人間にとって重要な欲求って一体なんだろう? と考えた時に、一番最初に思い浮かぶのが「三大欲求」ではないでしょうか?
日本では食欲・性欲・睡眠欲の3つが、人間の基本的な欲求として有名です。
ただしこの三大欲求は、日本特有の表現でもあります。実際、世界では「五大欲求」としてマズローの『自己実現理論』や、キリスト教では「7つの欲求」として『7つの大罪』が有名です。
人間にとって重要な欲求とは、どれくらいあるのでしょうか?
この記事では、日本で有名な三大欲求の解説と、いろいろな人が提唱している二大欲求から八大欲求を集めてみました。
そもそも欲求とは何なのか? を知ることで、あなたが何に価値を感じやすいのか、どんな欲求に溺れやすいのかを自覚できるようになります。
人間が行動する理由となる欲求の理解を深めて、ビジネスや恋愛、目標達成のために役立ててください。
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日本で有名な三大欲求:食欲・性欲・睡眠欲
冒頭で触れたとおり、日本で有名な三大欲求は、食欲・性欲・睡眠欲です。
性欲は、排泄欲に置き換えられることもあります。
この3つの欲求は、いずれも動物が生存し、種を存続していくうえで必要な欲求です。ですので、人間の欲求というよりは、動物としての基本的な欲求であると言えます。
そして、この「三大欲求」という表現は、日本独自の表現です。
3つにまとめられている理由は、日本では古来から『三種の神器』に始まる、重要なモノを3つで表現する慣習があるからです。この3つの欲求だけが特に重要だとする学術的な理論はありません。
現代人の食欲はなくすことが大事?
すべての動物は、食べないことには生きていけません。生きるために食べ、飢えないために働くわけですから、食欲は人間にとっても基本的であり重要な欲求です。
ですが現代の日本のような先進国では、食欲は空腹を満たすためではなく、「おいしいモノを食べたい」という報酬のための欲求へと変化しています。
食欲のままに食べ物を摂取すると、肥満に伴う生活習慣病を心配しなくてはいけなくなっているんですね。現代人にとって食欲は、満たすことよりも抑えることの方が重要なのかもしれません。
性欲は男女で10〜20倍も差がある?
性欲がなければ子孫繁栄はできないわけですから、性欲も当然、重要な欲求です。
ただし性欲の強さは男女差で大きな違いがあるようで、男性の方が女性に比べて10〜20倍ほど強いと言われています。
なぜなら性欲を司る視床下部の大きさが、男性の方がおよそ2倍ほど大きく、性欲に関わるテストステロンという男性ホルモンの分泌量が、女性の10~20倍ほど多いからです。
また、性欲のピークも男女差に違いがあります。
一般的に、男性の性欲のピークは10代〜20代だと言われています。この頃に男性ホルモンの分泌がピークを迎えるからです。一方、女性の性欲のピークは20代〜40代だと言われています。女性のテストステロンは、男性よりも長い期間、ある程度の分泌量が続くためです。
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睡眠は欲求ではなく機能?
睡眠については、脳科学の観点では『欲求』ではないとする見解があります。
人間(動物)は誰でも、「寝たい・寝たくない」の意思に関わらず眠たくなりますよね。たとえ、どんなに寝たくないと思っても、必ずどこかで無意識的に眠りに落ちてしまいます。
ですので、睡眠は欲求ではなく『脳の機能』である、という考え方もあるんですね。また、なぜ睡眠が動物にとって必要なのかも、科学的には解明されていません。
これらを考えると、睡眠欲を三大欲求に入れるのは少し疑問が残る気もします。とはいえ、人生の約1/3は睡眠に使っているわけですし、睡眠は人間にとって重要であることに間違いはありません。
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欲求とは何か?をわかりやすく
そもそも、欲求とは一体なんでしょうか?
