あなたが自分の夢や目標を人に話した時、あなたの夢や目標を妨害しようとする人がいます。その人のことをドリームキラーと言います。
ドリームキラーは身近な人であることが多く、あなたの夢や目標によって、話した方が良い場合と、話さない方が良い場合に分かれます。
この記事では、
- 身近な人がドリームキラーになってしまう心理
- 他人に話した方が良い場合と悪い場合の夢や目標の違い
- ドリームキラーの対処法
について解説します。
また、最大のドリームキラーは、実は自分自身である可能性があります。
あなたが夢や目標に向かって真っすぐ進むために、ドリームキラーの心理と正しい対処法を知っておいてください。
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ドリームキラーとは
ドリームキラー(Dream Killer)とは、直訳すれば「夢を殺す人」になります。“殺す” という恐ろしい表現のとおり、「目標に向けてがんばろう!」という他人のやる気を潰そうとする恐ろしい人のことです。
「ドリームキラー」は、国際コーチ協会会長だった故ルー・タイス(Lou Tice)氏がつくった造語とされ、タイス氏の弟子である認知科学者の苫米地英人氏が日本で広めた言葉です。
あなたが大きな夢や目標を持った時には、気をつけるべき存在です。
ドリームキラーの例え
例えば、あなたが今の仕事を辞めて「趣味を活かして独立起業する!」という目標を持ったとします。あなたの目標を聞いた仕事仲間や友達、恋人や家族は何と言うでしょうか?
- 「いい歳して、何考えてるの?」
- 「今のキャリアを捨てるなんてもったいないよ」
- 「お前にそんな才能はないよ」
- 「そんな夢を見て失敗する奴はごまんといる」
- 「絶対に無理だからやめときな」
あなたの夢や目標を妨害しようとする人、この人たちがドリームキラーです。
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2種類のドリームキラーの特徴
苫米地氏によると、ドリームキラーには2種類のタイプが存在するとしています。
- 意識的ドリームキラー
- 無意識的ドリームキラー
それぞれの特徴は次のとおりです。
1. 意識的ドリームキラーは自己評価の低い人
意識的ドリームキラーとは、悪意をもってあなたの足を引っ張ろうとする人です。あなたの同僚や上司かもしれませんし、友達や家族かもしれません。
悪意のドリームキラーは、自己評価の低い人です。
自己評価の低い人は、現状に不満があったとしても「自分には改善することができない・・・」と、自分の可能性を否定しがちになります。
そのためネガティブな思考になりやすく、普段からグチが多かったり、他人を悪く言うことで相対的に自分の評価を上げようとする傾向があります。
悪意のドリームキラーの例え
例えば、あなたが独立起業して大成功を収めたとします。
すると悪意のドリームキラーは、自分にはできないことができたあなたを妬ましく思い、勝手に嫉妬して「アイツは変わった」とグチをこぼすようになります。
さらには、「どんなに金が儲かったとしても、忙しかったら意味ないよな」などと、あなたを見下すことで自分を守ろうとします。
自己評価の低い人は、あなたが目標を達成してしまうと、自分が感じている無能さを露呈されてしまうようで怖いんですね。ですので、あなたの夢や目標を引き下げて、あなたが変化しないようにします。
2. 無意識的ドリームキラーは親・家族・恋人・先生など、本気で心配してくれる人
一方で、無意識的ドリームキラーとは、善意をもってあなたの足を引っ張ろうとする人です。あなたのことを本気で心配してくれる親や家族、恋人や友達、先生などに多いです。
善意のドリームキラーは、過去の統計や慣習に基づいて他人を評価する人です。
例えば、「起業して稼げるのは一割の人間だけ」「今から始めても難しい」「収入が不安定で危ない」など、あなたの過去の実績や一般的なデータを持ち出し、「やめといた方がいいよ」と、忠告のつもりであなたの夢を潰そうとします。
あなたが失敗してツラい目にあってほしくないからこそ、無意識的にドリームキラーとなってしまうんですね。
あなたも誰かのドリームキラーになっている?
