顧客心理を掴む心理学

【松竹梅の法則】買い物で真ん中を選ぶ心理「極端の回避性」の利用法

2016-11-10

松竹梅の法則

 売上を伸ばしたいなら、松竹梅の法則にならって、価格帯は「3つ」にした方が良い傾向があります。2つでもなく、4つ以上でもなく、「3つ」です。

なぜ3つの価格帯で売上が上がるのかは、「松竹梅の法則」での人の心理を知ることでわかります。

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松竹梅の法則とは(極端の回避性)

松竹梅の法則とは、「三段階の選択肢があった場合、多くの人は真ん中のモノを選ぶ」という心理傾向のことです。

例えば、お寿司屋さんで食事をする場合

  • 松:10,000円
  • 竹:6,000円
  • 梅:4,500円

このような価格帯のコースがあったとしたら、多くの人は真ん中の「竹」を選ぶ傾向があります。4,500円ではなく、6,000円の方が売れるということです。

その比率は、「松=2:竹=5:梅=3」だと言われています。

松竹梅の法則は、お寿司屋さんやお蕎麦屋さんが価格帯を分ける時に「松・竹・梅」で分けていたことから、この名前で呼ばれるようになりました。

ちなみに欧米では、『ゴルディロックスと三匹のくま』という童話が元となって、ゴルディロックス効果と呼ばれています。

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真ん中を選ぶ「極端の回避性」の心理

真ん中を選ぶ心理傾向は、行動経済学では「妥協効果」や「極端の回避性」と呼ばれています。

なぜ人は、真ん中を選ぶのでしょうか?

価格帯が複数に分かれている場合、人は「安い商品よりは、高い商品の方が品質は良いはず」という思い込みが働きます。ただし最も高い商品に対しては、「一番高いモノは贅沢な気がするし、もしも失敗したら損失が大きいかも・・・」という心理が働いて敬遠する傾向もあります。

また、一番安い商品に対しては、「一番安い商品を選ぶと、貧乏やケチだと思われないかな?」という、世間体を気にしたり見栄の心理が働くとも言われます。

そのため、選択肢が3つあった場合には、真ん中を選びやすくなるんですね。

ただしインターネットなど、人と接していない状況の場合は、見栄の心理は働かない傾向にあります。

松竹梅の法則が「2つ」ではダメな理由

では、選択肢が2つだった場合はどうなるでしょうか? 先ほどのお寿司屋さんの例にあげた、4,500円と6,000円の2つだけの商品ラインナップだった場合です。

この場合は、約7割の人が、安い方の4,500円の商品を選ぶ傾向にあります。

2つだけの商品ラインナップであれば、6,000円が最も高い商品となります。最も高い商品は敬遠されることに加えて、2つの選択肢では価格を比較した時に、安い方がお得に感じてしまうためです。

松竹梅の法則が「4つ以上」ではダメな理由

つぎに、選択肢が4つ以上の場合を見てみます。

飲食店のような、お店に入った時点で購入することが決定している場合は、4つ以上の価格帯があっても大きな問題はありません。

ただし、お店に立ち寄っただけで「買うか買わないか」という選択が残っている場合は、4つ以上の選択肢があると「買わない」という選択をする可能性が高くなります。特にインターネットを使った商品紹介の場合には、「何も選択せずに立ち去る」ということが起こります。

なぜなら、人は選択することに頭を使いたくはないからです。

「どれがいいかな、Aにはこれがあって得だけど、Bにはこれがあって便利だしなぁ、Cにはこんな機能が付いてるし、Dには・・・」なんてことで悩みたくはないんですね。

一度に比較できるのは3〜5つが限界

人が一度に記憶できる短期記憶の数は、3〜5つだと言われています。つまり、商品を比較検討する時には、一度に3〜5つまでが限界だということです。

例えば、「利き酒」をするにしても3種類なら簡単に比べられますが、4種類以上になると難易度が上がります。

選択を避けることを行動経済学では『決定回避の法則』と呼ばれていますが、4つ以上の選択肢があると、「悩むくらいなら、一旦持ち帰ろう・・・」という気持ちが起こり始める可能性があるんですね。

