ソーシャルメディアが一般的になったことで、広告効果を高めるためには、消費者に「共感・共有」してもらうことが重要な要素になりました。
それは、売り手(企業)が買い手(消費者)にとって、有益な情報(コンテンツ)を提供することが重要になったということです。
コンテンツマーケティングが重要視されるようになってきたことで、DECAX、Dual AISASという新しい消費者行動モデルが生まれました。コンテンツマーケティングに取り組むのなら、知っておくと良いモデルです。
消費者行動モデルは、時代によって様々なモデルが生まれています。その変化の様子を、当サイト(Web活用術。)ではわかりやすいように誕生順に次の4種類に分類しています。
年代 | 購買決定プロセス | モデル名 |
1900〜 | マスメディア広告型 | AIDA、AIDMA、AMTUL |
2005〜 | インターネット検索型 | AISAS、AISCEAS |
2010〜 | ソーシャルメディア共有型 | VISAS、SIPS |
2015〜 | コンテンツ発見型 | DECAX、Dual AISAS |
この記事では、コンテンツ発見型の消費者行動モデル「DECAX、Dual AISAS」を紹介します。
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コンテンツ発見型の消費者行動モデル(DECAX・Dual AISAS)
誰もが情報発信できる情報過多の時代においては、売り手が発信する宣伝広告は注目されにくくなってきました。
なぜなら、ニュースサイトに登録しておいた自分好みの情報や、友人たちが発信する楽しい情報は、スマホやSNSをとおして毎日大量に流れてくるようになったからです。
「誰が・何を」言っているのかを確認して取捨選択しなければ、情報はたちまち溢れてしまうようになりました。売り手からの一方通行的な広告を見る時間の余裕は、なくなってきたんですね。
そのため、従来のAIDMAやAISASモデルにあった《Attention:注意》は、単純な広告ではなく、
- 消費者が求めている情報
- 消費者が共感してくれる内容
であることが重要になりました。
その様子を表したモデルが、DECAX、Dual AISASです。
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DECAX(デキャックス)
DECAX(デキャックス)とは、2015年に電通デジタル・ホールディングスの内藤敦之氏が提唱した概念です。
DECAXは、コンテンツマーケティングによって商品が購入される様子を表しています。従来のAIDMAやAISASモデルにあった、売り手が発信する《Attention:注意》は、《Discovery:発見》に変わっています。
- Discovery(発見):消費者が有益なコンテンツを発見する
- Engage(関係):消費者がコンテンツの発信元(企業)と関係を深める
- Check(確認):消費者が発信元(企業)の商品を確認する
- Action(購買):消費者が商品を購入する
- eXperience(体験と共有):消費者が商品を体験して情報共有する
DECAXの解説
はじめに、消費者は自分にとって必要な情報を《Discovery:発見》することから始まります。
例えば、ゴルフが趣味で上達したいと思っているAさんが、いつも読んでいるニュースサイトに表示された『ゴルフが上達する方法』というオススメ記事(広告)を発見します。あるいは、「ゴルフ 上達」と検索して上位表示された、『ゴルフが上達する方法』の記事を発見します。
記事を読んで「役に立ったな」と感じたAさんは、発信元(企業)が提供する、他の記事も読むようになります。いくつもの記事を読んで、「この情報は信頼できるのか?」などを《Check:確認》することで、発信元との《Engage:関係》が深くなり、信頼するようになります。
やがてAさんは、発信元が販売しているゴルフクラブの商品を《Check:確認》するようになります。「この商品は本当に役に立つのか?」などを、他サイトや口コミサイトなどでも確認します。そして「自分にとって必要だ」と感じたら、発信元が販売している商品を《Action:購買》します。
商品を《eXperience:体験》したことで、感想をSNSや口コミサイトなどで《共有》します。「このゴルフクラブすごく使いやすいよ!」と共有された情報は、Aさんの知人や、似た価値観の人へも広がり、新しい《発見》を生みます。
DECAXでは、従来の「売り込み広告」を読ませるのではなく、「為になるコンテンツ」を発見してもらうことが重要だということですね。
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Dual AISAS(デュアルアイサス)
Dual AISAS(デュアルアイサス)とは、2015年に、デジタルマーケティング支援企業のアタラ合同会社が、電通プロモーション・デザイン局の協力のもと開発した概念です。
参考サイト:電通報/“Dual AISAS”で考える、もっと売るための戦略。
2005年に商標登録された、AISASモデルの《Attention:注意》にあたる部分を、情報拡散のための《Activate:起動・活性化》として、新しい「ISAS」に置き換えています。
広めたいA+ISAS
- Activate(起動・活性化):ブランド情報の関心を商品の関心へと転換する
- Interest(興味):ブランド情報に触れることで、消費者が興味を持つ
