マーケティング

プロダクトライフサイクルとは?弱者が取るべきマーケティング戦略

プロダクトライフサイクル

商品・サービスには、人の成長と同じようなライフサイクルがあります。これを「プロダクトライフサイクル」と呼びます。

例えば、生まれたばかりの赤ちゃんには母乳が必要ですが、少年になれば、食べるものや必要なものが変わるのと同じです。

商品・サービスから得られる利益を最大にするためには、商品や市場がライフサイクルのどのステージにあるのかによって、取るべき戦略を変えることが大切です。

この記事では、プロダクトライフサイクルの解説と、小さな会社の取るべき戦略について見ていきます。

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プロダクトライフサイクルとは(PLC)

マーケティング用語のプロダクトライフサイクルとは、製品が市場に登場してから、売れなくなって姿を消すまでの需要の寿命を示したプロセスのことを言います。「Product Life Cycle」の頭文字をとって「PLC:ピー・エル・シー」や、「製品ライフサイクル」とも呼ばれます。

プロダクトライフサイクルは、1960年代に、アメリカの経済学者であるレイモンド・バーノン氏(Raymond Vernon)によって提唱され、「近代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラー氏(Philip Kotler)などの影響によって広まりました。

そもそもは、19世紀のイギリスの数学者であるベンジャミン・ゴンペルツ氏(Benjamin Gompertz)が、植物の繁殖などからヒントを得て、「成長曲線の法則」を提唱したことがきっかけです。

プロダクトライフサイクルのそれぞれのステージは、次のとおりです。

プロダクトライフサイクルの段階

一般的にプロダクトライフサイクルは、製品がたどる段階を、4つから5つのサイクルで表現されます。

  1. 新製品が登場したばかりで、売上も利益も少ない「導入期」
  2. 急速に売上と利益が増える「成長期・成熟期」
  3. やがて売上の成長が止まる「飽和期」
  4. 最後には売上と利益ともに少なくなる「衰退期」
プロダクトライフサイクルの図

プロダクトライフサイクルの図

プロダクトライフサイクルは、ひとつの商品についてだけではなく、商品の業界全体についても適用することができます。

例えば、日本において自動車やテレビという業界は、普及率が60%を超えているので、将来的なマーケットの拡大を見込めない「飽和期の業界」と言うことができます。

プロダクトライフサイクルは、イノベーター理論キャズム理論に通じる部分があります。この2つの理論についても知っておくと、理解がより深まります。

では、各ステージの特徴と、弱者の戦略について見ていきます。

プロダクトライフサイクルの導入期

プロダクトライフサイクルの「導入期」とは、新しい製品が市場に導入されて、消費者に認知されるステージです。

新しい製品を販売した直後は、認知度が低いために需用量も低いです。初期投資を行うために多額の資金が必要になり、利益としてはマイナスからのスタートになります。

競合はほとんどいない状態で、製品仕様は頻繁に変更され、マーケティングコストや製造コストが高い特徴があります。

導入期の一般的な戦略

一般的な戦略としては、製品の認知度を高めるために、流通業者に製品を取り扱ってもらうように働きかけたり、消費者に試用してもらうなどのプロモーション活動を行う必要があります。イノベーター理論での、イノベーター(Innovators:革新者)にあたる顧客層に訴えます。

導入期の弱者の戦略

弱者の戦略としては、このステージの段階の商品は扱わない方が賢明です。なぜなら、商品が売れるまでには多額のプロモーション活動の費用が必要になることと、どれほどの売上を見込めるのかがわからないからです。

ただし、競争相手がいないという点では、有利であることは確かです。この有利を活かすためには、市場を小さくして、顧客層を高所得者に絞ることがポイントになります。

プロダクトライフサイクルの成長期・成熟期

プロダクトライフサイクルの「成長期・成熟期」とは、製品の良さが市場で認知されて、売上が伸びてピークに達するステージです。

消費者に認知されて成長期に入ると、需用量の急激な増加にともない、売上が大きく伸び始めます。生産設備の増強や、販路拡大のために資金が必要になります。一方で、市場に参入する競合他社が増えてきます。競合他社との違いを明確にするためにも、ブランドやロイヤリティの確立が求められます。

成熟期には、製品に大きな改良が加えられます。大量生産が始まることで、価格が低下します。そのため、より多くの人の需要が高まり、それに答えるように商品の種類が増える特徴があります。

成長期・成熟期の一般的な戦略

一般的な戦略では、製品の認知度をより広めるために、イノベーター理論での、アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)やアーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者)にあたる顧客層に訴える必要があります。

商品の普及率が10〜15%に達すると、売上が一時的に横ばいになることがあります。この横ばいを「プラトー現象」と言います。プラトーとは「高原」を意味し、一時的な停滞状態を指します。日本の市場では、8割ほどの商品にプラトー現象が見られるとも言われています。

プラトー現象が起こる原因は、キャズム理論でのキャズム(Chasm:深い溝)が考えられます。イノベーターやアーリーアダプターの「新しさ」を求める顧客層が一定数購入した後は、次の層であるアーリーマジョリティへ移行しない限り、売れ行きは一時的に伸び悩みます。

