顧客心理を掴む心理学

保有効果とは?マーケティングで使う、失う恐怖と現状維持バイアス

保有効果

人は自分が所有したモノに対しては突然価値が上がり、手放したくないという思いを抱く傾向があります。この心理現象を、行動経済学では保有効果と言います。

「もったいない・・・」という気持ちから、なかなかモノが捨てられなかったり、長年愛用したモノを手放したくない気持ちは、この保有効果によるものです。

誰だって経験がありますよね。

この保有効果を正しくマーケティングに応用することができれば、お客さんが安心できる販売ができます。同時に、あなたのビジネスは売上アップが図れるようになります。

保有効果と応用の仕方について、お話しします。

スポンサード リンク

保有効果とは

保有効果(Endowment effect)とは、自分が所有しているモノに高い価値を感じて、それを手放すことに抵抗を感じてしまう心理現象です。「授かり効果」とも呼ばれます。

1970年代初めに、当時ロチェスター大学の大学院生だった経済学者のリチャード・H・セイラー氏(Richard H. Thaler)によって提唱されました。

この保有効果は、正規の取引ではないモノに顕著に現れる傾向があります。

保有効果の例え

例えば、あなたは大好きなアーティストのライブチケットを手に入れたとします。3万円までなら払っても良いと思っていたところ、運良く正規料金の8000円で手に入れることができたチケットです。

その後チケットは完売になり、オークションサイトでは「8万円払うから欲しい!」という熱狂的なファンがいることがわかりました。

さて、あなたはいくらならチケットを売っても良いと考えますか?

8000円で手に入れたチケットですから、8000円で売ればあなたに損はありません。ですが、8万円以下では売りたくない気持ちになるのではないでしょうか。

入手前は最大3万円までなら払っても良いと感じていた価値なのに、実際に手に入れたことで、チケットの価値が8万円以上に変わったことになります。

保有効果の実験

行動経済学者のダニエル・カーネマン氏が行った、保有効果がわかる実験があります。

被験者の学生をランダムにAとBの2つのグループに分けて、Aブループには大学のロゴ入りマグカップをプレゼントします。

プレゼントした後すぐに、Aグループには「いくらなら、Bグループにマグカップを売るか?」と尋ね、もらわなかったBグループには「いくらなら、Aグループからマグカップを買うか?」と尋ねます。通常のマグカップは6ドルで販売しているものでしたが、その結果は平均すると次のようになりました。

  • Aグループ:7.12ドルで売る
  • Bグループ:2.87ドルで買う

たった今手に入れたものなのに、手に入れていない状態と比べると、感じる価値は2倍以上の差が出たのでした。

なぜ、このような保有効果は起こるのでしょうか?

保有効果が起こる理由

「手に入れたモノの価値が高くなる」という保有効果が起こる理由は3つ考えられます。

  1. 自分が持っているモノに愛着を感じる
  2. 自分が感じる価値は、他人も同じように感じるだろうと考える
  3. 手に入れるよりも、失うかもしれないことを重要に感じる

例えば、あなたには長年愛用した腕時計があるとします。見た目は少しボロくなってしまいましたが、あなたが必死になって働いて手に入れたもので、たくさんの思い出がつまっている腕時計です。

その腕時計と同じ新品と交換できるとしたら、あなたは交換しますか?  おそらく、ボロくなった腕時計に特別な思いを感じて、簡単には手放せないと思います。腕時計についた傷ですら、あなたにとっては人生を共にした思い出であり、愛着を感じるからですよね。

人は同じモノに何度も接することで好感を持つ、ザイオンス効果と呼ばれる心理傾向があります。愛着を感じる理由は、この心理現象が考えられます。

もしも手放すとしたら、思い出がつまっている分、買った値段と同じくらいの値段か、あるいはそれ以上の値段をつけるかもしれません。他人からすれば、腕時計についた傷はマイナス評価でしかないのに、他人にも思い出の価値が伝わると感じてしまいます。

そして、新しく手に入れるモノよりも、失うモノの方が大きな損失に感じます。

この感覚は、プロスペクト理論と現状維持バイアスによるものです。マーケティングを考える際には、とても重要な理論になります。

保有効果を生むプロスペクト理論とは

行動経済学のプロスペクト理論とは、「人は新しいものを手にした時に得られるメリットよりも、所有しているものを失うデメリットの方に注意が働き、できるだけ損失を避けたいと感じる傾向がある」という理論です。

感じる損得の比率は、得を「1」とした場合、損は「2〜2.5」とも言われています。さきほどのマグカップの実験結果で出た2倍以上の値段の差は、このプロスペクト理論と一致します。

つまり、マグカップを手に入れた瞬間の嬉しい気持ちが「1」だとすると、それを失う悲しい気持ちは「2〜2.5」倍に感じるんですね。

プロスペクト理論については「プロスペクト理論とは?マーケティングに応用する損失回避の法則」の記事で詳しく解説しています。

そして、得と損が同等だった場合は、現状維持バイアスがかかります。

現状維持バイアスとは

現状維持バイアスとは、現状を変えることにるデメリットの方が、現状を変えないことよりも大きいと感じ、現状を維持しようとする思考パターンのことです。

例えば、あなたが D社の携帯電話を持っていて、D社よりも A社の方が価格が安いとします。

A社に乗り換えた方が経済的なのですが、「手続きが面倒・・・」「電波状況が悪くなるかもしれない・・・」などと、現状を変えることで起こりそうなデメリットの方を大きく感じます。そして、D社を使い続ける現状維持を選択します。