欲求の定義を知ることで、人間にとって重要な欲求や、行動のためのモチベーションを知ることができます。
欲求とは、人間や動物が行動を起こすための「動機づけ」という抽象的な概念です。不足を満たすために何らかの行動・手段を取りたいと思い、それが満たされた時には『心地良い・気持ちいい』と感じる感覚のことです。
動機づけは「モチベーション」とも言われ、大きく分けると
- 動因(どういん)
- 誘因(ゆういん)
の2つに分けられます。
人間がある目標に向かって積極的に行動して達成するためには、この動因と誘因の2つの要因が必要だとされています。
動因とは『気持ち』
動機づけにおける動因とは、人(動物)の内部にある要因によって行動が引き起こされる『気持ち』のことです。漠然と沸き起こる「願望・欲望」と言い換えることができます。
例えば、「お腹が減ったから食事をして満たしたい!」という “気持ち” のことです。
『気持ち』はホメオスタシスから生まれる
人(動物)は無意識的に、自分の状態を一定に保ち続けようとします。体を一定に保とうとする機能のことは、「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」と言います。
例えば、食事をしてお腹を満たしたいと感じるのは、エネルギーを補給することで、下がった血糖値をホメオスタシスが元に戻そうとするからです。
誘因とは『モノ・こと』
動機づけにおける誘因とは、人(動物)の外部からの要因によって行動が引き起こされる『モノ・こと』のことです。具体的な行動を起こすための「目標・目的」と言い換えることができます。
例えば、「お腹を満たすためにカツ丼が食べたい!」という “カツ丼” のことです。または、「カツ丼を食べて満腹になったけど、プリンも食べたい」という “プリン” のことです。
『モノ・こと』は知識や経験から生まれる
このように、たとえ『気持ち』が満たされていたとしても、新たな『モノ・こと』の出現によって新たな欲求が引き起こされることがあります。
買い物したばかりなのにすぐに新しい洋服が欲しいと思ったり、次々に新しいチャレンジをしたいと思うのは、新しい誘因に触れてしまうことが原因だったんですね。
そもそも、プリンの存在を知らなければ、「プリンも食べたい」という発想は思いつかないですよね。『モノ・こと』の知識や経験が、欲求を生み出すキッカケになるということです。
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人間の二大欲求:生理的欲求と社会的欲求
アメリカの心理学者ヘンリー・マレー氏は、人間全体の欲求を、13種類の「臓器発生的欲求(生理的欲求)」と、27種類の「心理発生的欲求(社会的欲求)」に分類しています。
人間の欲求を大きく2つに分けるなら、この生理的欲求・社会的欲求です。
マレー氏が分類した欲求は「マレーの欲求リスト」と呼ばれ、このあと紹介する三大欲求〜八大欲求は、ほぼ、マレー氏が分類した欲求のどれかに当てはまる欲求になります。
臓器発生的欲求(生理的欲求)
臓器発生的欲求とは、
- 「空気を吸いたい」
- 「食べ物を食べたい」
- 「エッチがしたい」
- 「排泄がしたい」
- 「暑さ・寒さを避けたい」
- 「怪我を避けたい」
など、人間が生存するために求める、臓器と直接関連した肉体的な欲求のことです。
一般的には「生理的欲求」と呼ばれます。
日本で有名な三大欲求(食欲・性欲・睡眠欲)は、この生理的欲求にあたります。
先ほどもお話ししたとおり、人間には生存のために体の状態を一定に保ち続けようとする「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」が無意識下で働いています。
食べ物を求めるのは、下がった血糖値を元に戻そうとするからですし、暑さや寒さを避けたいのは、体温を一定に保ちたいからですね。
心理発生的欲求(社会的欲求)
心理発生的欲求とは、
- 「お金や財産がほしい」
- 「他人よりも優れていたい」
- 「尊敬されたい」
