相手の態度を変える説得的コミュニケーションには、最終的に結論を言う明示的説得と、結論を言わない暗示的説得に分けることができます。
たとえば次のような感じです。
- 「こちらの商品はこんなに良いところがありますので、買った方がいいですよ」
- 「こちらの商品はこんなに良いところがありますよ」
説得がうまい人は、この2つの説得方法を相手によって使い分けます。
この記事では、明示的説得と暗示的説得の特徴と使い分け方と、コピーライティングでの使い方について解説します。
2つの説得方法の理解を深めて、交渉や説得を有利に導くために役立ててください。
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明示的説得とは
明示的説得とは、説得する内容についていろいろと理由を説明して、最後にはっきりと相手の取るべき態度や行動について主張をする説得方法です。
例えば、洗濯用洗剤を販売するために明示的説得をするなら、次のような感じです。
例え
こちらの洗剤は、生乾きのニオイを98%も消臭することができます。ですので雨の日が続いても、洗濯で困ることがなくなります。
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結論をはっきりと言うので、主張が分かりやすいですよね。
ただしその反面、「主張を押し付けられた」と感じる場合があります。
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暗示的説得とは
暗示的説得とは、説得する内容についていろいろと理由を説明して、相手の取るべき態度や行動についてはあえて言わずに、相手に判断してもらう説得方法です。
例えば、先ほどの洗濯用洗剤の販売を暗示的説得にするなら、次のような感じです。
例え
こちらの洗剤は、生乾きのニオイを98%も消臭することができます。ですので雨の日が続いても、洗濯で困ることがなくなります。
さらに今までの洗剤と比べると、抗菌力が10倍もアップしています。価格は◯◯円です。ただ今キャンペーンを開催中です。
明示的説得に比べると、押し付け感はありませんよね。
ただし、主張が伝わりづらい反面があります。
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どちらが効果的? 明示的説得と暗示的説得の実験
明示的説得と暗示的説得ではどちらの説得効果が高いのか? アメリカの心理学者ホブランド氏とマンデル氏が行った実験があります。
「ドルの切り下げをするべきではない」と信じている学生たちを2つのグループに分けて、『ドルの切り下げをするべきだ』という反論テーマの文書を読んでもらいました。
- Aグループ:ドルを切り下げた場合のメリットや理由を解説しただけの文書
- Bグループ:同じ内容に「・・・だから、ドルを切り下げるべきだ」という一文を付け加えた文書
この結果、ドルの切り下げに賛成した人の数は、明示的説得のBグループの方が、暗示的説得のAグループより2倍も多くなりました。
結論があるかないかの違いで、説得に応じた数に違いが生まれたことになります。
この実験結果から、相手を説得するためには、主張まではっきりと言う明示的説得の方が効果的なことがわかります。
説得でのゴリ押しは要注意
ただし、先ほどもお話ししたとおり、明示的説得には「主張を押し付けられた」と抵抗を感じる場合があります。
例えば子供の頃、宿題をしようと思っている時に「いつまで遊んでるの? 早く宿題をしなさい!」と言われたことで、やる気がなくなったり、反発したくなったことはありませんか?
または買い物している時に、店員さんから「こちらの商品は間違いないです!絶対に買った方がいいですよ!」なんてゴリ押しされて、なんだか嫌な気分になったことはないですか?