プラトー現象(キャズム)を乗り越えるためには、商品販売のための訴求ポイントを、アーリーアダプターが求める「新しさ」から、アーリーマジョリティが求める「安心感」へシフトすることが必要です。

成長期・成熟期の弱者の戦略

弱者の戦略としては、確実に売上が見込めるので、導入期から成長期に入った全体普及率の10%のあたりで参入することが良いと言えます。全世帯での普及率が60%だとすると、その10分の1の、6%が参入ポイントになります。

ただし、競合他社が増えてくる時期なので、参入する際には競合他社を分析して、差別化を図ることが大切です。

プロダクトライフサイクルの飽和期

プロダクトライフサイクルの「飽和期」とは、需要量が頭打ちになり、売上は伸びず、利益率が下り坂になるステージです。

全体としての市場規模はピークに達して、「新しく商品を買う」人は少なくなり、「買い換え」や「買い増し」をする人が主流になります。市場の成長は見込めないにもかかわらず、競合他社との市場シェアを、価格競争などで奪い合うことになります。

また、頻繁にモデルチェンジが行われたり、サービス競争が激化して利益率は落ちていきます。市場では低価格が支配し、広告やブランドの力がなくなってきます。

飽和期には、デザインの差別化や「◯◯専用」といった差別化が行われるという特徴があり、どれだけ商品が売り場を占拠しているかが売上を決定づけます。

飽和期の一般的な戦略

成長期・成熟期には販路拡大が求められましたが、飽和期では不要なものをカットしていくことが求められます。イノベーター理論での、レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者)に訴求するためには、「世の中の定番」であることを訴えます。

飽和期の弱者の戦略

飽和期に入った商品を扱う場合には、お客さんがまだ満たされていない価値を探すことが大切です。価格競争に巻き込まれないためには、市場を小さく絞ってNo.1をつくり出し、安心感があることをアピールすることが必要です。

また、レイトマジョリティだけではなく、アーリーマジョリティへも訴えることを考えます。商品のパッケージを変えたり、メッセージを変えることで新しい感覚を追加すれば、ライフサイクルの寿命を延ばすことにもつながります。

プロダクトライフサイクルの衰退期

プロダクトライフサイクルの「衰退期」とは、売上と利益が急激に低下して、需要が少なくなるステージです。

新たな技術革新などの登場によって衰退期に入ると、需要量は減少し、市場から競合他社が撤退していきます。売上は低下するので、撤退を考慮する時期です。

衰退期の弱者の戦略

イノベーター理論での、ラガード(Laggards:遅滞者)が顧客層として想定できますが、期待はできません。

衰退期に入った製品は、細分化することや新しさを追加できないかを考えます。また、現在の製品にプラスアルファを加えて、新しい市場にできないかを考えます。ようするに、衰退期である商品を、成長期の市場に変えることが大切です。

プロダクトライフサイクルのパターン

プロダクトライフサイクルの成長曲線は、全ての製品に同じように当てはまるものではありません。

大きく分けると成長曲線のパターンは、好調に売れる期間によって「スタイル」「ファッション」「ファッド」の3つに分類されます。

プロダクトライフサイクルのパターン

プロダクトライフサイクルのパターン

スタイル(Style)

スタイルは、多少の流行はあるものの、基本的には流行に左右されずに、ゆるやかな曲線を繰り返します。生活に密着しているインフラの商品(住宅・衣服など)の業界に多い成長曲線です。流行りすたりがあったとしても、市場としてはなくなることはありません。

レイトマジョリティやラガード層の消費者にも、広く受け入れられることが特徴です。

ファッション(Fashion)

ファッションは、新しさや奇抜さを求めるイノベーターやアーリーアダプターに受け入れられ、短期的に売上が伸びますが、アーリーマジョリティにはあまり受け入れられずに、売上が落ちていく成長曲線です。

販売数が一気に伸びることで、同時期に模倣品が出まわります。市場に似たような商品があふれることで、新しさが急速に失われていきます。

ファッド(Fad)

ファッドは、ファッションの一種の曲線です。急速に売上が伸びて、すぐにピークに達し、その後急速に売上が落ちるという成長曲線です。

新しさや奇抜さだけが注目され、一部の層にしか人気を得られずに消えていく商品です。市場の大多数の消費者からは受け入れられない時に起こる失敗例と言えます。

まとめ

プロダクトライフサイクル理論から、小さな会社が取るべき戦略をご紹介しました。

小さな会社が新しい市場に参入する場合は、高所得者を対象にした戦略を取ることがポイントです。また、導入期が終わって成長期に入った業界に参入することが、一番ラクに売上を伸ばせる方法です。

飽和期や衰退期に入った商品を扱う場合には、競合他社との差別化を図るためにも、顧客層を絞るか、新しい要素を追加するなど、新しい市場に変えることや自社がNo.1の存在になれる工夫をすることが必要です。

小さな会社がNo.1を獲得するためには、ランチェスター戦略を知ることが役に立ちます。

Next⇒「ランチェスター戦略とは【小さな会社が勝つための弱者の戦略】

 

参考図書:コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

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