- 「軽視されたくない」
- 「イヤな奴に意地悪したい」
- 「集団に加わりたい」
など、人間が社会生活を営むにあたって求める、臓器との関連性が把握できない精神的な欲求のことです。
一般的には「心理的欲求」と呼ばれます。
社会的欲求に関しても、自分の状態を一定に保ち続けようとする「ホメオスタシス」が関わっています。
例えば、「お金や財産がほしい」と感じるのは、お金がないと感じるからですし、「他人よりも優れていたい」と感じるのは、他人よりも劣っていると感じるからです。
もうひとつの三大欲求:アルダファーのERG理論
日本で有名な三大欲求の他に、もうひとつ三大欲求があります。
アメリカの心理学者クレイトン・アルダファー氏が、『マズローの自己実現理論(この後記述)』の実証的研究によってまとめた、生存欲求・関係欲求・成長欲求です。
この3つの欲求は、基本的には下位の欲求から満たそうとしますが、満たされなくても上位の欲求は現れ、また同時にも存在しうるとしています。
生存欲求(Existence)
生存欲求とは、あらゆるタイプの物質的、生理的欲求(賃金・雇用条件・安全な環境・食べたい・寝たいなど)を含んだ欲求です。生きるための欲求です。
関係欲求(Relatedness)
関係欲求とは、自分にとって重要な人物(家族・友達・上司・部下など)との関係を良好に保ちたいという欲求です。家族や仲間を大切にしたい欲求です。
成長欲求(Growth)
成長欲求とは、人間が本来備わっているとされる、自分自身が成長を続けたいという欲求です。知的好奇心を満たしたり、何かを創造したいと感じる欲求です。
ERG理論は3つの脳の特徴と一致する
人間として重要な欲求を3つにまとめるなら、個人的にはこのERG理論が最適ではないかと思います。
なぜならERG理論は、人間には「3つの脳」が存在しているとする『脳の三位一体論』の仮説に登場する、爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳の特徴と一致するからです。
- 爬虫類脳:生命維持のための本能を司る
- 哺乳類脳:衝動的な感情を司る
- 人間脳:論理的で未来的な思考を司る
四大欲求:三大欲求+承認欲 or 知識欲
四大欲求は、日本で一般的な三大欲求(食欲・性欲・睡眠欲)に対して「人間の欲求を3つにまとめるのは無理があるのでは?」と考える人が、三大欲求にプラスアルファで1つを追加した形で表現されています。
いろんな考え方がありますが、『3つの脳』の特徴を重要に感じる僕が「なるほど」と思ったのは、次の2つの説です。
三大欲求+承認欲
食欲・性欲・睡眠欲・承認欲とする説。
承認欲
承認欲とは、「他人に認められたい・褒められたい」という欲求です。人は他人と繋がることで社会生活をしています。その社会生活の中でも、承認欲求は非常に強い欲求です。
例えば、TwitterやFacebookで情報を発信したり拡散をする行為は、「この情報が良いと思う私の感覚って、みんなと同じだよね?」「こんなに面白い情報を持っているおれってスゴいでしょ?」という欲求があるからですね。
ですので、三大欲求にプラスするなら『承認欲』は頷けます。
そして、もう一つの説も頷けます。
三大欲求+知識欲
食欲・性欲・睡眠欲・知識欲とする説。
知識欲
知識欲とは、「もっと新しいことを知りたい・もっと深く知りたい」という探求心です。
旧約聖書に登場する最初の人間であるアダムとイブは、神から禁じられた「食べてはいけない実」を食べて、楽園から追放されてしまいます。蛇にそそのかされて禁断の果実を食べてしまった理由は、神のような『善悪の知識』を得たかったからです。
人間は古来、「わからない」ことに熱心です。そのため、物事の本質を洞察する「哲学」や、「数学」「物理学」など、あらゆる学問が誕生しました。
ですので、三大欲求にプラスされる欲求が『知識欲』とする説も納得ができます。
食欲・性欲・所属欲・達成欲の四大欲求
また、心理学者M・スコット・マイヤーズ氏は、食欲・性欲・所属欲・達成欲の4つを代表的な欲求としています。
