消費者が商品の認知から購買に至るまでの心理的プロセスをモデル化したものに、「AIDMAの法則(アイドマの法則)」があります。
おもにマスメディア広告を作る際に参考にしたいこの消費者行動モデルは、商品・サービスを販売する立場の人にとっては、知っておきたい基本的なモデルだと言えます。
この記事では、AIDMAの法則での消費者心理の解説と、チラシ作成に役立つAIDMAの法則を使った簡単なセールスコピーの作り方を紹介します。
AIDMAの法則の理解を深めるために参考にしてみてください。
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AIDMAの法則(アイドマの法則)とは
AIDMA(アイドマ)の法則とは、消費者が商品を購入するまでの心理的な流れを、次の5つの段階に分けてモデル化したものです。
- Attention(注意):商品を認知する
- Interest(興味):興味を持つ
- Desire(欲求):欲しいと感じる
- Memory(記憶):感情を記憶する
- Action(行動):購入する
それぞれの頭文字をとって、日本では「アイドマの法則」と呼ばれています。
AIDMAモデルはもう古い?
このAIDMAモデルは、1920年代にアメリカで販売・広告の実務書を書いていた、サミュエル・ローランド・ホール氏の著書『Retail Advertising and Selling(小売りにおける宣伝と販売)』の中で提唱されました。
提唱された年代を見ると随分古く感じるモデルではありますが、人間の行動心理は変わるものではないので、現在でも十分に使えるものです。
ちなみに最古の消費者行動モデルは、1898年に提唱された「AID」です。現在では、1995年にインターネットでの検索サービスが開始されたことで、いろいろな消費者行動モデルが発表されています。
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AIDMAの法則の解説
AIDMAの法則では、「認知」「感情」「行動」の3つの段階に分かれるとしています。
認知段階 | A | Attention(注意) |
感情段階 | I | Interest(興味) |
D | Desire(欲求) | |
M | Memory(記憶) | |
行動段階 | A | Action(行動) |
認知段階
- Attention(注意)
商品を買うか買わないかは、消費者が商品を認知することから始まります。
認知段階では、まずは商品の存在を見込み客(将来商品を買う可能性のある人)に知ってもらわなければいけません。認知のための対策が必要です。
感情段階
- Interest(興味)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
商品を認知した後は、感情が動きます。
「注意」を引いた内容について、「興味」を持てば「欲求」につながり、欲求の度合いが高ければ「記憶」に残ります。
感情段階では、商品を知った見込み客が 「欲しい!」という欲求につながる感情を刺激することにフォーカスすることが大切です。
AIDMAの法則が提唱された1920年代のアメリカでは、電話の普及率は40%未満でした。雑誌や新聞で広告を見たとしても、すぐに申し込める状況ではありませんでした。
そのため、商品を「記憶」するという要素が重要だったと考えられます。
行動段階
- Action(行動)
強い欲求が生まれることで、購買という行動に移ります。
強い「欲求」が生まれれば、後日買い物に出かけた際や、インターネットで再び出会った時に、購買という「行動」につながります。
AIDMAの法則からセールスコピーを作る
では、ダイエットサプリメントのセールスコピーを作るとして、AIDMAの法則でその流れを考えてみます。
A:Attention(注意)
消費者心理
商品購入の心理的プロセスは、「注意」を引かれることで初めて商品を認知します。
セールスコピーでは、ヘッドライン(見出し)で注意を引くことができなければ、その先に書いてある内容を読んでもらえることはありません。
ですので、「コピー作成全体の80%の時間を使っても良い」というコピーライターもいるほど、重要な部分になります。
平凡な見出しでは注意を引くことはできないので、魅力的なヘッドラインになっているかどうかをよく考える必要があります。
注意を引くためには、ヘッドラインで好奇心を掻き立てます。人は新しい情報に敏感です。最新情報・知らなかったこと・発見されたこと・意外なこと・覆された新事実などに好奇心を抱きます。
注意を引く言葉としては、「発見」「簡単」「実証済み」「新」「お得」「本当の」「無料」「ついに」「新入荷」「セール」「保証」「〜する方法」などがあります。
具体的な数値を入れることができれば、これも有効です。
