消費者が商品を認知してから購入するまでに辿る心理的プロセスを、「消費者行動モデル」または「購買行動モデル」などと言います。
日本で有名な消費者行動モデルには、AIDA・AIDMA・AIDCA・AMTUL・AISAS・AISCEAS・SIPS・VISAS・DECAX・Dual AISAS・・・など、様々な種類が存在しています。
いっぱい種類がありすぎて、よくわからないですよね。
こんなにも多くの消費者モデルが存在するのには理由があります。それは、時代とともにメディアの種類が増えたことで、消費者の購買決定プロセスにも変化が生まれているからです。
当サイトでは(Web活用術。)消費者行動モデルの変化を、わかりやすいように誕生順に次の4種類に分類してみました。
年代 | 購買決定プロセス | モデル名 |
1900〜 | マスメディア広告型 | AIDA、AIDMA、AMTUL |
2005〜 | インターネット検索型 | AISAS、AISCEAS |
2010〜 | ソーシャルメディア共有型 | VISAS、SIPS |
2015〜 | コンテンツ発見型 | DECAX、Dual AISAS |
この記事では、消費者行動モデルの基本である、マスメディア広告型の「AIDA、AIDMA、AMTUL」を紹介します。
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マスメディア広告型の消費者行動モデル(AIDA・AIDMA・AMTUL)
インターネットが登場するまでは、消費者が商品を知るきっかけになるものは、おもに新聞・雑誌・チラシ・ラジオCM・テレビCM、ダイレクトメール・FAX-DMなどの広告でした。
これらの広告物から、消費者が購買に至るまでの心理プロセスを表した概念が、マスメディア広告型の、AIDA、AIDMA、AMTULモデルです。
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AIDA(アイーダ)
最も古い消費者行動モデルは、1898年にアメリカの広告研究家だったセント・エルモ・ルイス(E. St. Elmo Lewis)氏が提唱した、「Attention:注意」⇒「Interest:関心」⇒「Desire:欲求」の3段階からなる『AID』モデルです。
1900年に自ら「Action:行動」を付け加えて『AIDA』としました。
AIDA(アイーダ)モデルは、アメリカのE・K・ストロング(E.K.Strong)氏が、1925年に発表した『Theories of Selling』という論文のなかで、セールスにおける顧客心理の段階を「AIDA」を使って説明したことで有名になりました。
AIDA
- Attention(注意):消費者が注目して認知する
- Interest(興味):消費者が興味・関心を持つ
- Desire(欲求):消費者が商品を欲しくなる
- Action(購買行動):消費者が購入をする
AIDAの解説
現在ある消費者行動モデルのほとんどは、このAIDAが基盤になっています。現在でもアメリカのマーケティング業界では、最も有名なモデルです。
AIDAは、対面でのセールスや、チラシを見かけた際の心理的プロセスをよく表してます。そのため、セールスコピーライティングの文章モデル『AIDAの法則』としても有名です。
ちなみにストロング氏は論文のなかで、「AIDAには、行動する前に《Conviction:確信》するステップが必要」だとして、『AIDCA(アイドカ)』に修正しています。
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AIDMA(アイドマ)
AIDMA(アイドマ)モデルは、1924年にアメリカのサミュエル・ローランド・ホール(Samuel Roland Hall)氏が提唱した概念です。
販売・広告の実務書として書いた『Retail Advertising and Selling』の中で、「広告宣伝に対する消費者の心理的なプロセス」としてAIDMAを発表しました。日本では「AIDMAの法則」として知られています。
AIDMA
- Attention(注意):注目して認知する
- Interest(興味):興味・関心を持つ
- Desire(欲求):商品を欲しくなる
- Memory(記憶):購入の動機として欲求が記憶に残る
- Action(購買行動):購入する
AIDMAの解説
AIDMAモデルは、つぎの3つのプロセスに分解できるとしています。
- 「認知段階」・・・《Attention:注意》
- 「感情段階」・・・《Interest:興味》《Desire:欲求》《Memory:記憶》
- 「行動段階」・・・《Action:購買行動》
AIDA・AIDMA・AIDCAの法則が生まれた時代背景
AIDA、AIDMA、AIDCAが生まれた時代を知ることで、この消費者行動モデルを、より理解することができます。