- Share(共有・発信):ブランド情報に共感して、第三者に発信する
- Accept(受容・共鳴):第三者がブランド情報を受け取り、共鳴する
- Spread(拡散):第三者が拡散することで、さらに母数が増える
買いたいAISAS
- Attention(注意):消費者が注目して認知する
- Interest(興味):消費者が興味・関心を持つ
- Search(検索):消費者が検索して商品について調べる
- Action(購買行動):消費者が購入をする
- Share(情報共有):消費者が商品の評価を情報共有する
Dual AISASの解説
Dual AISASは、従来のAISASモデルの《Attention:注意》に変化が加わったモデルです。
- 新しいAISASをヨコに考えて「広めたいA+ISAS」
- 従来のAISASをタテに考えて「買いたいAISAS」
この二つを合体させたものが、Dual AISASの考え方です。
Dual AISASでは、《Interest:興味》が2つ存在しています。これは、消費者を「コミュニケーションを図ることに興味を示す層」と、「商品に興味を示す層」に分けたためです。
情報共有のタイミングはSNSによって変化した
従来のAISASでは、消費者は商品を購入した後で 「情報を共有する 」としていました。
ですが、ソーシャルメディアが一般的になったことで、情報共有は商品購入とは関係なく行われるようになりました。例えば、面白い動画を見たら友達にも教えてあげたいですし、心に残る名言は「いいね!」やリツイートで拡散したくなったりしますよね。
「広めたいA+ISAS」とは、このような友人間で、コミュニケーションを図りたい層を指しています。
Dual AISASでは、消費者が商品を認知する手段として、「直接的な商品の広告」ではなく、友人間で情報を共有したくなるような、「間接的なブランド情報」を発信することが重要であるとしています。
そして、ブランド情報に関心を示した人を、いかに商品情報への関心に転換させるかが課題であるとしています。
DECAX・Dual AISASが生まれた時代背景
DECAX、Dual AISASが発表された2015年では、日本におけるインターネット普及率は83%となりました。
スマートフォンでの利用者も54.3%となり、パソコンでの利用者(56.8%)と、ほぼ同数になってきました。また、インターネットの利用目的は、20〜30代では「メールの送受信」に次いで「SNS」を目的としています。
参照サイト:総務省/インターネットの普及状況
そして、「ほぼ毎日インターネットを利用する」という人は5,610万人いて、その中の71%(3,996万人)の人が、スマートフォンを利用しています。
参照サイト:ニールセン インターネット基礎調査
消費者は「欲しい情報」を選ぶようになった
インターネットを利用する人が増え、SNSが生活のなかで身近な存在になったことで、「面白い」「為になる」という情報は、すぐに広まるようになりました。
そして、インターネットでは無数の情報で溢れるようになりました。その情報量は、一日一冊の本を読むことができる人の目の前に、毎日2万冊の本が積まれるほどの量だと言われています。
消費者は、「欲しい情報」だけを選別する必要が出てきたんですね。
情報が溢れることでマス広告の効果が薄れてきた
インターネットの利用者が増える一方で、新聞や雑誌を読む人は減ってきました。テレビCM以外のマス広告の効果が薄れてきたことで、新しいマーケティングの形が求められるようになりました。
それが、従来の「今すぐお客さんを集める」という方法から「時間をかけて優良顧客を育成する」という考え方のコンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティングという言葉が日本でも浸透するようになったのは、2013年頃です。
DECAX・Dual AISASの特徴
DECAX、Dual AISASで重要な要素は、「売り込みの広告」ではなく、「消費者のためになるコンテンツ」です。
消費者にとって面白いコンテンツや有益な情報を発信することで、情報拡散してもらい、発見してもらえば、やがて商品購入に結びつくという考え方です。
インターネットを使って情報発信ができるようになったことで、企業と消費者との距離は、ずいぶん近くなりました。なぜなら、企業はマスメディアの広告に頼ることなく、自社でメディア(オウンドメディア)を運営して、消費者に直接アプローチできるようになったからです。
コンテンツマーケティングをすることで、消費者との関係を深く築ける時代になったと言えます。
まとめ
インターネットとSNSが生活のなかに浸透してきたことで、情報は溢れかえるようになりました。そのため、消費者は「欲しい情報」を厳選する必要が出てきました。
消費者にとって「欲しい情報」を発信することで、「発見・拡散」してもらい、購買に結びつける消費者行動モデルが、DECAX、Dual AISASです。
ただし、インターネットが当たり前になったとは言え、すべての人がインターネットやSNSを利用しているわけではありません。ですので、「コンテンツマーケティングが必ず重要!」と簡単に結論づけるのではなく、「相手にしたいお客さんの購買行動モデルは何か?」を考えることが大切です。
次の記事では、コンテンツマーケティングのメリットとデメリットについて解説しています。
Next⇒「コンテンツマーケティングとは何か?Web集客に有効な7つのメリット」
追伸
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