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防衛的自己呈示7種類|あの人の謝罪や言い訳は本心かマニュアルか?

2018-03-25

謝罪や言い訳で使われる防衛的自己呈示

自分のことを良く見せようとする行為を、心理学では自己呈示と言います。その中でも、自分への悪いイメージを回避する行為を、防衛的自己呈示と言います。

自己呈示の分類

  • 主張的自己呈示:なんらかの報酬を得るために行う自己呈示
  • 防衛的自己呈示:悪いイメージを回避するために行う自己呈示

例えば、「遅刻をした」「ノルマが達成できなかった」「テストで悪い点を取ってしまった」などのミスや失敗で窮地に陥った時に、ごまかしたり、言い訳したりすることが防衛的自己呈示です。

言い訳の仕方ひとつでダメージを最小限に抑えたり、あるいは火に油を注いで最大になってしまうことがあります。

テレビで見かける謝罪会見でも、「なんでそんな言い方をするかなぁ、それじゃ謝ってることにならないよ・・・」なんて思ってしまうことがありますよね。

この記事では、言い訳でよく使われる4つの防衛的自己呈示と、その他3つの合計7つの防衛的自己呈示を解説します。

言い訳のための防衛的自己呈示を知っておけば、正しい謝罪の仕方がわかるようになります。

テレビで見かける芸能人や政治家の謝罪会見が本物かどうかもわかりますので、今後、謝罪会見があった際には真意を見抜いてみてください。

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言い訳のメインで使われる防衛的自己呈示4種類

自己呈示で使われる言い訳

窮地に陥った場合、自分への悪いイメージを回避するための言い訳には、次の4つのパターンがあります。

  1. 否定:自分の責任を認めないし、自分の行為による被害も認めない
  2. 正当化:自分の責任は認めるが、自分の行為による被害は認めない
  3. 弁解:自分の責任は認めないが、自分の行為による被害は認める
  4. 謝罪:自分の責任を認めて、自分の行為による被害も認める
自分の責任の所在自分の行為による被害
否定認めない認めない
正当化認める認めない
弁解認めない認める
謝罪認める認める

ひとつずつ、解説していきます。

1. 否定の自己呈示

否定の自己呈示とは、自分の責任も行為による被害も全く認めないことです。

例えば、「僕は知りません」と、シラを切ることです。

スキャンダルを報道された政治家のインタビューでは、「報道にあるような不正献金の事実は一切ありません」なんていうのは、よく聞く言葉ですよね。

人は窮地に陥ると、まず第一に考えることが保身です。

ですのでつい出てしまうのが、この『否定』の自己呈示かもしれません。ですが、もしも嘘がバレた場合はさらに厳しい批判を受けるので、あまり得策な自己呈示ではありません。

2. 正当化の自己呈示

正当化の自己呈示とは、自分の責任は認めても、行為による被害は認めないことです。

例えば、「確かにスピード違反はしました。でもそれは周りのスピードに合わせていただけなんです」と、自分の行為を正当化しようとします。

人は本能的に自分の行為を正当化しようとする一面を持っています。この心理傾向は「認知的不協和」と呼ばれます。

ですので、言い訳として条件反射的に使われるのは、この『正当化』の自己呈示が多いかもしれません。

ただし、「やったことはやったけど、私は悪くない」というニュアンスがあると、開き直りに受け取られる可能性があります。

3. 弁解の自己呈示

弁解の自己呈示とは、行為による被害は認めるけど、自分の責任は認めないことです。

例えば、「遅刻してすみません。来る途中に電車がストップしてしまいまして、どうしようもありませんでした」と、相手への迷惑を認めつつ、自分には非がないことを主張します。

あるいは、「乱暴を働いたようですが、お酒が回ってて、よく覚えていないんです・・・」と、やってしまった事実は認めても、“お酒が悪い”ことにして、自分の責任の有無をぼやかします。

「私は悪いけど、私のせいじゃない」というニュアンスがあると、責任転嫁のイメージがつきまといます。

4. 謝罪の自己呈示

謝罪の自己呈示とは、自分の責任を認め、行為による被害も認めることです。

例えば、「この度は本当に申し訳ありませんでした。全ての責任は私にあります」と、全てを受け入れる謝罪をします。

「場を収めるために謝っておこう・・・」と、ポーズで謝罪をする場合は演技ですね。

政治家の謝罪会見でも、最初は「全て私が悪い」と言っていたわりには、のちのち「実は秘書が・・・」「政策スケジュールに追われて精神的に・・・」と言い訳じみてくることがありますよね。

「本当は自分は悪くない」と思っている場合は、『弁解』や『正当化』の自己呈示が顔を出します。

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言い訳は「言い逃れしない」ことが大切

相手の怒りを和らげて相手との関係を良いものにする場合は、『謝罪』が一番効果があります。次いで、『弁解』⇒『正当化』⇒『否定』の順になります。

まずは行為による被害を認めるかどうかで、大きく印象が異なるんですね。

なぜなら真相はどうであれ、素直に被害を認めてくれたり、やむを得ない事情があるとわかった場合には許す気持ちになりやすいからです。その自己呈示が『謝罪』と『弁解』にあたります。

ですので、行為による被害を認めない『否定』や『正当化』で言い訳をすると、感情的に許せない印象が残るんですね。そのため、テレビで見かけるような謝罪会見では、大抵は自分の責任も行為による被害も認める『謝罪』から入ります。

