仕事術

自己顕示欲とは?強い人の3タイプの特徴・心理と承認欲求との違い

2019-03-08

強いとウザい 自己顕示欲

他人の注目を集めたいと感じたり、自分の存在を周りにアピールしたい欲求を自己顕示欲(じこけんじよく)と言います。

簡単にいうと「目立ちたがり屋」とも言えますが、人前に出ることを仕事にしている人や、個人でビジネスをしている人にとっては、自己顕示欲は大切な欲求だと言えます。

ただし、自己顕示欲が強すぎると、一般的にはウザがられる傾向にあります。必要以上に自分を大きく見せたり、他人を押しのけて自分だけが目立とうとするからです。

この記事では

  • 自己顕示欲とは何か?
  • 自己顕示欲が強い人の3タイプの特徴と心理
  • 自己顕示欲が強くなる原因と抑える方法

について解説します。

あなた自身は知らず知らず、周りからウザいと思われていないか? 自己顕示欲の心理や原因を理解して、自分の自己顕示欲度をチェックしてみてください。

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自己顕示欲とは

孔雀

自己顕示欲とは、自分自身を表現して周りの人に注目してもらいたい欲求のことです。

  • 他人の注意を引きたい
  • 楽しませたい
  • ショックを与えたい
  • 評判になりたい

といった目的から、自分の存在を社会にアピールします。

例えば、あなたの手がけた仕事がすごく良い評判だった場合、「この仕事は私がしました!」とアピールしたくなるのが自己顕示欲です。

『顕示』には、「はっきりと示すこと・ 明確にあらわすこと」という意味があります。

自分の大好きなファッションに身をつつんでいる人は、「私はこんな人間です!」という自己顕示をしていることになります。原宿などで独創的な服装をしている人は、「私のセンスを見てくれ!」という自己顕示をしているわけですね。

自己顕示欲は承認欲求から派生したような欲求

“自分をアピールしたい” 自己顕示欲は、誰もが持っている基本的な欲求である承認欲求から派生した欲求のようなところがあります。

承認欲求と自己顕示欲

承認欲求と自己顕示欲

なぜなら、自分に注目してもらいたい理由の根底には、自分のことを認めてもらいたいし、自分を大切な存在として扱われたい欲求があるからです。

人間は集団生活をすることで生き抜き、発展を遂げてきました。その中でも貴重な役割を持っている人物は、特別に大切な存在として扱われてきました。

ですので、社会集団の中で大切な存在として扱われるために自分の存在をアピールしたいと感じるのは、人間としては自然な欲求でもあるんですね。

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自己顕示欲と承認欲求の違い

自己顕示欲と承認欲求の違いを簡単に説明すると、次のとおりです。

  • 自己顕示欲:「自分を表現したい!だから私に注目して!」
  • 承認欲求:「自信がほしい!だから私を評価して!」

自己顕示欲は注目を浴びることが目的なのに対して、承認欲求は評価されることが目的である違いがあります。

ただし先ほどもお話ししたとおり、自己顕示欲の根底には承認欲求が潜んでいます。「私に注目して!・・・なぜなら評価が欲しいから!」という理由が隠れているんですね。

自己顕示欲と承認欲求は現代の日本人が抱きやすい欲求

自己顕示欲の大元とも言える承認欲求は、人間の基本的な欲求を5段階で表したマズローの欲求5段階説に登場する、下から4番目の欲求でもあります。

マズローの欲求5段階説の図

マズローの欲求5段階説の図

承認欲求は、「食欲・性欲・睡眠欲」の三大欲求とされる『生理的欲求』や、「仲間や恋人がほしい!」と感じる『所属と愛の欲求』よりも高次とされる欲求です。そして、先進国である日本人が抱きやすい欲求でもあります。

つまり自己顕示欲は、現代の日本人が抱きやすい「他人に大切に扱われたいから注目されたい!」という欲求とも言えるんですね。

ですので自己顕示欲が強くなると、「私はこんなことができるんだ!だから私を見て!褒めて!尊敬して!特別扱いして!」というアピールが強くなります。

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自己顕示欲が強い人の3タイプの特徴と心理

自己顕示欲が強い人は、次のようなタイプに分けることができます。

  1. 他人よりも優れていることをアピールしたいタイプ
  2. リーダーシップを発揮して他人をコントロールしたいタイプ
  3. 他人とは違う存在であることをアピールしたいタイプ

