相手の興味を引きつけて説得を進めたいなら、相手があなたの話に関心を持っているかどうかで、要点の順番を変えることが大切です。
アメリカの心理学者ハロルド・スポンバーグ(Harold Sponberg)氏は、議論のスピーチで効果的な話し方を研究をした結果、1942年に発表した論文で「クライマックス法」と「アンチクライマックス法」を提唱しました。
クライマックス(Climax)とは「頂点」を意味する言葉で、話し方については「ヤマ場」を指します。
- クライマックス法:インパクトのある要点を最後に持ってくる話し方
- アンチクライマックス法:インパクトのある要点を最初に持ってくる話し方
話をよく聞いてくれる相手の場合は、要点を最後に話すクライマックス法で相手をワクワクさせることができます。ビジネスでの説得交渉や、ブログ記事、コピーライティングでは、要点を最初に話すアンチクライマックス法が向いています。
なぜこのような使い分けが良いのでしょうか?
この記事では、2つの話し方の特徴と使い分けを解説します。あなたのプレゼンテーション能力・説得力・影響力を高めるために役立ててください。
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結論を後に言う クライマックス法
クライマックス法とは、最初にいろいろと説明をした後で、最後に結論を言う話し方です。
順序立てて話す場合や、オチをつけて話す時には、自然とクライマックス法になります。小説や映画などのストーリーものでよく見かける、起承転結の形式にあたる話し方ですね。
- 「説明 ⇒ 結論」
- 「◯◯だから、△△になる」
日本語の文法は、主語のあとに述語がきますので、日本人には馴染みのある話し方かもしれません。
徐々に話が盛り上がるような話し方になるので、「・・・それで、どうなるの?」と思わせるような、相手の感情に訴える話ができます。
クライマックス法を使った商品紹介の例え
例えば、新しい洗濯用洗剤を紹介するためにクライマックス法を使ってみると、次のようになります。
例え
梅雨の季節って、洗濯するのが大変ではないですか? 自分の予定に合わせて洗濯したいのに、雨が続くと部屋干しするしかありません。
部屋干しをすると、なかなか乾かなくて生乾きになることってありますよね。
生乾きになると、モラクセラ菌という雑菌が増殖しやすくなります。雑巾のようなニオイがした経験は、一度や二度はあるのではないでしょうか?
生乾きのニオイは一度衣類に付いてしまうと、なかなか取ることができません。モラクセラ菌を死滅させるためには、衣類が痛まない程度の60℃くらいのお湯で、15分ほど浸けておく必要があります。
部屋干しは、イヤなニオイと戦わなきゃいけないリスクを常に背負っているんですね。
そんな方たちの悩みを解消するために、新しい洗剤が開発されました。
部屋干ししても、生乾きのニオイを98%消臭できる洗剤の誕生です。今までの洗剤と比べると、抗菌力が10倍もアップしました。雨の日が続いても、もう困ることはありません。
価格は◯◯円です。ぜひ一度お試しください。
最初に商品が必要な理由を説明をしておいて、最後に結論である商品紹介をします。
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結論を先に言う アンチクライマックス法
アンチクライマックス法とは、最初に結論を言って、その後で説明をする話し方です。冒頭にインパクトを持ってくることで、興味を引っ張ろうという話し方です。
ビジネスでのプレゼンテーションや、ブログ記事やコピーライティングでは、アンチクライマックス法を使うことで、興味を引きつけてから話を聞いてもらうことができます。
プレゼンで有名な、PREP法の形式と似ています。
- 「結論 ⇒ 説明」
- 「△△になる、それは◯◯だから」
述語のあとに主語がくる、英語の文法のような話し方ですね。
アンチクライマックス法を使った商品紹介の例え
先ほどの新しい洗濯用洗剤をアンチクライマックス法を使って紹介してみると、次のようになります。
例え
部屋干ししても、生乾きのニオイを98%消臭できる洗剤が誕生しました。雨の日が続いても、もう洗濯で困ることはありません。
今までの部屋干しは、生乾きの時の雑巾のようなニオイと戦わなきゃいけないリスクを常に背負っていました。梅雨の季節など、洗濯する日に悩まされたことは一度や二度は経験があるのではないでしょうか?