マレーの欲求リストで言うと、食欲と性欲は生理的欲求ですね。所属欲と達成欲は社会的欲求にあたります。
所属欲
所属欲とは、「どこかのグループに所属していたい」という欲求です。人は社会生活の中で、孤独から解放され、安心感を得るためにどこかのグループに所属したいと考えます。
例えば、国というアイデンティティ。会社という組織。地元仲間というグループ。ママ友というコミュニティ・・・。何かしらのグループに所属することで、「認められたい」という承認欲求も満たすことが可能になります。
達成欲
達成欲とは、「何かを成し遂げたい・難しいことをうまくやりたい」という欲求です。人は困難に立ち向かい、乗り越えることで満足感を味わいます。
大きく捉えれば、先ほど四大欲求で紹介した知識欲も、この達成欲から派生した欲求だと考えることができます。
人間の欲求を4つにまとめるなら、この四大欲求がしっくりくる気がします。
五大欲求:マズローの自己実現理論
五大欲求とは、心理学者アブラハム・マズロー氏が提唱した『自己実現理論』に登場する、生理的欲求・安全欲求・所属と愛の欲求・承認欲求・自己実現欲求の5つの欲求です。
自己実現理論とは、人は低次とされる生理的欲求から順を経て、高次である自己実現欲求に到達するとした理論です。
生理的欲求
生理的欲求は、「食べたい・排泄したい」など、日本で有名な三大欲求を含んだ、生命を維持するための欲求です。
安全欲求
安全欲求は、「健康でいたい・安定した生活を送りたい」といった、生活に必要な欲求です。
所属と愛の欲求
所属と愛の欲求とは、「仲間が欲しい・恋人が欲しい」といった、社会生活の中で人と繋がりたいと感じる欲求です。
承認欲求
承認欲求とは、社会生活の中でも「認められたい・尊敬されたい」といった、肯定されて人よりも優れていたいと感じる欲求です。また、他人からの評価よりも自分自身の評価を重視する、『自己尊重感』も含まれます。
自己実現欲求
自己実現欲求とは、「あるべき自分になりたい・世の中に貢献したい」という、自分の持つ能力や可能性を発揮したい欲求です。
マズロー氏は、この自己実現欲求こそ人間が根底に持っており、最終的に到達する欲求としています。
六大欲求:シックス・ヒューマン・ニーズ
六大欲求とは、世界No.1コーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズ氏が提唱したとされる、「シックス・ヒューマン・ニーズ」という概念です。
自分を変えるために重要な欲求として、安定感・不安定感・重要感・愛とつながり・成長・貢献の6つの欲求をあげています。
ロビンズ氏の史上最年少トレーナーであるピーター・セージ氏の著書『自分を超える法』でも紹介されています。
安定感
安定感とは、「安定したい」という欲求です。マズロー氏の自己実現理論に照らし合わせるなら、『安全欲求』にあたります。
自然界には、安定や確実性は存在しません。人生においても存在しないからこそ、人は安定感を求めるとしています。
不安定感
不安定感とは、「変化が欲しい」という欲求です。マレーの欲求リストに照らし合わせるなら、『認知欲求:知識を学びたい』や『対立欲求:ユニークな存在でいたい』にあたります。
人は安定を手に入れた結果、好奇心を満たしたい欲求や、他人と違ったことをしたい欲求が現れるとしています。
セージ氏曰く、歴史は常にリスク(不安定感)を取る者の味方をし、人生を成功に導くのは、この不安定感だと言っています。リスクを取らずに得るものはないということですね。
重要感
重要感とは、「価値ある存在でいたい・特別な存在でいたい」という欲求です。マズロー氏の自己実現理論に登場する『承認欲求』、特に『自己尊重感』にあたります。
真の重要感とは、自分自身が誇りを持てるようになり、他者を思いやることができる能力だとしています。
愛とつながり
愛とつながりとは、「愛されたい・誰かとつながりたい」という欲求です。マズロー氏の自己実現理論に登場する『愛と所属の欲求』ですね。
