フリー(Free:無料)をコンセプトにしたビジネスモデルを、フリー戦略と言います。『無料』で何かを提供することで利益を生み出すモデルです。
ビジネスで成功するためのもっとも近道は、この『無料』から利益を生み出すフリー戦略だと言えます。なぜなら、『無料』はお客さんにとって損をしない唯一の方法であり、それゆえ最も魅力的だからです。
この記事では
- フリー戦略とは何か?
- フリー戦略の4つの種類
- フリー戦略のメリット
- 個人レベルでできるフリー戦略
について解説します。
もしもあなたのビジネスに無料のモノがないとしたら、個人ビジネスや小さな会社でもできるフリー戦略について知っておいてください。
フリー戦略を取り入れることで多くのお客さんを集め、『無料』から利益を生み出すことができるようになります。
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フリー戦略 とは
フリー戦略は、米国の総合誌『WIRED』の当時の編集長クリス・アンダーソン氏が2009年に出版した著書『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』によって有名になったビジネス戦略のひとつです。
とは言え、フリーをコンセプトにしたマーケティング手法は、ずいぶん昔から存在しています。
例えば、スーパーマーケットでの試食や、化粧品などの無料サンプルがそうです。街角で配られるティッシュも、広く捉えればフリー戦略のひとつだと言えます。
インターネットの世界で言えば、Googleでの検索は無料で利用できますよね。メールアドレスの取得やブログの開設だって無料で利用できるのは、フリー戦略のビジネスモデルのおかげです。
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フリー戦略の種類と事例
クリス・アンダーソン氏の著書『フリー』によると、無料から利益を生み出すフリーモデルは、大きく分けると4つに分類できるとしています。
- 直接的内部相互補助
- 三者間市場
- フリーミアム
- 非貨幣市場
これらのモデルを知ることで、新しいフリーのアイデアが生まれやすくなります。
では、それぞれのフリービジネスを事例を交えて解説していきます。
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1. 直接的内部相互補助
直接的内部相互補助とは、特定の商品・サービスを販売するために、他の商品・サービスを無料にするフリー戦略モデルです。
“特売” ではなく “無料” にする、と考えればわかりやすいと思います。
例えば、「ピザを1枚買えば、2枚目は無料!」というキャンペーンです。
人は◯%オフよりも無料が好き!
「・・・それって、50%オフでも同じなんじゃない?」と感じるかもしれません。ですが、人は『◯%オフ』よりも『無料』に惹かれる傾向が強いことが、行動経済学によって実証されています。
ちなみこのマーケティング手法は、英語で「バイワンゲットワンフリー(Buy one Get one Free)」と呼ばれます。他にも、「ネクタイを2本買えばプラス1本は無料」といった「Buy 2 Get 1 Free」などがあります。
カラオケ代を無料にするキャンペーンなども、この直接的内部相互補助にあたります。
たとえ原価を下回る価格になったとしても、他の商品(飲み物やサイドオーダー)を一緒にオーダーしてもらうことで利益を回収することができます。
これは全体的な売上げの最大化を図る、フロントエンド商品とバックエンド商品の考え方を応用した戦略であると言えますね。
2. 三者間市場
三者間市場とは、利用者と提供者とは別の第三者が費用を負担するフリー戦略モデルです。
テレビやラジオを思い浮かべればわかりやすいと思います。
視聴者はテレビを無料で視聴できますが、テレビを制作しているテレビ局は広告費を出してくれる広告主がいることで利益を上げています。そして、広告をきっかけにして視聴者が広告主の商品を購入することで、広告主は利益を上げています。
無料で利用できるコンテンツがあるからこそ多くの人が集まり、多くの人へ広告を見てもらいたい広告主がいるからこそ成り立つビジネスモデルですね。
三者間市場モデルはインターネットではもっとも一般的なフリー戦略
広告を挟む三者間市場モデルは、インターネットの世界ではもっとも一般的なフリー戦略モデルです。多くの人を集めることができる Googleや YouTube、Facebookなどのメディアでは、売上のほとんどが広告収入です。
たとえ一般人であったとしても、多くのアクセスを集めることができれば、自身の YouTube動画や Webサイトに広告を掲載することで、広告収入を得ることもできますよね。
マッチングビジネスモデルは三者間市場のフリー戦略
また、マッチングビジネスでも、三者間市場のモデルが使われています。
例えば、自分にあった保険を選んでくれる相談窓口は、保険会社が費用を負担することで無料で利用できますよね。ヤフオクやクラウドワークスなども、マッチングが成功することで手数料として提供者が報酬を受け取るシステムです。
相席居酒屋や出会いサービスでは、女性が無料で利用できるケースがありますよね。女性の料金を男性が負担することで利益を回収するビジネスモデルです。少し変則的ですが、これも三者間市場のフリー戦略を応用したビジネスであると言えます。
3. フリーミアム
フリーミアムとは、商品・サービスを無料で提供して、その中で一部の人が有料サービスを利用することで利益を上げるフリー戦略モデルです。
試食や無料サンプルはフリーミアムの一部
スーパーマーケットやデパ地下での試食は、広く捉えるとフリーミアムだと言えます。
まずは無料で食べてもらって、欲しいと感じた人にお金を支払ってもらうことで、お店側は初めて利益が上がります。販売促進用に配られる化粧品や飲料品のサンプルなどもフリーミアムですよね。