例え
「実証済み!たった14日でお腹周りが8cmも痩せる・・・しかも食べるだけ!?」
I:Interest(興味)
消費者心理
商品を認知した次に、自分に関わるものであれば「興味」が湧きます。
セールスコピーでは、「注意」させた事柄について、さらに興味を膨らませるようにします。
人は自分に深く関係していることに興味があります。
見込み客に深く関係している事柄について興味を膨らませながら、どんな悩みや希望を抱えているのかを書き出せば、「これは自分のための情報だ!」と、興味を持って読み進めてもらうことができます。
「自分のための情報だ!」と認識してもらうためには、ターゲットとする見込み客(ペルソナ)のことをよく知る必要があります。
例え
「今まで運動するダイエットに挑戦したのに、1ヶ月と続かず諦めてしまったことはありませんか? カロリーを考えて、大好きなチョコを泣く泣く我慢していませんか? この商品は、あなたが今まで失敗してきた方法とは180度違う、我慢をしなくても健康的に痩せるダイエット法です。」
D:Desire(欲求)
消費者心理
興味が湧いて自分に必要だと感じたら、欲しいという「欲求」が生まれます。
セールスコピーでは、「こんな解決方法があります」ということを明示して、解決後のイメージを想像してもらうようにします。
商品の特徴と、商品からもたらされるベネフィット(商品の満足感)をいくつも書き出し、伝えることで、その商品に対して期待感を高めてもらうように努めます。
例え
「あなたがすることは、このサプリメントを1日一錠食べるだけです。たったこれだけで、わずか14日後には、友達も思わず羨むくびれボディが手に入ります。大好きなチョコを我慢していた毎日、無理してジョギングしていた毎日は、もう過去のものです。」
M:Memory(記憶)
消費者心理
欲求が強くなれば、強く「記憶」に残ります。
AIDMAの法則の「記憶」では、興味や欲求が強くなるほど記憶に残りやすくなり、行動(購買)に移りすくなる、というものです。
セールスコピーを考える際には、「欲しい」という感情を強く記憶に残すために、どうやって悩みを解決できるのかという具体的な方法の《Proof:証明》をします。(AIDPA:アイドパの法則というものもあります)
- 科学的な数値に基づく証明
- 権威ある専門家の意見
- お客さんの証言
などを載せて、信ぴょう性をアピールします。また、他社との違いを明確にする必要もあります。
例え
「このダイエット法は2013年にアメリカで開発されました。105名の実験データでは・・・」
「この商品が今までの方法にない、最も優れている点は・・・」
A:Action(行動)
消費者心理
記憶に残るほどの欲求が生まれれば、購入という「行動」が生まれます。
セールスコピーでは、「どんなに希少性の高いものなのか」「どんな限定性があるのか」という魅力的なオファーを用意して、価格を明かします。そして、どんな行動を取って欲しいのかを必ず示す必要があります。
どれほど商品の魅力が伝わったとしても、行動を促さないと消費者は行動してくれません。購入してもらうための行動を促して、成約に結びつけることを考えます。
例え
「今回は日本初上陸キャンペーンのため、希望価格15,000円のところを、特別価格9,800円でのご提供になります。14日後に体重の変化がなければ、代金は全てお返しいたします。今すぐ下のお申し込みフォームに記入してクリックしてください。チャンスは本日から2週間だけです。」
以上が、AIDMAの法則でつくるセールスコピーの流れです。
まとめ
AIDMAの法則とは、消費者が商品の認知から購買に至るまでの心理的プロセスを、5つの要素で表した概念です。
AIDMAの法則を使ってセールスコピーをつくるには、認知段階・感情段階・行動段階という消費行動の自然な流れをつくることが大切です。
各要素の大事なポイントのおさらいです。
- Attention(注意):好奇心を掻き立てて注意を引く
- Interest(興味):「これは自分のためのものだ」と認識してもらう
- Desire(欲求):解決後のイメージを想像してもらい、欲求を高めてもらう
- Memory(記憶):どうやって解決できるのか、具体的な方法を証明する
- Action(行動):魅力的なオファーを提示して、購入してもらうための行動を促す
セールスコピーには、他にもQUESTの法則、PASONAの法則といった有名な文章モデルがあります。いずれも大まかな流れはほぼ同じですが、セールスコピーを書くなら知っておきたい文章モデルの基本形です。
もしもあなたがインターネットで商品を販売するのなら、AISASモデルや、DECAXモデルも知っておくと役に立ちます。
追伸
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