善意のドリームキラーは無意識的だからこそ、あなた自身も誰かのドリームキラーになってしまっている可能性があります。
例えば、あなたが高校3年生の進路指導をする先生だとします。成績の悪い生徒のAくんが「オレは東大に入りたいんです!」と相談してきたら、あなたは何と答えますか?
「今の成績を考えれば、東大は難しいんじゃないか? もっと現実的に考えて、可能性のある大学に変えてみてはどうだろう」と、Aくんの過去の成績で判断してアドバイスをするのではないでしょうか?
もしもそうだとしたら、Aくんの未来の変化の可能性を無視したことになります。
あなたにそのつもりはなくても、Aくんのやる気を奪うドリームキラーの誕生です。
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ドリームキラーになってしまう2つの心理
身近な人がドリームキラーになるのは、次の2つの心理が関係しています。
- コンフォートゾーンが変化する不安
- 認知的不協和による拒絶
1. コンフォートゾーンが変化する不安
自分が慣れ親しんだ心地の良い領域のことを、コーチング用語では「コンフォートゾーン(安全領域)」と言います。
悪意にしても善意にしても、ドリームキラーは自分のコンフォートゾーンの変化が怖くて、身近な人の変化を無意識的に嫌います。
コンフォートゾーンが変化する不安の例え
例えば、あなたには仲の良い友達が2人いるとします。いつも一緒にいる仲良し3人組です。
あなたが一緒にいて心地良いと感じるのは、似たような価値観や境遇で、共感しあえる会話ができるからです。
ところがある日、友達のBくんは新興宗教に入信するために、世俗を捨てて山奥に引っ越すと言い出しました。友達のCくんは、会社を辞めてビットコインの投資で生計を立てるために、100万円の塾へ入って勉強すると言い出しました。
この時、あなたのコンフォートゾーンは大きく乱れることになります。
なぜなら、価値観の違いから、友達二人とは会話が合わなくなるかもしれないからです。環境の変化から疎遠になるかもしれません。そうなったら、あなたは遊び相手を失い、相談できる相手を失い、いつも一緒にいた時間にポッカリと大きな穴が開くことになります。
多くの人は、慣れ親しんだ環境や状態の変化を嫌います。
ですので、身近な人から「私は価値観を大きく変える!」と宣言されると、思わず引き留めようとするんですね。これがドリームキラーの心理です。
2. 認知的不協和による拒絶
また多くの人は、自分の持っている常識や価値観から逸脱した事柄には不快感を示します。
心理学では「認知的不協和」と言いますが、人はこの不快感を解消するために、自分にはない常識や価値観を否定することがあります。
例えば、汗水垂らして働くことが大切だと思っている人にとっては、“ラクして稼ぐ” という言葉には嫌悪感を抱いたり、拒絶反応を示します。
この不快感を解消するために、「ラクして稼ぐなんて、ダメ人間の考えることだ!」と、“ラクして稼ぐ” ことを不当に悪く言うことで、自分の常識や価値観を守ろうとします。
あなたの夢や目標が、家族や恋人の常識や価値観を覆すようなものだった場合は、認知的不協和を解消するために否定されるかもしれないんですね。
これもドリームキラーの心理です。
夢や目標は人に話した方が良いのか悪いのか?
では、夢や目標は人には話さない方が良いのでしょうか?
