自分の感情や存在を無条件で肯定できる「自己肯定感」という言葉には、違いがわかりにくい似たような言葉がいくつかあります。
この記事では、自己肯定感と似たような意味に感じる
- 自尊感情・自尊心・プライドとの違い
- 自信、ポジティブ、ナルシスト、甘えとの違い
について解説します。
これらの言葉との違いがわかることで、自己肯定感とはどういう感覚なのかが、より分かりやすくなると思います。人生の幸福度を高めるために、参考にしてみてください。
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自己肯定感と自尊感情・自尊心・プライドの違い
自己肯定感と同じような感覚で使いがちな用語に、「自尊感情・自尊心・プライド」があります。この3つの用語は、研究者によって定義が異なる分かりにくい言葉です。
一般的に「自尊感情」は、自己肯定感と同義に扱われます。ただし「自尊心・プライド」は、自己肯定感とは意味合いが少し異なります。
自己肯定感とは、自分ひとりで完結する感覚です。ですので、意味合いが異なるポイントは “自分ひとりで完結する感覚” かどうかです。
自尊感情とは
自尊感情の定義は,研究者によって微妙に異なるが,自分自身に対する全体的評価感情の肯定性,すなわち自分自身を基本的に良い人間,価値ある存在だと感じていることであるという点でおおよそ共通している。自尊心ともいう。
「自尊感情」の意味合いには、他者の存在は出てきません。また、同義語として「自尊心」が出てきます。
自尊心とは
自分の人格を大切にする気持ち。また、自分の思想や言動などに自信をもち、他からの干渉を排除する態度。プライド。
「自尊心」の意味合いには、“他からの干渉を排除する態度” という、他者の存在が出てきます。また、同義語として「プライド」が出てきます。
prideとは
自慢、得意、満足、自尊心、誇り、プライド、うぬぼれ、高慢、思い上がり、自慢のたね
「プライド」の意味合いには、“自慢” という他者の存在が出てきます。また、同義語として「自尊心」が出てきます。
3つの用語をイメージ化
3つの用語には、同義語としてそれぞれの用語が登場します。これじゃあ違いが分かりにくいですよね。
この3つの用語を、“自分ひとりで完結する感覚” かどうかの捉え方で分類すると、下図のようにイメージ化することができます。
他人と比較することは自己肯定感ではない
先ほども言ったように、自己肯定感とは自分ひとりで完結する感覚です。
他人と比べて優秀だと感じたり、他人との比較で自分の価値を認められるのであれば、その裏側には劣等感が隠れています。自己肯定感が高い状態であれば、他人との比較で優越感や劣等感を感じることはありません。
自分ひとりで完結する感覚かどうかで分けると
「自尊感情」は、自分の内側から感じる感覚のことです。ですので、自己肯定感と同義に扱うことができます。
「プライド」は、基本的に他人との比較で生まれる感覚です。ですので、自己肯定感とは別物になります。
「自尊心」は、自分ひとりで完結する感覚と、他人との比較で生まれる感覚の両方を併せ持っている意味に取れます。ですので、自尊心を自尊感情の意味で捉えれば自己肯定感と同じになりますし、プライドの意味で捉えれば自己肯定感とは別物になります。
優れている自分を誇りに思うことは自己肯定感ではない
また自己肯定感とは、“優れている自分” を誇りに思うことでもありません。
もしも、「失敗はプライドが許さないから頑張る!」というモチベーションで何かに取り組んでいるのだとしたら、それはプライドが高いだけで、自己肯定感が低い状態である可能性があります。
なぜなら自己肯定感が高ければ、失敗した自分を許すことができるからです。
プライドが高い人は他人や過去の自分と比較して、優秀であることを求める傾向があります。完璧を求めたり、劣っている自分を許せないと感じるのは、条件が整わなければ自分を肯定できないことを意味します。これは自己肯定感が低い状態と言えるんですね。
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自己肯定感と自信の違い
自己肯定感とは、自分の存在に自信を持つこととも言えます。ですので、「自信」と同じような気がします。
自信とは
自分の才能・価値を信ずること。自分自身を信ずる心。
ですが、「自己肯定感の高さ」と「自信があること」は少し違いがあります。
もしも何か結果を残した時や、やり遂げられる要素を持っている時だけ自信があったり、無理やり自信をつけようとしてるのなら、自己肯定感が高いとは言えません。
自信がなかったとしたら、自信のない自分を肯定できるのが自己肯定感が高い状態です。
自信があるから頑張れるのではなく、たとえ自信がなくても「一生懸命やって失敗したら仕方ない」と思える自分への信頼が自己肯定感です。
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自己肯定感とポジティブの違い
自己肯定感とは、出来事をポジティブに捉えることとも言えます。ですので、「ポジティブ」と同じような気がします。
ポジティブとは
積極的なさま。また,肯定的であるさま。
「自己肯定感の高さ」と「ポジティブ」には多くの共通点がありますが、違いがあります。
例えば、人生の幸福度がわかる目安として、次のような質問があります。
あなたの目の前に、水が半分入ったコップがあります。喉が渇いたあなたは、どのように感じますか?