これが現状維持バイアスです。

プロスペクト理論で考えれば、損を「1」とした場合、得が「2〜2.5」以上なければ、現状を変えようとはしません。

ギャンブルで例えるなら、1万円をかけて1万円をもらう勝負はしようとは思わず、1万円をかけて2.5万円以上をもらえるなら、勝負しようと思えます。

この現状維持バイアスを考えれば、携帯電話や保険サービスなど、新しく商品を乗り換えてもらうためには、乗り換えることによる大きなアドバンテージを用意する必要があることがわかります。

逆に言えば、マーケティングは一番乗りすることがもっとも簡単な方法だということですね。

マーケティングでの保有効果の使い方

“手にしたモノを失いたくない” 保有効果は、マーケティングでは頻繁に使われています。

もっともわかりやすいのは「返品保証」です。「使ってみて、気に入らなければ返品してください」という保証です。お客さんからしてみれば、返品保証は売り手の商品に対する自信を表すものに感じるので、信頼感が生まれやすくなります。

返品保証がついていることで、安心して購入してもらえます。

一度商品を手にすれば、保有効果によって商品の価値が上がります。もしも商品に少しの不満を抱いた場合でも、「返品の手続きが面倒だし、まぁいいか・・・」という現状維持バイアスが働きやすくもなります。

商品に問題がある場合は、返品は当然あります。ですが商品に大きな問題がない場合は、返品率よりも申し込み数の方が大きくなり、売上アップが期待できます。

保有効果は完全に手にしていなくても働く

一度お客さんが手にした状態が生まれれば、「試着」や「無料お試し」などで、まだお金を支払っていない状態でも保有効果が働きます。

そのため、一見企業側が損しそうに感じる「何度でもお試しオッケー」や「送料無料」などの条件でも、保有効果の返品率の低さによって、利益を伸ばしているケースがあります。 これには「 何度もお試ししたのに、何も買わないのは申し訳ないなぁ・・・」という返報性の原理も働きます。

ですのでお客さんの立場になって考えてみれば、それほど欲しいとは思っていない状況で「とりあえずお試し」することは、買ってしまう可能性が高くなる判断であると言えます。

もしもお店側が「とりあえず試してみてください!」「手にとってみてください!」とゴリ押ししてきたなら、保有効果と返報性の原理を狙った手口かもしれません。

コピーライティングでの保有効果の使い方

“完全に手にしていなくても働く” 保有効果は、コピーライティングに応用することができます。

その方法は、すでに商品を使っている想像をしてもらうことで、お客さんの頭の中で保有効果をつくり出すようにします。

例えば次のような感じです。

想像してみてください。あなたがこの自動掃除機を使っている姿を。

お申込みいただきますと、3日以内にご自宅に配送させていただきます。充電された状態でお届けしますので、箱から商品を取り出したら、すぐにお使いいただけます。

操作方法は、自動掃除機を床に置いて赤いスタートボタンを押すだけです。あなたがすることは、たったこれだけです。

後はのんびりソファに横たわって、挽きたてのコーヒーでも飲みながら、忙しくて読めなかった小説でもゆっくり楽しんでください。その間に、お部屋がきれいになっています。

一度体験してみたら、もうこの商品なしでの生活は考えられないほど快適です。

まとめ

保有効果とは、自分が所有したモノに対しては価値が上がり、手放したくない思いを抱く心理現象です。

マーケティングでは「返品保証」「試着」「お試し」など、一度お客さんが手にする状態をつくることで、保有効果を働かせるようにできます。商品に問題がなければ返品率は低くなり、保証の安心感で、お客さんからの申し込み数は増えます。

他社から商品を乗り換えてもらう場合は、現状維持バイアスがかかっているので、乗り換えることで起こるメリットをたくさん用意する必要があります。

さらに心理学をマーケティングに応用する方法を知りたい場合は、こちらを参考にしてください。
行動心理学で顧客心理を掴む!マーケティングテクニック【36選】

この記事が役に立ったら
\いいね !/

Twitter で

スポンサード リンク

あなたのWebサイトは成績優秀なセールスマンとして働いていますか?

集客できるWebサイトをつくる「チェックリスト」を無料公開中です。

こちらのPDFレポートで診断チェックするだけで、あなたのWebサイトがお客さんを連れてくる方法がわかります。

● 申し込みを生むデザインがわかる
● 信頼を獲得する方法がわかる
● 刺さるコピーライティングがわかる
● Webで利益を生み続ける方法がわかる

さらに、計18,000文字を超える「診断チェックリスト補足解説講座」を読めば、集客できるWebサイトの秘密が詳しくわかります。あなたのWebサイトが優秀なセールスマンに変わる方法です。

プレゼントは突然終了する可能性がありますので、今すぐ診断チェックしてみてください。

診断チェックしてみる