これらのタイプは、人間が持っている他の欲求が重なることで特徴が分かれます。

1. 他人よりも優れていることをアピールしたいタイプ

他人よりも優れていたい欲求(優越欲求)が重なった自己顕示欲が強い人は、他人よりも優位なポジションであることをアピールしたがる特徴があります。

「オレってすごくない?」とアピールしてくる人ですね。

自分や他人のステータスを気にする

優越欲求+自己顕示欲が強いと、他人と比較して優位なポジションであることをアピールするために、自分や他人のステータスを気にする傾向があります。

そのため、出身地・家柄・学歴・容姿・会社・役職・年収・資格・スキル・知識・住所・趣味・所有物・身につけているブランド品など、あらゆるモノを優劣の比較対象にします。知人に有名人がいることも優劣の比較対象です。

インスタグラムやフェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では、リア充ぶりをアピールしたり、人脈を自慢したがる人ですね。

忙しいアピールで優秀性を演出する

また、自分の優秀性をアピールするために、忙しさや、多忙で寝てないアピールをすることもあります。

風邪を引いたことさえ、「最近いろんな人の悩み相談をいっぱい受けたから、悪い気をもらったかな・・・」と、アピールポイントに変換します。

マウンティングで優越性をアピールする

さらに、自分の優位性を誇示して格付けをしたがる傾向があります。いわゆるマウンティングと呼ばれる行為は、自己顕示欲が強い人に多く見られる行為でもあります。

優越性の誇示から身を守るために役立つ本。

2. リーダーシップを発揮して他人をコントロールしたいタイプ

他人に指示や命令をしたい欲求(支配欲求)が重なった自己顕示欲が強い人は、自分に影響力があることをアピールしたがる特徴があります。

「オレのおかげでしょ?」とアピールしてくる人ですね。

自分が話題の中心じゃないとスネる

支配欲求+自己顕示欲が強いと、リーダーシップを発揮したいため、自分が話題の中心じゃなくなるとあからさまに不機嫌になったり、興味がなさそうな態度をとる傾向があります。

そのため、無意識的に自分が中心でいることができるコミュニティを築きたがります。自分よりも劣る要素を持った人たちばかりと群れて、その中のリーダーでいようとする心理が働くんですね。

上から目線のアドバイスをする

自分が中心のコミュニティでは、やたらと上から目線のアドバイスをすることで、自分の影響力をアピールして自己顕示欲を満たそうとします。

逆に言えば、自分よりも優秀だと感じるコミュニティでは、“借りてきた猫” のように大人しくなる傾向もあります。

3. 他人とは違う存在であることをアピールしたいタイプ

ユニークな存在でいたい欲求(対立欲求)と重なった自己顕示欲が強い人は、自分が唯一無二の特別な存在であることをアピールしたがる特徴があります。単純に目立ちたがりの人は、このタイプに当てはまります。

「オレみたいな奴って、他にいないでしょ?」とアピールしてくる人ですね。

個性的なファッションや趣味をアピール

対立欲求+自己顕示欲が強いと、独特なファッションに身をつつんで、他の誰でもない自分を演出する傾向があります。ファッションだけではなく、趣味・趣向なども特異になる場合があります。

このタイプの人は「普通」という言葉が大嫌いなため、「変わってるね」という言葉がある種の褒め言葉になります。

わざと奇怪な行動をする

また、アピールするべき独自性がない場合は、奇怪な行動をすることで自己顕示欲を満たそうとします。

  • 今まで誰もしたことがないこと
  • 非常識なこと
  • 危険なこと

など、行動がヒートアップすると、SNSで炎上するような投稿をアップしてでも目立とうとします。

自己顕示欲が強い人に共通する特徴

また、自己顕示欲が強い人には、次のような共通する特徴があります。

  • 「私は・・・」を主語にして話す
  • 「そうじゃなくて・・・」と否定語から入る

「私は・・・」を主語にして話す

自己顕示欲が強い人は、「オレがオレが・・・」と、自分を中心として話をしがちです。

自分の話ばかりを続けたり、「その経験だったら私もあるよ、私の場合はね・・・」と他人の話を横取りして自分話にすり替えたり、「聞いて聞いて!」と自分に注目を集めようとします。

