思考パターンをたどって態度が変化します。

このプロセスを表したものを、精緻化見込みモデルと言います。

  • 中心ルート:動機(興味)や知識がある場合、理論的に意思決定をする
  • 周辺ルート:動機(興味)や知識がない場合、直感的に意思決定をする

脳は周辺ルートをたどる思考パターンを好みますが、自分にとって重要であると判断した場合には、中心ルートをたどって慎重に意思決定をします。

説得する内容や相手の状態によって、提示するモノや順番を使い分けることが、うまく相手を説得するコツです。

中心ルートをたどって態度が変われば、長く態度が変わらない傾向があります。ですので、リピーターやファンをつくるためには、最終的には中心ルートでの説得を重視するようにしてみてください。

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
参考図書:影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

この記事が役に立ったら
\いいね !/

Twitter で

スポンサード リンク

あなたのWebサイトは成績優秀なセールスマンとして働いていますか?

集客できるWebサイトをつくる「チェックリスト」を無料公開中です。

こちらのPDFレポートで診断チェックするだけで、あなたのWebサイトがお客さんを連れてくる方法がわかります。

● 申し込みを生むデザインがわかる
● 信頼を獲得する方法がわかる
● 刺さるコピーライティングがわかる
● Webで利益を生み続ける方法がわかる

さらに、計18,000文字を超える「診断チェックリスト補足解説講座」を読めば、集客できるWebサイトの秘密が詳しくわかります。あなたのWebサイトが優秀なセールスマンに変わる方法です。

プレゼントは突然終了する可能性がありますので、今すぐ診断チェックしてみてください。

診断チェックしてみる