- A:「もう半分しかない」
- B:「まだ半分もある」
Bの「まだ半分もある」と感じられる人が、自己肯定感が高い要素を持っています。
この質問の答えだけを見ると、「自己肯定感=ポジティブ」のように感じますよね。ですが自己肯定感とは、たとえネガティブであっても自分を受け入れられることを意味します。
ポジティブじゃない自分を肯定できるのが自己肯定感
たとえ「もう半分しかない」と感じたとしても、「こんなネガティブな気持ちじゃダメだ・・・」と自己否定をするのではなく、「こんなネガティブな自分もいいじゃないか」と思えるのが自己肯定感が高い状態です。
もしも「ポジティブでいなきゃいけない!」という強迫観念があったとしたら、自分を肯定するために条件をつけていることになります。これは自己肯定感が低い状態だと言えるんですね。
「こんなネガティブな自分もいいじゃないか」と、自分の感情を肯定できる感覚が積み重なることで、自分の存在を大切に扱うことができるようになります。
自分を大切に扱うことで自己肯定感が高くなれば、結果的に「まだ半分もある」というポジティブな感覚が生まれやすくなります。
自己肯定感とナルシスト(自己愛)の違い
“自分を好きになれる” という意味では、ナルシスト(ナルシシズム)と同じような気もしますが、「自己肯定感」と「ナルシスト(自己愛)」にも違いがあります。
ナルシシズムとは
自己を愛し、自己を性的な対象とみなす状態を言う。転じて「自己陶酔」「うぬぼれ」といった意味で使われることもある。ナルシシズムを呈する人をナルシシストと言うが、日本においてはナルシストという言葉で浸透している。
ナルシストとは、自分だけが特別な存在だと感じて、他人に興味がなく、周りに自分のことを特別扱いしてもらいたがる人のことです。
ナルシストは承認欲求や自己顕示欲が強い人なんですね。
ナルシストは他人からの評価が気になりますから、他人からの評価を気にせず、他人も大切にできる自己肯定感とは大きな違いがあります。
自己肯定感と甘えの違い
“できない自分でも大丈夫” という自己肯定感は、自分への甘えのような気がするかもしません。ですが「甘え」の捉え方によって、「自己肯定感」とは大きな違いが生まれます。
甘えとは
対人関係で特別な、節度を超えた愛情や信頼を表現することをいう。愛情や信頼を示すことによって、相手からそれ以上のものを求めようとする態度のことも甘えといわれる。
自分に厳しい人が「甘え」という言葉を聞くと、不快感を抱くかもしれません。それは「甘え」を “自分の言動に無責任・向上への放棄” といった意味に捉えるからです。
自己肯定感が高い状態とは、自分への信頼度を高めて自分の人生に責任を持つことです。ですので「甘え」を無責任という意味で捉えるなら、全く別物になります。
ただし「甘え」には、「愛情への寛容」という意味もあります。この場合は、自己肯定感と同じような意味合いだと言えます。
自己肯定感とは「自分を甘やかす(無責任になる)」ことではなく、「自分に甘える(信頼する)」ことでもあるんですね。
まとめ
以上、似ている言葉との違いを交えながら、自己肯定感の意味合いを解説しました。
自己肯定感とは、自分ひとりで完結する感覚です。他人と比較して自分の優秀さに誇りを感じる感覚ではありません。
自分に自信を持つことと似ていますが、自信のない自分を肯定できるのが自己肯定感です。
自己肯定感はポジティブであるとも言えますが、たとえネガティブな自分でも受け入れられるのが自己肯定感が高い状態です。
また、自分を好きになれることが自己肯定感の要素と言えますが、他人からの評価を気にせず、他人も大切にできるのが自己肯定感が高い状態です。
さらに、自分を甘やかすことではなく、自分の人生に責任を持って自分を信頼することが自己肯定感が高い状態です。
自己肯定感が低い人には、恐怖や不安に支配された思考パターンが現れます。あなたが自己肯定感を下げる思考パターンがあるかどうかは、次の記事でチェックしてみてください。
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