SNSでは、自分が映った写真ばっかりをアップする人ですね。

「そうじゃなくて・・・」と否定語から入る

自己顕示欲が強い人は、「いや、そうじゃなくて・・・」「でもね・・・」などと、常に相手の言葉を否定してから会話を始めるクセがあります。

相手の意見を否定して落とすことで、相対的に自分のポジションを持ち上げようとする心理が働くためです。「自分の話こそが正しいし、自分こそが会話の中心だ」というアピールをしたいんですね。

自己顕示欲が強いのは自分に自信がないから

一見すると自己顕示欲が強い人は、自信に満ち溢れているように見えるかもしれません。ですが実際は、自分に自信がないことの裏返しで強くなります。

なぜなら、自分に自信があれば、わざわざ強く他人にアピールする必要がないからです。

自己顕示欲が強い人は、ありのままの自分に自信がないからこそ、他人から「すごいね!」と褒めてもらったり、注目してもらうことで自信を得ようとするわけです。

理想の自分と比べて、

  • 「自分は優れた人間だと思われていない」
  • 「自分は影響力のある人間だと思われていない」
  • 「自分は特別な人間だと思われていない」

といった思い込みがあるから、強くアピールするんですね。

言い換えれば劣等感の表れであり、自己肯定感が低い状態とも言えます。自己肯定感とは、ありのままの自分を無条件に肯定できる感覚のことです。

SNSやハロウィンは自己顕示欲を強くする

SNSやハロウィンは自己顕示欲を強くする

SNSやハロウィンは、自己顕示欲が強くなる要素を持っています。これらは自己顕示欲をぶつけ合う「自己顕示欲のお祭り」だと言えるかもしれません。

「私ってスゴいでしょ!」の自己顕示欲を切り貼りできるSNS

日本では2010年ごろに多くの機種のスマートフォンが発売されたことで、SNSが一気に広まるようになりました。

Twitter・Facebook・Instagram・YouTube・・・。多くのSNSが広まったのは、いつでもどこでも他人と繋がるようになった便利さと、簡単に自己顕示欲を満たせるようになったことが考えられます。

SNSでは、自分の特異性や優越性を一枚の写真としてアップすることができます。24時間の生活の中で、ほんの一瞬だけを切り取ったり、演出することができます。

理想の自分を盛ってアピールすることができますので、自己表現にピッタリなSNSは、どんどん自己顕示欲が強くなる可能性があるんですね。

「私に注目して!」の自己顕示欲を満たせるハロウィン

近年は東京の渋谷でのハロウィンが話題にのぼりますが、ハロウィンが盛り上がってきたのも、スマホが普及しはじめた2010年過ぎからです。

ハロウィンパーティーでは、多くの人がコスプレを身にまとっています。ですので、普段は引っ込み思案で派手な服装を着れない人でも、思う存分自己アピールをすることができます。

SNSでは普段とは違った自分の写真を正々堂々とアップができますから、ハロウィンは隠れた自己顕示欲を満たせる格好のイベントなんですね。

ハロウィン市場がバレンタイン市場(約1300億円)と同じ規模に成長してきたことでもわかるとおり、自己顕示欲を満たすイベントや商品は、マーケティングとしてはおいしい市場になります。

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マーケティングに使われる自己顕示欲と虚栄心

自己顕示欲のラグジュアリー感

自己顕示欲がマーケティングに使われやすいのは、自己顕示欲が強い人は散財しやすい傾向があるからです。特に、他人よりも優秀に見られたいタイプの人に表れます。

一番わかりやすいのは、高級ブランド品の消費です。

自己顕示欲が強い人に現れるヴェブレン効果

自己顕示欲が強い人は、周りの人へ「私は高級品を身につけられる人間なんだぞ」というアピールをするために、高級品を買いたい欲求が生まれやすくなります。

価格が高い商品ほど買いたくなる心理現象は、ヴェブレン効果と言います。

あからさまに高級ブランドのロゴが入った服や装飾品を身につけたいと思うのは、自分の収入の多さや優秀性を誇示したい気持ちの表れでもあるんですね。

自己顕示欲が強くなりすぎると虚栄心に変わる

自己顕示欲が強くなりすぎると、虚栄心に変わります。虚栄心とは、実際の自分よりも大きく見せようとすることです。見栄の心理ですね。

例えば、あるプロジェクトの一部を担当しただけだったとしても、「あの仕事は私が手がけました!」と、まるでプロジェクトの中心のようなアピールをします。

虚栄心が強い人は、たとえお金持ちではなかったとしても、高級品を身に付けることでワンランク上の人間のように見せようとする心理が働きます。

ですので、高級品を販売するマーケティングでは、自己顕示欲と虚栄心をくすぐることが、ひとつの成功ポイントになります。ひと目でブランド品だとわかるロゴがついた商品を販売するのは、このような理由があったんですね。

