マーケティング心理学

【スリーパー効果】時間をかけて説得する、鳴くまで待とう?の心理学

スリーパー効果

ワイドショーで見かけた芸能人の噂話。最初は「どうもウソっぽいよなぁ」と感じたネタなのに、いつの間にか「実はありえる話なんじゃ・・・?」と感じたことはないですか?

時間とともに信用度が変わる現象を、心理学ではスリーパー効果と言います。

この心理現象は、恋愛の場面では「押してもダメなら引いてみろ」の戦略として使えます。「好きだ!」って言っても信用してもらえなければ、しばらく寝かせておくことで信用してもらえるようになります。

ビジネスの場面では、まだ実績などがなくて、話を信用してもらうことができない場合には、時間をかけることで信用してもらえるようになります。

「鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギス」の心理学だとも言えるこのスリーパー効果は、なぜ信用度が変化するのでしょうか?

スリーパー効果のメカニズムと、マーケティングの応用の仕方についてお話しします。

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スリーパー効果 とは

スリーパー効果(Sleeper effect)は、アメリカの心理学者で、行動変化と説得の専門家であるカール・ホブランド氏(Carl Iver Hovland)によって提唱されました。

1940年代の第二次世界大戦中に、プロパガンダ映画『Why We Fight(なぜ我々は戦うのか)』が実際に効果があるのかを調べた結果、映画を観た直後には効果がなかったものの、約9週間後に効果が認められたことから導き出されました。

スリーパー効果は、時間の経過とともに『情報の内容』と『情報源』が分離されて、『情報の内容』だけが記憶に残るという現象です。

『情報源』の信用性が『情報の内容』よりも先に《忘れられてしまう=眠る》という意味から、スリーパー効果と名付けられました。「仮眠効果」「居眠り効果」とも呼ばれます。

スリーパー効果の解説

ある情報を信じるかどうかの判断は、まずはその内容よりも、情報源の信用度が重要になります。

脳は、理性で処理をするよりも速く、感情で処理をします。『情報の内容』を吟味して判断するのではなく、まずは『情報源』を「信用できるかできないか」「好きか嫌いか」で判断しやすい傾向があるんです。

例えば、あなたがもっとも信用するAさんが、「3ヶ月後に株価の大暴落が起こるよ」と言えば、「え?そうなの?」と信じやすくなると思います。「Aさんが言うんだから、間違いはないだろう」という気持ちになります。Aさんが株に詳しいなら、なおさらです。

一方で、信用していないBさんが同じ内容を言った場合には、「それって本当? Bさんのことだから、どうせまた適当なことを言ってるんじゃない?」と、信用できないと感じます。

はじめは『情報源』の信用度が重視される

例えるなら、『情報の内容』の信用度が 5、『情報源』であるAさんの信用度が 9 だとしたら、Aさんの信用度 9 の力が勝って、『情報の内容』まで信用度が 9 になります。

一方で、信用度が 1 のBさんが同じことを言った場合は、信用度 1 の力が勝って「そんな話、信じられないよ」と、『情報の内容』まで信用度が 1 になります。

スリーパー効果が起こる前

スリーパー効果が起こる前

時間の経過で『情報の内容』だけが記憶に残る

ところが時間が経つと、『情報源』についての記憶が薄れて、『情報の内容』だけが頭に残ります。

『情報の内容』と『情報源』が分離されて、『情報の内容』だけが記憶に残ることで、信用度 1 だったBさんの話は信用度が 5 に戻り、「あの話って、本当かも」と信じやすくなります。

反対に、信用度 9 のAさんが言った情報は、時間とともに信用度が 5 に戻り、「あの話って信用できるのかな?」と、疑うようになります。

スリーパー効果が起きた後

スリーパー効果が起きた後

つまりスリーパー効果とは、時間が経つことで情報の本来の信用度に戻るという現象です。

「ワイドショーのネタだからなぁ・・・」という理由で信用していなかった情報は、時間が経つことで、やがて自分の情報として処理されます。

自分の持っている他のいろんな情報と混ざり合うことで、「あの芸能人って前例があったし、今回のも本当かもな」と信用度が変わるんですね。

スリーパー効果の実験

情報源の信用度の違いで説得効果が変わることは、1951年にホブランド氏とジャニス氏が行った実験でも証明されています。

「抗ヒスタミン剤(アレルギーを抑える薬)は医者の処方がなくても販売されるべきか」といった題材の成否記事について、賛成意見の学生には否定的な記事を、反対意見の学生には賛成的な記事を読ませました。

そしてグループを2つに分けて、記事の情報源が、生物医学雑誌などの信用性の高いものか、大衆月刊誌などの信用性の低いものに掲載された内容だという説明をしました。

信用性の高い情報源の場合は、23%の学生が自分の意見を変えたのに対して、信用性の低い情報源の場合は、7%の学生しか意見を変更しませんでした。つまり、信用性の高い情報源の記事は信用しやすく、信用性の低い情報源の記事は信用しにくいという結果です。

一ヶ月で情報源の記憶は薄れる

ところが実験の4週間後にもう一度、意見が変更したかどうかを尋ねると、2つの記事の信用度は、ほとんど差がなくなっていました。はじめに信用性が低いと感じた情報は、時間ととも信用度が上がり、はじめに信用性が高いと感じた情報は、時間とともに信用度が下がったのです。

実験から4週間経ったことで、記事の内容と情報源の信用性が分離したことが考えられます。

信用度と説得効果の持続性 [Hovland & Weiss]を元に作成

信用性と説得効果の持続性 [Hovland & Weiss]を元に作成

スリーパー効果をマーケティングに応用するには

これらのスリーパー効果からわかることは、人を説得するにはまず、発信する人物が魅力的で、専門家であることが大切です。情報が正確そうで、信用に足る人物であれば、説得しやすくなります。

例えば同じ内容をプレゼンするなら、会社に入りたての新入社員が説明するのではなく、上役が説明した方が説得力が増すということです。

そしていくら説得力がある人でも、たった一度しか説得しなければ、その効果は1ヶ月ほどでなくなります。

発信する人物の信頼性が低い場合は、すぐに説得しようとするのではなく、1ヵ月ほど時間をかけてじっくり説得すると良いことがわかります。ですので、小さな会社や個人ビジネスの場合は、はじめから信用されることを考えずに、時間をかけて信頼を獲得することが良いと言えます。

そのためのマーケティング戦略としては、WebサイトやSNS、メールマガジンなどでお客さんとの接触回数を増やして、信頼度を少しずつ高めるようにします。これはザイオンス効果ですね。

ブログ記事を書いたり、コンテンツマーケティングに取り組めば、時間をかけてお客さんの信用度を高めることができます。

まとめ

スリーパー効果とは、時間とともに『情報の内容』と『情報源』が分離されて、『情報の内容』だけが記憶に残るという現象です。

信じられる情報かどうかは、はじめは『情報の内容』ではなく、『情報源』に依存します。

相手の価値観を変えるような説得をするには、すぐに答えを求めるのではなくて、時間をおくことが必要です。自分とは違う意見を、すぐに受け入れることに敗北感や屈辱感を味わう人もいます。ですので、時間をかけてじっくりと説得するのが効果的なんですね。

自分に信用がない状態でのセールスの場面では、一度だけのアタックで引き下がらずに、時間を置いて再度アタックしてみれば、スリーパー効果で成約できる可能性が上がります。

スリーパー効果で信用度を上げるためには、『情報源』が分離された後でも信用度が上がるように、質の高い情報発信を心がけるようにしてください。

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