AIDMA、AIDCAが生まれた1920年代のアメリカといえば、石油や電力を中心とした第二次産業革命が起こったことで、アメリカの工業力が世界一になった年代です。自動車や映画、ラジオ放送が普及し、経済が大繁栄をとげて、大量生産・大量消費の様式が確立した時代でした。

1920年代のロサンゼルス 出典元:wikiペディア/狂騒の20年代
この頃の広告と言えば、新聞・ラジオ・雑誌が主な媒体です。
当時の電話の普及率は40%未満だったので、 広告を見て “欲しい” と感じても、すぐに商品を注文できるわけではありませんでした。ですのでAIDMAでは、「記憶」というプロセスが大切なものだったと考えられます。
その後1950年代にテレビが普及して、4大マスメディアが確立します。
AMTUL(アムツール)
AMTUL(アムツール)モデルは、経済評論家の水口健次氏が1978年に提唱したとされる概念です。
AIDA・AIDMAが短期的な購買衝動を説明するのに対して、AMTULは長期的な心理の移り変わりを表したモデルです。
AMTUL
- Aware(認知):認知する
- Memory(記憶):購入の検討材料として商品を記憶する
- Trial(試用):まずは試してみる
- Usage(本格的な使用):気に入れば繰り返し購入する
- Loyalty(固定客化):ファンになる
AMTULの解説
企業が安定して利益を出すためには、固定客は非常に大切な存在です。ですのでAMTULモデルは、多くの企業にとって、マーケティングを考える際に参考にしたい消費者行動モデルです。
さらに、AMTULモデルは各段階を数値化しやすい特徴があります。そのため、ダイレクトレスポンスマーケティングと相性の良いモデルであるとも言えます。
AMTULの法則が生まれた時代背景
1970年代の日本と言えば、戦後の貧困から世界第二位のGDPに上りつめた高度経済成長がひと段落して、オイルショックによって高度経済成長が終わりを迎えた年代です。
生産者が中心の「経済発展のための商品」という世の中から、公害などの影響もあって、消費者が中心の「消費者のための商品」という世の中に変わり始めた時代でした。
また、カラーテレビの普及率が白黒テレビを上回り、テレビというメディアが国民にとっての娯楽として定着した年代でした。
AIDA・AIDMA・AMTULの特徴
AIDA、AIDMA、AMTULの消費者行動モデルは、おもにテレビ・ラジオ・新聞・雑誌といったマスメディア広告を使った時の心理的プロセスです。
消費者はいずれも、売り手が発信する情報(広告物)に触れることで、初めて商品を認知するという特徴があります。
そのため、消費者の注意を引くためには、記憶に残るようなインパクトのある言葉やビジュアルが必要だいう考えがありました。
消費者行動モデルの役割
消費者行動モデルは、セールスの流れの確認や、問題点を発見することに役立ちます。
例えば、あなたがこれまで買ってきた、食品、雑誌、洋服、時計、テレビ、車・・・。全ての商品・サービスを購入した時には、これまでご紹介した、AIDA、AIDMA、AMTULのような心の流れを辿ったのではないでしょうか?
- 「あれ、この商品初めて見るぞ?」
- 「なんか良さそうだけど・・・ どうしよう」
- 「 よし、買ってみるか」
- 「お、この商品いいね!」
どのプロセスに問題があるのかを発見する
- 「あれ、この商品初めて見るぞ?」という人の数が少なければ、商品が売れる数は少なくなります。
- 「なんか良さそうだけど・・・ どうしよう」と悩ませてしまっては、商品が売れる数は少なくなります。
- 「よし、買ってみるか」と決断させる決定的なものがなければ、商品が売れる数は少なくなります。
- 「お、この商品いいね!」と感じてもらえなければ、リピート購入や評判による認知は広がりません。
このように、購買に至る心の流れを段階的に分けることで、商品購入の妨げになっている要素をあぶり出すことができます。
まとめ
消費者行動モデルを知ることで、消費者が商品を認知してから、購買に至るまでの問題点を発見することができます。
AIDA、AIDMA、AMTULの消費者行動モデルは、おもにマスメディア広告を使った時の心理的プロセスを表しています。
そのなかでも、
- AIDA、AIDMA ⇒ 短期的な購買行動
- AMTUL ⇒ 長期的な購買行動
を表しています。
マスメディア広告型の消費者行動モデルの次に現れるのが、インターネットの誕生によって2005年頃に生まれた「AISAS、AISCEAS」です。以降の消費者行動モデルでは『検索・共有』というプロセスは欠かせない要素になります。
次の記事では、Webマーケティングには欠かせないAISAS・AISCEASモデルの解説をします。
Next⇒「AISAS・AISCEASの法則【インターネット検索型の消費者行動モデル】」
追伸
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