ダライ・ラマ14世と心理学者ポール・エクマン氏は、人間の基本感情を5つのカテゴリーに分けて、合計46種類に分類しています。
人間の5つの基本感情とは『楽しみ・嫌気・悲しみ・恐れ・怒り』です。
この記事では、5つの基本感情と合計46種類の感情を一覧で紹介します。自分の感情をコントロールするためにも、どんな感情があるのかを知っておいてください。
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5つの基本感情を作成したダライ・ラマ14世とポール・エクマン
チベット仏教の指導者であり、チベット行政府の国家元首を務めるダライ・ラマ14世は、感情と表情に関する先駆的な研究を行ったアメリカの心理学者ポール・エクマン氏と共に、2016年に人間の感情を5つのカテゴリーに分け、合計46種類に分類しました。
ポール・エクマン氏は、アメリカのテレビドラマ『ライ・トゥ・ミー』の主人公カル・ライトマン博士のモデルになったことでも有名な心理学者です。
『楽しみ・嫌気・悲しみ・恐れ・怒り』の5大感情の分類は、Webサイト「感情地図:Atlas of Emotions」にて公開されています。
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5大感情を46種類に分類した感情地図:Atlas of Emotions
⇒ The Ekmans' Atlas of Emotions
「Atlas of Emotions」で紹介されている5つの基本感情とは、2015年に公開されたディズニー・ピクサー映画『インサイド・ヘッド 』に登場する、「ヨロコビ・ムカムカ・カナシミ・ビビリ・イカリ」の5人の感情たちです。
「Atlas of Emotions」では、それぞれの感情の状態や対処の仕方などについて、簡単な説明を見ることができます。自分の抱いている感情がどのようなものなのか、特徴や度合いなどが見た目で分かりやすく知ることができます。
次に紹介する5つの感情と分類の一覧は、意訳の部分があります。正確な表現を知りたい場合は、ぜひ「Atlas of Emotions」にて確認してみてください。
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楽しみ/ENJOYMENT:13種類
1 | 狂喜 ECSTASY | 非常に大きな幸福の状態 |
2 | 興奮 EXCITEMENT | 強力な熱意 |
3 | 驚嘆 WONDER | 非常に大きな驚きや、信じがたい経験 |
4 | ナチェス NACHES | 自分の子供や教え子が成長した時の誇らしい喜び |
5 | フィエロ FIERO | 困難な挑戦を乗り越えた時の喜び |
6 | 高慢 PRIDE | 自分自身の成果や、仲間の成果から得た深い喜び |
7 | 平穏 PEACE | 穏やかであることの喜び |
8 | 安心 RELIEF | 不快であることがなくなった時の心の落ち着き |
9 | シャーデンフロイデ SCHADENFREUDE | 他人やライバルの不幸を楽しむ気持ち |
10 | 面白い AMUSEMENT | 遊び心のある、明るく楽しい気持ち |
11 | 同情 COMPASSION/JOY | 他人の苦しみを和らげることで得られる喜びの気持ち |
12 | 喜び REJOICING | 優しさや思いやりを見たときに経験する、暖かく爽やかな気持ち |
13 | 感覚的快楽 SENSORY PLEASURE | 視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つの感覚のうち、1つを通して得られた時の楽しさ |
嫌気/DISGUST:7種類
14 | 強い嫌悪 LOATHING | 他人に向けた激しい嫌悪感、または自分自身に向けた自己嫌悪 |
15 | 憎悪 ABHORRENCE | 強い嫌悪と憎しみが混ざり合った気持ち |
16 | 反感 REVULSION | 嫌悪感と憎しみが混ざり合った気持ち |
17 | 嫌気 REPUGNANCE | コンセプトやアイデアに対する強い嫌悪感 |
18 | 嫌悪 DISTASTE | 悪い味、匂い、物質、またはアイデアへの嫌悪感 |
19 | 嫌い AVERSION | 嫌いなことを避けるための衝動 |
20 | 苦手 DISLIKE | 自分にとって得意ではない趣好 |
悲しみ/SADNESS:11種類
21 | 苦悩 ANGUISH | 激しい悲しみや苦しみ |
22 | 悲嘆 SORROW | 苦痛と苦しみの感覚、多くの場合は喪失が原因 |