『謝罪』がポーズなら『弁解』や『正当化』が顔を出す

ただし、先ほどもお話ししたとおり、謝罪マニュアルに沿ってポーズで謝っている場合は、インタビュアーの質問によって、どんどん『弁解』や『正当化』の言い訳が顔を出します。

「結局、あの謝罪会見はなんだったの?」というような、腑に落ちない謝罪の場合は、『弁解』や『正当化』によって、単なる言い訳や、言い逃れにしか聞こえないことが原因なんですね。

言い逃れとは、『弁解』や『否定』によって、自分の責任を否認することです。

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その他の防衛的自己呈示3種類

その他の防衛的自己呈示

言い訳のメインで使われる自己呈示の他にも、防衛的自己呈示があります。

  • 回避
  • 棄権
  • セルフ・ハンディキャッピング

5. 回避の自己呈示

回避の自己呈示とは、ヘタな言い訳をしないために使われる “一時しのぎ” です。

例えば、「時期が来たらすべてを話すよ」「その件に関しては、ノーコメントです」「現在、事実関係を調査中のため、お答えできません」と、言い訳をせずに時間かせぎをします。

政治家の場合はスキャンダルが発覚すると、よく体調不良を理由に入院しますよね。

言い訳の準備のために時間をかせいだり、時間がたてば他に大きな事件が起こって、世間の目がそちらに向くのを待つために行われます。(本当に心身症の可能性もあります)

どちらにしても、『回避』は解決方法ではありません。

6. 棄権の自己呈示

棄権の自己呈示とは、自分の言動によって悪いことが起こる可能性がある時に使われる “責任逃れの前置き” です。

例えば、人に何かアドバイスをする時に「専門家じゃないから責任は持てないけど・・・」とか、「すべてを鵜呑みにしないで聞いてほしいんだけど・・・」と前置きをしてから話しを進めます。

のちのち、自分に非難や責任が及ばないようにしておく予防対策ですね。

7. セルフ・ハンディキャッピングの自己呈示

セルフ・ハンディキャッピングの自己呈示とは、悪い結果が起こった場合に備えて、“前もって行われる自己防衛” です。

例えば、試験の直前に「・・・いやぁ、勉強しようと思ったらすぐに寝ちゃったよ」とか、「なんか、体調が悪いかも・・・」と、テスト結果が悪いことを見越した発言をします。

これはきっと、誰だって経験してますよね。

前もって自己防衛をしておけば、たとえ結果が悪くても『仕方がなかった』と感じることができるので傷つかずに済みます。もしも結果が良ければ、『ハンデがあったのに良い結果が残せるオレってスゴい!』と感じることができるオマケ付きです。

ただし、セルフ・ハンディキャッピングをよくする人は、言い訳だけではなく、実際に行動を怠けるクセもついてしまいます。試験の直前になると急に部屋の掃除を始めたり、マンガを読み始めてしまうことです。

スポーツの世界でも、セルフ・ハンディキャッピングをよくする選手は、大きな競技大会の直前になると練習量を減らすことが明らかになっています。

セルフ・ハンディキャッピングは、毎回のように使うと言い訳がましく聞こえます。ですので、使うならたまにくらいが良いですね。

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人は誰もが防衛的自己呈示をしている

誰でもしている自己呈示

防衛的自己呈示を知ると、「自己呈示ってウソをつく悪いこと」のような印象を持ってしまいますよね。

確かに、意図的に使えばネガティブな印象があります。ただし、人は誰でも無意識に防衛的自己呈示をしています。

例えば、自分が悪いと感じて本気で謝る場合には、相手に謝罪の誠意が伝わるように心がけますよね。

謝っている時には、少しの笑顔も出さないように気をつけると思いますし、誤解されるような態度は取らないように気をつけると思います。謝罪の誠意が伝わるように服装は地味な色を選ぶと思いますし、女性ならメイクは薄めの方が反省の色が伝わるように感じると思います。

このように、本気の謝罪であろうと、少なからず演出をしていることになります。つまり自己呈示とは、自分の意図を最大限に相手に伝えるための行為でもあるんですね。

謝罪の意図をうまく伝えるマニュアル本

もしもミスをして謝る場合には、どのようにすれば謝罪の誠意がもっとも伝わりやすいのかを知っておくと良いですね。

こちらの書籍では、謝罪のノウハウがよくある事例ごとにマンガ形式でわかりやすく解説されています。

身だしなみや、声と話し方、視線と表情、立ち振る舞いなど、五感に訴える方法も学ぶことができますので、自分の誠意を確実に相手に伝える自信がなければチェックしてみてください。

ネタとして読んでも、けっこう面白いです。

まとめ

防衛的自己呈示とは、ミスや失敗で窮地に陥った時に、自分へのネガティブなイメージを回避するために行われる行為です。

言い訳では、おもに次の4つの自己呈示が使われます。

  1. 否定
  2. 正当化
  3. 弁解
  4. 謝罪

相手への怒りを和らげ、関係を良くするためには、『否定』⇒『正当化』⇒『弁解』⇒『謝罪』の順番に効果が大きくなります。

長い人生の中では、ミスや失敗は必ずあります。これらの防衛的自己呈示をうまく使うことで、ダメージを最小限に抑えるようにしてください。

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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