意外と知られていないかもしれませんが、ビジネスで扱う文章は大きく分けると2種類に分類できます。それは、コピーライティングとセールスライティングです。
この2つには、決定的な違いがあります。
もしもこの違いを知らずに、販売促進の広告やランディングページの文章を書こうとしたら、全く効果のないものになる可能性があります。
コピー(文章)で売上を上げる第一歩目として、2つの違いをしっかりと押さえておいてください。
2つのコピーの目的は、次のとおりです。
- コピーライティングは、ブランディングが目的
- セールスライティングは、レスポンスが目的
詳しく解説していきます。
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コピーライティングとは
コピーライティングとは、「イメージコピー」のことを指します。
一般的には「キャッチコピー」という方が馴染みがあるかもしれません。テレビCMでよく見かける、イメージアップのためのコピーです。
キャッチコピーは、強い言葉や美しい言葉で、企業のブランディング向上を目指します。認知度が高まったり、イメージアップができれば成功したと言えます。
イメージアップのための広告は、「イメージ広告」と呼ばれます。
キャッチー(=注意を引きやすい)であるためには、一瞬で注意を惹きつけるような、鋭い言葉であることが大切です。
キャッチコピーの例え
有名なキャッチコピーといえば、次のようなものがあります。
- はやい、やすい、うまい/吉野家
- ココロも満タンに コスモ石油/コスモ石油
- お金で買えない価値がある/MasterCard
- そうだ 京都、行こう。/JR東海
- インテル、入ってる/インテル
- NO MUSIC NO LIFE/タワーレコード
- 暮らし感じる、変えていく。/P&G
- お、ねだん以上。/ニトリ
一度聞いたら忘れられない、記憶に残るフレーズがいっぱいありますよね。キャッチコピーは、マーケティングのコンセプトを表した「USP」を踏襲したメッセージになります。
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コピーライティングは直接行動には訴えない
コピーライティングは、記憶に残ったとしても、直接行動に訴えるものではありません。
例えば、『お金で買えない価値がある』のコピーを見たからといって、「よし、今すぐMaster Cardに入会しよう!」という気持ちにはならないですよね。
キャッチコピーはあくまで、いつかまたその商品(企業)と偶然出会った時に、「いい印象で思い出してもらえればいいな」という目的のためにつくられるものです。
コピーライティングは数値で計測できない
ブランディング向上を目指したキャッチコピーは、どれほど成功したのかを数値で測ることはできません。
たとえ『そうだ 京都、行こう。』のポスターをきっかけにJR東海を利用したとしても、どれほどの人が行動をとり、いくら売上が上がったのかはわかりません。
ブランディング向上やイメージアップの対策がどれほど売上に貢献しているのかを、数値として計測することはできないんですね。
そのため、ブランディング向上を図るイメージ広告は、不況になると一番最初にコストカットの対象になりやすい側面があります。
「キャッチコピー」の目的はブランディングだけではない
ここまで「キャッチコピー」はブランディングが目的と説明してきましたが、「キャッチコピー 」が指す意味は、実はブランディング目的だけではありません。
キャッチコピーの3つの目的
- 強い言葉や美しい言葉で企業のイメージアップを図る
- 商品・サービスのウリを言い表して売上げアップを図る
- 注意を引いて続きを読みたいと思わせる
一般的に使われている「キャッチコピー」とはブランディングが目的のものですが、売上げアップのために広告で使われる「キャッチコピー」も存在するということです。
つまりキャッチコピーとは、「強く興味を引く宣伝文句になる言葉」という意味があるんですね。
「続きを読みたい」と思わせるキャッチコピーは、セールスライティングで使われます。
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セールスライティングとは
セールスライティングとは、反応を得るための「レスポンスコピー」です。
「セールスコピー」と呼ばれますが、広告でモノを売るための文章のことで、行動を起こさせるためのコピーです。
ダイレクトメール・FAX-DM・チラシ・メルマガ・ステップメール・Webサイトで使うランディングページなど、反応を得るための販売広告の文章に使われます。
レスポンスのための広告は、「レスポンス広告」と呼ばれます。
一瞬で惹きつけるキャッチコピーと比べると、セールスコピーで書かれた文章はおそろしいほど長文です。その長さは必要に応じて、数千文字から数万文字にも及びます。そのため、出来上がった文章は「セールスレター」とも呼ばれます。
セールスコピーの特徴
わかりやすい特徴としては
- あなたは◯◯でこんな間違いをしていませんか?
- ◯◯を手に入れて今すぐ△△する方法
- 警告!これを読む前に、◯◯をしてはいけません!