押し付けは心理的リアクタンスが起こる
このような、抵抗したくなる心理は「心理的リアクタンス」と呼ばれます。
押し付けられて嫌な気分になるのは、人は生来的に自分の意思で自由に行動したいという欲求を持っているからです。他人から「あれをするべき」「これはダメ」なんて命令には、本能的には従いたくないんですね。
ですので、明示的説得をするにしても、押し付けに感じられるような説得は、かえって逆効果になる可能性があります。
そして、心理的リアクタンスが起こる条件は、それぞれの性格によって変わります。つまり相手のタイプによって、明示的説得と暗示的説得は使い分けた方が良いんですね。
明示的説得が効果的な人の特徴
心理学の実験によると、次のような人には明示的説得が効果的だとされています。
- 自分の判断に自信のない人
- 説得内容の知識がない人
- 他人に相談することが多い人
- 他人の意見に流されやすい人
- 感情的に判断する人
- 素直な人
説得相手に知識がなくて、判断に自信がないようであれば、はっきりと取るべき態度を示してあげた方が説得しやすいということですね。
例えばレストランで、ワインの知識がないお客さんには、「おすすめはこちらのワインです」と、ズバリ教えてあげた方が応じてもらいやすいということです。その方が親切でもありますよね。
暗示的説得が効果的な人の特徴
暗示的説得が効果的な人は、明示的説得の場合とは反対の人たちになります。
- 自分の判断に自信がある人
- 説得内容の知識がある人
- 他人にあまり相談しない人
- 他人の意見に流されにくい人
- 論理的に判断する人
- 猜疑心や警戒心の強い人
自分に知識があって、判断に自信があるからこそ、他人から行動を指示されることは嫌うということですね。
ワインの知識があるお客さんであれば、おすすめのワインを教えてあげるよりも、「・・・このあたりが料理に合うと思いますが、いかがされますか?」と、いくつか候補を出してあげた方が満足してもらえるということです。
判断を委ねる暗示的説得のメリット
説得側が全てを導くのではなく、判断を相手に委ねることで意思決定をしてもらえば、意見が変わりにくくなるメリットがあります。
なぜなら、人は自分の意思で決めたことには、最後まで一貫した態度を取ろうとする心理が働くからです。このような心理作用は「一貫性の原理」と言います。
また、自分の意思で決定したことで満足度も高くなります。
ですので、説得側が全てを導くよりも、最後の判断を相手に委ねて意思決定をしてもらえば、満足度の高い説得ができることになります。
コピーライティングで説得をするには
説得相手と対面していれば、相手のタイプに合わせて、明示的説得と暗示的説得を使い分けることができます。ですが、文章だけで読み手を導く場合は、相手のタイプに合わせることができません。
コピーライティングで読み手を導く場合は、明示的説得と暗示的説得の両方を使うことで、全てのタイプに向けた説得をすることができます。
基本的には明示的説得で読み手に行動を促しますが、最後には選択をしてもらうようにします。「こちらとあちらのどちらにする?」という選択にすれば、「自分の意思で決めた」と思ってもらいやすくなります。
セールスコピーでの明示的説得と暗示的説得の使い方の例え
例えば、洗濯用洗剤をコピーライティングで販売するなら、次のような感じです。
例え
こちらの洗剤は、生乾きのニオイを98%も消臭することができます。ですので雨の日が続いても、洗濯で困ることがなくなります。
さらに今までの洗剤と比べると、抗菌力が10倍もアップしています。価格は◯◯円です。今ならキャンペーン中ですので、お得なうちにぜひ一度試してみてください。
サイズは2種類、お試し用の小さいサイズと、3ヶ月ほど使える大きいサイズがあります。大きいサイズですと、さらにお得です。
自分の意思で決めたと思ってもらえれば意思が変わりにくくなり、また意思決定をした際には、満足度も高くなります。
これはコピーライティング以外でも使えますよね。
あなたは意見を主張しつつ、最後は相手に決めてもらうことで、相手は「自分が話をまとめた」と感じてもらえます。
まとめ
明示的説得とは、相手が取るべき態度を主張する説得方法です。暗示的説得とは、相手が取るべき態度は主張せずに相手に委ねる説得方法です。
心理学の実験から、明示的説得の方が効果が高いことがわかっています。
ですが、人は自分で意思を決定したい欲求を持っています。ですので、ゴリ押しするようなことはせずに、相手のタイプに合わせて2つの説得方法を使い分けることが大切です。
コピーライティングの場合は、明示的説得をしつつも、最後の判断を読み手に委ねるようにすることで、どちらのタイプにも対応することができます。
相手を説得するためには、信頼関係がもっとも大切です。WebサイトやSNSでは、ブランディングに努めることで、訪問者との信頼関係を築いておくことが大切ですね。
さらに説得力を高める方法を知りたい場合は、こちらを参考にしてください。
⇒ 説得力を高める16の秘訣|心理テクニックでYESを引き出す方法
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