23 | 悲哀 GRIEF | 深い喪失の悲しみ |
24 | 絶望 DESPAIR | 悪い状況が変わるという希望の喪失 |
25 | 悲惨 MISERY | 強い苦しみや不幸の気持ち |
26 | 落胆 HOPELESSNESS | 良いことは何も起こらないという信念 |
27 | 無力 HELPLESSNESS | 状況が改善できないという認識 |
28 | 諦め RESIGNATION | 何もできないという信念 |
29 | 逸脱 DISTRAUGHTNESS | 考えることを避けたくなる悲しみ |
30 | 挫折 DISCOURAGEMENT | 失敗を繰り返して、できないと感じる信念 |
31 | 残念 DISAPPOINTMENT | 期待が満たされていない感情 |
恐れ/FEAR:8種類
32 | 震駭 TERROR | 激しい恐怖 |
33 | 恐怖 HORROR | 嫌悪感とショックの混在 |
34 | パニック PANIC | コントロールができない突然の恐怖 |
35 | 自暴自棄 DESPERATION | 危険を減らすことができない、やけくそな感情 |
36 | 恐れる DREAD | 重大な危険を予期した感情 |
37 | 不安 ANXIETY | 訪れるかもしれない脅威への恐怖 |
38 | 緊張感 NERVOUSNESS | 危険があるかどうかわからない不確実な感情 |
39 | 狼狽 TREPIDATION | 危険の可能性を予期した、うろたえる感情 |
怒り/ANGER:7種類
40 | 憤激 FURY | 制御できない暴力的な怒り |
41 | 執念 VENGEFULNESS | 傷つけられたことに対して復讐したいと考える欲望 |
42 | 怨み BITTERNESS | 不当な扱いを受けた時の怒り |
43 | 論争性 ARGUMENTATIVENESS | 違う意見に対して反抗する気持ち |
44 | 激昂 EXASPERATION | 繰り返されるか、強い迷惑によって引き起こされる怒り |
45 | フラストレーション FRUSTRATION | 欲求が満たされない時の苛立ち |
46 | 苛立ち ANNOYANCE | ちょっとした迷惑や不便さに対する軽い怒り |
いろいろな基本感情の種類と分類
人間の感情の分類は、古代からいろいろな説が存在します。
- 五情・・・「喜・怒・哀・楽・怨」
- 六情・・・「喜・怒・哀・楽・愛・憎」
- 七情・・・「喜・怒・哀・楽・愛・悪・欲」
また近現代では、哲学者や心理学者が感情の分類をしています。
デカルトの6つの基本的情念
17世紀フランスの哲学者ルネ・デカルトは、1649年に刊行した『情念論』で、人間の基本的情念は「驚き・愛・憎み・欲望・喜び・悲しみ」の6つであるとしています。
スピノザの3つ基本的感情
オランダの哲学者スピノザは、1677年に刊行した『エチカ』で、「喜び・悲しみ・欲望」の3つを基本的感情として、合計48種類に分類しました。
ダーウィンの7つの基本的感情
進化論で有名な19世紀イギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィンは、1872年に刊行した『人及び動物の表情について』で、「悲しみ・幸福・怒り・軽蔑・嫌悪・恐怖・驚き」の7つを基本的感情として、合計37種類に分類しています。
プルチックの8つの基本感情
20世紀アメリカの心理学者ロバート・プルチックは、「喜び・信頼・恐れ・驚き・悲しみ・嫌悪・怒り・期待」の8つを基本感情としています。
共通するのは『楽しみ・嫌気・悲しみ・恐れ・怒り』の5大感情
古代から現代までに分類された感情を見ていくと、多くの基本感情に共通する感情は「喜び・怒り・悲しみ」の3つであることが分かります。
次いで、「恐れ・嫌悪・驚き」です。
「驚き」は、はっきりとした感情が現れる前の状態を指すと考えれば、ダライ・ラマ14世とポール・エクマン氏が分類した『楽しみ・嫌気・悲しみ・恐れ・怒り』の5つの基本感情を、人間の5大感情として認識しておけば良いかと思います。
まとめ
ダライ・ラマ14世とポール・エクマン氏は、『楽しみ・嫌気・悲しみ・恐れ・怒り』の5つを人間の基本感情として、合計46種類に分類しました。
感情をコントロールするためには、この5大感情から分類される感情たちは、どのようにして現れるのかを知っておくことも大切です。
次の記事では、感情が生まれる要因について解説しています。
Next⇒「感情が生まれる9つの要因とは?原因を知ればコントロールできる」
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