ドリームキラーの存在を考えると、他人には話さない方が良い傾向があります。なぜなら、あなたの大切な人をドリームキラーにさせないので、ストレスなく目標達成に励むことができるからです。
ただし、夢や目標によっては、他人に話した方が達成しやすくなる場合があります。
ポイントは、次の2つです。
- 相手の価値観に反するかどうか
- 相手のコンフォートゾーンを変えないか
人に話した方が達成しやすい夢や目標とは
人に話した方が達成しやすい目標とは、次のとおりです。
- 相手の価値観に反さない目標
- 相手のコンフォートゾーンを変えない目標
例えば、あなたが「禁煙」を目標にするのなら、タバコを吸わない人や、タバコを禁煙した人に話した方が目標達成しやすくなります。
なぜなら、「禁煙」は相手の価値観に反さないので、応援してもらいやすいからです。また、人に話すことで、あなた自身に「一貫性の原理」のスイッチが入るからです。
人に話さない方が達成しやすい夢や目標とは
一方で、人に話さない方が達成しやすい目標は、次のとおりです。
- 相手の価値観に反する目標
- 相手のコンフォートゾーンを変えるような目標
例えば、タバコを吸う人に「禁煙」の目標を話した場合は、「禁煙」は相手の価値観に反する目標になりますのでドリームキラーになる可能性があります。
なぜなら、「大好きなタバコを否定するなんて気分が悪い・・・」「タバコを吸う仲間が減るのはイヤだ・・・」と思われるかもしれないからです。
また、「独立起業して人生を変える!」「宇宙飛行士になる!」といった、あなた自身が大きな変化をする目標の場合も、相手をドリームキラーにさせる危険があります。
なぜなら、相手のコンフォートゾーンを変える可能性があるからですね。
ドリームキラーの対処法
あなたがドリームキラーに接触した場合、やる気をくじかれてしまう可能性があります。ですので、夢や目標を達成するためには、ドリームキラーの対処法を知っておくことが大切です。
ドリームキラーの対処法は、大きく分けると3つあります。
- ドリームキラーとは距離をおく
- ドリームキラーを説得して安心してもらう
- 自己肯定感と自己効力感を高める
1. ドリームキラーとは距離をおく
ドリームキラーの影響を受けないためには、ドリームキラーになりそうな人には夢や目標は話さないか、ドリームキラーとは距離をおくようにします。
なるべく接触しなければ、やる気を奪われる危険を回避できるということです。
ただし、親や家族、恋人など、距離をおくことが難しい場合は、接触を避けることが難しいですよね。そういう場合は、次の対処法をとります。
2. ドリームキラーを説得して安心してもらう
ドリームキラーと距離をおくことが難しい場合は、ドリームキラーを説得して安心してもらうようにします。
夢や目標を応援してもらうためには、なるべく相手のコンフォートゾーンが変わらないような説明をします。例えば、「たとえ遠くに行ったとしても、いつでも電話で話せるし、私は何も変わらないよ」と伝えます。
また、相手の認知的不協和による拒絶を防ぐためには、夢や目標の正当性を理解してもらう必要があります。
それでも、善意のドリームキラーは心配の気持ちから、あれこれと口出しをしてくるかもしれません。
そういう場合は、「心配してくれてありがとう」という感謝の気持ちをもって、ドリームキラーの言葉を受け流すようにします。
ドリームキラーの言葉を受け流すためには、自分に自信を持つ必要があります。なぜなら、自分に自信がなければ、すぐに「みんなが言うとおり、自分には無理なのかも・・・」という気持ちになってしまうからです。
そこで、もっとも重要なのが次の対処法です。
3. 自己肯定感と自己効力感を高める
ドリームキラーの言葉を受け止めてなお、やる気を奪われないためには、自己肯定感と自己効力感を高めることが大切です。
自己肯定感とは、自分のありのままの状態を受け入れて、自分を肯定できる感覚です。自己肯定感が高い人は、自分のダメな部分も含めて自分を大切に扱うことができます。
自己効力感とは、自分が行う行動について「きっと自分にはできる!」と感じることができる感覚です。自己効力感が高い人は、多くの人が失敗していることでも、臆することなくチャレンジができます。
自己肯定感と自己効力感が高ければ、ドリームキラーの言葉を受けても、自分の進むべき道を信じてまっすぐ進むことができるんですね。
一方で、自己肯定感と自己効力感が低ければ、あなた自身が自分のドリームキラーになってしまう危険があります。