生乾きのニオイは、モラクセラ菌という雑菌が増殖することが原因で起こります。
生乾きのニオイは一度衣類に付いてしまうと、なかなか取ることができません。モラクセラ菌を死滅させるためには、衣類が痛まない程度の60℃くらいのお湯で、15分ほど浸けておく必要があります。
ですが、この新しい洗剤を使えば、生乾きのニオイがつく心配をせずにいつでも部屋干しをすることができます。さらに今までの洗剤と比べると、抗菌力が10倍もアップしています。
価格は◯◯円です。ぜひ一度お試しください。
最初に商品のウリを紹介することで興味を引いて、なぜこの商品が必要なのかを説明します。
クライマックス法とアンチクライマックス法の使い分け
相手を説得する場合、クライマックス法とアンチクライマックス法は
- 「相手との関係性」
- 「相手の状況」
によって使い分けると効果的です。
クライマックス法の特徴
クライマックス法が説得に効果的な場面は、次のような場合です。
- 結論のインパクトが弱い場合
- 相手がこちらの話に興味を持っている場合
- 相手との信頼関係が構築できている場合
- 相手が話の前置きや形式にこだわる人の場合
- 相手が感情を重視しやすい人の場合(女性に多い)
結論のインパクトが弱い場合や、相手が興味を持っている場合には、徐々に話を盛り上げることで、興味を引き延ばすようにします。
冒頭にクライマックスがなくても小説を読み続けられるのは、興味があってこそですよね。
相手との信頼関係が構築できていれば、多少つまらない話であっても最後まで聞いてくれます。ただし、横ヤリを入れられたり、途中で違う話にすり替えられる可能性があります。
アンチクライマックス法の特徴
アンチクライマックス法が説得に効果的な場面は、次のような場合です。
- 結論のインパクトが強い場合
- 相手がこちらの話に興味を持っていない場合
- 相手との信頼関係がまだ構築できていない場合
- 相手が時間の無駄を嫌う人の場合
- 相手が論理的な考え方をする人の場合(男性に多い)
結論のインパクトが強い場合や、相手が興味を持っていない場合には、冒頭でガツンとかますことで、一気に興味を持った状態で話を聞いてくれます。
相手が興味のない状態のままでは、あなたの話は拷問でしかありません。
ただし、もしも相手が納得できない結論の場合は、開始早々に話を聞いてもらえなくなる可能性が高くなります。
話は最初の3分が重要
人の集中力は、最初の3分を境に落ちていくという説があります。
相手との信頼関係がまだ構築できていない場合には、話の要点がわからないと「この人は何を話そうとしているんだろうか?」ということが気になって、話に集中してもらえない可能性があります。
ですので、ビジネスなどで相手がまだ興味を持っていない話をする場合は、結論を先に言うことは大切なんですね。
まとめ
興味を引きつける話し方をするには、話の要点をどこに置くかで2つの話法に分かれます。
クライマックス法とは、インパクトを最後に持ってくる話し方です。相手がこちらの話に興味を持っている時に使うと効果的です。
アンチクライマックス法とは、インパクトを最初に持ってくる話し方です。相手がこちらの話に興味を持っていない時に使うと効果的です。論理的な話し方ができるので、ビジネスや短時間でのやり取りに向いています。
ブログ記事やコピーライティングでは、一般的にはアンチクライマックス法が効果的です。
ストーリー展開に自信があるのならクライマックス法も有効ですが、SEO対策でブログ記事を書く場合は、結論を先に書いておかないと、検索ユーザー(検索する人)はすぐに離脱する可能性があります。
必ずどちらかにする必要はありませんので、結論を書いてからストーリーに入るなどの工夫をしてみると面白いですね。
さらに説得力を高める方法を知りたい場合は、こちらを参考にしてください。
⇒ 説得力を高める16の秘訣|心理テクニックでYESを引き出す方法
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