ですので、多すぎる選択肢は、かえって売上を下げることになります。

僕はファストフードでドリンクを選ぶ時には「S・M・L」の中から、無意識で真ん中の「M」を選んでしまうのですが、もしも選択肢が「SS・S・M・ML・L・LL・XL」なんてあったとしたら、なんだか面倒に感じると思います。あなたはどうですか?

松竹梅の法則を利用した売上アップの方法

真ん中が選ばれやすいことを利用すれば、売上アップを図れます。

その方法はもうお分かりのとおり、もっとも売りたい商品を真ん中の価格にすることです。

例えば、10,000円の商品を扱っているとします。この商品を最も多く売るためには、上位版の20,000円と下位版の7,000円の商品を用意して、10,000円の商品を真ん中の価格帯にします。そうすることで、もっとも売りたかった10,000円の商品が選ばれやすくなります。

「20,000円の商品はほとんど売れないから・・・」という理由で上位版の商品をなくしてしまうと、今度は10,000円の商品も売れなくなってしまいます。

価格帯を分けるときには、3つのコツがあります。

松竹梅の法則を使うコツ1:価格設定

真ん中の商品を選んでもらうためには、最上位商品の価格をやや離します。そして下位商品を真ん中の商品(売りたい商品)の価格と近づけます。下のような感じです。

  • 松:10,000円
  • 竹:6,000円(売りたい商品)
  • 梅:4,500円

このようにすると、下位商品と真ん中の商品を比べた時に「一番下の価格に少し足せば、良い品質の商品が手に入る」と感じてもらえます。また、最上位商品に割高感を出すことで、高級であることに喜びを感じる人にとっては満足感のある商品になります。

松竹梅の法則を使うコツ2:価格表示

商品紹介をする時には、一番高い価格を一番上(あるいは一番最初に見えるよう)に配置して、一番安い価格を一番下(あるいは一番最後に見えるよう)に配置します。こうすることで、一番最後に見る価格が、より安く感じるようにできます。

人は最初に見る数字を基準にして、その後の印象が左右される性質を持っています。この心理現象を心理学では「アンカリング効果」と言います。

松竹梅の法則を使うコツ3:商品作成

価格帯を分ける場合にお客さんを悩ませないためには、上位商品は「下位商品の機能をすべて含ませる」ことが大切です。

松竹梅の法則の商品例

  • 松:まぐろ・いくら・サーモン+うに・タイ+あわび・伊勢海老
  • 竹:まぐろ・いくら・サーモン+うに・タイ
  • 梅:まぐろ・いくら・サーモン

例えば、お寿司屋さんでいうと、真ん中の商品の「竹」には、下位商品の「梅」に入っている「まぐろ・いくら・サーモン」に「うに・タイ」を追加した商品にします。

さらに上位商品の「松」には、真ん中の商品の「竹」に入っている「まぐろ・いくら・サーモン+うに・タイ」に「あわび・伊勢海老」を追加した商品にします。

こうすることで、お客さんがどれを選ぶかで悩む要素を減らすことができます。

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まとめ

松竹梅の法則とは、「三段階の選択肢があった場合には、多くの人は真ん中のモノを選ぶ」という心理傾向のことです。

松竹梅の法則を応用すれば、商品の選択肢を3つ用意して、真ん中を利益率の高い商品にすれば、売上が上がる可能性が高くなります。

商品を増やせない場合は、オファーを3つ用意する方法もあります。オファーも含めて3つの選択肢を考えてみてください。

次の記事では、どのようなオファーがあるのかを解説しています。
⇒「オファーの意味とは?マーケティングで使う売上アップ14の方法

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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