まずは自分自身を無条件で十分に愛することが大切です。そうすれば、他人に対しても無条件で愛することができます。
成長
成長とは、「成長したい」という欲求です。マレーの欲求リストの『達成欲求:困難を乗り越えたい』や、マズロー氏の自己実現理論に登場する『自己実現欲求』にあたります。
人生の本当の充足感は、家やお金といった物質ではなく、成長と貢献だとしています。
貢献
貢献とは、「何かに貢献したい」という欲求です。こちらも、マズロー氏の『自己実現欲求』にあたります。
自然界では、全てが成長し、自分以外のものに何らかの貢献をしています。例えば、ミツバチは花粉を体にくっつけることで花の受粉に貢献しています。
セージ氏曰く、人間も成長や貢献に力を注ぐことで、心の充足感が得られるとしています。
七大欲求:ブッダの七つの欲求
七大欲求は、宗教に絡んだものが2つあります。
ブッダの七つの欲求とは、ゴータマ・シッダールタが説いたとする食欲・性欲・睡眠欲・承認欲・生存欲・怠惰欲・感楽欲の7つの欲求です。
食欲・性欲・睡眠欲は三大欲求にも出てきた生理的欲求ですね。承認欲もマズローの自己実現理論で出てきたとおりです。
生存欲
生存欲とは、「生き残りたい」という強い執着です。食欲や性欲とは別にした、動物としての根幹の部分にあたる本能ですね。
マレーの欲求リストで例えるなら、『傷害回避欲求:病気やケガを避けたい』や『毒性回避欲求:有毒を回避したい』にあたるような無意識で起こる生理的な欲求です。
怠惰欲
怠惰欲とは、「ラクをしたい・サボりたい・ダラダラしたい」といった欲求です。
人間のだらしない部分を表す欲求です。マレーの欲求リストで例えるなら、『救護欲求:許されたい』や『遊戯欲求:リラックスしたい』が変化した欲求でしょうか。
人は最終的にラクをしたいからこそ「今、がんばる!」というモチベーションもあります。ですので、怠惰欲は非常に強い欲求だと言えます。
感楽欲
感楽欲とは、「美しいものを見たり、心地よい音を聴くなどの感覚の快楽を味わいたい」という欲求です。
マレーの欲求リストで例えるなら『遊戯欲求:リラックスしたい』にも少し当てはまると思いますが、もっと感覚的な欲求です。
七大欲求:キリスト教の七つの大罪
キリスト教の七大欲求とは、人間を地獄に導く傲慢・強欲・嫉妬・憤怒・色欲・暴食・怠惰の7つの欲求です。キリスト教では、考えるだけでも罪になるとしています。
人間が陥りやすい欲求のことですね。
七つの大罪は、紀元375年頃、エジプトの修道士エヴァグリオス・ポンティコスが、人の心を惑わす最も危険な誘惑としてまとめた著作『八つの枢要罪』が起源です。
その後、紀元590年に教皇グレゴリウス1世が「誘惑」を「罪」に変え、『七つの大罪』としてまとめました。
傲慢の罪
傲慢の罪とは、驕りたかぶって人を見下し、人の意見を聞かず、横柄な態度をとることです。傲慢は、全ての罪の始まりとしています。
自分に自信がある人がこのような態度をとるのかと思いきや、実際は自分に自信がないからこそ、その裏返しで過剰に自分を大きく見せようとしている場合があります。
マレーの欲求リストで言えば、『優越欲求:他人よりも優れていたい』や『承認欲求:尊敬されたい』が度を越したようなイメージですね。
強欲の罪
強欲の罪とは、富や財産に対する飽くなき欲望のことです。貧乏の苦しみから生まれる非常に深い欲求で、不正行為、盗み、汚職といった罪につながります。
周りの人と比べることで不安が募り、その焦りからなるべく多くのモノを自分の懐に入れたいと感じます。
マレーの欲求リストで言えば、『獲得欲求:お金や財産がほしい』や『保持欲求:いつまでも手放したくない』が度を越したようなイメージです。
嫉妬の罪
嫉妬の罪とは、他人が自分より恵まれていたり、優れていることに対しての怒りです。他人の持っているモノを欲しいと感じ、また、他人が失うことを望みます。
嫉妬は野心があることで生まれ、自分にないものを嘆くことで冷静さを失います。
マレーの欲求リストで言えば、『優越欲求:他人よりも優れていたい』や『承認欲求:尊敬されたい』が、『排除欲求:他人を排除したい』や『攻撃欲求:他人を攻撃したい』へと変化するようなイメージです。