- ◯◯について誰もが知っておくべき13のテクニック
というように、続きを読みたくなるようなタイトルに始まり、セールスマンが使う話し言葉のような文体で、商品・サービスを利用することでどんな満足感を得られるのかを訴求します。
セールスコピーで使われるタイトルは、「ヘッドコピー・ヘッドライン・キャッチコピー」などとも呼ばれます。
最終的には、
- 今すぐ資料をお申し込みください。
- 先着◯名様には限定特典がついて送料無料△△円です。◯日までにお電話ください。
などと、今すぐ行動を促します。
簡単に言えば、セールスパーソンのセールストークを紙に書いたものがセールスライティングです。ですので、セールスコピーが書ければ、テレアポのトークスクリプトや、動画でセールスする際の台本を書くこともできます。
セールスライティングは直接行動に訴える
セールスコピーは、直接行動に訴えるものです。
例えば、セールスコピーのチラシを見た人が、「へ〜、こんな商品があるんだ、いつか利用するかもしれないから覚えておこうかな・・・」と思っても、その場で行動してもらえなければ失敗だと言えます。
行動に訴えるためには、文章の上手い下手よりも、顧客心理やセールスの説得手法、マーケティングの知識が重要になります。ですので、キャッチコピーのような美しい言葉を語る必要はありません。
セールスライティングは数値で計測できる
セールスライティングとコピーライティングとの決定的な違いは、オファーがあるかどうかです。
オファーとは、「私はこの◯◯を提供するので、あなたは△△をしてください」という取引条件のことです。マーケティング用語としては、一般的に『特典』のことを指します。
つまり、「私はこの商品を◯◯という特典をつけて販売しますので、あなたは申し込みをしてください」という取引条件のある文章がセールスライティングです。
オファーがあることで、どれほど成功したのかを数値で計測することができます。
例えば、1万件のリストにダイレクトメールを送った場合、100件の申し込みがあったのなら、成約率(コンバージョン率)が1%のコピーだということがわかります。
1件で1万円の売上があったとしたら合計の売上は100万円で、かかった費用が100万円以上であれば赤字ということが数値としてわかります。
目標とする利益を上げられたなら成功ですし、収支が赤字であればコピーを再考する必要があることがわかります。(実際には事前に小さくテストをします)
たいていの広告はセールスライティングではない
あなたがセールスコピーを書きたいと思った場合は、世の中にある広告の多くはセールスライティングではないことを覚えておくことが大切です。
つまり、文章で売上アップをするためには、参考になる広告はほとんどないということです。
例えば、ピザやお寿司などの飲食店のチラシでは、レスポンスを促すために割引チケットが付いていたとしても、メニューと価格が載っているだけだったりしますよね。
レスポンス広告ではありますが、セールスライティングではありません。
あなたが広告を参考にする場合は、ソフトセルではなく、ハードセルの広告を参考にしてみてください。
販売手法のソフトセルとハードセルとは
販売手法を大きく2つに分けると、ソフトセルとハードセルに分けることができます。
ソフトセルとは
ソフトセルとは、商品・サービスの良さを間接的、イメージ的に訴求する販売方法のことです。期限や条件を設けてレスポンスを促すことはありません。
例えばマンションの広告では、綺麗な外観や環境の良さなどを訴求していますが、「いつまでに何をすればどんな得があるのか?」について書いてある広告は少ないです。
美容室のチラシでも、イメージアップのために綺麗なモデルの写真が掲載されていますが、
- その美容室に行くことで得られる満足感の訴求
- 「◯日までのご来店で△△の特典を差し上げています」のようなオファー
が書いてあるチラシは少ないです。
ハードセルとは
ハードセルとは、商品・サービスの良さを直接的に訴求して、レスポンスを促す販売方法のことです。ソフトセルの反対の意味として使われます。
例えばエステのチラシでは、施術を受けるとどんな効果があるのかを訴求しています。効果を証明するためにお客様の声を記載するなどして、安心できるようにしています。
そして、お得な初回限定のコースが設けられていたり、期間限定の割引チケットを付けて、レスポンスを促しています。
どんな広告に心を奪われたのか?
あなたがセールスコピーを書くのであれば、商品・サービスの良さを直接的に訴求してレスポンスを促している、ハードセルの広告を参考にするようにしてください。
たとえ、はじめは興味を持っていなくても、なんとなく広告文を読み進めているうちに興味が湧いて、その商品が欲しくなれば、相当優秀なセールスコピーであるということです。
まとめ
ビジネスで扱う文章は、「コピーライティング」と「セールスライティング」の2つに分類することができます。
コピーライティングとは、一般的にはキャッチコピーのことを指す、ブランディングのためのコピーです。売上には直接関係がなく、結果を数値で計測できません。
セールスライティングとは、セールスコピーのことで、レスポンスのためのコピーです。売上に直接関係していて、結果を数値で計測できます。
売れる文章を書くためには、ブランディングのためのキャッチコピーではなく、直接行動に訴えるためのセールスコピーの技術が必要不可欠なものになります。小説のような文章力ではなく、マーケティングや顧客心理の知識が重要になります。
もしもあなたがWebサイトから集客・販売をしたいのであれば、ウェブに特化したセールスライティングであることが理想的です。
もっとも手軽にセールスライティングを学ぶなら、まずは書籍からスタートしてみると良いと思います。
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