顧客心理を掴む心理学

【グランファルーン・テクニック】一体感をつくる扇動の説得術とは?

投稿日:2017-09-23 更新日:

グランファルーン ・テクニック

仲間意識を利用した強力な説得方法に「グランファルーン・テクニック」があります。戦争時には独裁者アドルフ・ヒトラーがよく使っていたプロパガンダの手法です。

たとえばヒトラーは、「ユダヤ人」と「共産主義者」の脅威をでっち上げて、「アーリア人種」の優秀性を繰り返し強調することで、強いアイデンティティを持ったドイツ集団を作り出すことに成功しました。

このグランファルーン・テクニックは、

  • リーダーシップを発揮したい時
  • 商品を販売する時のマーケティング戦略
  • 相手に好きになってもらう恋愛テクニック

など、いろいろな場面で応用することができます。

あなたが相手を先導したいなら、意図的に一体感をつくるグランファルーン・テクニックについて知っておいてください。

スポンサード リンク

グランファルーン・テクニックとは

グランファルーン・テクニックとは、何の繋がりもない群衆に、ほんのわずかな共通点をつくることで一体感を生み出し、説得へと導くテクニックのことです。

例えば小学生の頃、クラス対抗での球技大会に燃えたことはありませんか?

普段は意識していなくても、『クラス対抗』になった途端にクラスに一体感が生まれて、「他のクラスに打ち勝とう!」という共通の感情が沸き起こった経験があるのではないでしょうか。

仲間意識を持たせることで一つの目標に向かわせるのは、学校や先生によるグランファルーン・テクニックだと言えます。

意味のない連帯が グランファルーン

「グランファルーン・テクニック」というネーミングは、大衆がどのようにして説得されるのかについて書かれた書籍『プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く』のなかで名付けられました。

グランファルーン(Granfalloon)とは、1963年に出版されたアメリカの作家カート・ヴォネガット氏のSF小説『猫のゆりかご』に登場する、架空の宗教「ボコノン教」で使用される用語です。

“誇りを感じさせるが、意味のない人間同士の連帯”

という意味があります。

例えば、同じ出身地、同じ家族構成、同じ部活の経験といった共通点があるだけでも、なんだか親近感が湧くことってありますよね。

グランファルーンとは、たとえ特別な共通点がなくても、グループ分けされることで仲間意識が芽生えることを指しています。

なぜ人は、グループ分けされるだけで仲間意識が芽生えるのでしょうか?

この理由を知ることで、グランファルーン・テクニックの使い方がわかるようになります。

スポンサード リンク

人はグループに属することで内集団ひいきをする

人は集団に属することで、自分の集団をひいきして、他の集団を差別する傾向があります。

このような心理現象は「内集団ひいき」や「内集団バイアス」と呼ばれます。イギリスの社会心理学者ヘンリー・タジフェル(Henri Tajfel)氏によって理論が確立されました。

内集団ひいきの様子がよくわかるのが、テレビ番組で度々見られる「東京 VS 大阪」という図式です。

東京の人は「自分たちは上品だけど、大阪の人間は下品だ」とレッテルを貼りますし、大阪の人は「自分たちは他人に親切だけど、東京の人間は冷たい」とレッテルを貼る様子が盛り上がったりしますよね。

意味のない集団でも内集団ひいきは生まれる

1971年にヘンリー・タジフェル氏が行った、「内集団ひいき」についての一連の実験があります。これらの実験から、意味のない集団でも連帯感が生まれることがわかりました。

例えば、ある実験では被験者の学生を集めて、コインを投げて裏か表かの結果でグループ分けをします。

また別の実験では、たくさんの点が描いてあるスライドを瞬間的に見せて、点の数を数えさせるテストを行い、実際の数よりも多くカウントしたグループと、少なくカウントしたグループに分けます。

グループ分けされた学生には、選択肢の中から報酬を分配するように指示をしました。

その結果、自分が所属するグループに多くの利益が入る選択をする傾向が見られたのでした。

自分の所属しているグループに多くの報酬を与えたがる

さらに別の選択肢から選んでもらと、自分たちの利益が減ってでも、相手グループの利益を減らす傾向があることもわかりました。

相手グループの報酬を少なくしたくなる

実験でグループ分けされた学生たちには、共通点は何ひとつありません。アカの他人同士で、話したこともない集まりです。

それでもグループ分けされたことで、自分たちの所属グループ(内集団)を高く評価して、相手グループ(外集団)を低く評価する傾向があることがわかったのでした。

なぜ内集団ひいきは起こる?

人には、自分自身を守ろうとする本能があります。自尊心を守るために、自己評価を維持しようとします。

自分が所属する内集団の評価を上げることは、自己評価を上げることにつながります。一方で、自分が所属しない外集団の評価を下げることでも、相対的に自己評価を上げることにつながります。

ですので、自分の所属する内集団に対しては、高い評価をする傾向があるんですね。

この内集団ひいきを利用した説得方法が、グランファルーン・テクニックです。

グランファルーン・テクニックの使い方

「他人とつながっていたい」という帰属欲求を利用して相手を説得へと導くためには、次の2つのこと行います。

  1. 仲間意識をつくる
  2. 共通の敵をつくる

1. 仲間意識をつくる

まずは説得相手をあるカテゴリーに分けて、仲間意識をつくるようにします。同じ価値観、同じ目標、同じ環境など、いろんなカテゴリーをつくることができます。

そして、仲間意識をつくるためには、次のような方法があります。

  • 共通のアイテム
  • 感情の共有
  • Weメッセージ

「共通のアイテム」という仲間意識

仲間意識をつくるもっとも簡単な方法は、「共通のアイテム」を身につけることです。

例えば、スポーツチームの応援団では、チームのユニフォームを身にまとうことで仲間意識が生まれますよね。会社ではプロジェクトチームのTシャツをつくることで、仲間意識を演出できます。