ただし、商品サンプルを用意するためには、試食と同様に実費がかかります。そのためメーカーは、なるべく少量のサンプルで多くの消費者を引きつける必要があります。
書店の立ち読みもフリーミアム
立ち読み可能な本屋さんも、広く捉えるとフリーミアムだと言えます。無料で内容を見せて、欲しいと感じてお金を支払ってもらうことで、お店側は利益が上がります。
立ち読みは実費がかからないので、いくらでも試し読みをしてもらうことができます。 (本が汚れて商品価値が下がるというリスクは除きますが)
ECサイトの Amazonでも、最初の数ページを試し読みできるようになっていたりしますよね。
お客さんからしてみれば、お金を払う価値があるのかどうかを知るために、まずは無料で試せるわけですから、フリーミアムはすごくありがたい存在です。
Webで大きな力を発揮するフリーミアム
フリーミアムは、Webの世界で大きな力を発揮します。なぜなら、デジタル製品は試食やサンプルと違って複製のコストが極めて安いので、大量に制作することができるからです。
Webサービスやスマホの無料ゲームが、このフリーミアムのビジネスモデルを使っています。
ウェブ上では、95%の人が無料サービスだけの利用でも、5%の人が有料サービスに加入することで全体としては利益を上げられるとしています。このことは、「5%ルール」と呼ばれています。
5%ルールを成功させるためには、どのような戦略を取るのかがカギになります。
4. 非貨幣市場
非貨幣市場とは、社会貢献や、世間からの注目や評判を得るために行われる価値提供です。
寄付で成り立っているウィキペディアや、企業がコンテンツマーケティングで行う有益な情報発信などがこのフリー戦略のモデルです。
無料で利用できることで、ブランドのロイヤリティ向上につなげることができます。
また、Amazonなどのレビューやクックパッドへの投稿も、非貨幣市場のモデルです。
金銭的な報酬があるわけでもないのに投稿する人がいるのは、社会貢献や自己表現、承認欲求を満たせるといったことが心理的な報酬となっているからですね。
フリー戦略のメリット
フリー戦略を行うメリットは、購入のハードルを下げる効果があることです。
利用者はお金を支払うことなく前もって価値を受け取ることができますので、安心した状態で購入してもらえるんですね。また、口コミ効果による認知拡大も期待できます。
そのためには、無料であっても価値のあるモノを提供することが大切です。
さらにフリー戦略には、次の2つの心理効果が働きやすくなるメリットがあります。
- 返報性の原理
- ザイオンス効果
1. フリー戦略は返報性の原理が働きやすくなる
フリー戦略は、無料で価値を提供することで、返報性の原理が働きやすくもなります。返報性の原理とは、「何かをしてもらったら、お返ししなきゃ・・・」と感じる心理作用のことです。
例えば、試食や無料サンプルなどは、本来は有料のモノを受け取っていることになりますよね。お客さんからしてみれば、「価値あるモノを無料でもらったのに、何も買わないのは申し訳ないな・・・」という気持ちが働きやすくなるんですね。
2. フリー戦略はザイオンス効果も働きやすくなる
さらに、ザイオンス効果も働きやすくなります。ザイオンス効果とは、何度も同じモノに接触することで好感度が上がる心理作用のことです。
無料サンプルなどで同じモノを複数回使い続けた場合、そのモノの記憶が残りやすくなります。そして街中で見かけた時には、そのブランドを選びやすくなる傾向があります。
ですので、まず先にお客さんに得を感じてもらうフリー戦略は、人の心理を利用した優れたマーケティング戦略でもあると言えるんですね。
個人ビジネスでもできるフリー戦略
個人ビジネスや小さな会社でも、これらのフリー戦略を取り入れることで、Webサイトから利益を上げる方法があります。
- オウンドメディア
- ダイレクトレスポンスマーケティング
1. オウンドメディアマーケティングというフリー戦略
ブログというメディアを使って、見込み客(商品・サービスを買ってくれる可能性のある人)にとって有益な情報(コンテンツ)を無料で発信し、多くのお客さん候補を集めます。
この戦略は、コンテンツマーケティング、オウンドメディアマーケティング、ブログマーケティングなどと呼ばれます。
何度も Webサイトに訪れてもらい、商品や会社の信頼度を高めます。ファンになってもらうことで、商品購入へと進んでもらいます。
2. ダイレクトレスポンスマーケティングというフリー戦略
もっとも効果的なフリー戦略に、ダイレクトレスポンスマーケティングがあります。
ダイレクトレスポンスマーケティングとは、お客さん候補にメールアドレスなどの連絡先を教えてもらう代わりに価値のあるモノを無料で提供して、関係性を構築してから販売につなげるマーケティング手法です。
お客さん候補に有料級のモノを無料で提供する提案のことは、無料オファーと言います。
無料オファーを成功させるためには、3つのポイントを心がけることが大切です。
フリー戦略の理解を深める本
21世紀を生きるビジネスパーソンであるなら、クリス・アンダーソン氏の『FREE』と、『ロングテール』『MAKERS』は一度は読んでおきたい本だと言えます。
『FREE』では、「フリーを利用した50のビジネスモデル」も紹介されていますので、フリー戦略の理解を深めたい場合は、ぜひ読んでみてください。
まとめ
無料で価値を提供するフリー戦略は、多くの顧客を集められる戦略です。価値を感じてもらえれば、口コミでの紹介も期待できる認知拡大には効果的な戦略です。
フリー戦略は、大きく分けると4つに分類できるとされています。
- 直接的内部相互補助:ある商品を無料にする
- 三者間市場:第三者から料金をもらう
- フリーミアム:一部の人を有料にする
- 非貨幣市場:社会貢献や評判を得る
フリーのビジネスモデルは、アイデア次第でいくらでも出てくると思います。メッセージや見せ方の工夫をすることで、ぜひあなたのビジネスにも新しいフリー戦略を取り入れてみてください。
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