自己顕示欲が強くなる原因と抑える方法

自己顕示欲が強くなる原因

自己顕示欲が強くなる原因は、次のような教育環境で育ったことが考えられます。

  • チヤホヤされて育った
  • 構ってもらえなかった

チヤホヤされて育った

小さい頃にチヤホヤされて育った人は、自己顕示欲が強くなりやすい傾向があります。

なぜなら、家庭ではいつも承認欲求を満たすことができていたのに、学校や社会というコミュニティに飛び出すと、家庭のような承認欲求を満たせる環境ではなくなるからです。

そのため、「なんでみんなは私をチヤホヤしてくれないんだ?」という疑問と「チヤホヤしてほしい!」という欲求が生まれます。

その結果、なんでもないようなことでも「もっと私に構ってよ!もっと私に注目してよ!」という形で、強い自己顕示欲となって現れます。

構ってもらえなかった

一方で、小さい頃にあまり構ってもらえなかった人も、自己顕示欲が強くなりやすい傾向があります。

構ってもらえなかった場合は、承認欲求を満たせずに育ったことになります。また、何かができた時だけ褒めてもらった場合は、「◯◯をクリアしないと褒めてもらえない」という価値観が生まれやすくなります。

例えば、テストでいい点を取った時だけ褒められるような経験をすると、「他人よりも優れている人間だけが認められる」という価値観が生まれます。

その結果、「◯◯ができるんだから、私に注目してよ!」という形で、強い自己顕示欲となって現れます。

ただしこの場合は、条件をクリアした時のみ承認欲求が満たせるため、常に条件をクリアしなければいけない環境に疲れることになります。

自己顕示欲を抑えるには、自己肯定感を高めること

いずれの場合にしても、自己顕示欲が強くなるのは自己肯定感の低さが考えられます。

自己顕示欲が強い人は、ありのままの自分を無条件に肯定することができないんですね。ですので、自分に付加価値をつけて、他人との比較で優劣をつけて自信を得ようとするわけです。

自己肯定感が高ければ、どんな自分でも自信を持つことができます。自分の価値を他人の判断に依存することがなくなりますので、わざわざ周りにアピールする必要がなくなります。

ですので、もしも自己顕示欲を抑えたいのだとしたら、自己肯定感を高めることが大切です。

自己顕示欲が強い人への対処法

自己顕示欲の強い人があなたの身近にいる場合は、相手の承認欲求を満たしてあげることがポイントになります。

次の記事で解説していますので、あわせて読んでみてください。

まとめ

以上、自己顕示欲の特徴や原因について解説しました。

自己顕示欲とは、自分自身を表現して周りの人に注目してもらいたい欲求のことです。注目してもらいたいのは、自分を大切な存在として扱われたい承認欲求が根底にあるからです。

承認欲求とセットのような自己顕示欲は、強くなるとウザがれる傾向にあります。

もしもあなたが、自分の話ばっかり続けたり、相手の言葉を否定しがちだったり、ステータスに優劣をつけてアピールしているのだとしたら、自己顕示欲が強いのかもしれません。

知らず知らずウザいと思われないためには、自分の存在価値を他人に依存するのではなく、自己肯定感を高めて、ありのままの自分を受け入れるようにしてみてください。

きっと自己顕示欲を抑えることができます。

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  • この記事を書いた人

高木浩一

心理学と脳科学が好きなマーケティング・Web集客の専門家/解脱しかけのゲダツニスト/ 大企業のマジメな広告デザインから男性を欲情させるアダルティな広告デザインまで、幅広い分野を経験した元グラフィックデザイナー。心理面をカバーしたマーケティングとデザインの両方の視点をもつ。個人が個人として活躍する時代に向けて「使えるマーケティング」をモットーに情報発信中。

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