ナチスドイツでも、党員たちは茶色の制服に身を包んで、共通の腕章をすることで仲間意識を形成していました。

あなたが誰かと仲良くなりたいなら、それとなく「お揃いのモノ」をプレゼントすることで、仲間であることを意識してくれるようになります。

感情を共有する

仲間意識は、感情を共有することでも生まれます。

旅行での楽しい体験や、肝試しでの怖い体験など、友達と同じ体験をすると仲が深まりやすくなりますよね。それは同じ体験や感情を共有したことで、一体感が生まれるからです。

演説のうまい政治家は、「お父さんが抱える労働環境の不満」「お母さんが抱える育児問題の不安」などを、あたかも自分ごとのように表現することで、有権者と感情を共有するようにしています。

例えば、セールスコピーでダイエット商品を販売するのなら、読者を「太っていることで苦い経験をした人」というカテゴリーに入れて、そのツラい経験を描写することで感情を共有します。

「そうそう、よくわかってくれるなぁ」という共感が、一体感を生むんですね。

強力なWeメッセージ

仲間意識を芽生えさせる強力なワードが「私たち」です。

メッセージを伝える場合、「あなたと私」というワードを使うと、対峙しているイメージが生まれます。立場や意見も違うような気がしますよね。ですが「私たち」というワードにすると、同じ方向を向いている “同志” のイメージに変えることができます。

プロサッカーチームの浦和レッズサポーターは「We are REDS!」と叫ぶことで、“自分たち” のチームを誇りに感じると同時に、仲間意識も強めています。

アメリカ元大統領のバラク・オバマ氏も「Yes We Can!」を合言葉にしていました。もしもあの合言葉が「Yes You Can!」だったとしたら、絶対に支持されていないですよね。

アドルフ・ヒトラーも、次のような演説をしていました。

「我々は、むやみに大きな力を持つことを望んでいるのではない。我々の労働のために、我々民族のために、我々ドイツのために立ち上がる必要があるのだ。」

2. 共通の敵をつくる

グランファルーン・テクニックで重要なのが、味方をつくるために『共通の敵』をつくることです。

「敵の敵は味方」というやつですね。

例えば、あまり仲良くないAさんとBさんでも、「Cさんって、◯◯なところがちょっとイヤだよね・・・」と、第三者を『共通の敵』に見立てることで、仲良くなるきっかけを作ることができます。

クラス対抗の球技大会では、他クラスを『共通の敵』にすることで一体感が生まれました。東京の敵は『大阪』にして、大阪の敵は『東京』にすることで、お互いのメンバー同士に一体感が生まれます。

グランファルーン・テクニックを使っていたヒトラーも、『ユダヤ人』を共通の敵にするために恐ろしい演説をしていました。

「金融界を独占するユダヤ人は、ドイツ経済の破壊を企んでいる。寄生虫であるユダヤ人は、若いブロンド娘を辱め、かけがえのない優秀な血を汚し続けているのだ。先の大戦でドイツが敗れたのは、我々ドイツ人の血の純血が守れなかったからである。」

マーケティングで共通の敵をつくる場合

例えば、セールスコピーでダイエット商品を販売する場合なら、

「今までダイエット商品を何度試しても失敗してきたのは、今までの商品が『お手軽なダイエット』という甘い罠で消費者を誘惑して、脂肪燃焼についての正しいメカニズムを教えていないかったからです」

というような、今までのお手軽なダイエット商品を『共通の敵』にすることができます。

どんな敵をつくるかで、反応に違いが生まれます。

敵がうまくハマれば、読者は「・・・だったら、正しいメカニズムって何?」という、味方になるモノを探し始めます。疑問に対しての答えを提示できれば、読者は販売者の味方になってくれます。

共通の敵をつくることで相手を味方にして、仲間意識を強化することが一体感を生み出すポイントです。

まとめ

グランファルーン・テクニックとは、繋がりのない集団に、ほんのわずかな共通点をつくることで一体感を生み出し、説得へと導く心理テクニックのことです。

宗教や政治の世界でも使われる、非常に強力な説得テクニックです。

グランファルーン・テクニックで大切なことは、次の2つです。

  • 仲間意識をつくる
  • 共通の敵をつくる

あなたがリーダーシップを発揮したい時や、ビジネスでファンをつくりたい時には、この2つを意識してメッセージをつくるようにしてみてください。

さらに説得力を高める方法を知りたい場合は、こちらを参考にしてください。
説得力を高める16の秘訣|心理テクニックでYESを引き出す方法

この記事が役に立ったら
\いいね !/

Twitter で

スポンサード リンク

こちらもチェック!

今すぐ受け取るYL
  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなWeb集客の専門家。 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広いデザインを経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの視点をもつ。 個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

-顧客心理を掴む心理学
-, ,

Copyright© Web活用術。 , 2018 All Rights Reserved.