もっとも恐ろしいドリームキラーは自分自身
夢や目標が達成できない一番の原因は、自分自身がドリームキラーになってしまうことです。
もしもあなたが自己肯定感の低い人であれば、失敗を恐怖に感じて「もしも失敗したら、大きな恥をかくんじゃないか・・・?」などと、やる気がくじかれてしまいます。
自己効力感の低い人であれば、過去の自分や一般的なデータにとらわれやすく、「やっぱり自分には無理なんじゃないか・・・?」と、未来の自分の可能性を信じることができなくなってしまいます。
ですので、自分自身でやる気を失わないためには、自己肯定感と自己効力感を高めることが重要なんですね。
メジャーリーグに渡った大谷翔平選手を見れば、自己肯定感と自己効力感の大切さがわかります。
大谷翔平選手のドリームキラー対処法
大谷翔平選手はメジャーリーグに挑戦する際に、多くの野球評論家から「二刀流は無理」「投手かバッターのどちらかに絞った方がいい」という指摘を受けていました。
二刀流はほぼ前例がない事例ですから、過去の統計や慣習に基づいて評価する善意のドリームキラーが多かったんですね。それでも大谷選手が二刀流にこだわり続けられたのは、自己肯定感と自己効力感の高い人だったからです。
大谷選手の残した言葉が、自己肯定感と自己効力感の高さを物語っています。
- 「今の僕の体は、まだ最低基準にも達してないと思っています」
- 「誰もやったことがないからやっている。自分しかやっていないところに魅力がある」
- 「二刀流の取り組みに否定的な人たちの考えを変えたいとも思わない。人の考えは変えられないので。自分が面白ければいいかな」
- 「(二刀流を)別に失敗したら失敗したで、いいと思ってたので」
- 「もしかしたらできるかもしれない。もしかしたらできないかもしれない。その際(きわ)の部分に挑戦したい」
こんなふうに、自分の現状を受け止めつつ、挑戦することを楽しく感じて、外野は一切気にしない精神でいられれば、やる気を失うことなく突き進めますよね。
自分自身がドリームキラーにならない方法
先ほどもお伝えしたとおり、自分自身がドリームキラーにならないためには、自己肯定感と自己効力感を高めることが大切です。
そのためには、次のことを心がけます。
- 能力のない現状の自分を受け入れる
- 日々の出来事や周りの人への感謝を心がける
- 過去の成功を思い出す
- 小さな成功をつみ重ねる
自己肯定感と自己効力感は、無意識の部分を変える必要があります。ですので、簡単に高められるものではありません。
ですが逆に言えば、自己肯定感と自己効力感さえ高めれば、目標を達成することがすごく簡単になります。
なぜなら、もっとも危険な、自分自身がドリームキラーになることがなくなるからです。それに、もしも他人から否定されることがあったとしても、夢や目標に向かって突き進むことができるからです。
例えば、「キミって変わってるよね」と人から言われた場合、自己肯定感が低い人は悪口に感じます。ですが、自己肯定感が高い人はただの意見だと感じます。
もっと言えば、褒め言葉に感じるかもしれません。
自己肯定感が高ければ、大谷選手のように、ドリームキラーの言葉もただの意見として聞き流せたり、あるいは自分のやる気を後押しする激励に変換することができるんですね。
ですので、自己肯定感と自己効力感を高めれば、目標を達成することがすごく簡単になるというわけです。
自己肯定感と自己効力感を高めるために役立つ書籍
こちらの書籍は、コーチングの祖とされる故ルー・タイス氏による著書です。
自分自身に対する肯定的な宣言を「アファメーション」と言いますが、目標達成に向けてのアファメーションの大切さとやり方を教えてくれる一冊です。
まとめ
ドリームキラーとは、過去の統計や慣習に基づいて他人を評価して、やる気を潰す人のことです。自分の身近な存在が多く、嫉妬であったり、寂しさや心配からドリームキラーになります。
ドリームキラーの影響を受けないためには、次のような対処法があります。
- ドリームキラーとは距離をおく
- ドリームキラーを説得して安心してもらう
- 自己効力感と自己肯定感を高める
この中でもっとも重要な対処法は、自己肯定感と自己効力感を高めることです。
大きな夢や目標を掲げた時には、自分自身が最大のドリームキラーにならないためにも、ぜひ自分を信じる力を身につけるようにしてください。
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