憤怒の罪
憤怒の罪とは、強い憤りから復讐したいと感じる、動物としての原初的な欲求です。身体的な危険や、自尊心や名誉が傷つけられたことで憤りが生まれ、結果的に何らかの損失を生み出します。
多くの宗教では、人間のもっともネガティブな感情と捉えられています。
マレーの欲求リストで言えば、『不可侵欲求:批判から逃れたい』や『屈辱回避欲求:失敗して笑われたくない』が『攻撃欲求:他人を攻撃したい』へと変化するようなイメージです。
色欲の罪
色欲の罪とは、肉体的な快楽を求める強い性欲の衝動です。人間の生理的な欲求ですね。
性欲自体は罪ではありませんが、性愛を超えた姦淫や不倫を罪深い欲求としています。
キリスト教では「性交渉」は神聖なものとして捉えられているため、婚前交渉や結婚外での性交渉が禁じられています。
暴食の罪
暴食の罪とは、度を越して食事を人生の楽しみにすることです。暴食は歪んだ執着で、食べ物を喜びの対象にすることは、堕落した欲望になるとしています。
生理的欲求は生きるための欲求であり、生理的欲求のために生きることは、幸せに生きるためには間違いだとする考えです。
「人は食べるために生きるのではなく、生きるために食べる」ことが大切なんですね。
怠惰の罪
怠惰の罪とは、するべきことを怠けて、無関心で、だらしなく無気力で、いつまでも悲しみ、絶望でいることです。
7つの大罪の中で、最も破滅的だとする考えがあります。
ブッダの七つの欲求に登場する『怠惰欲』とは少し違うニュアンスです。七つの大罪の「怠惰の罪」は、精神的な病いを含んでいます。
八大欲求:コピーライティングで重要な欲求
八大欲求とは、コピーライターでもあるドルー・エリック・ホイットマン氏が提唱した、生存欲・食欲・障害回避欲・性欲・安全欲・優越欲・愛情欲・承認欲の8つの欲求です。
この8つの欲求に訴えることで、人を行動に駆り立てる文章が書けるとしています。
生存欲(生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい)
長生きをして、健康であり、人生を楽しみたいという欲求です。
食欲(食べ物、飲み物を味わいたい)
おいしい食べ物や飲み物を味わいたいという欲求です。
障害回避欲(恐怖、痛み、危険を免れたい)
怖い思いや、不安がなく、痛みや危険を遠ざけたいという欲求です。
性欲(性的に交わりたい)
異性からチヤホヤされたり、性的な喜びを味わいたいという欲求です。
安全欲(快適に暮らしたい)
安定した暮らしと、安全で快適な生活を送りたいという欲求です。
優越欲(他人に優り、世の中に後れを取りたくない)
他人よりも良い生活でありたい、他人よりも優れていたいという欲求です。
愛情欲(愛する人を気遣い、守りたい)
愛する人の幸せを祈り、愛する人に降りかかる痛みや危険を取り除いてあげたいという欲求です。
承認欲(社会的に認められたい)
自分という存在を、社会の中で肯定的に認められたいという欲求です。
まとめ
以上、三大欲求から八大欲求までを紹介しました。
幸せを求めるなら、シックス・ヒューマン・ニーズや七つの欲求について考えてみることで、自分自身を戒めたり自己成長につながります。マーケターであれば、これらの欲求に訴えることが顧客獲得や新しいビジネスの創出につながります。
もしも新しく九大欲求をつくるなら、「食欲・性欲・安全欲・獲得欲・知識欲・優越欲・承認欲・怠惰欲・自己実現欲」ではないかと思います。それほど、これらの欲求は人間が強く持っている欲求だと感じます。あなたはどうですか?
また、人間だけが持つ欲求を3つにまとめるなら、人間脳の特徴でもある「創造したい・成長したい・成功したい」ではないかと思います。
あなたが達成したい目標には、どんな欲求が絡んでいましたか? 動因となる欲求と、誘因となる対象を明確にして、人生のモチベーションに活かしてください。
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